浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

読売日本交響楽団 第574回サントリーホール名曲シリーズ

2014-09-19 02:56:25 | オーケストラ

久し振りのコンサートです。
でも、吹奏楽じゃないんです。
今回は、2014年9月16日、火曜日の「第574回サントリーホール名曲シリーズ」に行かせて頂きました。


サントリーホール。
首都圏では、優れたホールが数多くありますが、素人目から見ても格調の高さは、このホールが一番ですね。
独特の雰囲気を持っています。
さて、私がこのコンサートを拝見させて頂こうと思ったのは、この日の演目に惹かれたからでした。
吹奏楽の世界では、著名なチェコ出身の作曲家カレル・フサの作品「この地球を神と崇める」の管弦楽版が演奏されると知ったからです。
もちろん、フサの吹奏楽曲では「プラハ1968年のための音楽」が一番、有名です。
いわゆる「プラハの春」と呼ばれるチェコスロヴァキアの社会主義改革運動がソビエト連邦の牛耳るワルシャワ条約機構軍の軍事進攻によって弾圧された「チェコ事件」に抗議して作曲された曲で、強い政治的メッセージ性を持っています。(吹奏楽の世界では、時折、演奏される曲なのでこのブログをお読みになっている方なら、ご存知だと思います。)
ところが、この「この地球を神と崇める」は、それよりも、もっと大きなテーマを扱った曲なのです。
地球上で今現在も起こっている戦争、天災、環境破壊などの出来事を憂い、また、そのような事象を誘発する愚かな人間の行為に“音楽”によって警告を発しているのです。
初めて、この曲の吹奏楽版を聴いたのは何時だったか忘れましたが、若かった私は、強い衝撃を受けたのを覚えています。(調べてみますと吹奏楽の全国大会でも4つの団体が演奏していますね。)
そのステキな曲がオーケストラと合唱で形を変えて演奏されるとのこと。
ワクワクせざるを得ません。


[演奏]読売日本交響楽団
[指揮]下野 竜也(首席客演指揮者)
[ピアノ]小川 典子
[合唱]上野学園大学合唱団
[コンサートマスター]ダニエル・ゲーテ



◆ 松村 禎三/ゲッセマネの夜に
TEIZO MATSUMURA/To the Night of Gethsemane
◆ モーツァルト/ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491
MOZART/Piano Concerto No.24 in C minor,K.491
Ⅰ.Allegro
Ⅱ.Larghetto
Ⅲ.Allegretto



【休憩】


◆ J.S.バッハ(ストコフスキー編)/ゲッセマネのわが主よ BWV487
  J.S.BACH(arr.Stokowski)/
              Mein Jesu(Geistliches Lied from Schemelli’s Gesang-Buch),BMV487

◆ カレル・フサ/この地球を神と崇める(管弦楽版日本初演)
    KAREL HUSA/Apotheosis of this Earth
Ⅰ.Apotheosis
Ⅱ.Tragedy of Destruction
Ⅲ.Postscript



さあ、演奏会の始まりです。
指揮は下野竜也氏です。
このマエストロは、なかなか面白いプログラムを組んで下さるので大好きな指揮者のひとりですね。(今年の1月に横浜のみなとみらいホールで同じ読響の演奏会を聴かせて頂きましたが、ヘンリー・ウッド版の「展覧会の絵」は非常に感銘を受けました。)
広島ウィンドオーケストラの音楽監督もされていて吹奏楽にも造詣が深い事と推察されます。(昨年4月の広島ウィンドオーケストラ東京公演も行かせて頂き、非常に楽しいひと時を過ごさせて頂きました。)
だから、フサの曲と言う発想が出たのではないでしょうか?
推測ですが…。


最初の曲は、松村禎三先生の「ゲッセマネの夜に」。
素人のオヤジなので恥ずかしながら、松村先生の曲を真剣に聴いた事がありませんでした。(生演奏は初めてだと思います。)
少し、小さな楽器編成の曲ですね。
金管楽器などは、2管編成のように見えますが…。
プログラムの解説を読みますと編成の小さいオーケストラ、“アンサンブル金沢”のために作曲されたとのこと。
“ゲッセマネ”とは新約聖書に登場する地名で、キリストが、かの有名な“最後の晩餐”をした場所なんだそうです。
また、同時にキリストが捕えられた所でもあるのですが、ユダの裏切りによって捕縛される様を描いたジョット作「ユダの接吻」という絵画でこの時の様子を窺い知ることが出来るとのこと。(松村先生は、「ゲッセマネの夜に」を書く時に傍らにこの絵を置いていたそうです。)
いわゆる現代音楽ではありますが、流れの美しい上品な曲のように思えました。
神秘的でもありますよね。
宗教的な背景もあると思いますが、そんなところを越えた世界があるような気がしました。
続いては、小川典子氏の演奏によるモーツァルトのピアノ協奏曲。
なんと力強いピアノの音色でしょう!
何であんなに響くんだろうと感嘆してしまいます。
小川氏の素晴らしいパフォーマンスでした。
それにしても、モーツァルトって、何と心地よい気持ちにしてくれるのでしょうか。
良い意味で精神が弛緩していくのを感じます…。


休憩を挟んで後半の楽曲です。
バッハの「ゲッセマネのわが主よ」と、お待ちかね「この地球を神と崇める」です。
ところで、プログラムにわざわざ、以下のような文言が書かれているのを発見しました。
『指揮者・下野竜也氏の意向により、バッハとフサの両作品は続けて演奏されます。』
演奏を全て聴き終った時、何となくその意図がわかったような気がしました…。


最初は、バッハ。
また、“ゲッセマネ”ですか?
この日のプログラムは宗教を含めた精神世界がテーマなんでしょうか?
もともと“宗教的歌曲”を収録した「シェメッリ賛美歌集」の中の1曲だそうで、名指揮者ストコフスキーの編曲により、格調高い弦楽合奏曲として生まれ変わりました。
ゆったりとして深みのある弦楽器の響きは、私のような凡人の心の中まで沁み入ってきます。
キリストの苦悩に満ちた感情が素晴らしいほどの音の連鎖になって脳に伝わって来るようです。
そして、最後は、この日の目的でもあった「この地球を神と崇める」です。
吹奏楽版では、生演奏で聴いたことがありません。
ただ、レコードかCDの音源で聴いたのみです。(画像としては、youtubeで都立永山高校の全国大会での演奏を拝見したことがあります。)
吹奏楽版には、難解で迫力のある曲という印象が強く、この曲本来のメッセージ性とかに目を向けるまで至らなかった気がします。(私が、まだ若かったからかもしれませんが。)
ところが、今回の管弦楽・合唱版に関しては、曲に潜む作曲者フサの想いがガンガン心に響いてきました…。
と言うか、それがイチバン感じられた。
おそらく、その最大の要因は読響の演奏が素晴らしかったからだと思います。
同時に演奏に管弦楽と合唱になることによって、“演出効果”が上がったのではないでしょうか?
特に合唱が加わったのが効果バツグンでした!
本来の“声”だけではなく、“手拍子”や“足踏み”を交えたパフォーマンスは素晴らしかった!(上野学園大学合唱団の皆さん、ご苦労さまでした!)
いずれにせよ、“フサの世界”をじっくり堪能させて頂いた30分余でした…。
今年、聴いた中では、吹奏楽、オーケストラを問わず(私にとって)、一二を争う演奏だったと思います…。


サントリーホールより外に出ますと、目の前のカフェでは、まだ多くの客で席が埋まり、賑わっているようです。
そんな都会の喧騒も心地よくさえ感じられる幸せな気分になって、地下鉄南北線六本木一丁目駅から家路を急ぐ浦和のオヤジでした…。


追伸
この度、「OCNブログ人」サービス終了に伴い、“浦和河童便り”は、「gooブログ」に移らせて頂きました。

第55回埼玉県吹奏楽コンクール 高校Aの部 地区大会(8/6)

2014-09-19 01:30:35 | 吹奏楽
まず最初に申し上げておかなければならないのは、今回のブログの記事は8月12日に行なわれた県大会のものではないということです。
予めご了承下さい。


吹奏楽コンクールで高校Aの部を聴きに来たのは何年振りのことでしょう?
調べてみますとコンクールで高校生の演奏を聴いたのは、2011年(平成23年)10月23日、普門館であった全国大会以来ですね。(聴いたのは“前半”のみ。チケットが取れなかったので。しかも、“最後の普門館”とは…。イチバン感動した演奏は、岡山学芸館高校の“華麗なる舞曲”。素晴らしい演奏でした。)


という事で、コンクールで、ここ数年、大学・職場・一般の部を聴き続けた浦和のオヤジが久々に高校の皆さんの演奏を聴きに参りました。
本当の事を言うと今まで、高校の皆さんの演奏も聴きたかった。
でも、聴くんだったら、地区大会から全国大会まで全部聴きたい。
難しいんですよ。
埼玉県の仕組みでは。
地区大会、県大会の前売りチケットは、出場団体関係者じゃないと買えないみたいです。(間違っていたら、ゴメンナサイ。)
だから、当日券に並ばないといけない…。
しかも、県大会は前半後半入れ替え制だったと思います。
純粋に演奏を聴きたいという吹奏楽ファンは、どうしたら良いのでしょう?
並ぶ余裕のない人も多くいらっしゃると思います。
出場の団体のご父兄(だと、思います。)の中には、自分の子供の演奏を聴いて、後は席に荷物を置いて(席を確保して)、どこかにいなくなってしまう、という情景を今回も数多く見ました。(本当に嫌になるほど、数多く。)
だったら、本当に聴きたい人に開放して頂くスベを考えて頂けないでしょうか?
例えば、生徒さんの席を確保しなければならないのならば、もう少し広い大宮ソニックシティを使うとか…。
できないでしょうね…、期待していません。


2014年8月6日、水曜日。
第55回埼玉県吹奏楽コンクール、高等学校Aの部地区大会、第1日目。(第2日目は、仕事で行くことが出来ませんでした。)
始まります。
課題曲は以下の通りです。


【2014年度全日本吹奏楽コンクール課題曲】
Ⅰ.中西 英介/最果ての城のゼビア(第24回朝日作曲賞受賞作品)
Eisuke Nakanishi/The Farthest Castle
Ⅱ.高橋 宏樹/行進曲「勇気のトビラ」
Hiroki Takahashi/Courageous Entry
Ⅲ.合田 佳代子/「斎太郎節」の主題による幻想
Kayoko Goda/Saitara Bushi Fantasy
Ⅳ.小林 武夫/コンサートマーチ「青葉の街で」
Takeo Kobayashi/Concert March“At the Verdurous Town”
Ⅴ.谷地村 博人/きみは林檎の樹を植える〔※高校・大学・職場一般のみ〕
  (第6回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位作品)
Hiroto Yachimura/Even till the end, sew new appleseed



1.県立久喜高等学校 (指揮)黒川 圭一
 [課]Ⅱ[自]喜歌劇「伯爵夫人 マリツァ」セレクション(E.カールマン/arr.鈴木 英史)

吹奏楽コンクールにおいて、朝イチは非常にツライ。
ホールが温まってないから、音が響かないんですよね。
課題曲はⅡです。
朝イチの“呪縛”にハマってしまったかな。
冒頭、メロディラインが聴きにくかった。(特にトランペット。)
全体的な演奏は、あっさりした軽快なものでしたが、サウンドに統制が取れていたら、もっと良くなったと思います。
自由曲は、よく練習してありますね。
出だしのヴィブラフォンとか、とってもキレイでした。
全体的に丁寧に曲作りをしている生真面目な演奏に感じました。
だからこそ、もっと“表情”があると良かったかなと思いました。
[銀賞]


2.県立越谷西高等学校 (指揮)福原 一
 [課]Ⅱ[自]ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~(福島 弘和)

課題曲Ⅱ。
2番目の出演順にしては音がよく出ています。
それと明るいサウンドをしていますね。
聴きやすいです。
ただ、諧謔味のある曲なので少しだけでも、それに合わせた“演出”が欲しい気がしました。
自由曲は、「ラッキードラゴン」。
コンクール、演奏会を問わずの大人気曲です。(この日も越谷西を入れて3団体が演奏していました。)
この曲は、2009年に春日部共栄高校の委嘱で福島弘和先生によって作曲されました。
1954年、ビキニ環礁でアメリカが行なった水爆実験により、焼津のマグロ漁船、第五福竜丸が被ばくしました。
そして、この事をアメリカ人画家ベン・シャーンが絵本にしたのです。
この絵本「ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸」をご覧になった福島先生が触発されて「ラッキードラゴン」を作曲されたようです。(ちなみに関係者に第五福竜丸は“福竜”と呼ばれており、それでそのまま「ラッキードラゴン」。)
この曲の背景には、核兵器廃絶とか世界平和とか、そう言うメッセージがあるのでしょうが、このような“標題音楽”を演奏するにあたっては、やはり、そこのところを理解した上で演奏して頂いた方がいいんじゃないかと思います。
重いテーマの曲の割には、あっさりした演奏でした。
もっと、“感情”を表わしたら、良かった。
蛇足ながら、バス・トロンボーンの音が良く響いていてステキでした…。
[銀賞]


3.県立所沢西高等学校 (指揮)室伏 正隆
 [課]Ⅲ[自]「スペイン狂詩曲」より Ⅳ祭り(M.ラヴェル/arr.森田 一浩)

課題曲の冒頭のところ、全員で気持ちがピッタリ合って“決まった”のが印象的でした。
ただ、メロディは、もうちょっと粘っこくやった方が私は好きです。
あと、ロングトーンでピッチが気になるところや、メロディと伴奏のバランスが悪い部分があったようにも思いました。
自由曲はラヴェルですね。
透明感のあるサウンドはラヴェルにあっています。
出だしもキレイですね。
ただ、少しだけ表情に乏しいというか、華やかであれば良かったかな。
ラヴェルだから、派手さも必要ですものね。
[銀賞]


4.県立与野高等学校 (指揮)岩井 美徳
 [課]Ⅱ[自]舞踏詩「ラ・ヴァルス」(M.ラヴェル/arr.若井 美徳)

とてもバランスの良い温かみのあるサウンドです。
それに軽快なリズム感が花を添えて、非常に聴きやすい課題曲Ⅱのマーチになってます。
ただ残念だったのは、途中の打楽器群で不明瞭な部分があったこと。
音質が揃っているので、まとまりのある演奏だと思いました。
自由曲は、この団体もラヴェル。
最初の弦バス、テューバ(ミュート装着)のアンサンブル、すごい雰囲気が出ていて良かった。
メロディの奏で方がラヴェルらしくて、素晴らしい。
強弱のコントラストがうまく表現出来ているので音楽に流れを感じました。
ただ惜しむらくは、最後の盛り上がりがイマイチだったこと。
[金賞・地区代表]


5.県立越谷南高等学校 (指揮)萩原 亮彦
 [課]Ⅱ[自]歌劇「マノン・レスコー」より(G.プッチーニ/arr.宍倉 晃)

指揮の萩原先生は、昨年の全国大会、職場一般の部、川越奏和の指揮をされてましたね。
私は、その辺の事情を詳しくないですが…。
課題曲が始まりました。
とてもソフトなサウンドです。
でも、音がどんどん前に出てくる…。
よく響いています。
特にフルート、ピッコロの音がキラキラしていてステキです。
メロディの歌い方が上手です。
まさに“快活”な演奏でした。
自由曲は、オペラ音楽です。
課題曲の時も感じましたがサウンドが“まろやか”ですね。
トランペットソロのミスは、ご愛敬としても、とても表情豊かな演奏です。
タテヨコ、きちんと揃っているのは、やっぱり音の処理の仕方がうまいからなのでしょうか?
ドラマチックな演奏でした。
[金賞・地区代表]


6.県立川越高等学校 (指揮)本田 雅彦
 [課]Ⅱ[自]エスカペイド(J.スパニョーラ)

男子校ですね。
まずは課題曲Ⅱから。
軽快な出だしです。
でも、もう少し音が響くと良いですね。
舞台上で“停滞”している感じがします。
リズム的には心地よかったのに、惜しい気がしました。
自由曲。
こちらは、逆に課題曲で良く思えた“リズム”に翻弄されたようです。
ラテン的な軽やかなリズムにイマイチ乗りきれてないと言うか…。
だから、単調に聴こえるような。
それでも、ソロパートの皆さんとかは頑張っていて、好感が持てましたし、曲の終盤にかけて、うまくまとまって来ましたね。
[銅賞]


7.川口市立川口高等学校 (指揮)菊地 孝至
 [課]Ⅳ[自]科戸の鵲巣―吹奏楽のための祝典序曲(中橋 愛生)

1980年代を中心に活躍していた“伝説の”市立川口高校が昨年、埼玉県の高校Aの部に“復活”したと聴いてから、楽しみにしていた演奏です。
もちろん往年の市立川口とは、いろんな意味で全く違うでしょう。
でも、校名だけで私のようなオジサンは演奏を聴きたくなっちゃいます。
オオッ真っ赤なブレザーは昔と変わらないでしょうか?
演奏が始まりました。
小刻みなリズムが気持ち良い軽快なマーチに聴こえます。
とても聴きやすい演奏だと思いました。
皆でメロディを奏でた時、音を外す方が若干いたのと低音部のリズムパートがもっと響けば、より良い演奏になったかなと思いました。
自由曲は名曲「科戸の鵲巣」。
アンサンブルがしっかりしています。
音のアクセントの付け方がうまいです。
特に最後、クライマックスに向かっていく場面の演出がとても良かった。
ただ、鵲(かささぎ)の鳴き声を表現した木管楽器が、もっと鋭く艶っぽく演奏して欲しかったなぁ…。
[金賞・地区代表]


8.県立不動岡高等学校 (指揮)金子 和明
 [課]Ⅲ[自]ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~(福島 弘和)

課題曲は、冒頭から厚いサウンドで納得。
ただ、メロディの歌い方があっさりし過ぎていたように思えました。
民謡が題材なのだから、もう少し、泥臭くやっても良いのでは?と感じました。
全体的にライトな演奏に聴こえました。
そのためか演奏に物足りなさを感じた半面、矛盾するようですが、こういう演奏をしたが故に、とてもいいバランスにも思えました。
次は、本日2校目の「ラッキードラゴン」です。
全体的に“滑舌の良い”演奏で聴きやすく思いました。(特にクラリネット。)
ただ、時折、アンサンブルが“とっちらかった”部分があったのが残念でした。
[金賞・地区代表]


9.県立大宮光陵高等学校 (指揮)和田 正行
 [課]Ⅱ[自]パガニーニの主題による狂詩曲(S.ラフマニノフ/arr.森田 一浩)

課題曲は、少しテンポが早めでしょうか?
元気のいい出だしは好感が持てました。
メロディもスタッカート気味に演奏していたような。
それが故にハギレよく聴こえました。
躍動感もありましたね。
自由曲。
最近、どこかの音大の演奏会で聴いたような気がします。(思い出せない…。)
フォルテシモのtuttiがキレイな音でした。
力強い演奏の様に思いました。
中間部のスローテンポなところにアンサンブルの乱れがあったのが残念でした。
最後は、何となく終わってしまった…。
[銀賞・地区代表]


10.県立春日部高等学校 (指揮)今野 博人
 [課]Ⅳ[自]三つのジャポニズム(真島 俊夫)

昨年、日本テレビの「笑ってコラえて!」で“吹奏楽の旅”のコーナーで取り上げられていた春日部高校。
「高校Aの部」2年目の挑戦として、どんな演奏を聴かせて頂けるのでしょうか?
課題曲。
マーチなのだから、もう少し元気が欲しかった。
サウンドのせいなのか、音が前に出てきていないように感じました。
響きが足りないかな…。
それと少し、ピッチが気になる部分がありました。
でも、“話題の”ファゴットソロはステキでした。
音が響いてました。
自由曲は、真島先生の大作です。
いろんな意味で“不安”が露呈した演奏でした。
特に2曲目の「雪の川」に“それ”が集約されていました。
終曲「祭り」では華やかな雰囲気を醸し出してくれましたが、雑然とした感じで終わったのが残念でした。
[銅賞]


11.県立浦和高等学校 (指揮)堀川 高二
 [課]Ⅱ[自]ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~(福島 弘和)

春日部、浦和と男子進学校が続きます。
課題曲は、入りは軽快で良かったのですが、メロディラインの歌い方があっさりしすぎのように思いました。
音量のバランスは曲に合っていて良かった。
全体的にライトなサウンドでまとめていました。
自由曲は、またまた、「ラッキードラゴン」。
音が良く出ています。
サウンドも華やかです。(特に金管楽器。)
メロディも表現豊かに歌ってます。
でも、曲のフレーズと次のフレーズとの間に一瞬だけれども“空間”が出来たり、アンサンブルが乱れたりして、音楽の“流れ”がスムーズに感じられなかった。
それと最後の方でバテちゃいましたか?
[銅賞]


12.県立蕨高等学校 (指揮)加藤 薫
 [課]Ⅲ[自]大いなる約束の大地~チンギス・ハーン(鈴木 英史)

課題曲の出だしのロングトーン。
良いサウンドです。
とても、柔らかくて温かみのある…。(そう言えば、数年前のコンクールでも蕨高校のサウンドがステキに感じた記憶があるような…。)
メロディの表現も素晴らしいし、とても良い演奏だと思いました。
自由曲の「チンギス・ハーン」。
この曲、去年、ある一般バンドの生演奏を4回(内訳は、「定期演奏会」コンクールの「神奈川県大会」「東関東大会」「全国大会」です。)、聴いているんですよね。
そのバンドとは神奈川の一般バンド、“パストラーレ・シンフォニックバンド”。
初出場ながら、この曲で全国大会金賞を獲得しました。
人数は決して多くないバンドですが、素晴らしい演奏でした。
気のせいか、蕨高校の演奏もこのバンドとサウンドが似ているように感じました。
冒頭のフルートソロ、良かったです。
全体的にサウンドのバランスが取れているし、何よりも音がよく響いていて迫力すら感じます。
この曲の特徴であるエキゾチックさも表現されていてムード満点。
アンサンブルがしっかりしているから、音楽に流れがあって聴きやすかった。
シード校を除いてイチバン良い演奏だと思いました。
[金賞・地区代表]


13.県立桶川高等学校 (指揮)荒井 理衣
 [課]Ⅱ[自]アトランティス(樽屋 雅徳)

指揮は、まだお若い女性でしょうか?
課題曲は、指揮者の方と同様、明るく若々しい演奏でした。
気のせいか、若干、早めのテンポのように思いましたが、アンサンブルがまとまっていて、より軽快に聴こえました。
それとバンドとしては木管楽器が主導しているように感じました。
自由曲、人気作曲家の樽屋先生の作品です。
この学校は、9割以上が女性のようですけど、パワーありますね。
メロディの表現力は充実している印象を受けました。
ソロパートもうまいです。(トランペット・ソロは少し、あがってましたか…。)
ただ、最後の方のtuttiで若干、“音楽の流れ”が途切れるように思えた部分があったのが残念でした。
[金賞・地区代表]


14.県立鴻巣高等学校 (指揮)豊田 肇
 [課]Ⅱ[自]ミュージカル「ラ・マンチャの男」より(M.リー/杉本 幸一)

課題曲、シンバル、フライング気味か?
と同時に全体的に打楽器を中心に音量過多のような気がした。
ウキウキするような諧謔味のあるメロディなのだから、もう少し感情を込めた演奏が望ましかった。
正確な演奏にだっただけに、その部分にこだわり過ぎていたのでしょうか?
自由曲はミュージカル音楽ですね。
物語性が重視されると思いますので、もう少し表現を派手にしても良かったですね。
音量の問題は別にして大人しすぎたような。
あと、時々、いろんな楽器のピッチが気になりました…。
[銅賞]


15.星野高等学校 (指揮)中島 啓
 [課]Ⅱ[自]パガニーニ・ロスト・イン・ウインド(長生 淳)

課題曲は、ライトな出だしでした。
明るく楽しい課題曲Ⅱですが、メロディの音がよく出ていないので、躍動感に欠けていた。
そつなく、こなそうという意図が非常に伺いしれたような気がしました。
自由曲は、長生先生の「パガニーニ ― 」です。
私、この曲、大好きなんですよね。
冒頭のアルトサックスの掛け合い、大人しすぎ。
もっと情熱的にやらなくっちゃあ。
全体的に泥臭さが足りないように感じました。
だから、曲が盛り上がらない…。
よく練習してあり、タテヨコ、きっちり合っていたのに勿体ないと思いました。
サウンドと表現力の問題ですかね。
[銅賞]


16.県立松山女子高等学校 (指揮)高荷 裕夫
 [課]Ⅳ[自]セルゲイ・モンタージュ(鈴木 英史)

最近の高校の制服はブレザーが多いのに、この学校のセーラー服姿は、「まぶしい」のひとことですね。
私のようなオヤジには懐かしくさえ思えます。
課題曲はⅣ。
オーソドックスなコンサートマーチですけど、それだからこそ難しい。
演奏の方は、とてもバランスの良い演奏だと感じました。
自由曲は、「セルゲイ・モンタージュ」。
この曲もいいですよね。
出だし、もっとデリケートに入ってほしかった。(少し、“無造作”に聴こえた。)
でも、あとは上手にまとまっている感じがしました。
練習の成果が表れています。
特にリズムの刻み方がうまいのは、タンギングがしっかりしているからだと思います。
雰囲気のある演奏でした。
[銀賞・地区代表]


17.県立松伏高等学校 (指揮)小川 慎
 [課]Ⅴ[自]「交響的舞曲」より 第三楽章(S.ラフマニノフ/arr.佐藤 正人)

さあ、ここからは、県大会に進むことが確定しているシード校の登場です。
まず最初は、全国大会にも2回出場経験のある強豪、松伏高校から。
課題曲は、この日、初めてのⅤです。
難しい曲ですが、全体的に元気が良すぎた気がしました。
特に出だしから、飛ばしていたような…。
でも、表現力はさすがですね。
傾聴に値します。
ただダイナミクスの変化に乏しいので、単調に聴こえた部分もありました。
自由曲のラフマニノフ「交響的舞曲」。
今年、気のせいか、ちょくちょく演奏を聴くような気がします。
流行っているのでしょうか?(そう言えば、伊奈学園総合もコンクール自由曲ですよね、確か…。)
アクセントと音量のバランスが絶妙の演奏でした。
ベタな言い方をすれば、とても“じょうず”です。
一糸乱れぬアンサンブルは聴く者を魅了し、表現力を訴えかけてきます。
個人のレベルの高さがうかがい知れます。
サウンドも素晴らしい。
“見事な演奏”としか言いようがありませんでした…。
[シード・地区代表]


18.埼玉栄高等学校 (指揮)奥 章
 [課]Ⅰ[自]歌劇「蝶々夫人」(G.プッチーニ/arr.宍倉 晃)

さあ、大名門校、埼玉栄の登場です。
課題曲Ⅰですか。
この曲、とても難しいですよね。(もしかしたら、今年の課題曲で一番難しいかもしれない、と個人的に思います。)
フレーズと言うか場面の転換がめまぐるしいので、“流れ”を作るのが容易ではないように思うのです。
だからこそ、演奏団体の技量が透けて見えるような気がします。
埼玉栄、恐ろしい学校でした。
この曲を高校生とは思えない技量で“音の流れ”として表現していました。
作曲者が言うところの「映画の予告編」のような音楽という意図を見事に具現化していたように思いました。
今まで聴いてきた高校の演奏の中では、明らかに№1の課題曲Ⅰだと思いました。
自由曲は、オペラの王道「蝶々夫人」。
このクラスの学校になるとプログラムに載っている曲名を見ただけで“うまいんだろうなぁ”と思ってしまいます。
演奏が始まりました。
ひとことで言うと「栄ワールド」です。
細かく感じとると言うより、何か皮膚からしみ込んでくるようなパフォーマンス!
もう多くは語りません。
明日、全国大会があったとしても間違いなく「金賞」だと思える演奏でした!(それにしても、全国大会の下の支部大会の下の県大会の下の地区大会で「全国金賞」相当?の演奏を聴けるなんて、埼玉県民として、とても幸せな事だと思いました。)
[シード・地区代表]


19.秋草学園高等学校 (指揮)三田村 健
 [課]Ⅱ[自]宇宙の音楽(P.スパーク)

女子高の皆さんですね。
個人的な気持ちで言うと男子校の皆さんにも頑張って頂きたいものです。(共学校でも“女子率”が高いですよね。)
脱線しましたので、修正します…。
課題曲Ⅱ。
まず、サウンドがステキです。
木管のサウンドがキラキラしていて、引き込まれてしまいます。
金管楽器も暖かく包みこむようなサウンドで曲にうまく溶け込んでいます。
高校でサウンドがイチバン好きな市立習志野高校に近いモノを持っている気がしました。
メロディの歌い方も良かった。
躍動感のないⅡの演奏も多い中、ポップな感じで作曲者の意図に近いのではないでしょうか?
自由曲の「宇宙の音楽」は、1曲めの『t=0』のホルンソロがコケると魅力が半減するように思うのですが、パーフェクト!見事なパフォーマンスでした!
全体的にシード校らしく、迫力のある演奏で聴きごたえがありましたが、ただ最後の方で少しだけ、バテたように感じられたのが残念でした。
[シード・地区代表]


20.春日部共栄高等学校 (指揮)都賀 城太郎
 [課]Ⅴ[自]アッフェローチェ(高 昌帥)

さあ、トリの春日部共栄です。
昨年は私にとって意外な自由曲で大いに驚かされました!(本音で言うと自由曲に“ガッカリ”したのですが。)
今年は、「新曲・委嘱作品」という私が春日部共栄に勝手に求めている理想的な選曲です。
ファンとしては、期待大ですね。(やっぱり春日部共栄は、このスタイルが望ましい!)
この日、松伏高校と共に2校のみの演奏だった課題曲Ⅴ。
どうしても比較せざるを得ないのですが、「剛」と「柔」の対決だったように思います。
まるで別の曲に聴こえてしまう。
アクセントやテンポで表現した松伏に対して、サウンドやダイナミクスで聴かせようとしていた共栄。
どちらも素晴らしい表現力だったと思いますが、この曲を課題曲と言う枠をはずして単純に“音楽”として聴くならば、春日部共栄に軍配が挙がると思います。(ファンなので贔屓しているわけではありません。)
なぜなら、この曲独特の世界観にあっているからだと感じるので。
『深』と『浅』、『動』と『静』、『緩』と『急』とか音楽の中で対峙するものを多く内包している世界を持った課題曲Ⅴ。
ただただ、素人には難解にしか思えないこの曲を“演出”の違いによって、独特に感じられる事を意識させて頂いたことに感謝します。
それにしても、春日部共栄高校、見事な課題曲の演奏でした。
自由曲は定期演奏会でも聴かせて頂きました。
どのように磨かれた演奏になっているか楽しみです。
冒頭のオーボエソロ、美しいです。
メロディラインのクラリネットのユニゾンにもゾクゾクします。(同じ音色なので一本の楽器に聴こえるような…。)
タテヨコ、きっちり揃っているのは見事です。(タンギングが明瞭な音を作り出しているのでしょうか?)
個人のレベル高いですねぇ。
作曲者の高昌(こうちゃん)帥(す)先生の意図も十分理解しての演奏に思えます。
素晴らしいです!
さすが共栄、こうでなくっちゃ!
でも、この日の参加団体の演奏に限ってみるならば、イチバンは埼玉栄かな…。
どこに差があるって?
素人なのでうまく表現できませんが、「『栄ワールド』は感じられたのに共栄は『ワールド』まで行かなかった」と言うことでしょうか?
[シード・地区代表]


全団体、聴き終りました。
それにしても、一番下の予選の段階でこのレベルの高さ!
埼玉県、恐るべし!です。
下手すれば、どこか地方の支部大会くらいのレベルあるんじゃないかと思うくらいです。(言いすぎたらゴメンナサイ。)
ああ、埼玉県に住んでいてヨカッタと思う“浦和のオヤジ”でした。


最後にいろいろな団体にかなり失礼な事も書かせて頂きましたが、どうか素人のオヤジの戯言だと一笑に付して頂ければ幸いです。(本当に申し訳ありませんでした。)


追伸
今回の記事は手違いや致し方のない諸事情によって、1ヵ月以上経って発表することになってしまいました。
あらためて、お詫び申し上げます。
(春日部共栄高校、埼玉栄高校、伊奈学園総合高校の全国大会でのご健闘をお祈りします。特に共栄の皆さん、オメデトウ!)