2016年9月11日、日曜日。
私は、久しぶりにサントリーホールへと向かったのでした。
東京メトロ南北線の“六本木一丁目駅”の3番出口から、地上へ出ますと目の前に広がるのが「アークヒルズ」。
「アークヒルズ」は、森ビルが開発、運営しているビル群です。
高層のオフィスビル、ホテル、集合住宅や、コンサートホール、放送局などから構成される複合施設して知られていますよね。
その一角にあるのがサントリーホール。
ベルリンフィルの本拠地である「ベルリンフィルハーモニー」に多大の影響を受けたクラシック音楽専用ホールです。
1986年の開館で今年で30周年を迎えます。
客席数は2006席。
森ビルが所有し、公益財団法人サントリー芸術財団が運営している日本を代表するコンサートホールです。
そして、そんな格式高いホールで演奏会を出来る埼玉栄吹奏楽部、恐るべし、です。
今回の演奏会は、与野吹奏楽団の“のりぃ”さんにチケットをとって頂きました。(“のりぃ”さんのお嬢さんは、今春より埼玉栄吹奏楽部に入られたそうです。)
ステキな機会を与えて下さった“のりぃ”さんに感謝!
[演奏]埼玉栄中学・高等学校吹奏楽部
[指揮]奥 章
大滝 実
萩原 奏恵
金井 良弘
宍倉 晃
Ⅰ
セレモニアル・マーチ/坂井 貴祐
Ceremonial March / Takamasa Sakai
風神~The Wind, featuring 雷神~The Orchestra/内藤 淳一
シャコンヌ/J.S.バッハ(編曲 宍倉 晃)
Chaconne / J.S.Bach, arr. Koh Shishikura
歌劇「つばめ」/G.プッチーニ(編曲 宍倉 晃)
La Rordine / Giacomo Pucchini, arr. Koh Shishikura
Ⅱ
協奏曲 ニ短調/B.マルチェッロ(編曲 宍倉 晃)
Concerto En Vt D-minor / B.Marcello, arr. Koh Shishikura
トランペット独奏 アンドレ・アンリ
André Henry
歌劇「トスカ」より/G.プッチーニ(編曲 宍倉 晃)
Tosca - atto Primo - Giacomo Pucchini, arr. Koh Shishikura
atto Secondo -
atto Terzo -
まず、恒例の校歌演奏(指揮は生徒さんでしたが、どなただったのでしょう?)のあと、佐藤光一校長の挨拶。
さあ、演奏会の始まりです!
口開けの曲は、坂井貴祐氏の「セレモニアル・マーチ」。
この曲は2000年度のJBA「下谷賞」受賞曲で第4回の“響宴”で取り上げられて広まった曲のようです。
最初は、サントリーホールがよく響くせいか、サウンドがこもって聴こえたような気がしましたが、曲が進むにつれて改善されてきたように思いました。
この曲のテーマである「華やかさ」「躍動感」が如何なく発揮された演奏でした。
全体的にコンサートマーチらしいハギレの良いサウンドに好感を持ちました。
特に明るいトランペットの音がステキでした。
余談ですが、プログラムには指揮者として、5人の先生方の名前が書いてありますが、指揮されたのは、奥先生と金井先生だけだったように思います。(間違っていたら、ゴメンナサイ。)
続いては、2008年度のコンクール課題曲「ブライアンの休日」等で知られる内藤淳一氏の作品です。
(今年のコンクール「Dの部」でも参加している皆さんの演奏曲なんですね。)
この曲は、人数が増えました。
おそらく、100名を超える大吹奏楽団です。
スケールの大きな演奏でした。
ましてや埼玉栄ほどの実力バンドともなると尚更ですね。
曲の魅力を増した迫力のある演奏に脱帽!
続いて、「シャコンヌ」。
プログラムの解説によりますと『1720年、バッハが35歳の時に書いた「パルティータ第2番」の最終楽章』で、『原曲はヴァイオリン独奏ですが、ピアノ版、管弦楽版など様々な形に編曲されて』いるそうな。
1720年という年は、バッハの奥さんが亡くなったという事もあり、いろいろな“想い”が詰まった曲だと言えるようです。
そして、宍倉コーチのアレンジによる栄の演奏です。
出だしこそ不明瞭な感じも受けましたが、その後はバロック音楽らしい格調高いパフォーマンスでした。
途中でサウンドがパイプオルガンのようにも聴こえ雰囲気を盛り上げていました。
各楽器の音が溶け合って、絶妙な音色になっていたのが素晴らしかったです。
第一部の最後の曲は、「つばめ」です。
埼玉栄の今年のコンクール自由曲ですね。
さすがに洗練された演奏。
そして、単純な言い方かもしれませんが、とっても“きれい”な演奏。
さすが、埼玉栄と言わざるを得ません。
“栄ワールド”炸裂です!!
ただ、コンクール自由曲という事を“加味”して言わせて頂けるのなら、全国大会では、他の参加団体とは“差別化”を感じさせる演奏をして頂ければ、ベストだと思います。(あくまでも個人的な意見です。そして、この曲の演奏は、“超高校級”の演奏であったことは誰の目からみても、紛れもない事実でした。)
休憩です。
素晴らしい埼玉栄のパフォーマンスに魅了されっぱなし…。
また、あらためて言わせてもらえるならば、ヤッパリ、サントリーホールは素晴らしい。
この素晴らしいホールでの至福の時を後半も楽しみたいと思います…。
第2部の最初の曲は、東京音大の教授でもあるトランペット奏者、アンドレ・アンリ氏を迎えてのステージです。
曲は、マルッチェロの「協奏曲 ニ短調」。
何と1700年代初頭の作品なのだそうです。
原曲は、オーボエソロと管弦合奏の曲らしいですが、宍倉先生のアレンジでトランペットと吹奏楽のための作品として生まれ変わりました。
さあ、演奏が始まろうとしています。
アンドレ・アンリ氏と指揮の奥先生がステージ上に表れました…。
盛大な拍手に囲まれながら、指揮台の方へ。
途中でアンリ氏が1stクラリネットの生徒さんに握手を求めました…。
でも、生徒さんは気付かない様子…。
少し、間があって、ようやく握手を出来た時には、実に温かい“笑い”に包まれたのでした…。(微笑ましい…。)
アンリ氏が手にしているのは…、ピッコロトランペットようですね…(間違っていたらゴメンナサイ。)
演奏が始まるとそこはもう、疑いもない優雅な世界…。
実に雰囲気のいいバロック調の音楽でした!
何百年という時を超えて、舞い降りた“精霊の舞い”のよう…。
アンリ氏の温かみと輝きのあるトランペットの響きに酔いしれたひと時でした…。
そして、栄もそのソロを盛り立てていましたね。(多少、ピッチが気になる部分がありましたが…。特に2楽章。)
曲が終わって、万来の拍手!
アンリ氏に花束贈呈のあと、アンコールです。
曲は、2009年から2011年に足掛け3年に渡ってNHKで放送されたドラマ「坂の上の雲」の主題歌「Stand Alone」。
久石譲の美しいメロディがアンリ氏の優雅な音色に乗って醸し出される至福のひと時でした…。
さあ、いよいよトリの曲です!
「歌劇“トスカ”」ですね。
コンクール自由曲としても最近、人気のある曲です。
この日の演奏は、3つの曲に分かれたものでした。(当然、宍倉先生の編曲です。)
まずは、1曲目、出だしの合奏の音、重量感あり。
これは、驚きに値します。
厳かな雰囲気、これに合唱が花を添えます。
2曲目は、P席後ろのパイプオルガンの前に陣取った金管楽器のバンダ。
迫力に圧倒されました。
3曲目、いつもコンクールで聴く“トスカ”ですね。
有名な冒頭のホルンのユニゾン、ステキで勇ましい!
オフステージのミュートを付けたトランペット、ゲスな言い方をするならば、“カッコイイ”の一言です。
情熱的な演奏でした。
同時にトリに相応しい演奏でした。
そして、この日、一番の演奏でした…。
アンコールは上記のとおりです。
「ローマの松(アッピア街道の松)」が素晴らしくないはずは、ありません!
ブラヴォー!
楽しい演奏会でした。
それにしても、全日本吹奏楽コンクール全国大会を約1ヶ月半後に控え、余裕の演奏会です。
しかも、サントリーホールですよ。
ホールの格式に配慮してか、じっくりと音楽に集中できる演奏会でした。
“浦和のオヤジ”好みの構成だったのは非常に嬉しかったです。
ただ、欲張りな意見ですが、1曲でも吹奏楽のオリジナルの大曲を演奏をして頂けたら、個人的に嬉しかったかも。(バーンズの3番とか…。)
ともかく、全国大会、頑張って下さいね。
期待しています!!
(春日部共栄、伊奈学園総合もファイト!)
西関東支部\(^o^)/