TRASHBOX

日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

ダーティ・ワーク/絲山秋子

2008年09月22日 | 読書とか
各作品がザ・ローリング・ストーンズの楽曲名をタイトルに持つ短編集(別にアルバム「Dirty Work」からのものだけではない)。ギタリストの熊井望を皮切りに彼女の仲間、恋人、友人、そのまた友人や恋人などがどこかでつながりながらセッションのように登場してくる。

話によって主役が交代したりするけれど、これはアルバムの中にキース作の曲やボーカルナンバーが入っているような感じで全体を通じた世界観は変わらない。一定のビートを刻んでいるというか。

「男と女」(どっちが先でもいいのだけど)が話のテーマ、のように見えて実は「女の話」なのではないだろうか。男に求められているのは居心地のいい場所としてのパフォーマンスであって、それ以上のものは期待されていない(でも「moonlight mile」の遠井くんはちょっと泣かせる存在だ)。

しかしやっぱり巧い、絲山さんは。語り手の女性には立体感があって、アパートの隣の部屋に住んでいたりするんじゃないかと思ってしまう。ただその一方で、ちょっと素敵な姉貴分たちが妙にこざっぱりとしていたり、男たちの輪郭が全体的に類似形だったり、なんていうかひと通り覚えた女性のための少女マンガのような印象も。ダーティといいつつ、割と潔癖な空気の流れる一冊だった(すいません、本なんか読む男の戯言です)。
ダーティ・ワーク
絲山 秋子
集英社

このアイテムの詳細を見る
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 元日銀マンが教える その「... | トップ | 「素直」と「成功」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

読書とか」カテゴリの最新記事