母からの贈りもの

母はよく器用にてまりをつくっていました
沢山の絹の色糸を使って　その様子は見ていても楽しい雰囲気でした
いろんな色を無造作に扱っているようでも決して不調和にはならないのですね

実にきれいだとおもいました

母が亡くなってその寂しさを　私のこころは埋めようもなくて
どの部屋にも母の作品を飾って眺めていました

母は一人の娘私に
「お世話になっている人にお礼を言ってお渡しするように」と
沢山のてまりが残されていました

まるでやさしい無言の送り状が添えられているようにおもえました

きんもくせい

母の通夜に金木犀が咲いてとてもいい香りでした
もう25年も前のことです

それはまるで通夜のお客様に
母はこころからの御礼とお別れを告げ
そして残された者達のことを
きっと　お願いしたのだとおもっていました

でも　なぜか昨年は金木犀咲きませんでした　
そんなのはじめてのことです

お浄土の母にそっとたずねてみたいです　
そして 私はまだまだ

「おかあさん　あなたのこと何よりも一番大切におもっています」