ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

AceOne専用フレームの製作

2012-02-20 08:20:10 | マテリアル
先週の木曜日以来の投稿であるが・・・その間AceOne専用フレームの設計・製作に追われていて、
ブログを書く時間が取れなかった。

取り敢えず試作で1機分のフレームを製作したのだが・・・フレームの強度を極力落とさない様に、
慎重に軽め穴を空ける位置や大きさに気を遣いながら、極力フレーム重量を軽くしたいところだ。

実際の試作は・・・こんな感じで行っている。


このフレームの加工には、約2日半を要したが・・・こんな感じに、仕上がりました。

この様に仮組を行って、必要に応じて細部の手直しを行います。


細部の手直し終了後・・・表面の加工傷を取り除いてから、外注でアルマイト加工をお願いします。

さて・・・何色にしようかな~


今回は時間の都合もあり、フレーム以外のパーツは、殆どJRさんの部品を流用して組み立てます。

勿論・・・全てと言う訳ではないですが・・・。


それから・・・前回お話したエンジンの組み付け方法に付いては、適当な画像が無いので、
この試作フレームにエンジンを組み付ける時にお話しします。

それでは・・・また。

ちょっと・・・バタバタしていて・・・

2012-02-16 08:29:08 | マテリアル
ただ今、新たな空撮用マテリアルを構築すべく・・・奮闘中です。

又、完成して結果が出たら、ご報告致します。

次回は、ゼノアガソリンエンジンの組み付けに付いて、お話しする予定です。

お楽しみに・・・。


あ・・・そう言えば・・・先日、DJIのNAZAをGAUI500に組み込みました。


GAUIオリジナルの姿勢制御装置との性能の違いに・・・ユーザーもびっくり。

業務用の機体強度に付いて・・・パート8

2012-02-12 08:59:37 | マテリアル
前回の投稿では・・・ピニオンギヤの材質や、表面処理に付いて述べた。

模型用のピニオンギヤは、通常S45Cなどの材料で製作され、表面をクロ染めと言う手法で処理をしている。


処が、この黒染め・・・通常は・・・ただ単に、腐食を防止する為に用いられる表面処理法なのである。

因って・・・耐摩耗性やカジリなどには、余り効果は望めない。

別名・・・四三酸化鉄被膜とも呼ばれ、鉄などの表面に酸化被膜を形成させて、錆から製品を守るのである。


それでも、模型に使用する場合は問題ない事は、前回話した。


しかし・・・こと産業機では・・・NGだと言う事も、前ブログで述べた。


そこで弊社では・・・加工会社と相談の上、軟窒化処理と言う表面処理の方法を選んだ。

勿論・・・材料も窒化処理に適した素材に変更し、この表面処理を行っている。

聞くところに因ると・・・具体的には、材料を加熱した上で、アンモニアの中に2時間程度漬けて置く。
すると、加熱したアンモニアガスが原子レベルで製品の表面に浸み込んで化合し、
内部まで浸透拡散する事で、窒素化合物を形成するのだそうだ。


この表面処理法は、耐食性・耐摩耗性・カジリ等に於いて、黒染めとは比較にならない程優れている。

今のご時世・・・高い物は売れないので、模型では黒染めが採用されているのかも?知れないのだが、
産業用では・・・ある程度のコストは度外視してでも、耐久性や安全性(墜落等トラブルが少ない機体)を
重視している。


しかし、いくら産業機用と言っても・・・コストも重要な要素である事は間違いない。

それから・・・弊社では、あくまでも自社消費と言う事で・・・今までこの様な部品を製作する場合は、
最低必要数の50%増しで、部品を外注で作っていた。

それだと・・・とんでもない製品単価になる事が多かった事と、このご時世ではそんな訳の判らない様な部品を
10数個単位で製作依頼しても・・・なかなか取り合って貰えないのである。

因みに・・・ある知人の加工会社の社長曰く・・・お前の言う事を聞いて品物を作っていたら・・・
うちの会社は潰れてしまうと・・・。

しかし、口では何だかんだ言いながら、その社長・・・良く面倒を見てくれるのである・・・感謝。


そんな訳で、その社長・・・簡単な加工は自分でやれと言って・・・その会社で遊んでいたフライス盤を
売りつけられた事も・・・。(なんちゃって・・・本当の処は、嫌がるのを無理やり譲って貰ったのである。)

少しばかりの加工をするのに・・・そんな機械まで買ってどうするの・・・?とも思ったが、
機械が、手元に有るのと無いのでは・・・大違い。

工作機械のお蔭で、諸々のマテリアルの開発(試作)スピードが、格段に速くなった事は言うまでもない。

そんな訳で・・・ラフな試作品は、何時でも出来る様になったのだが・・・精度を求めたモノを数作る事は、
なかなか難しいのである。

そこで・・・今回、ある程度まとまった数量を、加工会社にお願いして製作して頂いた。


でも・・・自社で使いきれない程の部品を、こんなに作ってしまって・・・これ一体どうすれば良いの・・・???




業務用の機体強度に付いて・・・パート7

2012-02-11 05:56:11 | マテリアル
同じ様な話題で、何だかんだと言いながら・・・今回で7回目になる。

その話題も・・・何だか、タイトルとも多少のズレが生じて来てしまったのだが・・・。

前回は・・・優れた耐久性と高い組み立て精度が産業機には求められている・・・と、書いた。

それを、一部具体的に解説してみる事にする。


先ず・・・ピニオンギヤに付いてだが・・・。

通常、模型に使用されているピニオンギヤには、材料費が比較的安いS45C(鉄)が
使われている場合が多い。

このS45C・・・比較的加工もし易いのだが、そのままでは・・・錆びる。

それを防ぐ為に・・・表面処理を行なうのだが・・・通常焼き入れは行っていないので(多分)、
表面に色を付けている。

これを黒染めと言うが・・・錆びないように、表面に黒く色を付けているだけなので、
耐磨耗性と言う観点から見れば・・・あまり良くないのである。

また・・・焼入れをすれば、耐磨耗性は飛躍的に向上するのだが、そのままでは折角作った
製品の精度が狂ってしまう・・・要は・・・変形してしまうのである。

これを通常は・・・後工程の研磨で修正するのだが・・・複雑な形状のピニオンでは難しい。

要は・・・コストが掛かるのである。

だから・・・通常焼き入れは行なわない。


このS45Cでピニオンを製作しても・・・通常、模型レベルでは、全く問題になる事は無い。

まあ・・・磨耗したら・・・その時は、交換すれば良いのである。


処が・・・産業機では、これが問題となる。


弊社では・・・通常、年135時間程ヘリを飛ばす。

フライト回数にして・・・約1000フライトである。

通常・・・模型の世界では、コンテストに出場している人達が、年200フライト程度だと言うから、
その人達と比較しても・・・実に5倍ものフライト回数である。

年間200フライトすれば・・・通常機体には、結構ガタが来る。

でも・・・産業機の場合は、それでは困ってしまうのである。

そこで、大きな力が作用するピニオンギヤには、それなりの配慮をして
設計する必要がある。

この続きは・・・次回に。


業務用の機体強度に付いて・・・パート6

2012-02-10 17:01:57 | マテリアル
今日も現場は・・・強風が吹き荒れていた。

メインローターを固定しておかないと・・・風車状態になりそう。

早く穏やかな気候になれば・・・良いな~と思う・・・今日この頃です。


さて、この処・・・本ブログでは、減速比の話題が続いているが・・・ギヤの歯形を
ヘリカルギヤに変更する事で、ギヤの強度を上げる事になった。

しかし・・・それは同時に、新たな問題も引き起こす可能性がある。

通常・・・ヘリカルギヤを採用した時は、回転時にスラスト方向の力が発生する。

従って・・・通常は、その力を相殺する様な設計を行なう。


処が・・・例題機ではオリジナルが平歯車を使用していたので・・・
当然、その様な構造にはなっていない。

オリジナルの構造は、ピニオンギヤをベアリングにロックタイトで接着して組み立てているのだが、

それをそのまま、ガソリンエンジン機に使用した場合には、スラスト方向の力に加えて
エンジンの発熱量が多い為に、ピニオン軸が緩む可能性が高い。

このトラブルは、オリジナルの平歯車でも発生してはいたのだが・・・
更に高い確率で発生する可能性がある。


空撮等に使用する産業機の場合・・・発生しそうなトラブルの芽は早く摘み取っておいた方が良い。

その理由とは・・・常に使用している機体を、頻繁にメンテナンスを行なう事は困難な為だ。

念の為、断っておくが・・・メンテナンスを怠ける為に行なっている訳では無い。


そこで・・・その対策品を作った。


このピニオンギヤ・・・設計段階で、ある特殊な方法を採用して芯振れが発生しない構造にしている。

普通・・・雄ネジと雌ネジの間には、必ずクリアランスが存在する。

そのクリアランスが原因で、ネジを締め付ければ・・・必ずどちらかに偏りが生じる。
これが・・・芯振れの原因となるのだが・・・その対策を行なっている。


しかしこの方法・・・ベアリングを上下からピニオンギヤで挟み込んでいる。

ベアリングもダブルで使用している関係で、その軸には一切のアソビが無い。

因って、ピニオンギヤが芯振れした状態で組み付けられた時には・・・最悪、フレーム破断等の
トラブルに発展する可能性がある。

又その他の要因として・・・エンジンが正確に組み付けられていない場合も、また然りである。


いずれにしても、高い組み付け精度が必要になる。

しかし、全てが正常且つ的確に組み付ける事が出来れば・・・ピニオンの緩みなど皆無になる。

産業機には・・・模型よりも遥かに高い耐久性と、組み付け精度が求められている。