月(1990年3月12日・上関) テンペラ・油彩 25号M 2008年 中村晋作
炉心予定地からみた月と海
9月22日、映画『ミツバチの羽音と地球の回転』の上映会に行った。監督の鎌仲ひとみの、原発建設に反対する祝島を舞台としたドキュメンタリーだ。山口県を離れて五年あまり、遠い宮古島、日本最西端と称する映画館で観るとは思わなかった。
上関原発のことについてはこのブログにも幾度か書いた。映画の感想はいろいろあるが、なかに祝島のリーダー、山戸貞夫氏の「われわれには原発は止められない。ただ一日でも長く引き延ばすことはできる。その間に原発のいらない社会にならなければ」という言葉があった。そのきっかけがこんどの震災と東電事故というのではあまりに悲しい話だが、それはまさに辺野古、高江ヘリパッドの闘いと同じではないか。
今回の福島第一原発の事故で、政官財、そしてメディアが一体となって国策遂行にあたっていることがあからさまになった。司法もそのほかではない。
この映画の撮影は2009年以前のようだが、その後、中国電力は原発反対派住民に、工事の妨害に対して4800万円の賠償を求めて提訴した。2010年3月31日に、山口地裁は、反対派による沖合埋立工事等の妨害を禁じ、妨害をした場合は1日当たり500万円の支払いを命じる決定を出した。今となって、その決定を下した裁判官はどんな気持ちだろう。
東電事故後、はじめて知ったことだが、反原発志向の人はみんな「左翼」なんだそうだ。この期に及んでもデモでもすれば見せしめに袋叩きにされ、逮捕される。民衆が本当のことを知り、行動を起こすことはそれほど怖いことなのだろう(普)