
今日の「お気に入り」は、吉田兼好「徒然草」第百八十八段の一節です。中野孝次著「すらすら読める徒然草」からの引用です。
「されば、一生のうち、むねとあらまほしからんことのうちに、いづれかまさるとよく思ひくらべて、第一のことを案じ定めて、
そのほかは思ひ捨てて、一事を励むべし。一日のうち、一時のうちにも、数多のことの来らんなかに、少しも益のまさらんこと
を営みて、そのほかをばうちすてて、大事を急ぐべきなり。いづかたをもすてじと心にとりもちては、一事も成るべからず。」
中野孝次さんの現代語訳はこうです。
「だから、一生のうちで、主にこれをやってみたいと思うことがいくつかあったら、そのうちどれが大事かをよくよく考え較べて
みて、これが第一と思うものを決めて、ほかのことはすべて思い捨てて、その一事にはげまねばならない。一日のうち、一時の
うちにも、さまざまのことが起るだろうが、その中で少しでも価値のあることを行い、それ以外のことは捨ててしまい、自分の
大事を為さねばならない。どれをも捨てまいと欲を出したのでは、一事だに成就しないであろう。」
「『閑』のある生き方」の中で、中野孝次さんは、同じところをこんな風にも訳しておられます。
「だから、一生かけてしようと思う事で、何よりもこんなことをしたいものだということがいくつもあったら、その中でどれが
自分は本当にしたいのかとそれらをよくよく較べ、検討した上で、これが何より第一だというものをしっかり思い定めよ。そして
ひとたびそうと決めたら、そのほかのことは全部捨てて、その一事に励むがいい。一日が経つうち、いや一時が経つうちにも、
いろんなことが君に襲いかかってくることだろうが、それらの中で少しでも自分の思い定めたことに役立つものを選んで行い、
そのほかは全部捨てて、とにかく君が大事とすることを急ぐべきだ。あれもこれも、どれも捨てまいと執着していたのでは、
一つの事でも為しとげるのはおぼつかないぞ。」
「徒然草」の同じ段に次のような一節もあります。1月4日付けのBLOGの中に記した文章です。中野孝次さんの現代語訳と
ともに再録します。
「一事を必ずなさんと思はば、他のことの破るるをも傷むべからず。人の嘲りをも恥づべからず。万事に換へずしては、一の
大事なるべからず。」
「一事を成し遂げようと真に思ったら、それ以外のことが全部瓦解しても苦にすべきでない。人に嘲られても恥ずべきではない。
他のすべてと引き換えでなければ、一つの大事は成らないのだ。」
二十代、三十代の若い人たちにこそ是非読んで貰いたい一節です。
「されば、一生のうち、むねとあらまほしからんことのうちに、いづれかまさるとよく思ひくらべて、第一のことを案じ定めて、
そのほかは思ひ捨てて、一事を励むべし。一日のうち、一時のうちにも、数多のことの来らんなかに、少しも益のまさらんこと
を営みて、そのほかをばうちすてて、大事を急ぐべきなり。いづかたをもすてじと心にとりもちては、一事も成るべからず。」
中野孝次さんの現代語訳はこうです。
「だから、一生のうちで、主にこれをやってみたいと思うことがいくつかあったら、そのうちどれが大事かをよくよく考え較べて
みて、これが第一と思うものを決めて、ほかのことはすべて思い捨てて、その一事にはげまねばならない。一日のうち、一時の
うちにも、さまざまのことが起るだろうが、その中で少しでも価値のあることを行い、それ以外のことは捨ててしまい、自分の
大事を為さねばならない。どれをも捨てまいと欲を出したのでは、一事だに成就しないであろう。」
「『閑』のある生き方」の中で、中野孝次さんは、同じところをこんな風にも訳しておられます。
「だから、一生かけてしようと思う事で、何よりもこんなことをしたいものだということがいくつもあったら、その中でどれが
自分は本当にしたいのかとそれらをよくよく較べ、検討した上で、これが何より第一だというものをしっかり思い定めよ。そして
ひとたびそうと決めたら、そのほかのことは全部捨てて、その一事に励むがいい。一日が経つうち、いや一時が経つうちにも、
いろんなことが君に襲いかかってくることだろうが、それらの中で少しでも自分の思い定めたことに役立つものを選んで行い、
そのほかは全部捨てて、とにかく君が大事とすることを急ぐべきだ。あれもこれも、どれも捨てまいと執着していたのでは、
一つの事でも為しとげるのはおぼつかないぞ。」
「徒然草」の同じ段に次のような一節もあります。1月4日付けのBLOGの中に記した文章です。中野孝次さんの現代語訳と
ともに再録します。
「一事を必ずなさんと思はば、他のことの破るるをも傷むべからず。人の嘲りをも恥づべからず。万事に換へずしては、一の
大事なるべからず。」
「一事を成し遂げようと真に思ったら、それ以外のことが全部瓦解しても苦にすべきでない。人に嘲られても恥ずべきではない。
他のすべてと引き換えでなければ、一つの大事は成らないのだ。」
二十代、三十代の若い人たちにこそ是非読んで貰いたい一節です。
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