浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

第56回埼玉県吹奏楽コンクール 大学・職場一般Aの部(第21回西関東吹奏楽コンクール予選)

2015-08-12 01:21:58 | 吹奏楽

今年もコンクールの季節がやって参りました!

やっぱり、アマチュア吹奏楽界のメインのイベントですよね。

私も若い頃の事が脳裏によみがえってきます…。

まずは地元、埼玉のコンクールから。

私がメインで追いかけているのは「職場一般の部」。

余力があれば、「大学の部」も拝見させて頂きます。(県、支部のレベルでは、この二つの部門を同時にやっていることも多いです。)

 

2015年8月2日、日曜日。

場所は、埼玉県の“普門館”(笑)、「さいたま市文化センター」です。

私、このホールには9割方、コンクールのためにおとずれているかなぁ。

だから、来ると何だか身が引き締まる思いがします。

個人的なことなのですが、実は、この日の数日前に“ギックリ腰”になってしまいまして、今年の県大会は難儀なことでありました…。

さあ、平成27年度、最初のコンクールは埼玉県の大学と職場一般の皆さんの演奏を聴かせて頂きます!

 

【2015年度全日本吹奏楽コンクール課題曲】

Ⅰ.石原 勇太郎/天空の旅-吹奏楽のための譚詩-(第25回朝日作曲賞受賞作品)

     Yutarou Ishihara/Pilgrimage – Ballade for wind orchestra

Ⅱ.佐藤 邦宏/マーチ「春の道を歩こう」

     Kunihiro Sato/Walk down the Spring Path March

Ⅲ.西村 朗/秘儀Ⅲ-旋回舞踊のためのヘテロフォニー-

     Akira Nishimura/HigiⅢ – Heterophony for Whirl Dance

Ⅳ.田坂 直樹/マーチ「プロヴァンスの風」

     Naoki Tasaka/March “Wind of Provence”

Ⅴ.朴 守賢/暁闇の宴〔※高校・大学・職場一般のみ〕

  (第7回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位作品)

    Park, Soo-Hyun/The Scintillating Dawn

 

【大学Aの部】

 

1.埼玉大学 (指揮)松元 宏康

 [課]Ⅲ[自]バレエ音楽「三角帽子」より 終幕の踊り(M.ファリャ/小野寺 真 編曲)

最初の団体は、埼玉大学。

ブリッツ フィルハーモニック ウインズの音楽監督、松元宏康氏の指揮での登場です。

余談ですが、埼大の皆さんがステージに入場してくる時、バストロンボーンの方でしょうか、楽器にはめてあったミュートが外れて床に落ちてしまいました…。

やっぱり、緊張していたのでしょうか?(笑)

何だか、とても微笑ましい光景でした。

課題曲の演奏が始まりました。

出だしの打楽器、サマーコンサートで聴かせて頂いた時とは、少し違ったクレッシェンドやアクセントをつけていたような…。

とてもメリハリのある演奏でした。

全体的に音量強めで、それがまた実に効果的だったと思います。

“旋回舞踊”の回っている感じがイメージできていてカッコ良かった。

ただ、強いて言わせてもらうとすれば、全員で徐々に音を大きくしていくところで(最後の方とか)、やり方に、人によってムラがあったのが残念でした。

それにしても、朝イチとは思えぬ迫力を見せて頂きました。

続いては自由曲。

ファリャの「三角帽子」。

出だし、フワッと始まったのが意表をつかれました(笑)

リズムをきっちりと刻んでいるので、躍動感がハッキリと感じられます。

サマコンの時より、数段レベルアップしているようです。

それをヒシヒシと感じます。

欲を言えば、もう少し、金管楽器を中心に華やかさが欲しかった。

それを除けば、ステキな“大人の演奏”でした。(蛇足ながら、サマーコンサートの時のブログにも書いたとおり、自由曲として、チェザリーニの「青い水平線」を聴きたかったなぁ…。)

来年に期待します。

[銀賞]

 

2.文教大学 (指揮)佐川 聖二

 [課]Ⅲ[自]シネマ シメリック(天野 正道)

まあ、このような完成された演奏するバンドが登場すると会場の空気すら変えてしまうような気がします。

課題曲の最初の打楽器、若干、不明瞭になったのが残念でした。

でも、気になったのはそれだけ。

あとは、突っ込みどころのない演奏でした。

ともかく、ダイナミクス云々よりも、それ以前にサウンドが響くこと…。

決して、“音響”に優れているとは言えないホールで、会場中に“音”の飽和状態を作り出すとは…。(音量がデカイという意味ではありません。)

素晴らしいのひと言です。

自由曲は、文教大学が天野先生へ委嘱した作品「シネマ シメリック」。

『架空の映画の為のサウンドトラック』というコンセプトで作られただけに表現力を試される曲です。

少しの乱れもなくて、それでいて情感にあふれていて…。

途中のフリューゲルホルンのソロが吹く、物悲しいメロディにはジーンと来ましたねぇ。

すごい演奏でした。

何も言う事はありません…。

[金賞・代表]

 

3.東京国際大学 (指揮)稲垣 征夫

 [課]Ⅱ[自]コサック民族舞曲(F.チェザリーニ)

少し人数が少ない。

プログラムには25名と書いてありますが…。

この人数で大学の部と言いますと、もう4年前になりますか…、第18回東関東吹奏楽コンクールのことを思い出します。

24名という人数で支部大会を勝ち抜き、見事に全国大会に進んだ流通経済大学のことを思い出します。(ちなみに、この時の自由曲はチェザリーニの「青い水平線」。)

あの少人数で倍以上人数のいるライバルたちを上回る迫力は、納得のパフォーマンスでした。

そのような例もあるので、絶対数の少ない団体にも頑張って頂きたいと思います。

課題曲は、コンサートマーチの軽快さをうまく表現していました。

指揮者を中心にまとまろうとする意識は高く、その努力の結果が演奏に生かされていましたね。

ただ、音程が気になるところが数カ所あったのが残念でした。

自由曲。

民族音楽独特の泥臭さの雰囲気が出ていて、曲を聴きやすくしていました。

ただ、Tubaが一本だけで、あと弦バスもいなかったので曲の重厚さが弱く感じました。

その中でもトランペットのソロが明るくひときわ目立っていて素晴らしかった。

全体的には良いサウンドだと思いましたが、やっぱりピッチが気になりました。

[銅賞]

 

大学の部を聴いて。

やっぱり、文教大学の圧倒的優位は、どなたが見ても明らかです。

それにしても、文教大学の自由曲の「シネマ シメリック」。

神奈川の一般バンド「グラールウインドオーケストラ」も自由曲なのです。

部門は違いますが、コンクールでの“競演”楽しみにしています。

それと、県大会で“大学の部”の出場団体が3団体とは、非常に寂しい。

他の大学の皆さんも是非、出場して欲しいものです。

出場団体が増えれば支部大会の出場枠も多くなるのでしょうか?

もし、そうなれば、埼玉県吹奏楽界の活性化にも繋がると思うのですが…。(個人的には、埼玉大学を西関東へ出場させてやりたいなぁと思います…。頑張っているので…。)

さあ、続いては、いよいよ“職場一般の部”です。

 

1.与野吹奏楽団 (指揮)森田 新一郎

 [課]Ⅰ[自]「スペイン狂詩曲」より Ⅳ祭り(M.ラヴェル/森田 新一郎 編曲)

2008年以来、西関東支部大会の常連であった与野吹奏楽団でしたが、昨年は、まさかの県大会で敗退。

捲土重来を期しての気合いの入ったコンクールになっていることでしょう。

課題曲は、この日の“大学・職場一般の部”全ての団体の中で唯一の「課題曲Ⅰ」。(何となくの話ですが、「Ⅰ」って人気ないみたいですね…。)

音は、よく出ています。

会場中を巻き込むようです。

何よりも全体的なサウンドのバランスがとても良い。

中間部のソロパートの技量も高く安心して聴ける演奏です。

速いテンポのところは、“軽快”にスローテンポのところは“美しい”感じが存分に出ていました。

ただ、前半部分を中心にメロディに伴奏が“勝って”しまうところが、若干あったのが残念でした。

今年の自由曲は、「スペイン狂詩曲」ですか。

派手できらびやかな曲ですね。

与野吹の自由曲と言えば、このようなスケールのデカいオケ編曲モノの印象が強い。(昨年は、吹奏楽オリジナル委嘱作品でしたが…。)

とても情熱的な演奏でした。

明るいサウンドで、技術力も高く、パワーもある。

そして、何よりもこの曲に必要な華やかさがあるんです。

観客を引き込む演奏にならないわけはない…。

でもね、強いて言うならば、“色気”“艶っぽさ”が足りないかも。

そこが、他の団体との“差別化”を図るポイントなのではと思います。

結果は…、残念でした。

来年の“復活”を期待します。(カギは“自由曲の選択”なのではと個人的に思っています。)

[銀賞]

 

2.ソールリジェール吹奏楽団 (指揮)佐川 聖二

 [課]Ⅲ[自]彩雲の螺旋 -吹奏楽のための(中橋 愛生)

ソールリジェール吹奏楽団と言えば、首都圏以外の方は、あまりご存じないかも知れませんが、あの有名な文教大学吹奏楽部のOBOGバンドです。

ですから、文教大学の指導されている、佐川聖二先生が指揮をされるようですね。

課題曲は、安定感のある演奏でした。

ここぞと言うポイントは押さえていたような気がします。

反面、それだからこそ、大人しかったようにも感じました。

多少、物足りないような…。

(V)からのティンパニの“見せ場”、正確で素晴らしかったのですが、もっと、“存在”を強調出来るとカッコ良かったですね。

自由曲は、「彩雲の螺旋」。

かっこいい曲です。

だからこそ、捉えどころのなく、難しい曲でもある。

ソールリジェールの皆さんは、そこのところを十分、理解しているようで、ステキな“音楽の流れ”を感じました。

ソロの方々も情感あふれる演奏で会場の観客を魅了していました。

全体的に、やわらかく、厚く、艶っぽいサウンド。

印象に残る演奏でした…。

今回は、「銀賞」ではありましたが、西関東大会に進めることになりましたね。

一層の奮起を期待します!

[銀賞・代表]

 

3.大宮シティウィンドオーケストラ (指揮)大島 俊哉

 [課]Ⅳ[自]ミュージカル「レ・ミゼラブル」より(C.M.シェーンベルク/森田 一浩 編曲)

課題曲は、この日、初めての「Ⅳ」です。

それなりに華やかに始まりました。

でも、明るさがイマイチ。

何でかなぁと思っていたら、やっぱり、金管楽器(特にトランペット)の音が出ていないような…。

それと、メロディを吹く方のピッチが多少、気になる場面がありました。

だから、何となくユニゾンが揃ってないように聴こえ、そのために“軽快さ”が薄く感じられました。

楽器ごとのまとまりは、すごくいいのに勿体なかった。

自由曲はミュージカルの美しい楽曲なので丁寧に演奏しようという意識を感じられるパフォーマンスでした。

ただ、皆さん、緊張されていたのか、音楽的な“乱れ”を感じる部分があったのが残念でした。

“I Dreamed a Dream”のメロディのサックスソロ、これ以上やると“クサく”なるというところで、寸止めしていた。

非常に気持ちが入っていてよかったですよ。

[銅賞]

 

4.越谷市音楽団 (指揮)佐々木 幹尚

 [課]Ⅳ[自]スピリティッド・アウェイ《千と千尋の神隠し》より(久石 譲・木村 弓/森田 一浩 編曲)

ここ数年、西関東大会出場が定着してきた越谷市音楽団。

今年の自由曲は“ジブリ”ですか。

昨年は、“レミゼ”だったようなので、2年連続の“映像音楽”で勝負ですね。

課題曲の出だし、もっと華やかなのが私の個人的な好みです。

やっぱり、金管の類がハッキリ聴こえないような…。

ピッチとかアンサンブルの乱れとか、基礎的な部分では何の心配もない楽団ですが、この曲に関しては、ライトに仕上げ過ぎたのかも知れません。

こういう演奏の仕方は、課題曲Ⅱだったら、良かったかも。

自由曲。

これはもう、多くを語らずとも聴いた人間にはわかる演奏でした。

標題音楽、映像音楽を表現力豊かに演奏出来ています。

激しいところは、激しく、美しいところは、美しくと言った一見単純に見える作業を見事に具現化している。

ファンタジーの世界です。

観客が感情移入してしまいそうな仕上がり、とても良い演奏でした!

[金賞・代表]

 

5.川越奏和奏友会吹奏楽団 (指揮)佐藤 正人

 [課]Ⅴ[自]「ヘンリーⅤ世」より(W.ウォルトン/佐藤 正人 編曲)

さあ、待ってました!

川越奏和の登場です。

それにしても、埼玉県って、とてもステキです。

県大会の段階で文教大学や奏和やリベルテが聴ける…。

何て贅沢なことでしょう!

いやいや、脱線が過ぎましたので元にもどします。

まずは課題曲から。

出だしから完璧です。

よく音が出ていると言うか、響きわたっています。

“音圧”がスゴイですよ、実際。

ソロパートもうまいですねぇ。

ひとりひとりの技量が際立っています。

アンサンブルもバッチリで言う事のない演奏でした。

自由曲は、ウォルトンの「ヘンリーⅤ世」。

よく知らない曲なので調べてみましたら、映画音楽なんですね。

1945年と言いますから、昭和20年のイギリス映画“Henry Ⅴ”の曲だそうです。(少し、バロック調の部分もある音楽でした。)

映画の音楽でありますから、多少、派手な面もありますが、それを上手に生かしたクオリティの高い演奏を聴かせて頂きました。

他の団体とは比べものにならないような重厚なサウンドがバンバン客席に迫ってくる…。

吹奏楽と言う息を吹き込む動作によって成立する“合奏”。

それをする上で音の処理の仕方が感動モノです。

特にtuttiの部分は全体のサウンドがパイプオルガンのように聴こえ、素晴らしかった!

選曲や演奏で、個人的にこの日の出場団体の中でイチバン好きな演奏でした。

[金賞・代表]

 

6.浦和吹奏楽団 (指揮)山田 昌弘

 [課]Ⅴ[自]輪廻の八魂~仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌~(樽屋 雅徳)

課題曲は、最初から力強さが漲っていて、この曲の持つ雰囲気を際立たせていたような気がします。

反面、ピッチとかが気になる場面にも出くわし、若干の不安定さも感じました。(特に金管楽器の“音の出し方”が気になりました。)

楽譜の(E)のところから、少し乱れがあったでしょうか?

全体的には、まとまった演奏でしたが、難解な課題曲だけに細心の注意を払えば、もっと素晴らしくなれたのにと思いました。

和的なテイスト満載の自由曲です。

作曲者の樽屋先生の曲は、やはり、躍動感が持ち味ですね。

浦和は、そういった雰囲気をうまく表現出来ていました。

ソロパートの人たちも、なかなかのテクニックを持っています。

出だしこそ、不明瞭な部分もありましたが、実にまとまりのある演奏です。

強いて言うならば、もう少し、華やかさがあればなぁ…。

和太鼓とか目立つ楽器が演奏しているのにもかかわらず、チョット、その点で欠けていたように感じました。

[銀賞]

 

7.青木フィルハーモニー吹奏楽団 (指揮)酒井 敦

 [課]Ⅱ[自]風姿花伝~秘すれば花~(福島 弘和)

今年は、定期演奏会にも行かせて頂きました。

このバンドのサウンドは、私は好みの音ですね。

やわらかで、温かみのある音は、曲の選択を間違わなければ、素晴らしい“音楽”になる…。

課題曲はⅡのマーチです。

予想通りのやさしいソフトなサウンド。

軽快な感じが心地よい。

ただ、少しライト過ぎるかも知れません。

言葉を言いかえれば、これと言った特徴がない…。

“減点法”を意識するとこのような演奏になってしまうのでしょうが、個人的には、もう少し、訴えかけるものがあったほうが好みです…。

自由曲は、福島先生の曲ですね。

曲名から言っても、“和”の匂いがプンプンですが、この曲、青木フィルにとても合っているように思いました。

何より、曲の雰囲気がふんだんに出ていて、舞台上にひとつの“世界”を作り出していました。

そして、“音”がキレイです。

反面、音圧の面で客席に迫るものが足りないような…。

もう少し、メロディラインを強調して、目立つようにした方が私の好みに近くなります。(時には、メロディを“クサク”演奏する事も重要なのでは?)

サウンドが素晴らしいのですから、表現力さえ強化すれば、“鬼に金棒”になると思います。

期待しています。

[銀賞]

 

8.杉の子吹奏楽団 (指揮)小川 慎

 [課]Ⅲ[自]梁塵秘抄~熊野古道の幻想~(福島 弘和)

正直言ってよろしいでしょうか?

杉の子吹奏楽団に関しては、あまり良い印象ではありませんでした。

何故かって?

まあ、簡単に言えば、今までのコンクールで、私好みの演奏をして頂けなかったとでも申し上げれば良いでしょうか?

団体名に“杉”の字が入っているので、おそらく杉戸町にゆかりのある団体かと思っておりましたら、まさに“そのとおり”でした。

HPを拝見しますと平成元年に県立杉戸高校吹奏楽部のOBOGバンドとして発足し、コンクールへは、「Dの部」に結成当時から参加されていたようですね。

支部大会という上部大会のある「Aの部」に参加し出したのは、平成24年からです。

そして、昨年までの3回すべてが“銅賞”という結果でした。(2年連続、コンクール県大会で出演順が、川越奏和とアンサンブルリベルテに、はさまれるという不運はありましたが…。)

だから、あまり期待はしていなかった…。

しかし…、演奏が始まってみると大いに期待を裏切られたのでした!(もちろん、良い意味で!)

課題曲は、私の好きなⅢ。

出だし、木管のいわゆる“ズレのメロディ”、とても良かった!

曲全体を通して、バランスがとても良く、この曲の独特の世界を自分たちのサウンドで表現出来ていたのが非常に好感を持てました。

もちろん、ミスがなかったわけではありません。

各個人が、アンサンブルの基礎である“合わせる”ということをもっともっと意識すれば、途轍もなく良い演奏になると思った次第。

自由曲は、福島先生の曲で、このところ良く耳にする曲です。

はっきり言って“熱演”でしたね。

曲の意味をキチンと理解し、整理された感のある演奏。

同時に非常に気持ちが入っていましたね。

とても印象に残る演奏でした。

もう少し、金管を中心に音が出ていると、もっと良かったと思います。

“一皮むけた”感じのするこのバンド。

来年が楽しみです。

[銀賞]

 

9.埼玉県ユースホステル協会吹奏楽団 (指揮)熊谷 一郎

 [課]Ⅲ[自]「ミシシッピ組曲」より Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ(F.グローフェ/森田 一浩 編曲)

課題曲は、続いてⅢです。

ピアノではありますが、出だしのティパニに聴こえ辛かったです。

(A)からの木管の方々も同様な感じ。

少し、音を大きく響かせるように意識したら、印象が変わって聴こえるような気がしました。

あと、金管と木管の間でダイナミクスのバランスが問題だと思いました。

木管に比べて金管が音量過多。

もっと、他の楽器の音を聴いて吹けば良いのかも。

Ⅲの独特の雰囲気は出ていたのに、そこが残念でした。

自由曲になって、全体的に音が前に出るようになってきました。

明るいサウンドなので、賑やかな曲に合っていて、とても聴きやすい。

ただ、時折、ピッチが気になる場面があったのとやっぱり、楽器間のバランスが悪い時があるのが残念でした。

[銅賞]

 

10.川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団 (指揮)福本 信太郎

 [課]Ⅴ[自]花鳥諷詠(長生 淳)

今年のアンサンブルリベルテの自由曲は何だろうと思っておりましたら、長生淳先生の委嘱作品「花鳥諷詠」。(正確に言うと、この曲は“リベルテ”ではなく、“文京シビックホール”が委嘱した作品。)

この曲は、今年の5月24日、『文京シビックホール15周年記念公演』として開催されたアンサンブルリベルテの特別演奏会で、《世界初演》されたものです。

昨年の自由曲が、めずらしくオケ編曲モノで個人的にフラストレーションがたまる感じだったので、今年はうれしいですねぇ。

やっぱり、リベルテは吹奏楽オリジナル曲でなくちゃ!

埼玉県の二大巨頭、“リベルテ”と“川越奏和”は、課題曲は、毎年、“Ⅴ”をやります。

“Ⅴ”は、中学生は課題曲として“選択できない”ということでもわかるように難解な曲が多い。

ところが、このふたつの団体は、その“課題曲Ⅴ”、対称的な演奏をします。

“川越奏和”は、良い意味で“力でねじ伏せる”ような演奏をします。

だから、難解な“課題曲Ⅴ”をいとも簡単にわかりやすくしてくれる…。

それに対して“リベルテ”は、曲を膨らませることによって、奥行きやスケール感を出して表現してくれる。

そんな気がします。

どちらも力を持ったバンドだからこそ出来る“技”ですね。

この日のアンサンブルリベルテも“課題曲Ⅴ”をそのテクニックで見事に料理してくれました。

それにしても、何とサウンドの美しいことでしょう!

“川越奏和”同様、私がコメントする事などない、完成された演奏でした。

自由曲の「花鳥諷詠」。

これもステキな演奏でした。

長生先生の曲って、多分、聴いている観客が感じるよりもはるかに難しい曲だと思うんです。

じっと耳を傾けていると絶えず、何かしらの楽器が細かい動きをしていて複雑です。

全体がしっかりとしたアンサンブルが出来ていないと、とんでもないことになってしまう。

それなのに“リベルテ”は、キチンとした“合奏力”を土台にサウンドに表情まで付けてしまうのです。

“表現力がある”とは、こういう事をいうのです、きっと。

やっぱり、実力は計り知れない団体ですね…。

[金賞・代表]

 

11.伊奈学園OB吹奏楽団 (指揮)宇畑 知樹

 [課]Ⅱ[自]ミュージカル「レ・ミゼラブル」より(C.M.シェーンベルク/森田 一浩 編曲)

指揮は、吹奏楽の名門校、埼玉県立伊奈学園総合高等学校吹奏楽部顧問、宇畑知樹先生です。

伊奈学園のOBOGバンドですから、指揮なさるのは当たり前と言ったら、当たり前ですが。

でも、有名な方が指揮されると演奏も会場の雰囲気も締まった感じがして良いですね。

私は個人的になぜか、伊奈学園とは接点が薄いので、まずは卒業生の皆さんのサウンドから、“知って”行きたいと思います…。

課題曲は、“Ⅱ”。

課題曲のコンサートマーチらしく、ソフトな出だし。

でも、それだけではありません。

ただ、ソフトなだけでは、つまらない演奏になってしまいますが、このバンドはここからがスゴい。

メリハリではなく、“ライト”な演奏に徹していた。

ある意味、ソフト路線の“極致”と言っても過言ではないと思います。

だからと言って、物足りなさは感じない。

そして、“減点法”に強い演奏…。

自由曲は、「レミゼ」です。

伊奈学園で「レ・ミゼラブル」と言えば、2013年、第61回全国大会の演奏を思い出します。(もちろん、“高校の部”の事です。)

これはもう、大変素晴らしい演奏でした。

“名演”と言っても、良いでしょう。

今回の演奏者の中で、2年前、名古屋国際会議場の舞台に立って、この曲を披露された方もいらっしゃると思います。

演奏は、とてもドラマチックなものでした。

と言うか、そういうふうに演奏しようと心がけているように感じました。(2年前の演奏はCDで何十回も聴いていますが、今回の演奏は、それとは少し“カット”が違うように思ったのですが…。どうでしょう?)

このようなミュージカル音楽で重要な“メロディ”の歌い方は、名門、伊奈学園のOBバンドだけあって、“さすが”と言うしかありません。

それだけで、観客を“音楽”の中に引きずり込むことが可能な特別な世界を持っています。

ただ、厳しいことを言わせて頂けるなら、非常に優れた演奏であるが故に、時折、出て来るケアレスミス的なところが目立ってしまう。

そういう細かいところが西関東大会に向けての課題となると思います。

[金賞・代表]

 

12.所沢市民吹奏楽団 (指揮)吉田 謙治

 [課]Ⅳ[自]歌劇「トゥーランドット」より(G.プッチーニ/後藤 洋 編曲)

課題曲は、“Ⅳ”。

今年の課題曲の中でイチバン、明るい曲だと思います。

所沢市民のサウンドは、深く重厚なものに感じました。

だから、曲のイメージとは違うような…。

スケールの大きな演奏なのだけれど、南欧のはち切れんばかりのイメージとは少し違うかなぁ。(華やかさがイマイチ…。)

かと言って、音楽的には優れた演奏なので文句の付けようはないのですが…。

このサウンドと“課題曲Ⅲ”とかだったら、最高の組み合わせになるように思いました。(あるいは、“Ⅰ”)

自由曲は、「トゥーランドット」。

一時期ほどではありませんが、流行の曲です。

自由曲としては、所沢市民のサウンドを考えると最高の選択だと個人的に思いました。

メロディラインの歌い方もとても感情が乗っていて素晴らしかった。

ソロの皆さんも技量が高く、とても、うまい。

何よりもスケールの大きな合奏、客席に“音圧”が迫ってきて圧倒されそう。

まさに“劇的”な雰囲気を持った演奏でした。

多少、ダイナミクスの振り幅が狭く、単調に感じた部分もありましたが、それ以上に“埼玉県代表”としての格調を備えた演奏でした!

[金賞・代表]

 

13.本庄ウィンドシンフォニカ (指揮)萩原 定夫

 [課]Ⅲ[自]梁塵秘抄~熊野古道の幻想~(福島 弘和)

課題曲の出だし、打楽器が少し不明瞭な感じがしました。

そして、(A)からのメロディ、フォルテなのだから、もう少し力強さが欲しかったですね。

逆に金管は頑張り過ぎかも。

人数が少ないのだから、全体のバランスを意識したほうが良いのではと思いました。

(V)からのティンパニの3連譜、難しいですよね。

マレット(バチ)同士が当たっちゃいましたかね。(他の団体でも、このような状況が見受けられました…。)

ただ、ミスはあったものの曲の雰囲気を的確に掴んでいる演奏だと感じました。

自由曲は、“和”をいかに表現するかが大きな課題です。

そういう意味では、成功していたと思います。

しかし、少し神経質になりすぎた演奏だった?

シロフォンかマリンバのパーカッションの女性の演奏が軽快でとても印象的でした。

[銅賞]

 

14.大宮吹奏楽団 (指揮)永薗 喜章

 [課]Ⅱ[自]祈りとトッカータ(J.バーンズ)

このバンドも今年、定期演奏会に行かせて頂きました。

普段の演奏活動では、常に観客を意識せねばならず、ご苦労もあろうかと思われますが、コンクールにおいて対峙するのは審査員だけ。

そう言う意味でのびのびと演奏している感じがするパフォーマンスでした。

課題曲は、軽快さに重点をおいていたように思います。

さわやかさ満点ではありましたが、そのためか強烈なインパクトを受ける事はありませんでした。

でも、そういう曲なんですよね、“課題曲Ⅱ”は。

自由曲の「祈りとトッカータ」。

昔は、確か「呪文とトッカータ」って言ってましたよね。(原曲名は、“Invocation and Toccata”)

私にとっては、とても懐かしい曲です。

最初の“祈り”の部分の不気味な雰囲気と“トッカータ”に入ってからのリズミカルな部分の対比が上手に表現されていて、楽しめる演奏でした。

ただ、今少しだけ、バーンズ特有の“激しさ”が加味されれば、と思いました。

非常に緊張感のあるステージで良かったです。

[銀賞]

 

15.あおぞらハーモニー吹奏楽団 (指揮)阿部 和博

 [課]Ⅲ[自]「巨人の肩に乗って」より Ⅰ、Ⅲ(P.グレイアム)

あおぞらハーモニーは、昨年、一昨年と連続して西関東に駒を進めている登り調子の団体ですね。

今年は、どんな“コンクール”を見せて頂けるのか楽しみでした。

まずは、課題曲から。

ケッコウ、力強い出だし。

アクセントを効かせた演奏です。

個人的にこういうスタイルすきですねぇ。

チャイニーズゴングは、もっと激しく叩くと好みです。

(V)からのティンパニ、カッコ良かったです。

全体的に勢いを感じる演奏でした。

自由曲は、「巨人の肩に乗って」ですか。

もともと、ブラスバンドのために作曲されたようですね。

これ、とってもいい曲なんですけど、やっぱり、第1楽章、冒頭のブルックナー交響曲8番第4楽章のテーマをモチーフにした金管楽器のファンファーレにつきます。

これをうまくやらないと曲の魅力が落ちてしまう…。(ような気がする。)

正直言って、このファンファーレはもう少し、迫力、重厚感が欲しかった。(少し、スタミナ切れの感じもしました。)

全体的にはリズムにのった都会的な演奏だったと思います。

それにしても難しい曲ですよね。

今後に期待します。

[銀賞]

 

16.飯能vivace wind orchestra (指揮)三浦 広嵩

 [課]Ⅱ[自]エルトゥールル号の記憶~太陽と新月の絆~(清水 大輔)

グッと演奏者の人数が減りましたね。

プログラムには、35名って書いてありますけど、それよりも明らかに少ないです。

課題曲は、マーチの“Ⅱ”。

無難な選曲だと思います。

出だしが明確に聴こえなかったのが残念でしたが、楽器の足りない部分を考えて補っていこうとする工夫が随所に散りばめられた演奏でした。

ただ、全体的に主旋律の方がもっと主導権を握れるようであったら、スゴく良かったと思います。

自由曲は人気作曲家、清水大輔先生の作品。

残念な事に私は初めて聴く曲です。

清水先生らしく、映像音楽的な色彩にとんだ楽曲でした。

課題曲同様に工夫した演奏ではありましたが、アインザッツやピッチと言った音の処理の仕方に今一歩、意識を高めると、より良くなるような気がしました。

[銅賞]

 

17.桶川市民吹奏楽団 (指揮)花坂 義孝

 [課]Ⅱ[自]「エニグマ変奏曲」より(E.エルガー/杉本 幸一 編曲)

こちらの団体も人数が少ない。

30数名くらいでしょうか?

でも、パワーがありました。

課題曲の出だしなど、音を出し過ぎと思うくらいでした。

ただ、元気なのは非常に好感が持てるのですが、金管楽器が音を割り過ぎかなとも感じました。

もう少し、サウンドに統一性というか、各個人個人の音が融け合う意識を持っていると良いのでは?

でも、マーチに不可欠な“躍動感”が前面に出ている演奏は、聴く者を楽しくさせる要素があると思いました。

自由曲は「エニグマ変奏曲」。

変奏曲ですから、もとになるメロディがあるのですが、その“テーマ”の演奏は実にゆったりとしたテンポでした。

“テーマ”の後には“変奏”に入っていきます。

それぞれの“変奏”の特徴を生かした丁寧な演奏だと思いました。

ただ、テンポの速い“変奏”で多少、基礎的な事が雑に聴こえたのが残念でした。(有名な第9変奏「ニムロッド」では、ピッチが気になるところがありました。)

終曲は、少しダイナミクス的に飛ばし過ぎかなぁ。

全体的には、エルガーの楽曲の格調高い雰囲気がよく出ていたように思います。

[銀賞]

 

コンクールの独特の雰囲気は格別のものです。

張りつめた緊張感の中で行われる迫真の演奏。

私のようなジジィになっても忘れられない想いは、吹奏楽の独特の世界を形成する中核です。

普通の演奏会も良いですが、このようなコンクールの場も私の命が尽きるまで毎年、出会う事ができたら、この上ない喜びですね。

来年も県大会、楽しみにしています!

 

なお、このブログに載せられている文言は、“浦和河童”の個人的感想です。

決して、悪意を持って書かれているものではありません。

ただ、もし、ご不快に思われる方がいらっしゃいましたら、オヤジの戯れ事と思い、ご容赦頂ければ幸いです。

 

蛇足ながら、次に行く“コンクール”は9月20日の東関東大会、大学・職場一般の部です…。