浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

シエナ・ウインド・オーケストラ 第39回定期演奏会

2015-01-24 01:11:30 | 吹奏楽

シエナ・ウインド・オーケストラの演奏会は以前に一度だけ、行ったことがあります。

ただし、学生さんである尚美ウインド・オーケストラとのジョイントコンサートですが。

単独で聴かせて頂くのは今回が初めてです。

 

実を言いますといろんな意味でシエナと“浦和のオヤジ”は相性が悪い。

聴きに行きたいなと思っている演奏会だと仕事やその他モロモロの事情で行けない。

都合がつきそうな演奏会だと演奏曲目が気に入らず行かない。

こういった事の繰り返しで、上記に書きました尚美とのジョイント以来、2年4ヵ月余り、シエナを聴けてないんです。(「シエナ・ウインド・オーケストラ&尚美ウインド・オーケストラ提携記念コラボレーションコンサート」は、2012年9月25日、サントリーホールで行なわれました。)

蛇足ながら、これに対して東京佼成ウインドオーケストラは、演奏会の選曲がとても私好みで、毎回ではないけれども、何度か聴かせて頂いております。(何回も申し上げておりますが、あの“サムラゴウチ”氏を見たのも確か、東京オペラシティでの佼成のコンサートです。)

 

2015年1月17日、土曜日。

久々に文京シビックホールへやって参りました。

何度も来ているホールなので、最近、訪れた気がしておりましたら、実は昨年の3月16日に行なわれた「響宴(きょうえん。未発表、未出版の吹奏楽の新曲を発表する催し。今年も3月8日に文京シビックホールで開催されます。ちなみに“浦和のオヤジ”は、チケット購入済。)」以来なんですね。

そんなに来てなかったかしら、と自分でも驚いてしまいます…。

 

さて、“懐かしい”文京シビックホールの大ホールで吹奏楽を楽しみましょう!

と言う事で、チケットを提示し、ホールの中に入ります。

プログラムをもらって、自分の席に着きました…。

開いた状態でA4判くらいの小さなプログラムです。

パラパラとページをめくりながら、中を確認しておりますと…。

真ん中あたりまできたところで、アレレッ?

印刷が逆さまになってる。

 

こりゃ、印刷屋さんのミスだなとおもむろにパンフレットの冊子を裏返して見ますと…。

「東京佼成ウインドオーケストラ第122回定期演奏会」だって!

全く上下逆さまで冊子の半分までが“シエナ”のプログラム、残りの半分が“佼成”のプログラムになっていたのです!

 

あとで知ったのですが、今回の定期演奏会には“趣向”があったのでした。

日本でも有数のプロの吹奏楽団が同じ日に定期演奏会を行う。

しかも地下鉄の“丸ノ内線”でたった三駅、10分もかからない場所で、です。

14:00から『池袋駅』近くの東京芸術劇場で東京佼成ウインドオーケストラ、そして、17:00から『後楽園駅』の“真上”の文京区役所内(文京シビックセンター)にある文京シビックホールでシエナ・ウインド・オーケストラの演奏会…。

そう、2つのプロ吹奏楽団を同日で聴ける“リレーチケット”が販売されていたのです。(もちろん“割引アリ”です。あとでわかったのですが、この“リレーチケット”を使って演奏会を聴かれた方は、相当数いらっしゃいました!)

吹奏楽ファンにとっては、“タマラナイ”企画です!

 

実は、同じ日に“シエナ”と“東京佼成”が演奏会をやることを気付いておりました。

どちらかに行くつもりでしたが、聴く機会の少なかった「シエナ」を選択した次第。

それにしても、“リレーチケット”があったなんて…。

 

指揮のパスカル・ヴェロ氏は、まだ50歳代のフランス人指揮者です。

日本での演奏活動も多く、現在、仙台フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者、東京フィルハーモニー交響楽団首席客演指揮者などを務めておられます。

コンサート後半のインタビューで、言われてましたが、プロの吹奏楽団を指揮するのは初めてなのだそうです。

どういうふうな“吹奏楽”を作り上げて頂けるのか、楽しみです。

 

それでは、演奏会が始まるようです。

 

[演奏]シエナ・ウインド・オーケストラ

    Siena Wind Orchestra

[指揮]パスカル・ヴェロ

    Pascal Verrot

 

I.ストラヴィンスキー/管楽器のための交響曲

Igor Stravinsky/Symphonies of Wind Instruments

 

P.ヒンデミット/吹奏楽のための交響曲 変ロ調

Paul Hindemith/Symphony in B♭ for Concert Band

 

【休憩】

 

G.ホルスト(C.マシューズ改訂)/吹奏楽のための第2組曲 へ長調

Gustav Holst/Second Suite in F for Military Band Op.28 No.2

 

C.ドビュッシー(真島俊夫編曲/喜びの島

Claude Achille Debussy(arr:Toshio Mashima)/L’Isle joyeuse

 

M.ラヴェル(真島俊夫編曲)/《ダフニスとクロエ》第2組曲

Joseph-Maurice Ravel(arr:Toshio Mashima)/Daphnis et Chloe Suite No.2

 

指揮のパスカル・ヴェロ氏が颯爽と舞台に上がって来ます。

男から見ても、なかなかの男前ですね。

最初の曲はストラヴィンスキーの「管楽器のための交響曲」。

以前、何かの録音媒体では聴いたことがありますが、生演奏は初めてです。

舞台上を見ると演奏者は20数名と言ったところでしょうか。

打楽器セクションはいませんねぇ。

とても、ステキな演奏でした。

「春の祭典」に似たようなフレーズがあったり、複雑で変拍子にあふれた曲でしたが、さすがプロの演奏だけあって、“音楽の流れ”を満喫させて頂きました。

ただ、素人の個人的意見ですが、初っ端の曲としては、地味すぎたかも。

 

2曲目は、ヒンデミットの「吹奏楽のための交響曲 変ロ調」。

この曲は、本当に懐かしい。

この日の演奏会で私がイチバン聴きたかった曲でした。

それは、それは、大昔、日曜の朝にNHK-FMでやっていた「ブラスのひびき」という番組で放送されたこの曲をラジカセでカセットテープに録音して、何度も何度も聴いた覚えがあります。(さあ、中高生の皆さん、“ラジカセ”“カセットテープ”何を書いているのか意味がわかるかな?)

演奏中、“青春時代”を思い出して、ウルッときちゃいましたね…。

とても“楽しい”20分間でした…。

 

早くも休憩です。

ヒンデミット、懐かしかった!

と、心地よい余韻に浸りながら、生理現象のため、トイレに向かいます。

それにしても、ロビーのあちこちにプログラム変更のお知らせの紙が貼ってあります。

よく見ると曲目変更とかじゃなくて、休憩の位置(プログラムには3曲目のあとが“休憩”だと記載されていますが、本来は2曲目後。)が違うみたいなんですけど。

ホールへのドアごとに、その旨、掲示してあるのが面白かった。

 

後半に入りました。

まずは、超有名曲、ホルストの「吹奏楽のための第2組曲」です。

いきなり、脱線しますが、プログラムに作曲者ホルストと共に「C.マシューズ 校訂」って書いてありますけど、あの「冥王星」を作曲したコリン・マシューズのことなのでしょうか?

多分、そうなのでしょうね。

話をシエナの演奏の方にもどしましょう。

まあ、この曲は今まで、こんな素人のオヤジでも、かなりの回数聴いています。

未熟な演奏もあれば、感動するような演奏もありました。

でも、この日の演奏は、今までとは違った印象を受けました。

なんだか、透明感があってキラキラしている。

まるで、水面に反射する光のような感じがします。

だからこそ、聴き慣れた演奏に比較するとライトに聴こえるような…。

イギリス民謡の“素朴さ”“重厚な感じ”とは、違ったカタチのサウンドとなって聴こえてきたように思いました。

演奏がマズいわけではないんです。

何故だか、聴き慣れたメロディを味わっているのだけれど、新曲を聴いているような不可思議な気持ちになってしまいました…。

でも、そんな気持ちは、すぐ晴れました。

“答え”は次の曲にあったのですよ。

 

さて、後半2曲目はドビュッシーの「喜びの島」。(編曲は真島俊夫先生)

個人的にとても好きな曲です。

今ちょっと団体名は、思い出せないんですが、生演奏を聴いたことがあります。(どこかの音大だったような気がする…。)

いやぁ、素晴らしい演奏でした!

個人的にこの日、イチバンの演奏でした!

ドビュッシーの“キラキラ感”を存分に発揮した演奏。

それでいて、温かみのあるサウンド。

もう、身震いするほどステキです!

指揮のマエストロ・ヴェロがフランス人であるせいか、まさにドッビュシーの想いを伝えるかのような演奏でした。(言い過ぎでしょうか?)

そして、ホルストの「第2組曲」で感じた“ある種の違和感”の意味を発見したのでした。

つまり、後半に入ってから、シエナの皆さんもマエストロも頭の中が“フランス”になっていたんですね。

何か、そんな気がしたのですが…。

私は、この日、この演奏を聴いただけで、文京シビックホールに来た価値があったと思いました。

 

そして、トリの曲は、お馴染み「ダフニスとクロエ」です。

しかも、真島俊夫先生のアレンジ。

「ダフニスとクロエ」は、吹奏楽では、よく演奏されますが、真島先生の編曲で聴いた事があったかなぁ。

素人なので、ハッキリと指摘はできませんが、真島先生の特徴が出ていたかも。

だって、いつもより“キラキラ感”が増していたような…。

いずれにせよ、色っぽく、色彩にあふれた演奏でした!

メインに持ってきただけあって、なかなか良かった。(真島俊夫先生も会場にお見えになっておられました。)

 

アンコール曲は以下のとおりです。

 

そして、舞台上では、コンサートマスターの榮村正吾氏によるヴェロ氏へのインタビューがあったりして、楽しかった。(榮村先生は神奈川の一般バンド、Oak Wind Symphonyの指導されてますよね。)

最後は、シエナ名物、「星条旗よ永遠なれ」の大合奏!

会場に来ている観客の皆さん(多くは中高生の皆さん)がシエナのメンバーと一緒に演奏するのは、ある意味、壮観です。

これからも、良き伝統として続けて頂きたいですね。

 

楽しい演奏会でした。

また、機会があれば、“シエナ”“東京佼成”コラボ企画、もやってほしいですね。

そうしたら、“浦和のオヤジ”も「リレー」に挑戦します!!