浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

21世紀の吹奏楽 第16回“響宴”

2013-03-14 21:53:40 | 吹奏楽

2013年[平成25年]3月10日、日曜日。
外はポカポカ陽気です。
武蔵浦和の駅から、埼京線に乗り込むと何と車中には冷房が入っています…。
池袋駅で地下鉄の丸ノ内線に乗換えて後楽園駅に降り立ち地上に出た瞬間に驚いた。
近くのビルまで霞んでしまうほどの強風に砂埃…。
いやあ、驚きましたなあ。

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話を本題にもどしましょう。
この日の目的は、「21世紀の吹奏楽 第16回“響宴”」。
場所は、文京シビックホール。
この“響宴”とは、未発表、未出版の邦人作品を紹介する吹奏楽の演奏会です。
しかも、応募作品の中から選曲委員が選定委した楽曲のみが発表の対象となるのです。
これらの曲を演奏するのは、全日本吹奏楽コンクールで優秀な成績を残している吹奏楽団や自衛隊の音楽隊の皆さん等々です。
否が応でも期待は高まるじゃありませんか!
(前々から伺いたいと思っていた演奏会ですので、楽しみにしておりました。)

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本年度の出場団体は、「千葉県松戸市立第四中学校」「龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部」「神奈川大学吹奏楽部」「川越奏和奏友会吹奏楽団」「航空自衛隊航空中央音楽隊」の5団体です。
いずれも吹奏楽界では名の知れた有名バンドばかりです。
この文京シビックホールという素敵なホールで、各団体がどんなパフォーマンスをしてくれるのか、本当に楽しみです。

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開演となりました。
まず、最初の団体は龍谷大学。
言わずと知れた関西の超有名バンドです。
プログラムは以下の通りです。

[演奏] 龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部
[指揮] 若林 義人

● フェスティヴァル・ファンファーレ  (坂田 雅弘)
● シンフォニックダンス  (福島 弘和)
● 白の月に舞う  (朴 守賢)
● カラフル  (井澗 昌樹)

最初の曲、「フェスティヴァル・ファンファーレ」は与野吹奏楽団の委嘱で作曲され、同楽団により初演(2011.11)されたそうです。(私も去年、与野吹奏楽団の定期演奏会に行きましたが、初演されたのは、その前年の定期演奏会ですね。)あと、ご存知、福島弘和氏や昨年もコンクール自由曲として、ケッコウ演奏されていた「バイ・バイ・ヴァイオレット」の井澗(いたに)昌樹氏の作品等、盛りだくさんの内容でした。(井澗先生は、何とピアノで演奏に参加されておりました。)
その中で私が特に興味を惹かれたのが朴守賢(ぱく すひょん)氏の「白の月に舞う」。
小編成の美しい曲でしたが、どことなく雅楽的な響きに聴こえて不思議な感じがしました。
何でも韓国の伝統舞踊「サルプリチュム」がヒントになっているとか。
癒しの音楽のように感じました。

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それにしても、文京シビックホールの良く響くこと!
1階席、前から12列目で聴いたせいかも知れませんが、龍谷大学の演奏も少々、オーバーヒート気味に思えました。

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2番目の団体は、“我が埼玉”の雄、川越奏和奏友会です。
昨年は、「3出(さんしゅつ。3年連続全国大会に出場すると4年目は出場できないという大会規定)」という悪しきルールに阻まれ、コンクールヘの出場はなりませんでしたが、今年度から「3出」が撤廃され、毎年、この団体の演奏をコンクールという独特の雰囲気の中で聴けるのは非常に楽しみです。
プログラムは以下の通りです。

[演奏] 川越奏和奏友会吹奏楽団
[指揮] 佐藤 正人

● 行進曲「理想の海へ」  (清水 大輔)
● ファイヴ・コンビネーション  (鹿野 草平)
● フォークラリネッターズ [Four Clarineters] (小長谷 宗一)
● 「ニルマル・ヒルダイ」~マザーの微笑みに包まれて…  (八木澤 教司)

清水大輔、鹿野草平、八木澤教司といった人気作曲家と川越奏和奏友会とのコラボは、私をワクワクさせました。
海上自衛隊から委嘱作品「理想の海へ」、伊福部昭先生の作品からヒントを得たという「ファイヴ・コンビネーション」、東北福祉大からの委嘱作品「ニルマル・ヒルダイ」、どれも楽しませて頂きましたが、特に小長谷宗一氏作曲の「フォークラリネッターズ」は愉快でした。
4本のクラリネットを使った協奏曲って感じかな。
しかし、そんな堅苦しいものではなく、ラテン色の強い楽しい曲でした。
また、川越奏和奏友会のクラリネットパートの皆さんの演奏も見事でした!
アカデミックな曲も良いですが、こういうセンスのよい曲にも惹かれます。
いずれにせよ川越奏和奏友会の演奏に魅了されたひと時でしたが、先程より申し上げております“響き”のせいで少し、耳が疲れた…。

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次はグッと若返りまして、松戸市立第四中学校吹奏楽部の登場です。
今年は「3出」でコンクールお休みという名門校です。
プログラムは以下の通りです。

[演奏] 千葉県松戸市立第四中学校吹奏楽部
[指揮] 須藤 卓眞

● サニー・デイ  (渡部 哲哉)
● 架空のゲームファンタジーへの音楽「フランチェスカの鐘」  (内藤 淳一)
〈委嘱作品初演〉
● Variations of 4:00 a.m.  (三浦 秀秋)
● 華燭の灯るとき  (平岡 聖)

初めて、この学校の演奏を聴かせて頂きましたが、ビックリしましたな。
去年も数校の吹奏楽の強豪中学校を聴く機会がありましたが、それと比較しても、この学校のレベルが一番高いところにあるように感じました。
確かに中学生なので音色の厚みや独自性は希薄な部分が見え隠れしていましたが、アンサンブルの正確さ等に目を見張るものがありました。
学校の立地からいきますと、このような子たちが市立習志野高とか市立柏高とかに行くんですかね。
だから、千葉県のレベルが高いわけですよ。ホントに。
今回の演奏についても、作曲者の意図をくみ取った好演が多かったように思いました。

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4番目に登場は、この演奏会を主催する「“21世紀の吹奏楽”実行委員会」代表の小澤俊朗先生率いる神奈川大学吹奏楽部です。
アマチュアの大学吹奏楽団の演奏会等をいくつか聴かせて頂きましたが、聴いた中では、この大学のレベルが一番安定しているように思います。
この日も期待しながら、聴かせて頂きました。
さて、演奏曲目は以下の通りです。

[演奏] 神奈川大学吹奏楽部
[指揮] 小澤 俊朗、志村 健一

● Prelude and Fugue  (堀田 庸元)
● 翡翠 ― JADE  (福田 洋介)
● サイバー・アポカリプス〈委嘱作品初演〉  (星出 尚志)
   ドラムス:そうる 透  E.ベース:明光院 正人(友情出演)

さすが神奈川大学と思わせる演奏でした。
特に最初の曲、「Prelude and Fugue」は、フーガの部分の繰り返される旋律の連鎖が非常に心地よかった。(私見ながら、この日、紹介された楽曲の中でイチバン好きな曲でした。)
そして、最後の「サイバー・アポカリプス」で興奮は最高潮に達しました。
プログラムの解説によりますとロックにクラシックやジャズの要素を取り入れたのが「プログレッシブ・ロック(プログレ)」と言うとのこと。
今回、作曲者の星出氏が“饗宴”の実行委員会から楽曲の委嘱があったので、吹奏楽でこのプログレを実践したのだそうです。
神大は、もちろんですが、ゲスト演奏のそうる透氏、明光院正人氏の演奏が会場のテンションを最大に盛り上げました。
素敵でしたねぇ。

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楽しいひと時は、あっと言う間ですね。
いよいよ最後の団体、航空自衛隊の登場です。

[演奏] 航空自衛隊航空中央音楽隊
[指揮] 2等空佐 水科 克夫

● 夕焼けリバースJB急行~ハイドン・バリエーション・メタモルフォーゼ  (伊左治 直)
● 嵯峨野 ~ソプラノと吹奏楽のために~  (河邊 一彦)
   ソプラノ:三宅 由佳莉
● MIRAGE Ⅳ  (真島 俊夫)

私のような素人のオヤジが言うのもオコガマシイですが、これも見事な演奏の数々でした。
とくに2曲目の「嵯峨野」は、自衛隊の音楽隊が総力を挙げた楽曲でした(笑)!
指揮・演奏は、2等空佐、水科克夫氏と航空自衛隊航空中央音楽隊。
作曲の河邊一彦氏は、海上自衛隊の東京音楽隊長の2等海佐。
そして、ソプラノ独唱は、海上自衛隊3等海曹の三宅由佳莉氏。
日本情緒あふれる曲に三宅さんの美しいソプラノの調べが花を添えていました。
さて、大トリは、真島先生のミラージュシリーズの第4弾です。
海上自衛隊東京音楽隊の委嘱作品とのことですが、ジャズテースト満載の真島先生の真骨頂とも言えるノリノリの曲でした。(オヤジなので表現が古くてシツレイしました。)
そして、興奮のルツボの中で演奏会は終了しました。

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最後に本日の楽曲を提供してくださった作曲の先生方と実行委員の方々が壇上に上がられました。
そこで、会場の雰囲気は最高潮に達したね。(言い忘れましたが、1曲、1曲、終わるごとに、その曲の作曲者が紹介されました。楽曲提供者全ての方が来場されており、人気作曲家ばかりでしたので、その姿は壮観でした。)
新曲を優れたバンドで披露する演奏会、そんな贅沢はないわけで来年以降も来場したいなと思った次第。
最後になりますが、短い時間に多くの聴いたことのない曲に触れ、正直言って、全ての曲を正確に覚えているわけではないのですが、一部の曲にしか感想を書けなかったことをご容赦下さい。(全ての曲が意欲的で観衆を楽しませるものであったことは、疑いのないところです。)
その後、文京シビックホールをあとにし、池袋で大好きなラーメンを食べて帰宅した浦和のオヤジでした。

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そう言えば、コンサートの休憩時間にロビーで翌日(3/11)に開かれる龍谷大学と駒澤大学のコンサートの整理券をこの日、演奏した龍谷大学の吹奏楽部員に貰いました。
行ってみよーっと!