新型コロナは、あらゆるところに影響を与えていますが、とりわけ社会的弱者にしわ寄せは大きなものがあります。
「ステイホーム」と言われても、ステイできる家がなかったり、家はあっても虐待やDVなどで居場所がなかったり…。こうした視点を徹底的に大事にすることが重要だと思います。
また、子どもたちへの影響も大きなものがあります。その影響をどう見るのか、どう考えればいいのかという指針の一つが国連子どもの権利委員会が出した、「新型コロナ感染症(COVID-19)に関する声明」です。(全文はコチラ→https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/childrights/attach/327/36/CRC%20Committee%20on%20COVID19%20Japanese.pdf)
■子どもの権利を保護すること
冒頭、「子どもの権利委員会は、COVID-19パンデミックが子どもたちに及ぼす重大な身体的、情緒的および身体的影響について警告するとともに、各国に対し、子どもたちの権利を保護するよう求める」と、声明の趣旨が書かれています。
以下、11のパラグラフ項目を転記します。
- 今回のパンデミックが子どもの権利に及ぼす健康面、社会面、情緒面、経済面およびレクリエーション面の影響を考慮すること。
- 子どもたちが休息、余暇、レクリエーションおよび文化的・芸術的活動に対する権利を享受できるようにするための、オルタナティブかつ創造的な解決策を模索すること。
- オンライン学習が、すでに存在する不平等を悪化させ、または生徒・教員間の相互交流に置き換わることがないようにすること。
- 緊急事態、災害またはロックダウンの期間中、子どもたちに栄養のある食事が提供されるようにするための即時的措置を起動させること。
- 子どもたちへの、保健ケア、水、衛生および出生登録を含む基礎的サービスの提供を維持すること。
- 子どもの保護のための中核的サービスを必須サービスに位置づけ、これらのサービス(必要な場合の家庭訪問を含む)が機能し続けかつ利用可能とされ続けることを確保するとともに、ロックダウン下で暮らしている子どもたちに対し、専門家による精神保健サービスを提供すること。
- パンデミックが引き起こす例外的状況によって脆弱性がいっそう高まる子どもたちを保護すること。
- あらゆる形態の拘禁下に置かれている子どもたちを可能な場合には常に解放するとともに、解放することのできない子どもたちに対し、家族との定期的接触を維持するための手段を提供すること。
- COVID-19 に関連する国の指導および指示に違反したことを理由とする子どもの逮捕または拘禁を行なわないようにする。
- COVID-19 および感染予防法に関する正確な情報を、子どもにやさしく、かつすべての子ども(障害のある子ども、移住者である子どもおよびインターネットへのアクセスが限られている子どもを含む)にとってアクセス可能な言語および形式で普及すること。
- 今回のパンデミックに関する意思決定プロセスにおいて子どもたちの意見が聴かれかつ考慮される機会を提供すること。子どもたちは、現在起きていることを理解し、かつパンデミックへの対応の際に行なわれる決定に参加していると感じることができるべきである。
■オンライン学習について言及している
3項目目のオンライン学習についてです。このパラグラフの全文は下記の通りです。
オンライン学習が、すでに存在する不平等を悪化させ、または生徒・教員間の相互交流に置き換わることがないようにすること。オンライン学習は、教室における学習に代わる創造的な手段ではあるが、テクノロジーもしくはインターネットへのアクセスが限られているもしくはまったくない子ども、または親による十分な支援が得られない子どもにとっては、課題を突きつけるものでもある。このような子どもたちが教員による指導および支援を享受できるようにするための、オルタナティブな解決策が利用可能とされるべきである。
これは、非常に重要な指摘だと私は思います。
実際にオンライン授業を行った事例をみても、一長一短があることは指摘されています。
声明が「生徒・教員間の相互交流に置き換わることがないようにすること」と警鐘を鳴らしていることをしっかりと捉える必要がると思います。
年度末から学校が休校になり、卒業式など一年間を振り返る機会がありませんでした。また、年度開始で入学式のみ行った学校や入学式もまだの学校など、新しい学年のスタートを切れていないもとで、心配している子ども(保護者)が多いことも事実です。
個人的には、登校が困難な場合など、オンラインで顔合わせや近況を交流できる機会をつくることは大事だと思います。
■意見を聞かれることが重視される
今回のパンデミックに関する意思決定プロセスにおいて子どもたちの意見が聴かれかつ考慮される機会を提供すること。子どもたちは、現在起きていることを理解し、かつパンデミックへの対応の際に行なわれる決定に参加していると感じることができるべきである。
子どもの権利条約の根幹である意見表明権。
条約12条は、2つの項目からできています。
- 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
- このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。
今回の新型コロナの対応は「児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に意見を表明する」ことがどれだけ確保されたのでしょうか。子どもたちの意見がどれだけ聞かれたのかは重要です。
今回の声明の中では、意見を聞かれる機会、起きていることの理解、決定に参加していると感じることの3つがポイントになっています。
日本では、日常的に意見を聞かれる機会が極めて乏しいことがこうした場面でも問われています。
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