国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

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そんな仮想の音楽喫茶

フランク・ミュラーと『アス・スリー』

2009年06月10日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
フランク・ミュラーという有名なスイスの時計会社がある。
有名人御用達の時計会社であり、
トノー型のデフォルメとアールデコ調の文字盤が印象的だ。
どうしてもフランク・ミュラーのデザインが頭から離れず、
「30歳までにフランク・ミュラーの時計を買おう」
と、決意をしたほどである。
結果として30歳前に安く販売している輸入代理店を通して、
フランク・ミュラーのカサブランカを購入したのだから、
目標は達成したわけではある。

いつもホレス・パーランの『アス・スリー』の
アルバムジャケットを見るとそんなことを思い出してしまう。
ブルーノートのジャケットの中でも印象的なジャケットで
アールデコ調の数字が不バランスに並んでいる。

1曲目のタイトル曲「アス・スリー」では、
ベースのジョージ・タッカーが
これ以上ないほどの低音をブンブンとかき鳴らす。
ここにブルーノートの「黒さ」がプンプンと臭ってくるのだ。
はっきりと力強いパーランのピアノの音が重なると
完璧に真っ黒な演奏の出来上がりである。

リーダーであるホレス・パーランは、
ポリオにかかっていて、手に麻痺が残る状態であった。
リハビリを行っているが、全快することはなく、
その十分に動かない手を補うように工夫をしながら演奏を重ねていっている。
だが、正直どこら辺が麻痺が残っているのかを教えてもらいたいほど
自然な状態で演奏しているようにしか思えない。
しかもジャズの根元である「黒さ」が、とてつもなく強い。

ブルーノートには、ピアノトリオの作品は少ない。
そんな中でこのアルバムは絶対に外しちゃいけない。
僕は最初このアルバムの良さが分からなかった。
何度も繰り返し聴き、パーランの醸し出す世界に浸っていったのだ。
さぁ、君も行くしかない、パーランの創り出す魅惑の世界へ!

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