「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

耳順 従心 Long Good-bye 2024・09・08

2024-09-08 05:00:00 | Weblog

 

 

 今日の「 お気に入り 」は 、村上春樹さん ( 1949 -   )

 の随筆「 村上朝日堂  はいほー! 」( 新潮文庫 )

 の中から抜き書き 。備忘のため 。

  引用はじめ 。

 「 英会話というのがあまり得意ではない 。と
  いうよりは はっきり言って 相当に不得意で
  ある 。」

 「 僕はけっこう翻訳の仕事をしているし( あ
  あ 、実に十冊も翻訳書を出しているのだ ) 、
  ここのところずっと年の大半は外国暮らしを
  しているから 、会話のほうもさぞや堪能なん
  だろうと世間で思われがちなのだけれど 、そ
  んなことはなくて 、恥ずかしながらまったく
  苦手である 。何か用事があって外国人と会っ
  て英語で話さなくてはならないような時には 、
  朝からなんとなく胃が重くて仕方ない 。」

 「 でもよく考えてみれば 、これは僕としては
  決して不自然な話ではない 。だって 僕は 日本
  語の会話からして 圧倒的に不得意 なのだ 。
  よほど親しい人が相手ならともかく 、人前に出
  ると 言葉がうまく出てこないし 、すごく緊張
  して声がうわずってしまう 。その結果 ろくで
  もないことを口走ってしまうし 、無茶苦茶な
  間違いもする 。」

 会話というのは生まれつきうまい人とうまく
  ない人がいる 、会話のうまくない人がどれ
  だけ英会話に堪能になろうとしても 、それは
  おのずから限界というものがある 。何故なら
  ばそれは 生き方の姿勢の問題 だからである 。
  日本語の文章を書くのが苦手な人がどれだけ
  英作文を習ってもおのずから限界があるのと
  同じである 。」

  ( ^)o(^ )

 「  僕の経験からいうと 、外国語というのは必
  要に迫られれば ある程度は 話せるようになる
  逆に言えば 、必要に迫られなければまず駄目
  だ 。これはとても単純な結論だけれど 、
  然たる真実 です 。必要に迫られれば人間の体
  内には特殊な分泌液のようなものが溢れ出て
  きて 、それが集中力をかきあつめて語学の習
  得を可能にするのではないかと僕は想像して
  いるのだが 、その科学的な真偽は定かではな
  い 。しかし理屈はともあれ必要性というのが
  語学習得のための最も重要な要素であること
  は経験的に言ってまず間違いのないところ
  ある 。」

  (^O^)/

 「  普通の六歳の子供がどうしてバイリンガルに
  ならなくちゃいけないのか僕には全然理解で
  きない 。日本語もちゃんとできない子供が表
  層的にちょこっとバイリンガルができてそこ
  にいったい何の意味があるのだろう? 何度も
  言うようだけれど 、才能かあるいは必要があ
  れば 、子供英会話教室にに通わなくたって英
  会話は人生のどこかの段階でちゃんとできる
  ようになる大事なことはまず自分という人
  間がどういうものに興味があるのかを見定め
  ることだろう 。日本語の真の会話がそこから
  始まるのと同じように 、英語の会話だってそ
  こから始まる 。」

  (^ω^)

 「  たとえば僕は高校時代アメリカの小説ばかり
  読んでいたから 、まず読み書きから英語に入
  り 、そこから少しずつ会話に入っていった 。
  だから会話ができるようになるまでにずいぶん
  時間がかかったし 、初めに言ったように今だ
  ってとても得意とはいえない訥々とした不
  器用な喋り方である 。発音だってヤクザであ
  る 。うまくさっと言葉が出てこない 。でもそ
  れが僕という人間なのだ 。僕には向くことも
  あるし 、向かないこともあるのだ 。そう思っ
  てなんとか間にあわせている 。僕らはとても
  不完全な存在だし 、何から何まで要領よくう
  まくやることなんて不可能だ 。世の中にはい
  ろいろな人間がいる 。ひとりひとり良いとこ
  ろもあれば 、悪いところもある 。得意なも
  のもあれば不得意なものもある 。女の子を口
  説くのがうまい人もいれば 、日曜大工のうま
  い人もいる 。セールスの得意な人もいれば 、
  黙々と小説を書くのに向いた人もいる 。我々
  は自分以外の人間になることはできない
  れは根本的な原則である 。でもそれにあわせ
  て自分にあったスタイルを身につけていくこと
  は可能である 。」

   ( ´_ゝ`)

 「 外国に行くとよくわかることだけれど 、ろく
  に言葉が通じなくても気の合う人間とはちゃん
  と気が合うし 、どれだけ言葉が通じても気の
  合わない人間とはやはり気が合わない 。」

 「 会話にはもちろん技術が絶対に必要だけれど 、
  まず自分という人間の手応えというか存在感が
  なければ 、それはただ構文と単語の丸暗記に
  終わってしまう 。
  そしてそういう会話力はどれだけ意味が通じて
  もそれより先にはまず進まないし 、そういう
  タイプの広がりのない会話力を僕は全然好ま
  ない 。」

 「 例をあげると小澤征爾氏の英語の喋りなんて
  あれだけ外国にいるわりに決して流暢とは言い
  がたいのだけれど 、とても信頼感の持てるいい
  喋りである 。どこがいいのかと訊かれてもうま
  く説明できないが 、聞いていて『 うん 、そう
  だな 』と自然にうなずいてしまうところがある 。
  逆にけっこう流暢に英語をを喋るのにどうも信
  頼できそうにない人もいる 。例をあげるとカド
  が立つのであげないけれど 。」

  ( ´_ゝ`)

  引用おわり 。

  ながながと引用したが 、この小文のタイトルは 、

 " CAN YOU SPEAK ENGLISH ? "。

  中学校 、高校と旧来の読み書き中心の英語教育

 受けた団塊世代には 、英会話 苦手のひとが多い 、

 というより 英語嫌い のひとが多い 。受験勉強で

 苦しめられた所為だ 。

  筆者も英会話苦手の例にもれないが 、勤め人人生

 の大半の期間 、英語の読み書きに携わってきたこ

 とから 、英語アレルギーはない 。いくつになって

 も 内容のある話しをするのが難しいのは 、日本語

 会話とて同じことである 。多くの点で作家と同感 、

 同意見 。日本語会話が不得意なのに 、英会話が得

 意な訳ないではないか 。

  友好的な日常会話なら 、" How are you doin' today ? "

  " I'm just fine, thank you. " だけ覚えて 、あとは笑顔

 で おもてなし 、今どきの AI翻訳機器は俊敏 、優秀 、

 スマート 利用しない手はない 。ほんとに そんなに 会

 話がしたいのならば 。 

 

  

    ( 迷彩服着た🐸くん 、推定年齢3歳くらい 。啼くようだから孤独なオス🐸

  

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