浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

犯罪被害者支援チャリティ音楽祭(東京芸術劇場)

2015-01-10 20:44:38 | 吹奏楽

2015年(平成27年)1月4日、日曜日。

まだ、“松の内”のこの日、東京・池袋の東京芸術劇場で『犯罪被害者支援チャリティ音楽祭』が開かれました。(主催は、『犯罪被害者支援チャリティ音楽祭実行委員会(公益社団法人みえ犯罪被害者総合支援センター)』です。)

この催しは、犯罪被害者、遺族の支援のために開催されました。

入場チケット等の売り上げは犯罪被害者の方々の支援のために活用されるとのこと。

そして、この活動のために“一肌脱いだ”高校吹奏楽の有名3校が素晴らしいパフォーマンスを繰り広げてくれたのでした。

 

明けましておめでとうございます。

今年も、この「浦和河童便り」をよろしくお願い申し上げます。

さて、私にとって、今年の最初のコンサートは『犯罪被害者支援チャリティ音楽祭』になりました。(例年ですと神奈川大学の定期演奏会がイチバン初めになるのですが…。)

 

先程申し上げました通り、この音楽祭には、3つの高校吹奏楽部が参加しました。

まずは、三重県立白子高等学校。

東海支部ではトップクラスの実力校です。(2014年度も東海支部「金賞」受賞。)

全国大会も6回出場していますね。(1978、1979、1982、2007、2011、2012)

今回は三重県からの出場ですが、やはり、「みえ犯罪被害者総合支援センター」が主催ということでの参加なのでしょうか?

地方の実力校を聴かせて頂く機会は少ないので楽しみです。

続いては、お馴染み東海大学付属高輪台高等学校。

すっかり、日本を代表する高校のバンドになりました。

昨年(2014年)末の定期演奏会は行けませんでしたが、度々、演奏を聴かせて頂いている団体です。(顧問の畠田先生なんかは、ちょっとした有名人ですよね。)

この日も、きっと素晴らしい演奏だろうなと期待大です。

さて、最後にご紹介するのは、柏市立柏高等学校です。

吹奏楽をやってる人間でこの学校の名前を知らない人はいないでしょう。

全国大会25回出場、金賞14回、銀賞10回、銅賞1回、3出休み(3年連続全国大会に出場すると翌年はコンクールに出場出来ないという大会規定。現在は“廃止”。)4回という“大”名門校です!

1978年、市立柏高校の開学と同時に音楽教諭として同校に赴任した石田修一先生は、同年、吹奏楽部を創設。

3年後の1981年には、すでに支部大会で「金賞」を受賞しています。

“東関東支部”じゃないですよ。

まだ、“東”と“西”に分かれる前のおそらく、全国一レベルの高かったであろう“関東支部”での「金賞」。

すごいですよね。

そして、吹奏楽部創設から、わずか6年後の1984年には、全国大会初出場、しかも「金賞」受賞。(まあ、“関東支部”を勝ち抜いたんだから、「金賞」はあたり前かもしれませんが。)

その後の活躍は、みなさんご存知のとおりです。

 

実は、今回、このコンサートに出かけようと思ったのは(他の2校には申し訳ないのですが)、市立柏を聴きたいがためなのです。

これまで、何故だか生演奏を聴く機会に恵まれませんでした。

演奏会に行こうかと考えたこともありましたが、地元で開催していることが多く、ついつい億劫になって…。(埼玉から千葉ってケッコウ行きづらいですよね。かえって神奈川の方が遠いけど楽かも。)

全国大会のCDを聴くと抜群にうまいんですよ、市立柏。

同じ千葉県の習志野市立習志野高等学校と共に高校吹奏楽界においては別格のような気がする…。

最近では全国大会で「金賞」しか取ってない淀川工科とか精華女子にはない、もっと別次元の雰囲気を感ずるのです…。(あくまでも、CDでの“比較”ですが。)

しかも、この日は非常に優れたホールである東京芸術劇場で演奏が聴けるのですよ。

とにかく、本当に柏は、“凄いのか”、確かめに行った“浦和のオヤジ”でした…。

 

まもなく、開演のようです。

最初に主催者である『みえ犯罪被害者総合支援センター』理事長、竹林武一氏の挨拶のあと、三重県立白子高等学校の登場です。

 

[演奏]三重県立白子高等学校吹奏楽部

[指揮]桐生 智晃

 

★  行進曲「威風堂々」作品39第1番

★  歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より 他

 

プログラムには、上記のようにしか書いてありません。

結論から申し上げますと、3校ともプログラム通りの順番や曲をしたわけではありません。

ですが、一応、プログラムに書いてあるので、このブログには記載しておきます。

ところで、白子高校って、実は初めて生演奏を聴くわけではないんですよね。

今から、4年前、全国大会に出場した時に普門館で演奏を聴かせて頂いてます。

正直、ずいぶん前の事でもあり、強い印象には残っていません。(自由曲は、プッチーニの「蝶々夫人」だったようです。私の拙いブログ記事も残っています。)

http://blog.goo.ne.jp/urawa_kappa/e/f9023900899ab799246f23f721abae3c

今回は、ヘンな言い方をすれば、4年振りの“再会”でしょうか?

 

演奏が始まりました。

最初はプログラムに載ってない、「エルザ大聖堂への行列」。

正直言っていいですか?

私は、実のところ、白子高校を甘く見ていました。

確かに東海支部では全国大会を狙う強豪校ではあるでしょうが、やはり、全国大会常連校の柏や高輪台に比べるとチョット…、と思っていました。

でもね。

「エルザ」の冒頭のフルート・ソロが始まった瞬間、身震いしましたねぇ。

美しいです。

サウンドも柔らかくて、心穏やかになれる。

素晴らしかった!

この学校の演奏を聴いただけでも、この日、芸劇に来た甲斐があったものだと思いました。

続いては、「コパカバーナ」、今年、大ヒットした“アナ雪”の「Let it go」と誰にでも楽しめる曲が続きました。

そして、次は“演歌メドレー(兄弟船、人生いろいろ、青い山脈、愛燦々)”だそうな。

特に鳥羽一郎の「兄弟船」のメロディが、東京芸術劇場コンサートホールに鳴り響いたのは、矛盾するようですが、“心地よい違和感”が私の脳裏を駆け巡り、自然と笑みがこぼれてきます。(でも、のけ反りましたね(笑)。ちなみに鳥羽一郎は、三重県出身なのだそうです。)

“演歌”の興奮、冷めやらぬうちに続いての「威風堂々」が始まりました。

ご存知、エルガーの名曲ですが、ポップス調というか軽い感じで聴きやすかった。

そして、おそらく、白子高校にとって、この日のメインであろう2曲の演奏です。

2014年度のコンクール課題曲Ⅳである“コンサートマーチ「青葉の街で」”とこちらはプログラムに載っている“歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」”。

調べて見ますと、この2曲で昨年のコンクールに臨んだようですね。(東海支部大会「金賞」)

気合いの入った演奏でした。

さすが、支部金賞の事だけはある。

いや、全国大会で聴いたとしてもおかしくないように思えました。

最後は、「風になりたい」でフィナーレ。

とても楽しいパフォーマンスでした。

住んでいる場所が違うので、なかなか私が演奏にふれる機会はないと思いますが、白子高校の皆さん、これからも頑張って頂きたい。

期待してます。

(なお、今回、プログラムに紹介された曲目がザックリとしたものであったため、記事は私自身のメモによって構成された内容であります。したがって、間違っていたり、抜けていたりする場合も考えられますので、その点、ご了承下さい。)

 

[演奏]東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部

[指揮]畠田 貴生

 

★  日本舞踊

★  エルサレム讃歌

★  ラテンスペシャル21! 他

 

プログラムの記載にとらわれず、話を進めます。

“畠田スマイル”と共に2校目、東海大高輪台の演奏が始まりました。

高輪台の初めの2曲は、ピーター・グレイアムの「サモン・ザ・ドラゴン」とアルフレッド・リードの「エルサレム讃歌」。

どちらも吹奏楽ファンにはお馴染みの曲です。

荘厳で華やかな感じは、高輪台のサウンドにあっています。

 

さて、突然ですが、今回の記事は“本音”で言わせて頂きます。

高輪台の定期演奏会等は、数年前から何回も聴かせて頂き、そのパフォーマンスには感心しておりました。

ただ、大変申し訳ないのですが、高輪台の“サウンド”に関しては“キライ”でした。

どちらかと言うと“硬質”の音色に聴こえ、ギャルドのような“甘い”サウンドを究極だと思っている私にとっては、対極にある音質のように思っていました。

ところがです、一昨年(2013年)の定期演奏会に行かせて頂いた時に初めて、いい意味での“違和感”を感じたのです。(昨年末の定期演奏会は行けませんでした。)

今までのサウンドと何かが違う。

具体的に言うと、とても明るくなっている。

いや、輝いている。

キラキラしている。

そんなふうに感じたのです。

まだ、柔らかさは足りないように思いましたが、確実に私の好みの方向に変わって来ているように感じました。

そして、今回です。

約1年振りに聴いた高輪台の“サウンド”でしたが、またまた変化していました。

前回感じた“明るさ”にプラスして、“艶っぽさ”が…。

いい傾向です。

“浦和のオヤジ”としては、たまらない!

さすが、高輪台。

最初の2曲を聴いて、そんなことを思いました…。

とても、魅力的な演奏でした。

ミュージカルの音楽、「美女と野獣」に続いては、高輪台“伝統”の日本舞踊です。

高輪台吹奏楽部の有志がプロの方に指導して頂き、定期演奏会で披露してくれる“日本舞踊”は、それは華やかで特に年配の方々だけではなく、万人が楽しめるものです。

踊りを盛りたてる高輪台吹奏楽部の演奏もなかなかのもので、エンターテイメントの限りを尽くしているパフォーマンスですね。

ところが今回は、少し驚かされました。

これもサウンドと同じで“艶っぽさ”が加わっている。

ほんのちょっとした所作の違いなのでしょうが、とてもステキに感じました。

これからも、この“伝統”は、高輪台独自のパフォーマンスとして続けて行って頂きたいものです。

そして、最後は、高輪台“名物”の「ラテンスペシャル21」。

“エル・クンバンチェロ”“闘牛士のマンボ”“コパカバーナ”“風になりたい”と言った曲をラテンのリズムに合わせて演奏してくれる“定番”です。

情熱的な演奏は観客を魅了していました!

さすが、東海大高輪台。

今年も期待出来そうです。

(白子高校の時と同じことを書きますね。今回、プログラムに紹介された曲目がザックリとしたものであったため、記事は私自身のメモによって構成された内容であります。したがって、間違っていたり、抜けていたりする場合も考えられますので、その点、ご了承下さい。)

 

[演奏]柏市立柏高等学校吹奏楽部

[指揮]石田 修一

 

★  交響曲第4番(チャイコフスキー作曲)

★  吹奏楽のための戯曲「嚆矢濫觴」(内藤 友樹 作曲)

★  ラ・フォルム・ドウ・シャク・アムール・ションジュ・コム・ル・カレイドスコープ(天野 正道 作曲)  他

 

いよいよ、最後に市立柏の登場です。(最初に言っときますが、プログラムの曲目とは殆ど違う内容でしたが、活字になっていたものは、載せときます。)

私にとっての“関心事”柏高校。

楽しませてもらいます!

あれ、薄暗い舞台上には椅子が並べてありませんね。

どうやら、ステージドリルからでしょうか?

始まりました…。

最初は、殆ど、演奏者が動かず、立ったままでの演奏です。

曲は、プログラムどおり、チャイコフスキーの4番。

しかも、ジャズっぽいアレンジです。

見事ですねぇ、演出が素晴らしい。

私はマーチングが苦手なのですが、これだったら楽しめると思いました。

場面は移って、薄暗かったステージがほぼ暗闇となりました。

あれあれと思っていたら、数多くのライトが音楽に合わせて、めまぐるしい動きをしている。

ひとりひとりがライトを持って演じているようです。

素晴らしい“光のファンタジー”でした。

ここで告白します。

何かステージ上では、この辺りでいろんなパフォーマンスをやってたような気がするのですが、あまりの幻想的な演奏にメモを取り忘れてしまい記憶がはっきりしません。あとで、司会の方が曲目の説明をされましたが、それもメモを取り忘れてしまいました。スミマセンm(__)m

 

会場は薄暗いままでしたが、いつまにか客席の通路に現れていた生徒の皆さんが、演奏している間に舞台上では椅子や譜面台が並べられていきます…。

続いては、カーペンターズの「青春の輝き」とジャズの巨匠ベニー・グッドマンの「メモリーズ・オブ・ユー」。

「青春の輝き」がアルト・サックス、「メモリーズ・オブ・ユー」がクラリネットのソロがありました。(もちろん、生徒さんのソロです。)

そのソロが素晴らしかった!

「青春の輝き」のサックス・ソロ。

カレン・カーペンターのキレイな歌声がそのままサックスの音になったような美しい響き!

まるで、何かのサックス協奏曲を聴いているかのような気になりました…。

そして、「メモリーズ・オブ・ユー」のクラリネット。

物悲しい大人のメロディを見事に表現していた!

私は、これまで多くの高校吹奏楽部の演奏会に行かせて頂きました。

そして、いろいろな生徒さんのソロを聴きました。

でもね、この日、思ったんです。

この二つのソロは、今まで聴いた生徒さんのソロより、数段、優れていると。

もちろん、合奏も素晴らしかったですが、柏の“個人の技術”、恐るべし。

こう感じざるを得ませんでした。

最後は、私のようなオヤジにとっては、涙が出るほど懐かしいチャンスの「朝鮮民謡の主題による変奏曲」です。

しかも、まともにこの曲を演奏するわけではなく、朝鮮半島の民族衣装や楽器を使ったパフォーマンスを交えてのアレンジ曲のようなもの。

これはもう、高校生の“芸”の域を越えたものでした。(お金を取って見せてもいいくらい。)

全体的に感じたのですが、指導されて石田修一先生の“想い”が音になっている…。

そんな印象を持った市立柏でした。

ただ…。

本音で言うと、楽器演奏者だけの“座奏”で市立柏をじっくりと聴いてみたかった…。

そして、プログラムには書いてあった「ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール・ションジュ・コム・ル・カレイドスコープ」(長いなあ。)を味わいたかった…。

これが偽らざる私の気持ちです。(最初に申し上げましたとおり、記事は私自身のメモによって構成された内容であります。したがって、間違っていたり、抜けていたりする場合も考えられますので、その点、ご了承下さい。)

 

市立柏の演奏が終わったと同時にパイプオルガンの演奏に移りました。

東京芸術劇場副オルガニストの川越聡子氏による「小フーガト短調」。

宗教色を帯びたバッハの調べは、私のようなオヤジにも心を厳粛にさせてくれる力がありました…。

そして、演奏中を利用して、この日、出場なさった3校の皆さんが少しづつ、舞台や客席の通路に次々と入場してきました…。

 

[三校によるコラボレーション]

 

★  花は咲く(パイプオルガン演奏)

     オルガニスト 川越 聡子

★  今日の日はさようなら

 

あとは、上記の曲でパイプオルガン、吹奏楽のバックで高校生の皆さんの大合唱です。

大変、盛り上がってコンサートは終了しました。

“浦和のオヤジ”も正月から大満足の演奏会でした。

そして、最後に市立柏の石田先生に主催者側から、「パールタクト」が贈られました。(真珠のついた指揮棒ですかね。)

 

最初に申し上げましたとおり、今回は、個人的に市立柏が目的の演奏会でした。

しかし、白子高校にも高輪台にも非常に優れたパフォーマンスを見せて頂き、たとえ柏がいなかったとしても、満足できました。

何より、3年生がまだ演奏に加わっており、高レベルの演奏を聴けたのがよかった。

 

最後に、市立柏の演奏を聴いて思ったこと。

じっくりと座奏を聴いてないので微妙なところはあるのですが、個人の技量が高く、それでいて全体的な音色と言い、バランスの良さと言い素晴らしい。

おそらく、日本の高校吹奏楽部のナンバーワンだと思います…。