上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

「城南地域物産館」の指定管理者制度の問題点

2014-06-24 21:01:44 | 議会活動
6月23日、市議会最終日に、「城南地域物産館」の指定管理者指定に関する問題点について、質疑を行いました。


【内容】

経済委員長報告に関連し、議題318号・城南地域物産館の指定管理者の指定について、委員会での論議を踏まえお尋ねいたします。
① 合併新市基本計画に位置づけられた「城南物産館」整備の目的や設置による効果についてご説明ください。
② 「物産館」整備を、城南町の地域の活力につなげるために検討してきた点について、具体的にご説明ください。
③ 今回の指定管理者制度導入にあたって、地域の団体による運営ができるような検討はされなかったのでしょうか。
④ 契約額は、4年半分で税込み・約872万円となっています。指定管理者の公募施設における人件費単価表に基づく人件費の積算内訳をお示しください。また、その金額がきちんと支払われるようなチェックはどのようになされるのでしょうか。
⑤ 地域の活力につながるべき事業なので、地元からの雇用にしていくべきと考えますが、この点についてはどのように取り組んでいかれるのでしょうか。
以上、市長にお尋ねいたします。

(答弁)

今回の指定管理者選定では、3事業者の応募があり、結果は旧熊本市内にある「九州総合サービス」、人材派遣やビル管理を主要業務とする事業者が選定されました。
そもそも、この城南地域物産館は、熊本市と城南町の合併新市基本計画に位置付けられた事業であります。新市基本計画では、まちづくりの基本理念に「住民一人ひとりの主体的な参画と協働、温かな出会いとふれあい」が掲げられ、地域住民の手によって「活気ある街づくり」をすすめていくことが、めざすまちの姿とされています。一般論でいう「地元農産物の積極的広報並びに販路拡大」あるいは、「農産物の流通」にとどまらず、新市基本計画に位置付けられた事業としての「地域コミュニティ」という視点が重要です。応募した3事業者のうち一つは、地域住民によって構成されたグループであった訳ですから、そこが担い手となって物産館を運営し、地域の特色を生かし、地域のニーズに合った事業を展開してこそ、新市基本計画に位置付けられた事業としての効果が得られるのではないでしょうか。答弁では、地域の活力と言いながら、その検討内容は全く一般論で、指定管理者制度においては公募が原則ということで、「地域」という点を考慮しない事業者の選定となっており、これでは、城南地域の振興と言いながら、2億円もの税金を使って、民間スーパーマーケットを建設したようなものではないでしょうか。地域コミュニティの視点を欠いた管理運営では、設置目的は果たせないと思います。
また、もう一つの問題は、指定管理者制度そのものにかかわる点です。答弁にありましたように、市が本市の指定管理者に係る「運用に関する方針」に基づき積算した人件費は10名分で約1億3100万円です。一方、選定された事業者が提案している人件費は当面10名、平成28年度から毎年1名ずつ増員するにもかかわらず1億700万円の人件費です。たくさん雇って少ない人件費、人件費単価は企業経営を図るうえでのものということですが、本来「公」がやる事業を民間にゆだねるとき、一番問題なのが、人件費が抑制されることです。しかも、地元からの雇用確保という点でも、事業者に地元雇用を期待するというにとどまっていますので、何のための物産館かと思います。そこで、お尋ねします。
第1に、本市の指定管理者制度の指針では、「地域住民が構成する団体に委ねる方が効果的な管理運営を行うことができる施設」を地域密着型施設として非公募としています。具体的には、地域コミセンや老人憩いの家、三山荘などがそういう形での運用となっています。「城南地域物産館基本計画」では、施設の基本コンセプトには、生き生きとした農業とコミュニティ空間ということが掲げられ、城南町農業振興のための物販拠点、地元住民・観光客の交流拠点、城南町の素材・技術の集積による特産品の開発拠点という3つを基本的な考え方にしています。これら、城南地域物産館の基本コンセプトや基本的考え方に沿った運営をしようとするならば、城南地域物産館も「地域住民が構成する団体に委ねる方が効果的な管理運営を行うことができる施設」として地域密着型の施設として地域の方々による運営こそ検討すべきではなかつたでしょうか。
第2に、杓子定規に公募したがために、地元でない事業者が選定され、地元の雇用を確保することが難しくなっています。仕様書の職員配置に「地元の雇用」という点を明記すべきではなかったでしょうか。コミュニティという場合、今回は特に、地域の顔が見えるという点が重要だと思うので、生産者の顔が見える地元産品が揃うとともに、交流拠点となる物産館には、地域の方々の顔が必要ではないかと思います。地元の雇用を期待するということにとどまらず、地元の方々が雇用されるような積極的な市の姿勢が必要ではないでしょうか。
第3に、本市の指定管理者に係る「運用に関する方針」に、人件費単価が示してある意味は、公の施設であるにもかかわらず、民間にゆだねた場合、そこに働く人の賃金や処遇がきちんと確保されない可能性があるからです。そういう意味で、市が仕様書において、正職員・常用パート合わせて10名と示したその人数や人件費については、適切に執行されるような市としてのチェックが必要ではないでしょうか。
以上3点、市長に伺います。

(答弁)

 今回の城南地域物産館の指定管理の問題は、地域に貢献すべき施設でありながら、大事な運営を地域外に安易に委ねてしまったことに大きな問題があると思います。施設の持つ特色や位置づけをきちんと考えることなく、指定管理者制度を導入し、しかも地域の視点を欠いた公募で事業者を選定したことがいろいろな意味で矛盾をうんでいます。
 私どもは、合併町との新市基本計画に様々な箱モノが計画されたときに、本当にそれを住民が必要としているのかという点を繰り返し指摘してきました。整備検討委員会では、城南町の委員から、物産館はもともと町の時代から計画のあったことと言われていましたが、城南町で建設したならば、地域外の事業者に運営をゆだねるようなことは、決してなかったはずです。今回の城南地域物産館は、地元・城南町の人たちが、自分たちの手で運営していきたいと、団体をつくり運営に手を挙げたにもかかわらず、それを排除し、地域外の民間企業に管理運営をさせたことは、新市基本計画の事業としては極めて不適切であるといわざるを得ません。結果的に、「ハコモノ先にありき」になってしまっています。建設された以上、地域コミュニティの拠点施設として、今回指摘した点を踏まえ、顔の見える、そしてそこに地域の人がやりがいを持って働けるような施設運営をしていただくことを要望して、質疑を終わります。




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MICE(桜町の3000人大会議場)整備の中止を!

2014-06-24 20:57:36 | 議会活動
6月23日、市議会最終日に、「桜町再開発への補助金支出とMICE整備の中止を求める請願」の賛成討論を行いました。

【内容】
請願第3号「桜町再開発への補助金支出とMICE施設整備の中止を求める請願」の賛成討論を行います。
 今議会での論議を通じ、改めて、桜町再開発事業やMICE整備に市が多額の税金を投入して強硬にすすめていくことの矛盾が明らかになってきたことを痛感します。
 請願では、1地権者の再開発事業への107億円の補助金支出をやめることが一番に挙げられています。私どものところに、「桜町再開発は、1民間企業の老朽化した自社施設の建て替えではないか。なぜそこに市民の税金を100億円以上も使わなければならないのか。」という意見がありました。市民の立場に立てば、これが率直な意見ではないかと思います。本会議で紹介しましたように、長野市では「市街地再開発事業等補助金交付要綱取り扱い要領」が定められ、補助採択の要件について具体的な点が明記されています。再開発事業を行う地権者の要件については、「法定再開発事業にあっては5人以上で構成されるものでなければならない。」と決められています。何度も申しますように、市街地再開発事業の基本は、「区域内の敷地の共同化」であり、複数地権者というのは大前提です。長野市が説明されているように、都市再開発法の趣旨に沿うならば、規則や要綱に複数地権者の規定を明記するのは当然のことです。「熊本市市街地再開発事業補助金交付規則」には、再開発事業者に対し、予算の範囲内で補助金を交付するという定めはあるものの、その基準について明確な定めはありません。本市の規則が不備であるということを大いに反省し、適切な補助金支出となるよう、規則の整備こそ、早急に行うべきです。
 また、もともと公共的な場所であるということから、九州産交が安く手に入れた土地を、企業的な会計処理によって莫大な資産価値を生み出し、その資産を活用する形で再開発事業を行い、地権者は1円もお金を出すことなく、所有する老朽化した資産をすべてリニューアルし、しかも新しくなった再開発ビルの床の処分や貸し出しによって、多額の売却益やテナント料、営業利益を得ていくのですから、目を見張るような儲け仕事です。しかも、総事業費523億のうち、400億円は税金でやるというのですから、誰もが「なぜ」と思ってしまうのは当然です。「住宅リフォーム助成制度」の議論では、個人資産の形成に税金を使うことはできないと繰り返しおっしゃる市長が、1民間企業の資産形成に多額の税金をつぎ込んで平気なのが、私には全く理解できません。請願の主旨を汲み、1民間企業の儲けのために107億円もの補助金を支出することは絶対にやめていただくことを強く要望します。
 請願の2点目、MICE整備の問題でも、福岡市を上回るような利用見通しが全く過大であることがはっきりしました。しかも、委員会での答弁にありましたように、MICE施設はずっと赤字で、黒字に転ずることはありません。今後5年間に400億円もの投資をし、その後借金返済と維持管理費で毎年25億円もの負担をし続けることになるMICE整備は、本市財政に大きな負担となることはまちがいありません。人口減少低成長の時代に向かい、今後、大幅な税収増が見込めない中、バブル期を上回る市政史上最大の投資となる大型ハコモノ建設をすすめることは、自殺行為に等しいと思います。しかも、MICE施設は、街のにぎわいを生み出す施設ではないので、中心市街地の活性化にも効果は期待できません。本市財政や市民生活にかかわる様々な施策への影響を考えるならば、400億円もの桜町再開発・MICE整備への税金投入はすべきでありません。市としてのMICE整備は中止すべきです。どうしても、MICE施設が必要であるのならば、市長が大好きな民間活力を、こういう時にこそ大いに生かして、大阪梅田のコングレなどを参考に民設民営の効率的なMICE施設を整備なさってはいかがでしょうか。赤字になる施設だから市が整備するというのは、誰も納得しないと思います。
 3点目は、市民への説明責任の問題です。本会議でも言いましたように、市政だより6月号の4ページ・5ページに大きく見開きで、桜町再開発事業とMICE施設整備が特集されました。再開発の全体イメージにしても、MICEの予想イメージにしても大変立派で、目を見張るような素晴らしい施設として紹介されていました。これについても、市民の方から声が寄せられました。「熊本城と庭続き・まちの大広間はとても立派ですが、市民の税金をいくら使うのか、一言も書いてありませんね」というものでした。補助金や整備費に市民の税金を400億円使うと説明すると、ビックリされていました。税金をいくら使うか言わないで、こんな立派なものをつくります、実際にできたら、借金のツケは皆さんの負担ですでは、詐欺にあった気分です。
 今でも、少なくない市民の方々が「MICEって何のことですか」と聞かれます。帳面消しのような説明会で済まし、400億円もの税金を使う桜町再開発とMICEについて、多くの人が理解しないまま事業がすすめられています。大変問題です。
いよいよ再開発事業は、都市計画決定が済んで、事業認可へと向かっています。
大阪・堺市では、すでに都市計画決定されていた堺東中瓦町2丁地区第1種市街地再開発事業が、組合設立に係る認可申請の際、内容が慎重に精査された結果、再開発の保留床取得によるホール整備が断念され、再開発が不認可となったことを紹介しましたが、熊本市のMICE計画も、多額の税金が使われ、再開発ビルに入居することで整備費が高くなり、莫大な財政負担となること、一方で、施設設計上も様々制約があること、また利用見通しは過大で、中心市街地活性化の効果もあいまいなこと、そして地元企業を追い出し、1400人の雇用を奪ってしまうなど、多くの問題を抱えながら、市民に対してはまともな説明がなされていないことなど、あらゆる面で、問題点と矛盾を残したままです。まともに、事業を精査するならば、とても事業認可のできる状況ではありません。請願の主旨を汲んで、速やかにMICE整備を中止していただくことを要望するとともに、この請願に議員各位のご賛同を賜りますこともお願い致しまして、賛成討論といたします。



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