県南で唯一の地域周産期中核病院「熊本労災病院」の産科が休止に
2024年3月末で産科を休止することが公表されていた八代市にある「熊本労災病院」は、休止予定を2か月前倒しで2024年1月末で産科が閉じられ、婦人科のみの診療になりました。
これまで熊大からの派遣医1名を含む2名体制の常勤医で医療に立っていましたが、熊大からの派遣が打ち切られることになり、常勤1名では現行医療を継続できないと、やむなく産科休止が決断されたものです。
県の「第7次保健医療計画」では、ハイリスクの妊娠に対応する熊本市民病院や熊本大学病院などの「総合周産期母子医療センター」、比較的高度な医療行為を提供する熊本赤十字病院・福田病院などの「地域周産期母子医療センター」、地域で中核的な医療を担う「地域周産期中核病院」があります。
「熊本労災病院」は、緊急帝王切開手術などのハイリスクな出産に対応する、熊本県南(八代・球磨・芦北)で唯一の地域周産期中核病院に指定されていました。(2022年に人吉医療センターが分娩を休止)
産科医療では、急な出血リスクのある前置胎盤や、胎盤がはがれれば胎児や母体が危険な状態になる常位胎盤早期剥離など、急変するリスクの高い症例があり、身近なところに緊急搬送できる中核病院の存在が極めて重要です。
今回の熊本労災病院の産科休止は、母と子の命にかかわる重大な問題です。
3月末の産科休止ですらも、地域の開業医や地域住民、関係者から反対の声が上がっていたものを、なぜ2か月も前倒しで医師派遣をやめてしまったのか、熊大の対応にも疑問が持たれます。
一方で、熊本労災病院の産科休止後、同じく八代市内の「熊本総合病院」は、熊大からの派遣医師が増員され、婦人科が「産婦人科」へと拡充されました。
しかし、できたばかりの産婦人科ではハイリスク妊婦の受け入れが難しく、当面は熊本市内の病院への搬送で対応されます。
急変も考えられる妊産婦の救急搬送、熊本市内での受け入れでなく、熊本総合病院への医師増員が可能であったのならば、熊本労災病院への派遣を引き上げるのではなく、県南の中核病院である「熊本労災病院」の産科医療を守るべきではなかったでしょうか。
被害を被る、犠牲となるのは、胎児・新生児や母親です。
かけがえのない大切な命を守るために、熊大としても努力をすべきではなかったでしょうか。
産科医師の不足や高齢化・・・産科医療を守るためにも医師確保は急務
熊本県は、相対的に産科医師が少ない県です。しかも、減少しています。人口10万人対で、全国9.3人、熊本県7.8人
24時間体制が迫られる産科医療の現場では、医師の高齢化も進む中で、過労死ラインで働くような状況もあるように聞きます。
全国的にも、全体的にも医師不足は大きな問題ですが、産科医療においては、とりわけ深刻な医師不足の現状だと言わなければなりません。
それだけに、産科医療を守るうえで、県や熊大の役割は大きく、適切な判断と対応が求められると思います。
(熊本県の調査より)
母と子のいのちを守るためにも、みんなで考えるべき「熊本労災病院」の産科休止の問題
日常的な医療の中で、県南部の妊産婦が熊本市内まで救急搬送されるような状況を放置してはなりません。
開業医、住民、関係者、広く多くの人が一刻も早くこの状況を解決してほしいと訴えている今、県や熊大はその声を受け止め、安心の産科医療体制構築のために、最善の努力を払うべきです。
熊大が良識ある判断のもとに、熊本労災病院への医師派遣を再開することが求められます。
2024年3月末で産科を休止することが公表されていた八代市にある「熊本労災病院」は、休止予定を2か月前倒しで2024年1月末で産科が閉じられ、婦人科のみの診療になりました。
これまで熊大からの派遣医1名を含む2名体制の常勤医で医療に立っていましたが、熊大からの派遣が打ち切られることになり、常勤1名では現行医療を継続できないと、やむなく産科休止が決断されたものです。
県の「第7次保健医療計画」では、ハイリスクの妊娠に対応する熊本市民病院や熊本大学病院などの「総合周産期母子医療センター」、比較的高度な医療行為を提供する熊本赤十字病院・福田病院などの「地域周産期母子医療センター」、地域で中核的な医療を担う「地域周産期中核病院」があります。
「熊本労災病院」は、緊急帝王切開手術などのハイリスクな出産に対応する、熊本県南(八代・球磨・芦北)で唯一の地域周産期中核病院に指定されていました。(2022年に人吉医療センターが分娩を休止)
産科医療では、急な出血リスクのある前置胎盤や、胎盤がはがれれば胎児や母体が危険な状態になる常位胎盤早期剥離など、急変するリスクの高い症例があり、身近なところに緊急搬送できる中核病院の存在が極めて重要です。
今回の熊本労災病院の産科休止は、母と子の命にかかわる重大な問題です。
3月末の産科休止ですらも、地域の開業医や地域住民、関係者から反対の声が上がっていたものを、なぜ2か月も前倒しで医師派遣をやめてしまったのか、熊大の対応にも疑問が持たれます。
一方で、熊本労災病院の産科休止後、同じく八代市内の「熊本総合病院」は、熊大からの派遣医師が増員され、婦人科が「産婦人科」へと拡充されました。
しかし、できたばかりの産婦人科ではハイリスク妊婦の受け入れが難しく、当面は熊本市内の病院への搬送で対応されます。
急変も考えられる妊産婦の救急搬送、熊本市内での受け入れでなく、熊本総合病院への医師増員が可能であったのならば、熊本労災病院への派遣を引き上げるのではなく、県南の中核病院である「熊本労災病院」の産科医療を守るべきではなかったでしょうか。
被害を被る、犠牲となるのは、胎児・新生児や母親です。
かけがえのない大切な命を守るために、熊大としても努力をすべきではなかったでしょうか。
産科医師の不足や高齢化・・・産科医療を守るためにも医師確保は急務
熊本県は、相対的に産科医師が少ない県です。しかも、減少しています。人口10万人対で、全国9.3人、熊本県7.8人
24時間体制が迫られる産科医療の現場では、医師の高齢化も進む中で、過労死ラインで働くような状況もあるように聞きます。
全国的にも、全体的にも医師不足は大きな問題ですが、産科医療においては、とりわけ深刻な医師不足の現状だと言わなければなりません。
それだけに、産科医療を守るうえで、県や熊大の役割は大きく、適切な判断と対応が求められると思います。
(熊本県の調査より)
母と子のいのちを守るためにも、みんなで考えるべき「熊本労災病院」の産科休止の問題
日常的な医療の中で、県南部の妊産婦が熊本市内まで救急搬送されるような状況を放置してはなりません。
開業医、住民、関係者、広く多くの人が一刻も早くこの状況を解決してほしいと訴えている今、県や熊大はその声を受け止め、安心の産科医療体制構築のために、最善の努力を払うべきです。
熊大が良識ある判断のもとに、熊本労災病院への医師派遣を再開することが求められます。