6月18日、「立野ダムによらない自然と生活を守る会」「ダムによらない治水・利水を考える県議の会」「立野ダムによらない白川の治水を考える熊本市議の会」「白川の安全と立野ダムを考える白川流域住民連絡会」の連名で、熊本市東区にある国土交通省・立野ダム事務所へ、「立野ダム建設中止を求める申し入れ」を行いました。
申し入れたのは、以下の3点です。
1. 熊本県民に危険をもたらす立野ダム建設を即時中止すること
2. 白川のしゅんせつをすすめ、河道の流下能力を高めること
3.住民が提出してきた公開質問状に対し、説明会を開き、質問項目ごとに住民の不安や疑問を解消する回答をすること
山本伸裕県議といっしょに参加しました。
対応したのは、立野ダム事務所総務課長と建設専門員、こちらの訴えは、ただ聞くだけで何の回答もないばかりか、後日回答するとの約束さえしないような無責任な対応に終始しました。
これまでも、私たちが繰り返し要請を行ったり、質問状の提出なども行ってきましたが、一度たりとも回答を返してきたことはありません。
6月になって、一方的に事業費を243億円も増額するとの報道もあり、今回の申し入れとなりましたが、国民の税金をつぎ込む大事業でありながら、全く耳を貸さない国の姿勢は問われます。
新型コロナ禍のもと苦しんでいる国民に寄り添い、危険で環境破壊のムダな大型公共事業に莫大な税金をつぎ込むのでなく、地域経済の支援や、国民の暮らしにこそ、お金をまわすべきです。
熊本市ですら、市庁舎建替えや市電延伸などの大型事業のいったん凍結を表明しています。
国民に背を向けた国の異常な姿勢は厳しく問われなければなりません。
引き続き、立野ダム建設中止に向け、取り組んでいきます。
申し入れ文は、以下の通りです。
「384件の意見のうち立野ダム推進意見は4件(1%)~立野ダム建設中止を求める申し入れ書」
6月6日の報道によると、立野ダムの事業費が243億円も増額されたとのことです。これまで国土交通省は、立野ダムの事業費を増額することはないと繰り返してきましたが、増額に関する住民への説明は一切ありません。立野ダムの総事業費は1160億円にもなり、熊本県はその3割(348億円)を負担することになります。
2012年の立野ダム事業検証の報告書を見ると、例えば河道の掘削や輪中堤などの治水対策案よりも、立野ダムを含む河川整備計画の方が100億円安いということで、国土交通省は立野ダム案を採用しています。ところが今回、それを2倍以上上回る増額となっています。ダム以外の治水対策の方が、事業費の面でも有利だったのではなかったのでしょうか。
白川の河川整備計画は昨年変更され、新たに河道を掘削して河道の流下能力を高める対策が追加されています。事業検証と現行の河川整備計画、そして今回の立野ダム事業費の増額について、国土交通省は説明責任を果たすべきです。
昨年10月16日の新聞各紙に「白川水系河川整備計画(変更原案)を公表しました。皆様のご意見をお聞かせください」という、国交省の小さな新聞広告が掲載されました。河川整備計画が流域住民の生命財産に関する非常に重要な計画であるにもかかわらず、小さな新聞広告だけでは大半の住民は知ることすらできません。また、200ページ近い資料は、役所のロビーで閲覧するか、ホームページで検索するしかありませんでした。
河川整備計画の中には、建設中の立野ダムも含まれています。変更原案の説明会では、住民から立野ダムの必要性や危険性について多くの質問が出されました。ところが国交省の担当者は「立野ダムに関する変更はないので説明しません」「担当者が来ていないので答えられません」「ご理解ください」を繰り返すのみでした。国土交通省が立野ダム建設に自信があるのならば、住民の疑問に堂々と答えるべきです。
住民にほとんど周知されぬまま、流域7か所で開かれた説明会は昨年11月7日に終了し、意見募集も11月19日に終了しました。その後、国土交通省熊本河川国道事務所ホームページに掲載された住民からの意見を分析すると、意見の大半が立野ダム建設への疑問や、国交省が進める河川整備のやり方への疑問に関する意見で、住民からの意見(384件)のうち立野ダム建設を求める意見は4件(約1%)しかありませんでした。このことからも、立野ダムに関する民意は明らかです。
立野ダムは、放流孔(幅5mのダム下部の穴)が洪水時に流木等でふさがり、洪水調節ができなくなり、熊本市など下流にとって災害を防ぐどころか、むしろ危険です。2016年4月の熊本地震では、立野ダム本体予定地及び水没予定地の大半が大規模な土砂崩壊を起こし、周辺では多くの活断層も確認されています。熊本地震の時に立野ダムができていたら、幅5mしかない立野ダムの穴は流木や土砂、岩石などでふさがり、ダムは埋まり、流域を災害から守るどころか、災害をひき起していたはずです。このような地盤がぜい弱な火山地帯にダムを造って豪雨時に水がたまれば、更なる土砂崩壊が起こるのは明らかです。
過去最大の洪水流量である昭和28(1953)年の6・26水害直後の検討でも、「白川は六・二六からみてもばく大な土砂を運搬することが予想されるから、ダムはすぐ砂で埋まる心配がありこれも難しい問題だろう」(熊本大学理学部教授松本唯一氏)等の意見が多く出されています。
今年も梅雨入り前、白川の水位は下がり、川底に大量にたまった土砂もあらわになりました。これらの多くは、熊本地震で崩壊した立野峡谷から流れてきた大量の土砂や火山灰です。川底が上がった分、洪水時の水位も上がることは明らかです。
川を堤防で固定したからには、川底にたまった土砂は定期的に浚渫(しゅんせつ)すべきなのに、それを放置したままでは川底は上昇し、ますます「天井川」となってしまいます。危険な立野ダムを造る予算があれば、早急に白川の川底をしゅんせつすべきです。
2012年7月の九州北部豪雨で浸水被害を受けたのは、未改修の場所だけでした。その後、河川改修が進んだおかげで、九州北部豪雨クラスの大洪水が来ても白川はあふれません。同災害で死亡・行方不明となった25名の方々は全て阿蘇カルデラ内の土砂災害によるもので、立野ダムを造っても土砂災害を防ぐことはできません。災害を防ぐために白川で今必要なことは、上流域では土砂災害対策(荒れた人工林の間伐や阿蘇の草原の保全)や遊水地の整備、中流域では河川改修、下流域では川底にたまった火山灰の撤去です。
私たち住民はこれまで、立野ダム建設に関する公開質問状を9回にわたって提出しましたが、国交省は一度も回答せず、ただホームページを読めとのことでした。ホームページに掲載された「回答」を読むと、住民からの質問に対して論点をすり替え、国交省の主張が一方的に書いてあるだけです。また、一般住民を対象とした立野ダム説明会は、何度も開催を要請されてきたにもかかわらず、国交省は一度も開催していません。よって以下の項目を申し入れます。
<記>
1. 白川の災害対策については、住民の意見を反映したものとし、熊本県民に危険をもたらす立野ダム建設を即時中止すること。
2. 白川の川底に大量に堆積している土砂や火山灰をしゅんせつし、河道の流下能力を高めること。
3. 立野ダムに関し、これまで住民が提出してきた9通の公開質問状に対し、論点をすり替えてインターネットに掲載するのではなく、地域ごとに説明会を開き、質問項目ごとに論点をすり替えずに説明し、住民の不安や疑問を解消すること。
申し入れたのは、以下の3点です。
1. 熊本県民に危険をもたらす立野ダム建設を即時中止すること
2. 白川のしゅんせつをすすめ、河道の流下能力を高めること
3.住民が提出してきた公開質問状に対し、説明会を開き、質問項目ごとに住民の不安や疑問を解消する回答をすること
山本伸裕県議といっしょに参加しました。
対応したのは、立野ダム事務所総務課長と建設専門員、こちらの訴えは、ただ聞くだけで何の回答もないばかりか、後日回答するとの約束さえしないような無責任な対応に終始しました。
これまでも、私たちが繰り返し要請を行ったり、質問状の提出なども行ってきましたが、一度たりとも回答を返してきたことはありません。
6月になって、一方的に事業費を243億円も増額するとの報道もあり、今回の申し入れとなりましたが、国民の税金をつぎ込む大事業でありながら、全く耳を貸さない国の姿勢は問われます。
新型コロナ禍のもと苦しんでいる国民に寄り添い、危険で環境破壊のムダな大型公共事業に莫大な税金をつぎ込むのでなく、地域経済の支援や、国民の暮らしにこそ、お金をまわすべきです。
熊本市ですら、市庁舎建替えや市電延伸などの大型事業のいったん凍結を表明しています。
国民に背を向けた国の異常な姿勢は厳しく問われなければなりません。
引き続き、立野ダム建設中止に向け、取り組んでいきます。
申し入れ文は、以下の通りです。
「384件の意見のうち立野ダム推進意見は4件(1%)~立野ダム建設中止を求める申し入れ書」
6月6日の報道によると、立野ダムの事業費が243億円も増額されたとのことです。これまで国土交通省は、立野ダムの事業費を増額することはないと繰り返してきましたが、増額に関する住民への説明は一切ありません。立野ダムの総事業費は1160億円にもなり、熊本県はその3割(348億円)を負担することになります。
2012年の立野ダム事業検証の報告書を見ると、例えば河道の掘削や輪中堤などの治水対策案よりも、立野ダムを含む河川整備計画の方が100億円安いということで、国土交通省は立野ダム案を採用しています。ところが今回、それを2倍以上上回る増額となっています。ダム以外の治水対策の方が、事業費の面でも有利だったのではなかったのでしょうか。
白川の河川整備計画は昨年変更され、新たに河道を掘削して河道の流下能力を高める対策が追加されています。事業検証と現行の河川整備計画、そして今回の立野ダム事業費の増額について、国土交通省は説明責任を果たすべきです。
昨年10月16日の新聞各紙に「白川水系河川整備計画(変更原案)を公表しました。皆様のご意見をお聞かせください」という、国交省の小さな新聞広告が掲載されました。河川整備計画が流域住民の生命財産に関する非常に重要な計画であるにもかかわらず、小さな新聞広告だけでは大半の住民は知ることすらできません。また、200ページ近い資料は、役所のロビーで閲覧するか、ホームページで検索するしかありませんでした。
河川整備計画の中には、建設中の立野ダムも含まれています。変更原案の説明会では、住民から立野ダムの必要性や危険性について多くの質問が出されました。ところが国交省の担当者は「立野ダムに関する変更はないので説明しません」「担当者が来ていないので答えられません」「ご理解ください」を繰り返すのみでした。国土交通省が立野ダム建設に自信があるのならば、住民の疑問に堂々と答えるべきです。
住民にほとんど周知されぬまま、流域7か所で開かれた説明会は昨年11月7日に終了し、意見募集も11月19日に終了しました。その後、国土交通省熊本河川国道事務所ホームページに掲載された住民からの意見を分析すると、意見の大半が立野ダム建設への疑問や、国交省が進める河川整備のやり方への疑問に関する意見で、住民からの意見(384件)のうち立野ダム建設を求める意見は4件(約1%)しかありませんでした。このことからも、立野ダムに関する民意は明らかです。
立野ダムは、放流孔(幅5mのダム下部の穴)が洪水時に流木等でふさがり、洪水調節ができなくなり、熊本市など下流にとって災害を防ぐどころか、むしろ危険です。2016年4月の熊本地震では、立野ダム本体予定地及び水没予定地の大半が大規模な土砂崩壊を起こし、周辺では多くの活断層も確認されています。熊本地震の時に立野ダムができていたら、幅5mしかない立野ダムの穴は流木や土砂、岩石などでふさがり、ダムは埋まり、流域を災害から守るどころか、災害をひき起していたはずです。このような地盤がぜい弱な火山地帯にダムを造って豪雨時に水がたまれば、更なる土砂崩壊が起こるのは明らかです。
過去最大の洪水流量である昭和28(1953)年の6・26水害直後の検討でも、「白川は六・二六からみてもばく大な土砂を運搬することが予想されるから、ダムはすぐ砂で埋まる心配がありこれも難しい問題だろう」(熊本大学理学部教授松本唯一氏)等の意見が多く出されています。
今年も梅雨入り前、白川の水位は下がり、川底に大量にたまった土砂もあらわになりました。これらの多くは、熊本地震で崩壊した立野峡谷から流れてきた大量の土砂や火山灰です。川底が上がった分、洪水時の水位も上がることは明らかです。
川を堤防で固定したからには、川底にたまった土砂は定期的に浚渫(しゅんせつ)すべきなのに、それを放置したままでは川底は上昇し、ますます「天井川」となってしまいます。危険な立野ダムを造る予算があれば、早急に白川の川底をしゅんせつすべきです。
2012年7月の九州北部豪雨で浸水被害を受けたのは、未改修の場所だけでした。その後、河川改修が進んだおかげで、九州北部豪雨クラスの大洪水が来ても白川はあふれません。同災害で死亡・行方不明となった25名の方々は全て阿蘇カルデラ内の土砂災害によるもので、立野ダムを造っても土砂災害を防ぐことはできません。災害を防ぐために白川で今必要なことは、上流域では土砂災害対策(荒れた人工林の間伐や阿蘇の草原の保全)や遊水地の整備、中流域では河川改修、下流域では川底にたまった火山灰の撤去です。
私たち住民はこれまで、立野ダム建設に関する公開質問状を9回にわたって提出しましたが、国交省は一度も回答せず、ただホームページを読めとのことでした。ホームページに掲載された「回答」を読むと、住民からの質問に対して論点をすり替え、国交省の主張が一方的に書いてあるだけです。また、一般住民を対象とした立野ダム説明会は、何度も開催を要請されてきたにもかかわらず、国交省は一度も開催していません。よって以下の項目を申し入れます。
<記>
1. 白川の災害対策については、住民の意見を反映したものとし、熊本県民に危険をもたらす立野ダム建設を即時中止すること。
2. 白川の川底に大量に堆積している土砂や火山灰をしゅんせつし、河道の流下能力を高めること。
3. 立野ダムに関し、これまで住民が提出してきた9通の公開質問状に対し、論点をすり替えてインターネットに掲載するのではなく、地域ごとに説明会を開き、質問項目ごとに論点をすり替えずに説明し、住民の不安や疑問を解消すること。