2013年(平成25年)7月10日、水曜日。
さあ、この日は、ほぼ同時期にある3音楽大学(国立音大、東京音大、武蔵野音大)の吹奏楽団のコンサート第2弾、東京音楽大学シンフォニック ウインド アンサンブルの第44回定期演奏会です。
昨年も7月に3音大のコンサートへ行かせて頂きました。
音大生の皆さんが去年と比べて、どう“進化”しているか、楽しみです。
場所は東京芸術劇場コンサートホール。
開演は18:30。
指揮は同大学教授の山本孝氏。
(5日前に聴かせて頂いた国立音楽大学ブラスオルケターのコンサートと同じホールですので比較する事ができますね。)
当日のプログラムは以下のとおりです。
[演奏]東京音楽大学シンフォニック ウインド アンサンブル
[指揮]山本 孝
[ホルン]冨成 裕一
水野 信行
守山 光三
吉永 雅人
● シンフォニエッタ (L.ヤナーチェク/arr.D.ウィック)
第1楽章 ファンファーレ
第2楽章 城
第3楽章 僧院
第4楽章 道
第5楽章 市役所
● シンフォニックバンドのためのパッサカリア (兼田 敏)
● 4本のホルンのための協奏曲 (H.ヒューブラー/arr.山本 正人)
~休憩~
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅰ“勇者のマズルカ” (三澤 慶)
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅱ“祝典行進曲「ライジングサン」 (白岩優拓)
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅲ“復興への序曲「夢の明日に」 (岩井直溥)
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅳ“エンターテイメント・マーチ” (川北栄樹)
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅴ“流沙” (広瀬 正憲)
● 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」作品35a (Z.コダーイ/G.C.バイナム)
第1曲 前奏曲、おとぎ話が始まる
第2曲 ウィーンの音楽時計
第3曲 歌
第4曲 戦争とナポレオンの敗北
第5曲 間奏曲
第6曲 皇帝と廷臣たちの入場
開演前の舞台上。
整然と椅子、譜面台、打楽器などがセッティングされています。
それにしても、椅子の数が多いですね。
100は越えているでしょうか?
大吹奏楽団です。
しかし、課題曲の演奏を除いては、ほぼオーケストラ曲です。
ですから、このくらいの人数がいた方が効果的な演奏が期待できるのではないでしょうか?
納得の編成だと思いました。(5日前に聴いた国立音大では曲によって演奏人数に幅がありましたが、東京音大は多少のメンバーの入れ替わりはあったものの、ホルン協奏曲以外は、ほぼ同じ大編成で演奏したのが、興味深く思いました。)
開演です。
第1曲目は、「シンフォニエッタ」です。
いきなりの大曲ですね。
サウンドがとてもやわらかくて素晴らしい。
特に金管楽器がいい。
この曲は、どうしても弦の音を意識しないといけないと思うのですけれど、しっかりと管楽器で弦楽器の雰囲気を再現しているように聴こえました。
正直なところ、昨年はパワーや躍動感の方が目立った印象がありました。
ハイレベルの演奏なのだけれど、元気が良すぎるが故にオーケストラ編曲モノは、サウンドに合わない気がしたのを覚えています。(シャブリエの狂詩曲スペインとか。しかし、吹奏楽オリジナル曲は素晴らしく、スミスのフェスティヴァル・ヴァリエーションズなどは“名演”でした。)
しかし、今年は細部まで気を配った演奏がステキです。
実に心地よい時間でした…。
次は兼田敏先生の「パッサカリア」です。
そう言えば、兼田先生がお亡くなりなってから、もう10年以上経つんですね…。
感慨深いものがあります。
昨年は東京芸大で同期の保科洋先生の「復興」が脚光をあびましたが、私の若い頃から、吹奏楽界をけん引してこられた兼田先生がご存命であったらと思うと…。
残念でなりません。(兼田先生、保科先生が今日の吹奏楽界の発展の基礎を作ったと言っても過言ではありません。)
余談が長くなりました…。
人数が多いのでド迫力でしたが、私のイメージする「パッサカリア」とは違う演奏のように感じました。
とにかく、素晴らしい演奏で懐かしかった。
前半の最後の曲は「4本のホルンのための協奏曲」。
東京音大で教えてらっしゃる先生方による演奏でした。
ホルンの美しいハーモニーが会場いっぱいに広がり、仕事で疲れた私の頭を随分、癒して頂きました。
東京音大の皆さんも、軽やかに出しゃばらず、素敵な“伴奏”でした。
休憩です。
5日前の国立音大の時に比べて、会場には中高生の皆さんの数が多い様でした。
ただ練習するだけではなく、このような優れた演奏を聴くことも、生徒さん達にとって、ひとつの“練習”なのだと思います。
大いに感じとって、見本にして頂きたいなあと浦和のオヤジは考えるのでした。
さあ、後半の最初は、本年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲の全曲演奏です。
「Ⅰ」は軽快でリズミカルな演奏に引き込まれましたし、「Ⅱ」は冒頭の金管ファンファーレがとてつもなく、美しかった。
「Ⅲ」は課題曲の枠をこえた、ポップス吹奏楽の楽しさが十分、伝わってきました。
「Ⅳ」はコンサートマーチの見本のような演奏でしたし、「Ⅴ」は楽曲に対する豊かな表現力が際立っていました。
それぞれに完成された演奏を聴かせて頂いたなあというのが感想ですかね。
そして、会場に来ていた中高生の皆さんも非常に参考になったことと思います。
と言いたいところですけど、コンクール参考演奏にはチョット…。
どうしてかと言うと、100人を越える大編成、しかも音大生という技術を備えた人間の演奏です。
吹奏楽コンクールでは、中学校で50名、高校で55名という人数制限があります。
人数の違いによって、おのずと個々の吹き方も変わるはずです。
ですから、参考演奏して聴くにはチョット無理があるのではないかと。
しかし、楽曲の鑑賞としては十分に楽しめました!(また、会場には、Ⅰの三澤慶氏、Ⅱの白岩優拓氏、Ⅴの広瀬正憲氏の各作曲者の先生が来場されていました。)
最後はメインの「ハーリ・ヤーノシュ」です。
「ハーリ・ヤーノシュ」の吹奏楽での演奏と言うと私が思い出すのが、第22回の全国大会(1974年、昭和49年)の駒澤大学の演奏です。(古いですねぇ…。)
当時の私にとっては、憧れの演奏でした。
この曲は、私個人の印象として管弦楽曲にもかかわらず、管楽器の方が目立っているような気がします。
だから、吹奏楽でも楽曲が映えるんだと思います。
この日の演奏も物語性のある特色を生かした、まるで絵本でも見ているかのような演奏でした。
何か、独特の世界を醸し出していましたね。
そのあと、数曲のアンコールを楽しく演奏して頂きました。
アンコール曲の合間にコンサートミストレスの吉田かなえさん(だと思います。ハッキリわからない…。)が今年、古希を迎える指揮の山本教授に感謝の言葉を述べられました。
実にアットホームですね。
青春だなあってカンジです。
このような心の結びつきによって、あの素晴らしいサウンドが生まれるのだなと感心する事しきり。
やっぱり、音楽はハートがものを言う、と妙に納得し、池袋の街をさまよう浦和のオヤジでした…。