今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)の「無想庵物語」から。
「楚の国の南には五百年を春とし五百年を秋とする亀がいる。八千年を春とし八千年を秋とする椿の大木があるというたぐいである。北の海に途方もなく大きな魚がいて名を鯤(こん)という。それがある日化して鳥になる。鵬という。鵬が翼をひろげると何千里になるか分らない。この鳥は風雲に乗じて南に飛ぶ。天日ために暗くなる。ちっぽけな鳥どもは迷惑する。ひととび何万里もとぶ。何用あってとぶか。」
(山本夏彦著「無想庵物語」文藝春秋社刊 所収)
「楚の国の南には五百年を春とし五百年を秋とする亀がいる。八千年を春とし八千年を秋とする椿の大木があるというたぐいである。北の海に途方もなく大きな魚がいて名を鯤(こん)という。それがある日化して鳥になる。鵬という。鵬が翼をひろげると何千里になるか分らない。この鳥は風雲に乗じて南に飛ぶ。天日ために暗くなる。ちっぽけな鳥どもは迷惑する。ひととび何万里もとぶ。何用あってとぶか。」
(山本夏彦著「無想庵物語」文藝春秋社刊 所収)