9月7日より開催されていた定例の熊本市議会は、10月2日に閉会しました。
今回の議会には、通常の補正予算や条例等の議案のほかに、昨年度の決算状況が報告されました。
日本共産党市議団は、一般質問の機会がなかったので、予算決算委員会の総括質疑・締めくくり質疑、委員会での審議を通じて、熊本市政の問題点を指摘し、日頃市民のみなさまより寄せていただいている要求を実現する立場での意見を述べました。
私は、最終日に桜町再開発とMICE施設整備の問題点を指摘する質疑を行い、決算委対する意見を述べる討論を行いました。
決算の討論は、以下のとおりです。
議題246号平成26年度熊本市各会計(公営企業会計を除く)決算について、賛成できない理由を述べて、反対討論を行います。
第1に、市政史上最大のハコモノ建設となる「MICE施設整備」が強硬にすすめられた年度でありました。MICE施設が整備される桜町再開発には、桜町再開発会社に対し、基本設計ならびに資金計画・測量事業に2億95万円の事業費助成が行われました。
桜町再開発は、九州産交(HIS)が行う民間事業でありながら、資金計画を見ると総事業費約700憶円の6割以上434憶円を税金で負担するもので、老朽化した九州産交の社屋を税金で建替えるような事業です。しかも、65憶円もの補償費は、再開発によって撤退を余儀なくされた県民百貨店やセンタープラザテナントには出されず、支出先の基準やその積算も不透明です。再開発会社が運転資金として借り入れる122億円の借入金は、その約半分を熊本市が調達し、利子は市が負担、無利子で再開発会社に貸付けるもので、事業費だけでなく、運転資金も市が面倒を見る形です。
契約についても、「基本設計・実施設計等業務委託」の公募プロポーザルでは、1社の応募で競争性のない契約が行われおり、他の契約も銃殺情報すら公開されておらず、公に則った公正な契約というならば、すべての契約について予定価格・落札額・応札者など、入札状況を公開し、透明性のある公正な契約業務を行っていくべきです。
昨年秋に「商業計画・商業運営管理方針等策定業務」の委託事業者が決まりましたが、商業スペースの入居テナントの決定状況は未だ不透明です。多額の事業費を市が税金で負担するだけに、事業の内容や進捗状況など、詳細を市民へ説明し、合意形成を図るべきです。
昨年は、11月に市長選挙が行われ、年度途中で市長の交代となりました。450億円もの事業費を費やす桜町再開発事業については、新市長のもとで改めて事業の必要性等を検証し、市民にその是非を問うべきであったと思います。しかし、大西市長が行った精査・検討では、むしろ事業費は9億円もの増加となりました。しかも、市民に合意を求めるどころか、十分な情報提供も説明責任も果たされないまま、強硬に事業がすすめられており、再開発によって県民百貨店やセンタープラザが閉店となり、多くの失業者を生んでしまったことと合わせて、厳しく問われるべきであると考えます。
また、多くの市民が反対する中、年間30万人もの市民が利用し、桜町周辺の賑わいの拠点ともなっていた産業文化会館は完全に取り壊されました。しかし、産業文化会館の廃止解体は、裁判でも争われていますように、廃止解体に合理的理由があったのか、耐震補強ではなく、解体となったその根拠資料がきちんと議会に示されていなかったことも明らかになり、議会が適切な判断を下せる状況にあったのか、改めて疑義が出されていることは極めて重大な問題であります。その跡地につくられた花畑広場は、今後桜町地区の賑わいの拠点になっていくのか、イベントの無い日の閑散とした状況を見ると心配されます。しかも、11億円もの予算が使われる産文跡地の隣接買収は、建っている2棟のビルのうち、1棟は未だ入居者の立ち退きが行われておらず、とってつけたような広場整備の矛盾を象徴しているかのように見えます。いずれにしても、中心商店街との回遊性を目的に掲げながら、その効果が見られない城彩苑の現状も含め、市民合意のないムダづかいの数々が決算に賛成できない理由の第1です。
第2に、矛盾だらけのムダづかいの一方、市民からの切実な要求は置き去りです。
大型ハコモノのムダづかいのツケは、各局の公共施設の建設や維持・管理・補修費に直接影響しています。
教育委員会へ提出された小中学校等の修繕・維持管理に関する様々な要望では、
維持補修予算が査定により減額となったことで、なかなか応えられず、次年度へと要求が繰り越され、毎年同じ要求を繰り返すという状況があります。
政令指定都市移行によって、国県道の管理が市の仕事になりました。莫大な費用のかかる国県道管理のために、住民生活に密着した生活道路の整備費用の確保が難しく、昨年度は市民からの相談・要望のうち、78%にしか対応できませんでした。高規格となる外環道整備よりも、身近な生活道路の整備にこそ、予算を確保していくべきです。
長いものは開設して23年にもなる地域コミュニティーセンターは、3分の2が建設から10年以上経ち、修繕要求がいっぱいです。ところが、修繕費が足りないために、簡易な修繕ですらも数か月待ちという状態です。
市営住宅でも、未修繕の空き家は年々増え、昨年度500戸以上も残している状態で、畳替えや水回り、外壁など、必要な修繕に予算が追い付いていません。
アセットマネジメントが作成されていますが、施設の長寿命化のためにも、大型ハコモノより、暮らしに身近な各種インフラの維持管理補修費の拡充を強く要望いたします。
社会保障分野でも、特別会計では、国民健康保険会計が年度末の累積赤字20億円となりました。医療費等が増えたという要因もありますが、一般会計繰り入れの赤字補てん分が昨年に比べ減額になったこともあります。一方、負担の限界を超えた国民健康保険料は、所得200万円4人の標準的な世帯で比較した場合、政令市で高い方から2番目へと、政令市の中でもさらに負担が重くなりました。この間実施されてきた「国保会計健全化10カ年計画」昨年度末で終了しており、新たな形で国保財政が安定して運営できるような具体的な一般会計からの支援を速やかに実施すべきです。
受診率が低下しているがん検診については、早急に無料化を実施すること、敬老祝品を祝金へ変えること、福祉タクシーなど障がい者の移動支援の拡充や国保の鍼灸マッサージへの助成など、ムダづかいの陰で犠牲になっている各種社会保障制度の拡充も急がれる課題であると考えます。
第3に、大型ハコモノ優先の中で、住民サービスを切り捨てるような行財政改革も断行されてきました。職員数の抑制の中で、常勤職員は減らされ、身分の不安定な嘱託職員が次々に増やされ、官制ワーキングプアともいうべき実態が広がっています。加えて、経済分野では、企業誘致に力が入れられながら、実際には雇用は非正規が8割を占めるというような、住民の側から見るなら矛盾した雇用状況になっています。職員・労働者のモチベーションを高め、よりよい雇用と労働者の暮らし実現のためにも、熊本市自らが、非正規雇用を増やしていくような状況は改めていかなければならないと考えます。
また、行政改革の柱の一つでもある民間委託の推進は、昨年度新たに、公立保育園・1園が民営化され、動物愛護センター業務の一部民間委託、浄書業務の民間委託、森都心プラザの市民サービスコーナーの民間委託など、さまざまな分野で広がりました。これも、また民間に委ねることで不安定雇用を増やすことになるとともに、仕事のノウハウが積み重ならないこと、人材育成の面からもマイナスであるなど、問題はさらに深まるばかりです。
最後に、議員の不当な圧力が行政を歪めている問題は、市議会にとっても、行政にとっても大変由々しき問題です。昨年度、北口議員の暴言や圧力によって、食肉センター移転に係る契約が不成立に終わったことをはじめ、農業排水路等の工事がストップして、予算が次年度へと繰り越されてしまったこと、民間高齢者住宅の建築許可に係る問題でも不当に建築許可が遅れてしまったことなど、議員の不当な行いに行政が振り回され、結果的には、さまざまな分野において、速やかに行われるべき業務に支障が出てしまったことは、極めて重大です。今後、議会と執行部のゆがんだ関係が正されるとともに、市政に圧力をかけてきた議員本人についてもその責任が問われるべきであります。
以上、昨年度の決算について問題点を指摘し、反対討論といたします。
今回の議会には、通常の補正予算や条例等の議案のほかに、昨年度の決算状況が報告されました。
日本共産党市議団は、一般質問の機会がなかったので、予算決算委員会の総括質疑・締めくくり質疑、委員会での審議を通じて、熊本市政の問題点を指摘し、日頃市民のみなさまより寄せていただいている要求を実現する立場での意見を述べました。
私は、最終日に桜町再開発とMICE施設整備の問題点を指摘する質疑を行い、決算委対する意見を述べる討論を行いました。
決算の討論は、以下のとおりです。
議題246号平成26年度熊本市各会計(公営企業会計を除く)決算について、賛成できない理由を述べて、反対討論を行います。
第1に、市政史上最大のハコモノ建設となる「MICE施設整備」が強硬にすすめられた年度でありました。MICE施設が整備される桜町再開発には、桜町再開発会社に対し、基本設計ならびに資金計画・測量事業に2億95万円の事業費助成が行われました。
桜町再開発は、九州産交(HIS)が行う民間事業でありながら、資金計画を見ると総事業費約700憶円の6割以上434憶円を税金で負担するもので、老朽化した九州産交の社屋を税金で建替えるような事業です。しかも、65憶円もの補償費は、再開発によって撤退を余儀なくされた県民百貨店やセンタープラザテナントには出されず、支出先の基準やその積算も不透明です。再開発会社が運転資金として借り入れる122億円の借入金は、その約半分を熊本市が調達し、利子は市が負担、無利子で再開発会社に貸付けるもので、事業費だけでなく、運転資金も市が面倒を見る形です。
契約についても、「基本設計・実施設計等業務委託」の公募プロポーザルでは、1社の応募で競争性のない契約が行われおり、他の契約も銃殺情報すら公開されておらず、公に則った公正な契約というならば、すべての契約について予定価格・落札額・応札者など、入札状況を公開し、透明性のある公正な契約業務を行っていくべきです。
昨年秋に「商業計画・商業運営管理方針等策定業務」の委託事業者が決まりましたが、商業スペースの入居テナントの決定状況は未だ不透明です。多額の事業費を市が税金で負担するだけに、事業の内容や進捗状況など、詳細を市民へ説明し、合意形成を図るべきです。
昨年は、11月に市長選挙が行われ、年度途中で市長の交代となりました。450億円もの事業費を費やす桜町再開発事業については、新市長のもとで改めて事業の必要性等を検証し、市民にその是非を問うべきであったと思います。しかし、大西市長が行った精査・検討では、むしろ事業費は9億円もの増加となりました。しかも、市民に合意を求めるどころか、十分な情報提供も説明責任も果たされないまま、強硬に事業がすすめられており、再開発によって県民百貨店やセンタープラザが閉店となり、多くの失業者を生んでしまったことと合わせて、厳しく問われるべきであると考えます。
また、多くの市民が反対する中、年間30万人もの市民が利用し、桜町周辺の賑わいの拠点ともなっていた産業文化会館は完全に取り壊されました。しかし、産業文化会館の廃止解体は、裁判でも争われていますように、廃止解体に合理的理由があったのか、耐震補強ではなく、解体となったその根拠資料がきちんと議会に示されていなかったことも明らかになり、議会が適切な判断を下せる状況にあったのか、改めて疑義が出されていることは極めて重大な問題であります。その跡地につくられた花畑広場は、今後桜町地区の賑わいの拠点になっていくのか、イベントの無い日の閑散とした状況を見ると心配されます。しかも、11億円もの予算が使われる産文跡地の隣接買収は、建っている2棟のビルのうち、1棟は未だ入居者の立ち退きが行われておらず、とってつけたような広場整備の矛盾を象徴しているかのように見えます。いずれにしても、中心商店街との回遊性を目的に掲げながら、その効果が見られない城彩苑の現状も含め、市民合意のないムダづかいの数々が決算に賛成できない理由の第1です。
第2に、矛盾だらけのムダづかいの一方、市民からの切実な要求は置き去りです。
大型ハコモノのムダづかいのツケは、各局の公共施設の建設や維持・管理・補修費に直接影響しています。
教育委員会へ提出された小中学校等の修繕・維持管理に関する様々な要望では、
維持補修予算が査定により減額となったことで、なかなか応えられず、次年度へと要求が繰り越され、毎年同じ要求を繰り返すという状況があります。
政令指定都市移行によって、国県道の管理が市の仕事になりました。莫大な費用のかかる国県道管理のために、住民生活に密着した生活道路の整備費用の確保が難しく、昨年度は市民からの相談・要望のうち、78%にしか対応できませんでした。高規格となる外環道整備よりも、身近な生活道路の整備にこそ、予算を確保していくべきです。
長いものは開設して23年にもなる地域コミュニティーセンターは、3分の2が建設から10年以上経ち、修繕要求がいっぱいです。ところが、修繕費が足りないために、簡易な修繕ですらも数か月待ちという状態です。
市営住宅でも、未修繕の空き家は年々増え、昨年度500戸以上も残している状態で、畳替えや水回り、外壁など、必要な修繕に予算が追い付いていません。
アセットマネジメントが作成されていますが、施設の長寿命化のためにも、大型ハコモノより、暮らしに身近な各種インフラの維持管理補修費の拡充を強く要望いたします。
社会保障分野でも、特別会計では、国民健康保険会計が年度末の累積赤字20億円となりました。医療費等が増えたという要因もありますが、一般会計繰り入れの赤字補てん分が昨年に比べ減額になったこともあります。一方、負担の限界を超えた国民健康保険料は、所得200万円4人の標準的な世帯で比較した場合、政令市で高い方から2番目へと、政令市の中でもさらに負担が重くなりました。この間実施されてきた「国保会計健全化10カ年計画」昨年度末で終了しており、新たな形で国保財政が安定して運営できるような具体的な一般会計からの支援を速やかに実施すべきです。
受診率が低下しているがん検診については、早急に無料化を実施すること、敬老祝品を祝金へ変えること、福祉タクシーなど障がい者の移動支援の拡充や国保の鍼灸マッサージへの助成など、ムダづかいの陰で犠牲になっている各種社会保障制度の拡充も急がれる課題であると考えます。
第3に、大型ハコモノ優先の中で、住民サービスを切り捨てるような行財政改革も断行されてきました。職員数の抑制の中で、常勤職員は減らされ、身分の不安定な嘱託職員が次々に増やされ、官制ワーキングプアともいうべき実態が広がっています。加えて、経済分野では、企業誘致に力が入れられながら、実際には雇用は非正規が8割を占めるというような、住民の側から見るなら矛盾した雇用状況になっています。職員・労働者のモチベーションを高め、よりよい雇用と労働者の暮らし実現のためにも、熊本市自らが、非正規雇用を増やしていくような状況は改めていかなければならないと考えます。
また、行政改革の柱の一つでもある民間委託の推進は、昨年度新たに、公立保育園・1園が民営化され、動物愛護センター業務の一部民間委託、浄書業務の民間委託、森都心プラザの市民サービスコーナーの民間委託など、さまざまな分野で広がりました。これも、また民間に委ねることで不安定雇用を増やすことになるとともに、仕事のノウハウが積み重ならないこと、人材育成の面からもマイナスであるなど、問題はさらに深まるばかりです。
最後に、議員の不当な圧力が行政を歪めている問題は、市議会にとっても、行政にとっても大変由々しき問題です。昨年度、北口議員の暴言や圧力によって、食肉センター移転に係る契約が不成立に終わったことをはじめ、農業排水路等の工事がストップして、予算が次年度へと繰り越されてしまったこと、民間高齢者住宅の建築許可に係る問題でも不当に建築許可が遅れてしまったことなど、議員の不当な行いに行政が振り回され、結果的には、さまざまな分野において、速やかに行われるべき業務に支障が出てしまったことは、極めて重大です。今後、議会と執行部のゆがんだ関係が正されるとともに、市政に圧力をかけてきた議員本人についてもその責任が問われるべきであります。
以上、昨年度の決算について問題点を指摘し、反対討論といたします。