国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

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2012年02月12日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
ヒップホップを聴いていたからといって、
全くジャズを聴いていなかったわけではない。
むしろ空いている時にはジャズの方が聴く度合いは多い。

ジャズを聴こうとしている人が一番迷うところが
「このたくさんのアルバムの中から何を聴けばよいのか?」という
疑問をもつという話は前にしたような気がする。
こういった時はまず簡単なジャズの歴史を知ることが良いだろう。
その本は大体時代ごとに区分されているから、
そこで紹介されているアルバムを取りあえず区分ごとに1枚ずつ聴いていく。
くれぐれも一発でアタリを引こうだなんて考えてはいけない。
ジャズは広いので、自分の感覚に合った物がどこに転がっているのか分からないのだ。

まぁ、ブログを随分と続けている僕もまだ聴いたことがないミュージシャンや
普段あまり聴かないミュージシャンはたくさんいる。
今日はその代表格であるウィントン・マルサリスの『Jムード』を取り上げよう。

今のジャズ界においてマルサリスは「好きか」・「嫌いか」の二択に分かれる。
日本人は大概「嫌い」、もしくは「あまり聴かない」方に手を挙げる人が多いだろう。
その理由は意外に単純で「面白味がない」という身も蓋もない意見が多い。

こう紹介されると人は「まぁ、面白くないなら聴かなくていいか」と思ってしまう。
少なくとも僕はそうなってしまった。
ところがであるウィントン・マルサリスには
「聴いた方がいい時期」というのがあるのだ。

マルサリスの紹介ではどれもほとんどそのジャズに対する暑苦しく、
真面目すぎる部分が強調されている。
だが彼の出身はジャズ・メッセンジャーズというバリバリのファンキーグループである。
また、ハービー・ハンコックがのっていた時期に一緒にやっている。
そして自身でグループを率いる1980年代中頃までは、
それまでのフュージョン・ブームと一線を脱した正統派のジャズ路線を貫く。

『Jモード』を聴くと分かるのだが、微妙にリズムがずれて聞こえる。
これは意図的にメロディー側とリズム側がリズムをずらし、
妙な酩酊感を生み出している。
加えてマルサリスのトランペットは上手い。
自在にリズムの中を泳ぎながら、静かに迫ってくる。
そう、悪くはないのだ。

だが、1980年代後半に入ると、それまで抑えていたものが一気に吹き出す。
フュージョンやポップスに対する言いようもないほどの敵意。
それとジャズや黒人の地位の向上。
まるで運動家のような音楽づくりが始まってしまう。
そこに「ハート」が無いという辛辣な評価が下されてしまったのがマルサリスなのだ。

ガイド本でも大概紹介されるのは1980年始めや中ごろのアルバムが多い。
でもこの人もジャズに大きな影響を与えている人なのだ。

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