国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

「黒い」音が分からない? ならばこのジャズ・アルバムはいかかが?

2011年11月21日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
急激に寒くなってきた。
寒いと温かいものが欲しくなってくる。
そうなるとジャズもコッテリ系が欲しくなる。
どうしてそうなるかって?
ノリのいいリズムに合わせて身体を揺すってみれば、
いつの間にか、ほら、温かくなってきてるだろ…

まぁ、それはともかくとしてコッテリ系のいいところは、
身体に与える電気ショックのような影響がある。
とにかく元気になれる。しかもバネのある演奏はやっぱり気分が高揚してくるのだ。

そんなわけで2人の名手が共演した1枚が今日のアルバムだ。
『バグズ・アンド・トレイン』
ミルト・ジャクソンとジョン・コルトレーンの二枚看板である。
そもそもミルト・ジャクソンのヴァイブは、もの凄くコクがある。
これは聴いてみて欲しいのだが、ヴィブラホーン(ヴァイブ)を演奏すると
どことなく冷たく、硬質な音がカッチリと出てくる。
だが、ミルトのヴァイブは、なぜかただ爽やかな涼感のあるだけの音ではない。
どこに秘密があるのか分からないのだが、
音をこし取ってなお残るかのようなそんな奇妙な残物があるのだ。

そこにコルトレーンのテナーがのる。
このころのコルトレーンはとにかく明瞭だ。
吹きまくるでもなく、ノリが決していいわけでもない。
だが、真面目で一途な音がミルトのヴァイブと混じり合い、いい具合にコッテリしてる。

バックにいるピアノのハンク・ジョーンズも忘れてはいけないだろう。
そこに一流のベーシスト、ポール・チェンバースが加わり、
ドラムはMJQのコニー・ケイだ。
これで濁った粘りのある音が聞こえてこないのはおかしい。
特にタイトル曲はどこがどう間違ってこんなに黒いのかというぐらいに
僕たちに「黒い」音を教えてくれる。

ほら、言ったとおり。
聴いていれば胸の奥からじんわりと温かさが湧き出てきてるはずだ。