国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

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そんな仮想の音楽喫茶

足どりは軽く、でも着実な一歩へ

2012年04月08日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
春になると足が軽やかになる。
気温が上がり、心もどこかウキウキとするからであろうか。
一方で新生活が始まり、
どことなく新しい環境に慣れずに鬱々とした気持ちの人もいるかもしれない。
一歩を踏み出す時はエネルギーも勇気も必要である。
だが、その一歩を越えた時に新しい何かが待っているはずである。

そんなわけで今日の1枚は
ルー・ドナルドソンの『ライト・フット』である。
まずはジャケットのルーさんを見てほしい。
軽やかだろ?
何を持ってこんなジャケットが生まれたのかは分からないのだが、
この軽やかさはどこかこちら側にもウキウキとした気持ちを与えてくれる。
ところがこのタイトル曲はかなりブルージーである。
ルーさんの軽めのアルトと対するような重めのリズムがコクを生み出している。

加えてルーさんはコンガをセッションに入れている。
ジャズのセッションにコンガが入るのはあまり多くはないのだが、
一方で最近ではこのコンガが注視されたりもしている。
中南米、カリブ海とのつながりが注目されてきているからだ。
録音年が1958年というとコンガが使用されているものも少ない。
ルーさんが早めにコンガを使っているところや
ブルーノートに何枚かあるコンガが入ったセッションは
今後ジャズ史において別の視点を与えてくれるかもしれない。

2曲目の「ホッグ・マウ」は最初から変だ。
笑い声が入り、演奏は途中で止まる。
数分間話し声と笑い声、そしてそれを止めるような低めの声…
再び演奏が始まる。
これは最初の演奏が失敗してしまい、お互いに声をかけ合っているスタジオの様子が
そのまま録音され、しかも消されることなくアルバムに収録されてしまったのだ。
続けての演奏は心を洗われるようなブルースである。

春は新しいことに飛び込み、様々なことが起こるだろう。
それでも次の一歩は必ず踏み出さなければならない。
ならば軽い足取りの方が気持ちもいいだろう。
そう、ジャケットのルーさんはきっとこう言いたかったのだ。
「ま、気楽にいこうぜ!」ってね。

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