ある番組で、最近ニューヨークで立ち上がったウェブサービスの話を見た。その内容はともかく、創業者の"make shopping fun again"という言葉が耳に残った。オンラインでのモノの購入が一般的になってきた今の世の中で、もう一度買い物の楽しさを提供したい——なかなか素敵な試みだなと思った。
で、それはそれとして、前述の言葉に現在の米国大統領トランプ氏のキャッチフレーズ"make America great again"を思い出した。もちろん件の創業者の言葉は、それとは無関係だろう。単に一般的な英語のフレーズとして発せられただけだと思う。
ただ、この"again"という発想は要注意だなとも感じた。世の中は動き続け、後ろに戻ることはない。温故知新も古きものの良さを再認識するのも、素晴らしいことだと思う。ただしそれは、あくまで現状に照らし合わせてアップデートされている必要がある。たとえば伝統技術の伝承において、徒弟制度的なシステムの良さもあるだろう。ただ今の世の中で、昔とまったく同じ倫理観は通用しない。
それからもうひとつ、"again"という言葉は、実際にはそうでもなかったことも「そういえば、そうだったかも」と思わせてしまうことがある。昔は本当にそうだったのか?どこかで根拠なきノスタルジーとの混同はないか。"Again"とか「〇〇を再び」のような言説の奥に何があるのか、それはそれで気をつけておきたい。