6月23日、市議会最終日に、「城南地域物産館」の指定管理者指定に関する問題点について、質疑を行いました。
【内容】
経済委員長報告に関連し、議題318号・城南地域物産館の指定管理者の指定について、委員会での論議を踏まえお尋ねいたします。
① 合併新市基本計画に位置づけられた「城南物産館」整備の目的や設置による効果についてご説明ください。
② 「物産館」整備を、城南町の地域の活力につなげるために検討してきた点について、具体的にご説明ください。
③ 今回の指定管理者制度導入にあたって、地域の団体による運営ができるような検討はされなかったのでしょうか。
④ 契約額は、4年半分で税込み・約872万円となっています。指定管理者の公募施設における人件費単価表に基づく人件費の積算内訳をお示しください。また、その金額がきちんと支払われるようなチェックはどのようになされるのでしょうか。
⑤ 地域の活力につながるべき事業なので、地元からの雇用にしていくべきと考えますが、この点についてはどのように取り組んでいかれるのでしょうか。
以上、市長にお尋ねいたします。
(答弁)
今回の指定管理者選定では、3事業者の応募があり、結果は旧熊本市内にある「九州総合サービス」、人材派遣やビル管理を主要業務とする事業者が選定されました。
そもそも、この城南地域物産館は、熊本市と城南町の合併新市基本計画に位置付けられた事業であります。新市基本計画では、まちづくりの基本理念に「住民一人ひとりの主体的な参画と協働、温かな出会いとふれあい」が掲げられ、地域住民の手によって「活気ある街づくり」をすすめていくことが、めざすまちの姿とされています。一般論でいう「地元農産物の積極的広報並びに販路拡大」あるいは、「農産物の流通」にとどまらず、新市基本計画に位置付けられた事業としての「地域コミュニティ」という視点が重要です。応募した3事業者のうち一つは、地域住民によって構成されたグループであった訳ですから、そこが担い手となって物産館を運営し、地域の特色を生かし、地域のニーズに合った事業を展開してこそ、新市基本計画に位置付けられた事業としての効果が得られるのではないでしょうか。答弁では、地域の活力と言いながら、その検討内容は全く一般論で、指定管理者制度においては公募が原則ということで、「地域」という点を考慮しない事業者の選定となっており、これでは、城南地域の振興と言いながら、2億円もの税金を使って、民間スーパーマーケットを建設したようなものではないでしょうか。地域コミュニティの視点を欠いた管理運営では、設置目的は果たせないと思います。
また、もう一つの問題は、指定管理者制度そのものにかかわる点です。答弁にありましたように、市が本市の指定管理者に係る「運用に関する方針」に基づき積算した人件費は10名分で約1億3100万円です。一方、選定された事業者が提案している人件費は当面10名、平成28年度から毎年1名ずつ増員するにもかかわらず1億700万円の人件費です。たくさん雇って少ない人件費、人件費単価は企業経営を図るうえでのものということですが、本来「公」がやる事業を民間にゆだねるとき、一番問題なのが、人件費が抑制されることです。しかも、地元からの雇用確保という点でも、事業者に地元雇用を期待するというにとどまっていますので、何のための物産館かと思います。そこで、お尋ねします。
第1に、本市の指定管理者制度の指針では、「地域住民が構成する団体に委ねる方が効果的な管理運営を行うことができる施設」を地域密着型施設として非公募としています。具体的には、地域コミセンや老人憩いの家、三山荘などがそういう形での運用となっています。「城南地域物産館基本計画」では、施設の基本コンセプトには、生き生きとした農業とコミュニティ空間ということが掲げられ、城南町農業振興のための物販拠点、地元住民・観光客の交流拠点、城南町の素材・技術の集積による特産品の開発拠点という3つを基本的な考え方にしています。これら、城南地域物産館の基本コンセプトや基本的考え方に沿った運営をしようとするならば、城南地域物産館も「地域住民が構成する団体に委ねる方が効果的な管理運営を行うことができる施設」として地域密着型の施設として地域の方々による運営こそ検討すべきではなかつたでしょうか。
第2に、杓子定規に公募したがために、地元でない事業者が選定され、地元の雇用を確保することが難しくなっています。仕様書の職員配置に「地元の雇用」という点を明記すべきではなかったでしょうか。コミュニティという場合、今回は特に、地域の顔が見えるという点が重要だと思うので、生産者の顔が見える地元産品が揃うとともに、交流拠点となる物産館には、地域の方々の顔が必要ではないかと思います。地元の雇用を期待するということにとどまらず、地元の方々が雇用されるような積極的な市の姿勢が必要ではないでしょうか。
第3に、本市の指定管理者に係る「運用に関する方針」に、人件費単価が示してある意味は、公の施設であるにもかかわらず、民間にゆだねた場合、そこに働く人の賃金や処遇がきちんと確保されない可能性があるからです。そういう意味で、市が仕様書において、正職員・常用パート合わせて10名と示したその人数や人件費については、適切に執行されるような市としてのチェックが必要ではないでしょうか。
以上3点、市長に伺います。
(答弁)
今回の城南地域物産館の指定管理の問題は、地域に貢献すべき施設でありながら、大事な運営を地域外に安易に委ねてしまったことに大きな問題があると思います。施設の持つ特色や位置づけをきちんと考えることなく、指定管理者制度を導入し、しかも地域の視点を欠いた公募で事業者を選定したことがいろいろな意味で矛盾をうんでいます。
私どもは、合併町との新市基本計画に様々な箱モノが計画されたときに、本当にそれを住民が必要としているのかという点を繰り返し指摘してきました。整備検討委員会では、城南町の委員から、物産館はもともと町の時代から計画のあったことと言われていましたが、城南町で建設したならば、地域外の事業者に運営をゆだねるようなことは、決してなかったはずです。今回の城南地域物産館は、地元・城南町の人たちが、自分たちの手で運営していきたいと、団体をつくり運営に手を挙げたにもかかわらず、それを排除し、地域外の民間企業に管理運営をさせたことは、新市基本計画の事業としては極めて不適切であるといわざるを得ません。結果的に、「ハコモノ先にありき」になってしまっています。建設された以上、地域コミュニティの拠点施設として、今回指摘した点を踏まえ、顔の見える、そしてそこに地域の人がやりがいを持って働けるような施設運営をしていただくことを要望して、質疑を終わります。
【内容】
経済委員長報告に関連し、議題318号・城南地域物産館の指定管理者の指定について、委員会での論議を踏まえお尋ねいたします。
① 合併新市基本計画に位置づけられた「城南物産館」整備の目的や設置による効果についてご説明ください。
② 「物産館」整備を、城南町の地域の活力につなげるために検討してきた点について、具体的にご説明ください。
③ 今回の指定管理者制度導入にあたって、地域の団体による運営ができるような検討はされなかったのでしょうか。
④ 契約額は、4年半分で税込み・約872万円となっています。指定管理者の公募施設における人件費単価表に基づく人件費の積算内訳をお示しください。また、その金額がきちんと支払われるようなチェックはどのようになされるのでしょうか。
⑤ 地域の活力につながるべき事業なので、地元からの雇用にしていくべきと考えますが、この点についてはどのように取り組んでいかれるのでしょうか。
以上、市長にお尋ねいたします。
(答弁)
今回の指定管理者選定では、3事業者の応募があり、結果は旧熊本市内にある「九州総合サービス」、人材派遣やビル管理を主要業務とする事業者が選定されました。
そもそも、この城南地域物産館は、熊本市と城南町の合併新市基本計画に位置付けられた事業であります。新市基本計画では、まちづくりの基本理念に「住民一人ひとりの主体的な参画と協働、温かな出会いとふれあい」が掲げられ、地域住民の手によって「活気ある街づくり」をすすめていくことが、めざすまちの姿とされています。一般論でいう「地元農産物の積極的広報並びに販路拡大」あるいは、「農産物の流通」にとどまらず、新市基本計画に位置付けられた事業としての「地域コミュニティ」という視点が重要です。応募した3事業者のうち一つは、地域住民によって構成されたグループであった訳ですから、そこが担い手となって物産館を運営し、地域の特色を生かし、地域のニーズに合った事業を展開してこそ、新市基本計画に位置付けられた事業としての効果が得られるのではないでしょうか。答弁では、地域の活力と言いながら、その検討内容は全く一般論で、指定管理者制度においては公募が原則ということで、「地域」という点を考慮しない事業者の選定となっており、これでは、城南地域の振興と言いながら、2億円もの税金を使って、民間スーパーマーケットを建設したようなものではないでしょうか。地域コミュニティの視点を欠いた管理運営では、設置目的は果たせないと思います。
また、もう一つの問題は、指定管理者制度そのものにかかわる点です。答弁にありましたように、市が本市の指定管理者に係る「運用に関する方針」に基づき積算した人件費は10名分で約1億3100万円です。一方、選定された事業者が提案している人件費は当面10名、平成28年度から毎年1名ずつ増員するにもかかわらず1億700万円の人件費です。たくさん雇って少ない人件費、人件費単価は企業経営を図るうえでのものということですが、本来「公」がやる事業を民間にゆだねるとき、一番問題なのが、人件費が抑制されることです。しかも、地元からの雇用確保という点でも、事業者に地元雇用を期待するというにとどまっていますので、何のための物産館かと思います。そこで、お尋ねします。
第1に、本市の指定管理者制度の指針では、「地域住民が構成する団体に委ねる方が効果的な管理運営を行うことができる施設」を地域密着型施設として非公募としています。具体的には、地域コミセンや老人憩いの家、三山荘などがそういう形での運用となっています。「城南地域物産館基本計画」では、施設の基本コンセプトには、生き生きとした農業とコミュニティ空間ということが掲げられ、城南町農業振興のための物販拠点、地元住民・観光客の交流拠点、城南町の素材・技術の集積による特産品の開発拠点という3つを基本的な考え方にしています。これら、城南地域物産館の基本コンセプトや基本的考え方に沿った運営をしようとするならば、城南地域物産館も「地域住民が構成する団体に委ねる方が効果的な管理運営を行うことができる施設」として地域密着型の施設として地域の方々による運営こそ検討すべきではなかつたでしょうか。
第2に、杓子定規に公募したがために、地元でない事業者が選定され、地元の雇用を確保することが難しくなっています。仕様書の職員配置に「地元の雇用」という点を明記すべきではなかったでしょうか。コミュニティという場合、今回は特に、地域の顔が見えるという点が重要だと思うので、生産者の顔が見える地元産品が揃うとともに、交流拠点となる物産館には、地域の方々の顔が必要ではないかと思います。地元の雇用を期待するということにとどまらず、地元の方々が雇用されるような積極的な市の姿勢が必要ではないでしょうか。
第3に、本市の指定管理者に係る「運用に関する方針」に、人件費単価が示してある意味は、公の施設であるにもかかわらず、民間にゆだねた場合、そこに働く人の賃金や処遇がきちんと確保されない可能性があるからです。そういう意味で、市が仕様書において、正職員・常用パート合わせて10名と示したその人数や人件費については、適切に執行されるような市としてのチェックが必要ではないでしょうか。
以上3点、市長に伺います。
(答弁)
今回の城南地域物産館の指定管理の問題は、地域に貢献すべき施設でありながら、大事な運営を地域外に安易に委ねてしまったことに大きな問題があると思います。施設の持つ特色や位置づけをきちんと考えることなく、指定管理者制度を導入し、しかも地域の視点を欠いた公募で事業者を選定したことがいろいろな意味で矛盾をうんでいます。
私どもは、合併町との新市基本計画に様々な箱モノが計画されたときに、本当にそれを住民が必要としているのかという点を繰り返し指摘してきました。整備検討委員会では、城南町の委員から、物産館はもともと町の時代から計画のあったことと言われていましたが、城南町で建設したならば、地域外の事業者に運営をゆだねるようなことは、決してなかったはずです。今回の城南地域物産館は、地元・城南町の人たちが、自分たちの手で運営していきたいと、団体をつくり運営に手を挙げたにもかかわらず、それを排除し、地域外の民間企業に管理運営をさせたことは、新市基本計画の事業としては極めて不適切であるといわざるを得ません。結果的に、「ハコモノ先にありき」になってしまっています。建設された以上、地域コミュニティの拠点施設として、今回指摘した点を踏まえ、顔の見える、そしてそこに地域の人がやりがいを持って働けるような施設運営をしていただくことを要望して、質疑を終わります。