『ノマド 漂流する高齢労働者』を読んだ。映画『ノマドランド』の原案ともなったノンフィクションだけど、こちらも素晴らしかった。映画にも本人役で登場するリンダ・メイを主軸にさまざまな人々——ノマドという生き方を選んだ、あるいは選ばざるをえなかった——の姿と、その背景にある現代アメリカ社会の一面を描いている。
著者のジェシカ・ブルーダーは、取材の中で自らもキャンピングカー を駆って彼らと寄り添い、またビート(甜菜)の収穫やアマゾンの出荷設備での重労働も経験(ある程度働いて辞めてはいるが、取材としては充分だったのだろう)。まさに「渾身」の作ではあるのだけれど、その語りはどこか軽やかでもある(読んだのは日本語版です。鈴木素子氏の翻訳は、スムーズで読みやすかった)。
各自の状況としては割と悲惨な話が多いのだけど、それを嘆く、あるいは遮二無二立ち向かうというのではなく、現実を受け入れつつ自らの道を拓いていく姿は、クリエイティブでもある。僕はこれが、資本主義、あるいはグローバリズム経済を抜け出す新たな道でもあるように思えた。
本書冒頭には「資本家たちは、自分たちの経済網から抜け出す者を嫌う」(『azdailysun.com』論説委員とのこと)という言葉が引用されている。ネット上の記事などでも指摘されているけれど、リンダ・メイたちは、ほぼヒッピームーブメントと重なる世代だ。これは自分たちのルールで現代を生きていこうとする開拓者たちの姿でもあるのだろう。作品全体に感じるほのかな希望の気配は、そこから醸し出されているのではないだろうか。そんな風に考えると、この物語がとても身近なものに感じられる。映画も素晴らしかったが、この一冊はその根元を鮮明に見せてくれる。
※もちろん物事には多面的な見方があり、彼らに対しても異なる視点もあるのだろう。なんせ僕は、この本をアマゾンのKindleで購入して読んでいる。こんなことも、正誤という話ではなく、世の中の構造を照らすための別の角度として捉えたい。僕も頭のなかで、その辺りをもう少し彷徨ってみようと思う。
著者のジェシカ・ブルーダーは、取材の中で自らもキャンピングカー を駆って彼らと寄り添い、またビート(甜菜)の収穫やアマゾンの出荷設備での重労働も経験(ある程度働いて辞めてはいるが、取材としては充分だったのだろう)。まさに「渾身」の作ではあるのだけれど、その語りはどこか軽やかでもある(読んだのは日本語版です。鈴木素子氏の翻訳は、スムーズで読みやすかった)。
各自の状況としては割と悲惨な話が多いのだけど、それを嘆く、あるいは遮二無二立ち向かうというのではなく、現実を受け入れつつ自らの道を拓いていく姿は、クリエイティブでもある。僕はこれが、資本主義、あるいはグローバリズム経済を抜け出す新たな道でもあるように思えた。
本書冒頭には「資本家たちは、自分たちの経済網から抜け出す者を嫌う」(『azdailysun.com』論説委員とのこと)という言葉が引用されている。ネット上の記事などでも指摘されているけれど、リンダ・メイたちは、ほぼヒッピームーブメントと重なる世代だ。これは自分たちのルールで現代を生きていこうとする開拓者たちの姿でもあるのだろう。作品全体に感じるほのかな希望の気配は、そこから醸し出されているのではないだろうか。そんな風に考えると、この物語がとても身近なものに感じられる。映画も素晴らしかったが、この一冊はその根元を鮮明に見せてくれる。
※もちろん物事には多面的な見方があり、彼らに対しても異なる視点もあるのだろう。なんせ僕は、この本をアマゾンのKindleで購入して読んでいる。こんなことも、正誤という話ではなく、世の中の構造を照らすための別の角度として捉えたい。僕も頭のなかで、その辺りをもう少し彷徨ってみようと思う。