飄(つむじ風)

純粋な理知をブログに注ぐ。

国民の借金? 国民の資産=国の借金

2009-11-18 13:20:21 | 社会・経済

国の財政破綻は即、国民の借金であろうか?
国民の資産でもある国の借入金は、
国民監視の上、国民資産として
有効活用すれば済むだけの話ではないか?!



 これほどのパラドックスはない。下記の記事でも分かるように、債権者と債務者の取り違えが、本来債権者である国民の判断力を狂わして、自虐思考に陥らせてしまっている。


 本来、債権者である国民は、国家に対して債権者請求権を行使して当然である。つまり、行政の機能、事業の見直し、国家経営の効率化を請求監視する権能が付与されている当然であるが、それをしてこなかった。あるいはそれが出来ないと勘違いをさせられている。

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 これが『国民の借金』という意識の刷り込みが、メディアを使って大々的に推し進められている。そうではない。『国の借金=国民の資産』なのである。


 であるから、国は借金を減らすために、民営化をするというが、それは真っ赤なウソであって、民営化することによって国の資産が目減りすることを意味する。そうであってはならない。国の資産が目減りすれば、国民の債権は実質的に回収不可能になることを意味する。


 郵政民営化は、高速道路民営化は莫大な資産が、国から民間に移動したことを意味する。未だその経営権である株は、国有であるから国の資産であるとも言えなくもないが、一旦売り払われてしまえば、実質的にも民間のものになる。その民間たるや一部の利権企業に株を取得されてしまえば、一企業にその莫大な資産が移動し、その他一般国民の債権は大幅に回収不可能になると言うことである。


 そればかりではない。ゆうちょ銀行などは、大量の国債を引き受けている。勿論、原資は一般国民の積立金であるから、間接的に一般国民の債権には違いないが、その管理は株を取得した一企業に委ねられてしまう。もしも、その株が外資の手に渡ったら、実質的に外債となる。これが危険と言わずして何が危険と言えよう。


 その魂胆が、民営化の本質である。


 日本高速道路株式会社の莫大な不動産資産も、その経営権を委ねた株主のものとなり、株主が外資であれば、外国資産となるのであって、国に対する債権者たる国民は債権回収の手だてを失うこととなる。


 これは何としても阻止しなければならない。阻止する有効な手だては、第一に国民の意識が、債務者意識から、債権者意識に転換することを要する。


 債権者なら誰しも、債務者の破綻を怖れる。それは債権回収を不能にしてしまうからである。その意味で、国を破綻させてしまうと言うことは、国民の債権を回収不能してしまうことに繋がる。その意味で国の財政破綻を防止しなければならないと言うことになる。


 その時、肝要なことは単年度の収支勘定では足らない。長期の収支勘定はもとより、資産勘定を加味する必要がある。ところが予算・決算は収支勘定だけである。資産勘定の公開はない。いわゆる資産表が不可欠である。


 国の収入は言うまでもなく、直営事業か税収しかない。いずれもその増減は経済の規模に由来する。税率は二義的なものである。経済成長なくして増収はない。このことは植草先生の慧眼に委ねるとしても、現今の資本主義経済は、インフレ・デフレの思惑に左右される。実体経済といえどもその埒外にない。


 デフレ圧力の経済状況下に於いて、増税(税率アップ)は問題外であることは、誰にでも解る。殖産興業しかないのである。そのための資本は増強されなくてはならない。資本とは現行の資本財と資金である。資金とは通貨である。大幅な通貨サプライを強化する必要は言うまでもない。


 国債発行はやむを得ないと考えるべきである。それは財政出動がやむを得ないと言うことであって、それが確実に内需拡大に繋がるようにする必要がある。間違っても金融投機経済に注ぎ込まれることの内容に配慮されなくてはならない。そして、実体経済は真に活況を呈する手段を講じなければならない。


 そして、債権者であるところの国民が賢明に働くことを務めれば、債権による利息は入るは、労働収入は増加するは、悪いことはないはずである。その内、税収は高進して国債返済もスムーズに進み、好循環が生まれるのは自然である。


 それを阻害する要因は、利権と売国、そして、過度にまで進展した金融投機経済を規制する以外にない。何よりも国民意識を、債務者意識から債権者意識に転換し、健全な資産管理を国民主権に取り戻す必要がある。

 この後、予算問題でさらに国債問題が俎上に上がり、新政権攻撃が強まると考えられるので敢えて、正論(?)を提起してみた。

 

国民の借金  <時事方言より転載>                   

経済シンクタンク HARVEYROAD JAPANの「日本の借金時計」が刻々と増え続ける国の借金総額数を表示しています。
2009年11月5日午前9時57分現在の国の借金総額は804兆3,236億2,922万円です。
本年5月の日本の人口確定値は1億2,752万9,000人ですから国民一人当たりに換算すると約630.7万円となります。ご苦労の末「日本の借金時 計」をお作りになった経済ジャーナリストの財部誠一氏によりますと、国の借金は毎年29兆円のペースで増えているそうです。
11月4日菅直人副総理、国家戦略担当相が平成22年度の新規国債発行額が44兆円を超える可能性があると話し、また22年度予算が100兆円規模になり そうだということから「国民の借金」という言葉がテレビや新聞に盛んに報道されることになりました。いずれも「国民1人当たりの借金がやがて640万円に なる」と言い、「子供が産まれたとたんに640万円の借金を背負わされる」などとセンセーショナルな報道になっています。
実はこれと同じことが報道される度に私は本誌でご注意を申しあげてまいりました。
日本の国債の保有者は他の国々とまったく異なり、ほぼ100%が日本の国民なのです。たとえばアメリカの国債は日本や中国を中心に発行額の50%以上は外 国勢に持たれています。日本の場合はお父さんがお祖父さん、お祖母さん、奥さん、子供等から借金しているのと同じです。アメリカのようにお隣さんから借り て返済不能になると自宅を差し押さえられるリスクがありますが、日本ではお父さんの名義になっている家に家族みんなで住んでいるので、お父さんが家族に返 済しないといってお父さんを除く家族が自宅を差し押さえても仕方がありません。すなわち日本の国の借金は対外的リスクがゼロなのです。だから今日のように 世界的不況の時は何処の国のモノでも買えるアメリカのドル(基軸通貨)と、まったく安全な日本の円を世界が保有しようとするのでドルと円が上がるのです。
さて、日本の国の借金である国債はすべて日本の国民が持っているのですから日本の国民は「国の借金」の貸主であり「国の債権者」です。
では、日本の国の債権者である国民と債務者である国について国会ではどんなことになっているのでしょうか。
今日までの累積赤字を作ってきた自民党代表:「鳩山総理、今生まれたばかりの子供にまで640万円の借金を背負わせるような不健全な財政政策をどうお考えですか」。
鳩山総理大臣:「あなたにだけは言われたくありません」。
驚くべきことは、自民党も民主党もマスコミも国民も、「日本では子供がオギャーと産まれたその瞬間から640万円もの債権者になれる」という「すばらしい事実」を知らず、まったく事実に反する逆を信じているのです。(信じていることになっている)
国の政治は国民のためですから、国は赤字国債を発行し続けて国民に国債の利息を払い続けているのです。借金大国のアメリカの国債発行額のGDP比は50% プラスです。日本は166%!人類の歴史上これほど借金した国は日本だけです。だから日本人(日本の国民)は世界一金持ちで、世界中の羨望の的なのです。
日本の国の借金を国民の借金だなどという間違いを知っていながら囃している者と、本当に間違いを知らない者が存在している事実をお忘れなく。
あなたがAさんから100万円借りました。どう考えてもこの先返せません。でもさらにAさんから借金をしなくてはなりません。さあ、あなたはどうします か。なんとしてもAさんの債権者意識をなくすことです。マスコミや国会や評論家の合唱でAさんに暗示を掛け債権者意識を債務者意識に転換させることです。 これ以外にあなたはAさんに借金を返済せずAさんから永遠に金を借り続けることは出来ないのです。おわかりになりましたか。》


【転載開始】2009年11月17日 (火)

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第2次補正予算規模をめぐる論議への提言

 鳩山政権は11月17日午前の閣議で追加経済対策を盛り込む2009年度第2次補正予算編成の指針を決めた。景気の「二番底」懸念が強まる中、重点分野として雇用、環境、景気の三つを位置付け、2010年度予算と一体的に「15カ月予算」として編成する。ただし、補正予算の規模については、閣僚間の意見集約が進まず、結論を持ち越した。

補正予算の規模については菅直人国家戦略担当相が2兆7000億円の規模を示唆したが、亀井静香金融相がより大規模な対策を求めたため、決定が先送りされた。

2010年度にかけて、鳩山政権最大の難問は経済政策である。

日本経済の先行き再悪化懸念が強い一方で、日本の財政バランスが極端に悪化したことがその背景である。

ただし、問題を考察する前に確認しなければならないことは、鳩山政権が発足する時点ですでに日本の財政バランスが極度に悪化していたとの事実である。

日本の国家財政=一般会計においては、財政赤字の代表的指標である国債発行額が2008年度当初予算において25.3兆円にまで減少した。緩やかな経済改善が持続し、税収が増加したことが財政赤字減少の主因だった。

と ころが、「100年に1度の金融津波」が世界経済を覆い、日本経済も戦後最悪の経済状況に陥った。この経済危機に対応して麻生政権は巨大な財政政策を発動 した。経済対策の内容については、不要不急の支出が多く含まれており、強い批判が生じたが、いずれにしろ巨大な景気対策が発動された。

2009年度は本年4月に始まった年度だが、2009年度財政は鳩山政権が発足した2009年9月の段階で、極度に悪化していたのである。

麻生政権は88.5兆円規模、国債発行金額33.3兆円の2009年度当初予算を編成した。税収見積もりは46.1兆円だった。2008年度当初予算よりも国債発行金額が8兆円も多い予算だった。

この2009年度予算に対して、麻生政権は年度当初に超大型14兆円規模の補正予算を編成したのである。予算規模は102.5兆円に拡大した。国債発行金額は44.1兆円に拡大した。

と ころが、事態の悪化はこれだけでは済まなかった。46.1兆円と見積もられた税収の達成が絶望視されているのだ。2009年度税収は40兆円を割り込む可 能性が高いと見られている。仮に税収見積もりが38兆円に下方修正されると、8兆円の歳入不足が発生する。この歳入不足は埋蔵金か国債発行で賄われざるを 得ない。

国債発行で賄われると国債発行金額は51兆円に達し、税収の38兆円をはるかに上回る金額になる。

102.5兆円の予算規模、38兆円の税収、51兆円の国債発行金額が2009年度の日本財政の姿になる。この数値は衝撃的なものである。102.5兆円の暮らしをするのに、38兆円しか基礎収入がないのだ。51兆円が借金で賄われる。

鳩山政権打倒を狙うマスメディアは、日本財政の劇的悪化を鳩山政権の責任に帰すような偏向報道を展開することになるだろう。

しかし、現実はまったく違う。102.5兆円の財政規模、38兆円の税収、51兆円の国債発行は鳩山政権が生み出したものではなく、麻生政権が生み出したものであるからだ。

鳩山政権はまずこの事実を国民に周知させる必要がある。問題はこの劇的に悪化した2009年度財政が現存するという現実を踏まえて、鳩山政権が次にどのように対応するのかである。


2009年度補正予算のうち、鳩山政権は3兆円の執行を凍結させた。したがって、鳩山政権が凍結した3兆円を2009年度には支出しないことを決定すれば、2009年度の国債発行金額を51兆円とせずに48兆円に留めることができる。

しかし、日本経済の再悪化懸念が強いため、鳩山政権は凍結した3兆円を、2009年度第2次補正予算の財源に充てて、景気対策を実行する方針を固めたのである。これでも、この施策を実行すれば2009年度の国債発行額は51兆円になってしまう。

亀井静香金融相は日本経済再悪化懸念が強いことを踏まえて、2009年度第2次補正予算の規模を拡大するべきだと主張している。亀井金融相の景気再悪化懸念は理解できる。

しかし、問題を考察するにあたってより重要な視点がある。それは、2009年度補正予算だけでなく、2010年度当初予算を中心とする2010年度の財政政策が日本経済再悪化の引き金を引かないように配慮することである。

2009 年度予算は麻生政権の14兆円の補正予算編成により急拡大している。この2009年度予算をさらに拡大させる場合、2010年度当初予算を劇的に拡大させ ないと、2010年度予算が日本経済に対して強度のデフレ効果を与えることになる。この事態を避けなければならない。

つまり、追加の景気対策を考えるなら、2009年度補正予算ではなく、2010年度当初予算での措置を検討するべきである。

2009年度予算は第一次補正後で102.5兆円規模に拡大し、国債発行金額は51兆円に達する情勢にある。これに対して、仙谷由人行政刷新相は2010年度当初予算規模を92兆円にとどめ、国債発行金額を44兆円以下に抑制する方針を示している。

こ のまま2010年度当初予算が編成されると、2010年度予算は日本の2010年度GDP成長率を1.5%ポイントから2.0%ポイントも低下させる影響 を発揮してしまうことになる。1997年度の橋本政権、2001年度の小泉政権による日本経済崩壊の失敗が繰り返される可能性が濃厚になる。

したがって、日本経済の再悪化を防止するには、2009年度の大型補正予算追加よりも、2010年度当初予算を景気抑制予算にしないことが重要である。

マ スメディアは2010年度予算編成で国債発行額が44兆円を超えることや予算規模が2009年度当初予算の88.5兆円を大幅に上回ることを、「財政規律 が失われる」と騒ぎ立てるだろう。しかし、財政の経済への影響を考察する際には、財政規模や国債発行金額の前年比増減が何よりも重要な尺度になる。 2009年度第一次補正後の段階で予算規模が102.5兆円に膨張し、国債発行金額が実質的に51兆円に増大している現実を踏まえなくてはならない。

2009年度予算が麻生政権の巨大補正予算によって拡張されてしまった以上、この2009年度補正後予算を発射台として見なさざるを得ないのである。2009年度当初予算を発射台として論議を進めることが経済破壊の大きな誤りを生み出す元凶になる。

一般国民はマスメディアのヒステリックな「鳩山政権が財政規律を喪失した」とのプロパガンダ報道に影響を受けやすい。この弊害を除去するには、政府が財政状況悪化の原因と今後の経済政策の適切な対応について、きめ細かい広報を展開する必要がある。

鳩山政権は日本経済の崩壊回避と、マスメディアによる鳩山政権批判の両方に対応しなければならないのである。この意味で、鳩山政権が直面する課題は極めて困難なものであると言わざるを得ないが、その困難を乗り越えなければならない。【転載終了】