国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

ジャケットの君、微笑めば…

2011年11月16日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
大体買ったアルバムの経緯というのは覚えている。
今日のアルバムは忘れようがない。
とはいっても大ごとではない。ただジャケットに惹かれただけだ。

このジャケットをよく見てほしい。
肩が見えたワンピースのスカート姿の女性が芝生の上に寝そべっている。
色合いからすると夕刻か? 近くには読みかけの本が背表紙を向けて置いてある。
女性は軽く口元をゆるめながら、こちらに視線を向け、左手で長い草を弄ぶ。
構成も女性が半分より上に収まるように計算されていて、
下にはアルバムのタイトルとミュージシャンが並ぶ。

ジョン・ルイスの『グランド・エンカウンター』である。

「3枚買うと15%オフ」という商売文句に寄せられて、
「さぁ、あと1枚は…」という時に選んだものである。
つまりこのジャケットが僕の購買意欲を誘ったというわけだ。
それはそうだろう。
ジャズには「安易な女性ジャケットに釣られる事勿れ」という
不文律があるとかないとか言われるほどに色っぽい女性ジャケットがある。
なぜこれほど無防備な女性ジャケットが横行するのかは分からないが、
それに釣られてしまう男性心理はイタイほどに分かってしまう。

そんなアルバムだから十二分にタンスの肥やしとなっていた。
ひさびさに彼女に誘われるように聴いてみると、何ともホッとする演奏である。
ジョン・ルイスとパーシー・ヒースは共に
モダン・ジャズ・カルテットのメンバーである。
メンバーの核の1人がジョン・ルイスであり、
ここではウエスト・コースト、
つまり西海岸のミュージシャンたちとセッションをしている。

東と比べて黒っぽさがグッと抜けるのだが、
高い技巧性がそれを補ってなお余りある演奏にしている。
特に「スカイラーク」ではギターのジム・ホールも好演だ。
ほら、女性に惹かれて正解だった!