ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

GT15HZをテストする・・・パート4

2013-10-04 07:55:57 | ガソリンエンジン
今回からは、T-REX700にGT15HZを搭載する時の注意点をお伝えしようと思う。

先ず・・・T-REX700にGT15HZを搭載する場合には、前述のエアースキッパーの
様に簡単には作業出来ない。

この機体のクーリングファンカバーは2ピースのフルカバータイプの上に、非常にタイトに作られている。

因ってエアースキッパーの様に、1ピースのハーフカバータイプであれば、作業も楽なのだが、
そこは専用設計ではないので現物合わせで必要部分をカットする。



それから、ボトムプレートもGT15HZのクランクケース底部にしっかり干渉するので、
ここは大きく加工せざるを得ない。

拡張作業は、リューターを使えば短時間で終了する・・・が、無い人にとっては大変な作業になるかもしれない。


その加工状況を、新旧のT-REXで比較して見た。(新旧では、ボトムプレートの形状も違う様ですね)

グロー仕様のT-REX700(初期モデル)のボトムプレートの様子。



GT15HZ用に仕様変更した、T-REX700(最新モデル)のボトムプレートの様子。



見て頂いた通り、GT15HZ用では、結構大きくボトムプレート削る必要が有る。

かくして・・・無事、GT15HZをフレームに押し込む事が出来て機体も完成したので、
次回はフライト調整の様子をお伝えしたい。



NEW GAS POWER

2013-06-08 12:52:42 | ガソリンエンジン
前回のブログで、ガソリンエンジンの振動に付いて考察を行ったのだが・・・
感覚でモノを言っても始まら無いので、模型ベースのガソリンエンジンである、
OS GT15HZと、同社の91グローエンジンとの振動比較を行う事にした。


本来なら、同じグローエンジンにガソリンコンバージョンキットを取り付けて、
イグニッションタイプに改造した上で、比較するのが筋である。

処が・・・そんなコンバージョンキットを持ち合わせていないので、
先頃発売されたNEW GAS POWERである処の、GT15HZを使用して
比較検討する事にした。

そこで念の為、予め両者のエンジンのスペックを調べてみた。

すると・・・驚いた事に・・・と言うか予想通りと言うか、
GT15HZと同社の91HZとは、ボアストロークとも全く同じであった。

勿論・・・排気量も全く同じである。


この事は今回のテストを、より現実的な信憑性のあるモノにする事だろう。

何故なら・・・比較テストを行う上で、出来るだけ双方のスペックに
隔たりが無い方が依り現実味が有るからに他ならない。


更にGT15HZの、実力チェックも同時に行おうと考えているので、
一石二鳥の作戦でもある。




今回は、取り敢えずこのエンジンを2台使用して、T-REXと
エアースキッパーに搭載し、その実力を探ろうと思う。

その実力は如何に?と言う事で・・・テストの結果は、
またの機会にご報告したいと思う。

使用する機体(ヘリ)に最適なエンジンサイズの考察・・・パート4

2012-03-24 00:01:00 | ガソリンエンジン
使用する機体(ヘリ)に最適なエンジンサイズの考察・・・と、題して・・・その4回目である。

それにしても・・・超適当な事を、気の向くままに書き込んでいるのに、毎日沢山の人に
読んで頂けている様で・・・恐縮している。


前回は・・・26ccエンジンのトルクが不足している・・・と、言う様な事を書いた。

勘違いされると困るので、ここで再度解説して考え方を整理する・・・1本リングを採用したから
トルクが出ない訳では無い。


1本リングで無いのは・・・耐久性なのである。


トルクが出なくなる要因は・・・他にある。


それは・・・チューンドエンジンでは避けて通る事が出来ない・・・慣性マスの軽減。

でも・・・それを個人レベルでやり過ぎると・・・トルクが出なくなる傾向に有ると、言う事なのだ。


市販のエンジンのパーツを切ったり削ったりして、パワーを上げ過ぎると・・・大体、そんな感じの
エンジンになった。

そんなエンジンは・・・トルクが酷く不足している為と、より早く走る為にレーサーのギヤレシオも
早く走る為に、高く設定されている。

結果・・・低速は、スカスカ。

因って、小排気量のレーサーでは・・・スタート時に酷く長い時間、半クラッチを使用して
エンジンストールを防ぐ必要があった。

でも・・・半クラッチを使い過ぎると・・・当然滑りの原因となり、そればかりか・・・
スタートでも他車に遅れをとって・・・出遅れてしまうのだ。

チューンドエンジンを搭載したレーサーでは・・・ライダーがクラッチを出来るだけ滑らせない様に、でも、
出遅れない様にシビアに調整する必要があり、カナリ・・・神経質な操作を強いられている事になる。

出来の良いワークスのエンジンなどは・・・最初からその辺を考慮しながら設計されているので、
その様な事は少ない様だが・・・全体的な傾向は一緒だったと思う。

実際には・・・触る事も出来ないので・・・何とも言えないのだが・・・。


レーサーの場合は、草レースでもない限り・・・専門のメカニックがいる。
そのメカニックが・・・エンジンを含め、車体の整備をするのである。

それでも、これらの神経質なマテリアルは・・・ライダーのチョットした操作ミスが引き金となって、
トラブってしまう事がある。


方や・・・一般に市販されているバイクなどは・・・その様な事をしなくても、普通は・・・
年がら年中、調子良く使用できる。


この事でもお判りの様に・・・ヘリ用のエンジンでも・・・使い方次第で・・・同様の事が起きる。


一般的に、普通の人が普通に使っても・・・調子よく使用出来る事が・・・非常に重要な事だと考える。


そんな状況からも・・・大抵の場合、マニュアル制御(通常のラジヘリ)の機体に使用する
エンジンは・・・26ccで充分なのだ。


この26ccエンジン・・・調整に・・・多少コツは必要なのだが・・・コントローラブルで使い易い。

通常の使用では、耐久性こそあまり無いが・・・パワーもあり、調子が良く使用出来るのだ。


そんな場合に・・・29ccなどを使用すると・・・余りにも弊害が大きいと言う事だ。


ワザワザ・・・問題を背負い込む必要など・・・無いではないか。


最悪・・・キャブレーション次第では・・・焼き付きも発生する。



それを押してでも・・・29ccを使う訳とは・・・。



随分長い事・・・26ccのエンジンは、少しトルクが不足していると言い続けて来た。

29ccのエンジンを使わなければならない訳は?・・・と、言いながら、
その核心的な部分に付いて・・・述べる事無く、今日まで引っ張って来た。





















しかし・・・・・・・・・・・・・・本当は・・・そんな理由など無い・・・・・・・・

















と、言えば・・・怒られそうだが・・・。











何だ・・・?・・・無いのかよ・・・などと言って・・・怒っている人もいるのでは?








HA・・・HA・・・HA・・・そんなに怒らないで欲しい。


毎回・・・何百人もの人に、このブログを読んで頂いていて、有り難いと思っている。
しかし・・・この内容が参考にならないのか?・・・内容に付いての書き込みが殆どないのである。

そこで・・・少し意地悪をして見た・・・と、言う訳なので許して欲しい。

何か・・・一方的に話をするのでは・・・私も寂しいのである。

どんな事でも良いので・・・書き込んで欲しい。

私も・・・出来るだけ・・・返事もしたいと思っている。







では、気を取り直して・・・少し真面目にやろうか。


エンジンのトルク不足で一番問題になるのは・・・ピッチ制御である。

人間が・・・マニュアルでピッチ制御を行う時には・・・その制御スピードが遅く少ないのである。

そこに・・・制御タイミングの・・・遅れ・・・が同時にプラスされて発生している。

これらの操作は・・・ピッチのみに限らず全ての舵に於いて発生し・・・機体が遠方へ移動する程
その遅れが・・・操作の不確実性と共に大きくなる。

その上・・・制御量も遠方に移動するにつれ・・・少なくなって行くのである。



因って、急激に大きな操作を行なわない事から・・・エンジンに負荷が掛かる事が少ないので、
あまり問題は発生しないのだが・・・。


それに・・・大体、経験がある程度豊富な操縦者ならば・・・そんな場合は、エンジンの音で
判断して直ぐに対処するのが普通なので・・・尚の事、問題は発生しないのだ。



では・・・DJIなどの制御系を使用した場合は・・・如何なんだろう?



ここからがいよいよ本題・・・DJIなどの制御系を使用した場合について・・・考えてみる。



と、言う事で・・・続きは・・・次回へ・・・また読んでね~。











使用する機体(ヘリ)に最適なエンジンサイズの考察・・・パート3

2012-03-23 00:01:00 | ガソリンエンジン
使用する機体(ヘリ)に最適なエンジンサイズの考察・・・などと言って・・・今回がその3回目である。

何だかんだ・・・グダグダ言って・・・肝心な処に、なかなか話が及ばないと思っている方もいる事だろう。

本当は・・・そんな理由など無いのではないのか?・・・と、思われても困る。


そこで今回は・・・その確信的な部分に、少し切り込んで行こうと思っている。


何故・・・そんな問題が多い29ccのエンジンにしなければならなかったのか?
(本当は、本質を理解しない・・・使い手の問題だと思うのだが・・・)


この事には・・・皆さんも、多分・・・大いに興味がある筈だと思う。


そもそも、手動で(マニュアルで操縦)通常通り、操縦している場合は、26ccのエンジンで問題ない。


処が・・・DJIの様な制御系を搭載する事で、問題点が散見される様になった。


そこで、紆余曲折を経て・・・その対策として・・・29ccへと、エンジンの排気量を
上げる事にしたのである。


どう言う事かと、言えば・・・この26ccエンジン・・・実は、少々トルクが不足しているのである。
パワーは・・・十分なのだが・・・。

では・・・何故、トルクが少ないのか?

メーカーからは、その辺のデータが公表されていないので、実際に使用してみた結果、私が
勝手に考えている事なので・・・予めお断りしておきたい。


この26ccエンジン・・・分解してみると判るのだが・・・何故か?1本リングが採用されている。

23ccの時代は・・・2本リングであった。


では・・・何故、リングの数が違っているのだろうか?


又、リングの数が減ると・・・どうなるのか?・・・解説をして見たい。

昔から・・・通常、一般の2サイクルエンジンは、2本リングが主流であった。

その理由は・・・主に充填効率を上げる為と・・・ピストンリングの磨耗や、ピストンのカジリと言った
トラブルからエンジンを守り、長期に渡って好調を維持する事が出来る様に従来から採用されて来た。

2本リングだと、例え低回転でしか運転出来ないエンジンで有っても・・・十分な充填効率が得られる。

勿論・・・単純なピストンバルブのエンジンなので・・・吸排気のロスは否めないのだが・・・。

因みに・・・2サイクルエンジンよりも、依り低回転で使用する事が多い、4サイクルエンジンでは・・・
3本リングを採用している事が多い。


通常・・・一般に使用される実用機(車などの)では、エンジンなど、そうそう分解する事など無い。
又・・・その必要が無い様に・・・初めから耐久性を考慮して設計されているのである。


事実・・・皆さんが普段乗っている車のエンジンも・・・殆ど分解する事は無いですよね~。


では・・・何故1本リングなのか?

この1本リング・・・昔から、2サイクルのエンジンを搭載したレース用のバイク等の、
極限られた用途で多く使用されていた。

では1本リング・・・何故一般のバイクには使用されていなかったかと言うと・・・
主な理由は・・・繰り返しになるが・・・やはり耐久性が保てないからなのだ。


レース用のバイクに於いては・・・エンジンを常に分解してピストンリング等のパーツを換えている。

この訳は・・・レースの間だけ好調を維持出来れば良いとの考えから、耐久性をある程度、度外視して迄も
パワーを上げたいと言う事なのだ。

1本リングを採用する、その最大の理由とは・・・フリクションを低減して、より早くピストンを
上下に周動させたいと言う事なのだ。


その結果・・・エンジンを高回転させる事が可能になって、パワーが向上するのである。


通常、上下運動を回転運動に変換しているエンジンの場合には・・・必ずピストンの首振りが発生する。

ピストンには・・・スカートと呼ばれる裾の部分がある。

要は・・・ピストンピンより下側(クランク側)が長くなっていて・・・ある程度、首振りを防いでいる。


しかし、レーシングエンジンでは・・・極端にピストンの丈が短い。

スカート部分が・・・酷く短くなっているのである。

この理由は・・・ピストンの重量を軽減して・・・慣性マスの低減を行なう事で、より高回転で
回転させ極限までパワーを絞り出したいと言う、思いからなのだ。

要は・・・レースの間だけエンジンが持てば良いので、耐久性にはある程度、目を瞑っているのだ。

仮に・・・回転数が上がらないエンジンに1本リングを組み付けた場合には、圧縮工程で
ガス漏れが生じるので、充填効率が落ちてしまい・・・結果、パワーが上がらない。

まあ・・・その様なエンジンは・・・元々パワーなど無いのだが・・・。


以上の理由から・・・リングの磨耗も激しい事から・・・実用車には全く不向きなのである。


以上の事から判る事は・・・この1本リング・・・長期に渡って安定したエンジン性能を維持しようと
考えた時・・・全く良いところがないのである。


話を・・・26ccエンジンに・・・戻す。


このエンジン・・・汎用エンジンの割りに(失礼)随分前衛的な設計が随所に見られる。

さしずめ・・・一昔の、バイクのレーシングエンジンの様だ。(少し大袈裟だが・・・)


通常バイクのレースは・・・サーキットで行なわれる。

菅生の様なコースもあるが・・・通常、その手のコースにはアップダウンは少ない。

従って、レーシングエンジンに求められるモノは主に高いパワーであって、高いトルクではない。

より高いスピードを要求するレースでは、荷物を運ぶ必要が無いので、その必要も無い
と、言う事なのだろう。

故に・・・レーシングエンジンには、高いトルクは求められていない・・・と、言うか・・・
パワーを優先しているのである。


もし・・・酷いアップダウンがあるコースが存在すれば・・・そんな事も
言っていられなくなると思うが・・・。


そんな訳で・・・1本リングを採用した26ccエンジンのトルク不足は・・・DJIの様な制御系を、
搭載した機体に使用した場合には・・・問題になる事が多いのである。


そこで・・・その対策として・・・弊社では、29ccエンジンを採用した経緯がある。


29ccエンジンを採用した最大の理由は・・・パワーを求めた訳ではなくて・・・
排気量UPに伴ってUPする・・・トルクに期待したのである。


そして・・・その期待は・・・当然の様に・・・現実のモノになった。

因って・・・通常は、パワーを求めて29ccのエンジンを使う必要も無ければ・・・使用してみても
弊害が増えるばかりで・・・全くいいところがないのである。

百害有って・・・一利なし・・・とは、少し大袈裟だが・・・使い方を間違えれば・・・ロクな事はない。


そもそも・・・何処から?その手法が伝播したのかは定かではないのだが・・・

最近・・・安易に、その使用を煽る様な風潮もある様だ。

しかし・・・上記の理由から、29ccのエンジンを使用しないで頂きたい・・・と、私は考えている。


次回に・・・続く。
















エンジンの話

2012-03-19 08:49:16 | ガソリンエンジン
以前より・・・ガソリンエンジンのキャブ調整が巧く出来ないとか、失敗してエンジンが焼き付いた・・・
と、言う様な話を聞く事が多い。

又、中には・・・ガソリンエンジンのキャブ調整など、一年中調整する必要が無い・・・
などと、話しているのも・・・良く聞く話である。


本当に、一度キャブ調整をすれば・・・再調整の必要は無いのだろうか?


果たして・・・本当にそうなのだろうか?


そもそも・・・どの様な理屈で、エンジンが快適に運転するのだろうか?

一体・・・どうすれば上手にキャブ調整が出来るのだろうか?


その辺を、少し考えてみたいと思う。


そもそも・・・ガソリン2サイクルエンジンを運転する為に我々が用意するモノは、
混合油(ガソリンと2サイクルオイル)と、プラグのスパーク(火花)である。

勿論・・・プラグのスパークは、点火タイミングが適切に調整されていなければ、
エンジンが始動しない事は言うまでもない。

通常、我々がヘリを飛行させる時(ガソリンエンジンを始動する時)に用意する物と言えば・・・
上記に掲げたモノが一般的だと思う。

中には・・・スターター・・・なんて人もいるのかな?


しかし・・・たとえ狂った様にスターターを回し続けても、これだけでは絶対に
エンジンは始動しないのである。


エンジンを始動させる為には・・・もう一つ、非常に重要なモノがある。

その非常に重要なモノとは・・・自分で用意する必要は全くない。

通常は、その質こそ違えど・・・何処にでもあるモノ・・・。

それは何かと言えば・・・空気である。


そんな事、当たり前じゃないか・・・バカバカしいと、言われそうだが・・・。


自分で用意した混合ガソリンは・・・多分・・・何時も同じクオリティー(混合比率)だと思う。

もし、混合ガソリンを作る時、何となくガソリンにオイルを混ぜている人がいたら・・・それを改め
最低でも、正確な混合比で燃料を作るべきである。

その理由は・・・オイルの含有量次第でも、キャブ調整が変化する為だ。

ただでさえ・・・気圧の変化でエンジンの調子が変わってしまうのに、その上
オイルの含有率迄変化してしまうと更に、事を難しくしてしまう為だ。


話を元に戻して・・・


常に全てが同じ条件で有れば・・・一度最適に調整されたキャブの調整など・・・必要無い。

その状況下では・・・ある一定期間に限り、エンジンは常に快適に運転するだろう。


そうだとすれば・・・・キャブ調整の必要など・・・無いと言う事じゃないか?と、言う事になる。


ところが・・・自然界では・・・そうは、問屋が卸さないのである。


エンジンが快適に運転する為には、混合ガソリン+プラグの火花+空気が必要な事は、
上記で説明した。

この中で・・・常にその品質が一定に保たれているモノは何かと言えば・・・
混合ガソリン+プラグの火花である。


唯一・・・環境の変化に伴って、その品質が常に変化するのが・・・空気と言う事になる。


因って・・・3大要素が変化しなければ、キャブ調整の必要など無いのだが・・・
その内の一つでも変化すれば・・・


当然、キャブ調整を行う必要が有ると言う事なのだ。


では・・・実際には、空気がどの様にエンジンの燃焼に影響を与えているのだろうか?


空気には・・・密度がある。


その基準となる密度(気圧)が、標準大気=1013ヘクトパスカルである。

この気圧の変化に因って・・・空気密度が変化する。


その上・・・温度変化でも気圧は変化するので・・・更に事を難しくしている様に思える。


ガソリンエンジンが快適に運転出来る為には、混合気と空気の比率が最適に保たれている必要がある。

理論的にも・・・この比率が決められている。

これを・・・理論空燃比と言う。

実際の比率は・・・多少異なる様だが・・・理論上の空燃比は、15(空気):1(混合気)である。

理論上は・・・上記の比率で、エンジンは完全燃焼する。


ところが・・・我々が使用している自然吸気のキャブレターでは、気圧の変化(標高変化を含む)と共に、
この空燃比の比率が崩れてしまう。


従って、この空気密度の変化は・・・自然吸気エンジンの運転には少なからず影響を及ぼすのである。


ここにキャブ調整を行わなければならない・・・明確な理由がある。


たまに、プラグを高い物(イリジューム等の)に替えたが・・・それでもエンジンが焼き付いたなどと、
可笑しな事を言う人もいる様だが、そんな事で焼き付きなど・・・絶対に発生しない。

もしも・・・そんな事で、空燃比を無視してエンジンが快調に回るのなら・・・私も、高価な白金プラグでも
何でも使用したい。

しかし・・・現実には・・・有り得ないのだ。


中には、そんな事言ったって・・・人間は多少気圧が変化したくらいでは、呼吸困難にならないじゃないか?
と、言われそうだが・・・人間の場合は、その辺の調整能力が優れていて、少し位の気圧の変化には影響されない。

全く・・・良く出来ているのである。


しかし、燃焼機関は・・・そうは、行かないのである。

ましてや、小さな排気量のエンジンほど・・・空気密度変化に対する許容範囲が小さく、敏感に反応する傾向にある。

良く出来ている人間でさえ、高い山に登れば・・・呼吸困難になる事でも理解して頂けるだろうか?


実機のエンジンでも・・・当然、その辺は問題になる。


因って・・・レシプロエンジンを搭載した機体では、パイロットが高度変化に伴ってミクスチャーを
頻繁に調整して、空燃比を調整しているのである。



以前・・・伊豆七島の一つ、新島へ撮影に行った折に、調布飛行場からアイランダーで飛んだ事が有る。


その時の機長・・・洋上に出ると前方など殆ど見る事無く、一生懸命(神経質過ぎると、思えるほど)
2基のエンジンのミクスチャーコントロールを頻繁に行っていた事を思い出した。


しかし・・・いくら神経質にミクスチャーを調整しても、高度が高くなるにつれ、出力が
上がらなくなってしまう。


そこで、より高高度を飛行するレシプロエンジンを装備した機体では、スーパーチャージャーなどの過給機で
混合気を圧縮し、燃焼室の充填効率を上げて、エンジンが安定して高い出力を維持できる様にしている。

従って・・・実機でも高度変化に伴って、常にミクスチャーを調整しているのが現状である。


我々が使用しているガソリンエンジンも・・・実機程高い高度を飛行する訳では無いが・・・
気温の変化や標高の変化に応じて・・・その調整は当然必要なのである。

季節の変わり目・気温が急激に変化した時・標高が変化した時等は、エンジンの運転状態に神経を
集中して欲しい。

エンジンの音や排気の色・プラグのやけ具合等を観察して、必要が有れば・・・直ぐに
対処する事が必要なのだ。

もし、それらを感じる事が難しければ・・・気圧計や温度計を用意して、それを目安に
調整する事も必要であろう。


次回は・・・ヘリに適したエンジンのサイズ(排気量・パワー)に付いて、述べようと思う。