和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

時代考証の首根っこ。

2024-10-01 | 道しるべ
桑田忠親氏の紹介文に

「明治35年、東京都生れ。日本史学者。・・昭和62年5月5日没」とあり、
そのなかで、気になったのは
「のち大河ドラマの監修・時代考証などにも活躍・・」という箇所でした。

はい。桑田忠親著「定本千利休」(角川文庫)をひらいているのですが、
パラパラ読みの私でも、そういえば、考証的な細部に惹かれます。

時代考証といえば、そういえば、
徒然草が思い浮かびます。どこでもいいのですが、
たとえば、第208段は
「 経文などの紐を結ふに、上下より襷に違へて 」
とはじまっております。ここは島内裕子現代語訳で
短いので全文引用してみます。

「お経の巻物などの紐を結ぶ際に、上下に襷(たすき)がけに交叉させて、
 その紐二本の中を通して、紐の端っこを横から引き出すのが、
 現在では普通の結び方である。そのようにしてあったのを、

 華厳院の弘舜僧正(こうしゅんそうじょう)が、
 紐をほどいて、巻き直させた。
『 これは、最近のやり方である。大変に良くない。正しくは、
  ただ紐をくるくると巻いて、上から下へ、紐の端っこを通して、
  差し挟むのが正しいやり方である 』と申された。
 弘舜僧正は、このような故実を、よく知っておられる老碩学であった。」
                ( p399 「徒然草」ちくま学芸文庫 )

 島内さんの【評】も、短いので引用。

「 寺院に伝わる故実を正しく伝える記事である。ここに登場している
  弘舜僧正の弟子が、第82段と第84段に登場した弘融僧都である。 」


ひょっとしたら、徒然草のような、時代考証を交えた古典の王道を
桑田忠親氏は歩いて来たのかもしれないと思うわけです。ここから、
放映中のNHK大河ドラマから、時代考証へ思いを馳せたくなります。
コメント
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