今日の「お気に入り」は、伊良子清白(1877-1946)の詩「安乗(あのり)の稚児」。
志摩の果(はて)安乗の小村(こむら)
早手風岩をどよもし
柳道木々を根こじて
虚空(みそら)飛ぶ断(ちぎ)れの細葉
水底(みなぞこ)の泥を逆上げ
かきにごす海の病(いたづき)
そゝり立つ波の大鋸(おほのこ)
過(よ)げとこそ船をまつらめ
とある家(や)に飯(いひ)蒸(むせ)かへり
男(を)もあらず女(め)も出(い)で行(ゆ)きて
稚児ひとり小籠に坐り
ほゝゑみて海に対(むか)へり
荒壁の小家一村
反響(こだま)する心と心
稚児ひとり恐怖(おそれ)をしらず
ほゝゑみて海に対へり
いみじくも貴き景色
今もなほ胸にぞ跳る
少(わか)くして人と行きたる
志摩のはて安乗の小村
志摩の果(はて)安乗の小村(こむら)
早手風岩をどよもし
柳道木々を根こじて
虚空(みそら)飛ぶ断(ちぎ)れの細葉
水底(みなぞこ)の泥を逆上げ
かきにごす海の病(いたづき)
そゝり立つ波の大鋸(おほのこ)
過(よ)げとこそ船をまつらめ
とある家(や)に飯(いひ)蒸(むせ)かへり
男(を)もあらず女(め)も出(い)で行(ゆ)きて
稚児ひとり小籠に坐り
ほゝゑみて海に対(むか)へり
荒壁の小家一村
反響(こだま)する心と心
稚児ひとり恐怖(おそれ)をしらず
ほゝゑみて海に対へり
いみじくも貴き景色
今もなほ胸にぞ跳る
少(わか)くして人と行きたる
志摩のはて安乗の小村