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TRASHBOX

日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

スーパーサイズ・ミー(2004)

2006年04月22日 | 映画とか
Super Size Me (2004) Dir: Morgan Spurlock

ここのところモーガン・スパーロックの映像作品を立て続けに見ている。彼が一般に知られる(というほどでもないけれど)ようになったきっかけはがこの「スーパーサイズ・ミー」だろう。遅ればせながら見たのだが、予想とはちょっと違っていた。30日間マクドナルド製品だけを摂り続けたらどうなるかというこのドキュメントは“可笑しくて、やがて哀しき体当たり”。最初に漂っていたおふざけムードは、スパーロックの体調が悪化し、さらに精神的に滅入ってくるにつれて重いものになってくる。医者の中止勧告もでる中、最後までやめなかったところにフィルム屋魂を感じたなぁ。結果的に作品がアカデミーにノミネートされ、それまでの借金も返し、恋人のアレックスとは婚約、とハッピーエンド、つーか帳尻合わせた感じではあるが。

その流れで見ている(6本中5本終了)彼の「30デイズ」という実験的ドキュメントも面白い。この話はまた今度。しかし現在製作中のThe Republican War on Scienceも楽しみだなぁ

ヒストリー・オブ・バイオレンス

2006年03月27日 | 映画とか
A History of Violence
Dir: David Cronenberg DP: Peter Suschitzky

アメリカの地方都市でダイナーを営む実直で家庭的な夫。その彼が実は腕の立つ殺しのプロかもしれない、という設定は興味をそそる。(「ボーン・アイデンティティ」のときもそうだったけど、こういう裏表キャラが結構好きなのだ)ヴィゴ・モーテンセン演じる主人公もエド・ハリス扮するひとくせありそうな役柄も、緊張感があって気をそらさない。もちろんこの独特のテンション、引き締まった展開はクローネンバーグの持ち味でもあるのだろう。(やや突き放されたような終わり方も含めて)アカデミー候補とまではなぁ、という気がしないでもないが、熟練の旨さをサクッと楽しめる一本だ。

ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!

2006年03月22日 | 映画とか
Wallece & Gromit / In The Curse of The Were-Rabit
Dir: Steve Box, Nick Park / DP: Tristan Oliver, Dave Alex Ridette

えーっと、実はこのシリーズが好きで、最初の頃から見ているのであります。今年は長編アニメーション部門でオスカーも受賞、すっかりメジャーになったもんだ。だからと言うわけではないけれど、今回はストーリーに少しハリウッド的な大味さが感じられた。実はウサギ男の正体は、といった展開がちょっと今までのものに比べて荒っぽい気がする。なんか似合わないステージ衣装を着せられているような…

ニック・パークって、生真面目さのなかに垣間見える狂気の匂いがなんか良いのだが(なんか人のいいアンソニー・ホプキンスみたいだ)、その行く先が今後どっちに向かっていくのか気になるところだ。でもひとつひとつの細かい表情など、ともかくキャラクターの魅力は今回も堪能させてもらいました。あ、もちろん吹替えの方じゃないですよ。(なんで萩本欽一なんだ…)

ミュンヘン

2006年03月17日 | 映画とか
Munich
Dir: Steven Spielberg DP: Janusz Kaminski

数年前、旅行でベルリンに行ったときにベルリン・ユダヤ博物館という建物を訪れた。ダニエル・リベスキンドという建築家の設計によるこの博物館は、外観も中の構造も不思議でボーッとしていると迷子になってしまいそうだった。

まず入口から空港にあるような金属探知機を通るものものしさに、ちょっと緊張を覚える。しかし展示の内容や見せ方には意外にエンターテイメント性があって、さほど重苦しい思いをすることもなくユダヤ人の歴史について知ることができる。2時間近くぶらぶらしていたが、退屈な感じはまったくなかった。

しかしちょっと恐いな、と思ったのは、展示を見終わる頃にはなんだか「ユダヤの民はなんて優秀で、またなんて虐げられた人々なのだろう」という感覚が芽生えていたこと。この博物館自体はとても素晴らしく、また意義のある存在だと思うが、同時に歴史を一面から見ていくことの危うさについても考えさせられた。

さて第78回アカデミー賞に5部門でノミネートされながらも受賞は逃した「ミュンヘン」。ドラマチックすぎるとかモサドのメンバーはあんなに弱い人間ではないとか批判もあるらしいが、俺は一本の映画としての完成度を評価したい。長い上映時間を意識させない構成力や、あの時代の街の雰囲気の描写など、政治的視点は別として映画の教科書のようなつくりは素晴らしい。映画はやはり映画であって、そこから歴史の真実を知ることはできない。しかしひとつの出来事について想像することは学べるはずだ。その想像力を少しばかり広げてくれる力を、この作品は持っていたと思う。

ちなみにリベスキンドは、911で崩壊した貿易センタービルの後地の建造物のメイン・アーキテクチャーでもある。

モーターサイクル・ダイアリーズ(2004)

2006年02月27日 | 映画とか
Diarios de motocicleta
Dir: Walter Salles DP: Eric Gautier

弱冠23歳、まだ医大生だったチェ・ゲバラが友人とオートバイ一台にまたがって繰り出した「卒業前の見聞&冒険旅行」。しかし映画の前半でバイクが壊れてしまってからは、旅の性質は変わり始める。貧しい人々や隔離されたハンセン病患者たちと触れ合うことが、その後革命を志すきっかけともなったのだろう。しかしそんな因果や背景よりも、ゲバラと言えば思い出すことが。以前彼に関する書籍に目を通していて思った。こいつ、無茶苦茶ハンサムだったんだなぁ。政治的、歴史的にはまったく意味のない感想だが、容姿も含めてのゲバラの魅力みたいなものが、ゆくゆくカリスマ的革命家としての存在につながっていった気がしてならないのだ。そんなゲバラの青年としての側面を感じさせてくれる一本だが、映画自体でその魅力を描ききれているかどうかは疑問だ。「これは若き日のゲバラである」と思っているから見られる部分もあって、その辺はちょっとキャラクター作りにもうひと工夫あってもよかったかも。しかしCIAに暗殺されたというナレーションでの締めくくりや、一緒に旅した相手本人が最後に出てくるのは印象的だった。しかしゲバラって、なんだか革命界のジェームス・ディーンみたいだなぁ。