藤堂志津子さんの「別ればなし」を正月早々読んだ。
主人公の千奈という女性は、同棲している高治がいるにも係わらず、同じ職場の杉岡と恋に落ちてしまう。
「嫌いになったわけじゃないの。この生活に飽きたのよ」。
そう千奈は言って高治と穏便に別れようと画策する。
最初好きになって高治のアパートに押しかけたのは千奈のほうだった。だからというわけではないが、男性を同時に両天秤にかけている自分が少々後ろめたいのかもしれない。
高治は35歳で一級建築士であり、オオサワ設計事務所の次期共同経営者のひとり。仕事もバリバリこなす前向きな男。
杉岡はかつてN商事会社の花形営業マンであったが、身内の相次ぐ死により、考え方が一変し営業助成部という閑職に自らすすんで志願したたそがれた40歳である。
千奈はなぜ杉岡がバリバリの営業本部から閑職に移ってしまったか、興味本位で杉岡に近づいていったのだが、次第に誠実で寂しげな彼に惹かれてしまう。
藤堂氏は作品なの中でこう表現している。
杉岡の陰翳のある人生観が、すこしずつ千奈にも浸透していたのだろうか。
彼女は、いつも新しい出会いのたびに、この人こそ、と思い決め、まっしぐらに相手に向かっていくのに、別の相手が登場すると、またしても同じように、この人こそ、と胸をときめかすのであった。
千奈と杉岡は結婚するべくお互いの足かせをはずそうと懸命になる。
杉岡の別居中の妻にも離婚を承諾してもらうが、彼は致命的なミスを犯してしまうのだ。
物語の後半では、千奈と高治、千奈と杉岡の妻、千奈と杉岡の会話が醜い罵り合いで終始する。
前半での貞淑で甲斐甲斐しい千奈のイメージがここで一変してしまうかもしれない。
全部ことを荒立てないでスムーズに運ぼうとする千奈だったが、躍起になればなるほど泥沼にずぶずぶと嵌ってしまい元に戻れなくなってしまうのだ。
女性というものはいくら別居中とはいえ、旦那に好きな人ができてしまうと、別な女性に渡したくないという気持ちに駆られてしまうのだろうか。
なぜ、杉岡は、妻の性格を知っていながら、今付き合っている女性・千奈のことを打ち明けてしまったのだろう。そこから歯車が噛み合わなくなってきた気がするのだが・・・
お正月だからこそ、、のような
恋愛痴話物語のようなお話ですね
女っていう生き物
そのものみたい
割と自分のことは棚の上
別れた人でも別居中でも
ダンナと名乗った人に
好きな人ができるとやきもき
しちゃう
ふぅーーん
私も読んでみようかな、、
女のしたたかさと男の単純さが
垣間見れそうな小説ですね、、
(^_^;)
波風を立てず穏便に別れることが
如何に難しいかが分かる内容です。
そして女性は時として感情的になり
抑えが効かなくなることも多々あるんですね。
興味深く読み進めて、読後感は
案外物足りなかったかな~