花守

四季の花はそれぞれやさしく咲きこころなごみます
折々に咲く花を守りこころかすめる思い出など綴ってみたいです

陣中見舞

2015年06月02日 08時42分19秒 | 母を想う
家庭内に受験期の子供がいる頃には母親は何かと心配をして過ごすものと
思いますがそんな心配を表現できないでいた私でした
そんな私の心情を察して母から絞りのきものをプレゼントされました 
「陣中見舞いです」と母は云いました
私の好みを承知しているとはいえ綸子の布地に地紋もあり絞りと深い
色の風合いの染めで上等なものだと思えました
「嬉しいです この着物に何を羽おればいいかしら・・・」と私も弾んで

可笑しいんです
それから何日か経って呉服屋さんから
「お母さんの被布が仕立上がりました」と電話
母は何枚も被布は持っています 今度は何色かしら?
「赤です」と母は云いました
いつも前向きの母 でもあの年令で赤も着られるのだ
しかし 出来上がってきた“赤い被布”は先日の絞りの着物に羽おる私の被布でした
母も呉服屋さんも私を驚かせようとして私には内密に事が運ばれでいたのです

合格のお礼参りには主人と母と三人で学問の神様天満宮に出かけました
私はプレゼントして戴いた新しい絞りの着物と被布を着ました
少し贅沢だと私は思いましたが神様の前では人間がどんなに着飾っても決して
十分過ぎることはないと母はいいました

この「陣中見舞」の一件は毎年受験期の頃になると
私 感謝の気持ちいっぱいで思い出すのです



この花”おたふくアジサイ”といって頂きましたが次第に原種に帰っているように思います
木も大きくなり花が沢山ついています