ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

制御系の防振に付いての考察・・・パート2

2012-02-29 08:32:05 | マテリアル
前回では、制御系の防振に付いての考察を、皆さんと一緒に行おう・・・と言う話しだったが、
少しバタバタしていてブログに投稿する事が出来なかった。

今回はそのパート2、手短にDJIのAceOneのGPSユニットの搭載方法を考察する。

現在ほとんどのAceOneユーザーが、純正ステーを使用してメーカーが推奨する、
取り付け方法でテールパイプ上にマウントしていると思われる。

それでも、電動機等で使用している場合は、然程問題になることは無いのかも知れないが、
しかし・・・エンジン機で使用する場合には、実際には何らかの防振が必要になる。

弊社では経験した事が無いのだが・・・GPSモードで飛行中、突如としてGPSが切れた為に、
機体が制御不能になりかけた(急にポジションの保持が出来なくなった)と、言う話を聞く事がある。

通常、上空で飛行中にGPS信号が受けられなくなる事は、あまり考えられない。

その理由は、急にGPS衛星が何処かに行ってしまう事などありえないし、
上空ではその電波を遮断する物が無いからである。

では・・・何故GPSの電波が受信出来なくなってしまうのか?・・・と言う事だが、

恐らくその原因は・・・99%機体の振動に有ると考える。

GPSユニットのケースを開けて見たので、下の写真を見て欲しい。



GPSユニットの基盤が、ケース内部で振動の為に踊った挙句に、アンテナ(白の四角い部品)の四隅が、
ケース内部で干渉して、削れている。

因って、内部はプラスティックの削粉だらけであった。(削粉は、粗方取り除いてある)


このGPSユニットは、某空撮業者で使用されている機体で、実質の使用期間は・・・約2か月である。

僅か・・・2か月で防振を行わずして、機体に取り付けた場合は・・・この様な状態に陥ってしまう。


この様な状態で、何年も使用を続けた場合、如何なるかは?・・・・誰でも容易に推測出来る事だろう。


では・・・一体どうの様に防振すれば良いのだろうか?

H8年に、あるメーカーから新型の産業用無人ヘリコプターが販売されたのだが・・・私は、その販売前の
性能向上プロジェクトにも参加しており、その機体のデータ取りや様々な試験を行った経験がある。

その時も、このGPSアンテナの防振が・・・かなり問題になっていた事を・・・今、思い出した。


当時のGPSアンテナは、性能も良くなかったのか?振動にはかなり敏感で、度々GPS信号が途絶えたのである。


次回は・・・ その取り付け方法に付いて、実例を挙げながら考察をして見たいと思う。

このブログをご覧の方の中には、既に対策を行って成果を上げている方もお見えになると思うので、
もし宜しければ、その方法をご紹介頂ければいいな~・・・と思っています。

皆さん・・・より安全に制御機器を使用する為に・・・是非、問題を共有してより良い防振をしませんか?



制御系の防振に付いての考察・・・パート1

2012-02-26 07:07:34 | マテリアル
前回・・・ある空撮会社所有の空撮機の制御系に・・・異変が発生した。

それを弊社に持ち込んで頂き・・・運良く、その場で修理する事が出来た・・・ところまでは、
前回のブログに掲載した。


何故・・・弊社でこの様な話を、延々とするかと言えば・・・あまりにも、これらの制御系を
安易に取り扱っているケースを見聞きするからで・・・弊社では、
この状況に危惧を抱いているからに他ならないのである。


空撮等に使用する機体を、一般の模型機を製作する様なノリで・・・作らないで欲しい。

特に・・・高度な制御系を搭載する場合など、尚更である。


DJIを取り扱っている代理店も、制御機器が欲しいと言われれば・・・商売だから、当然・・・販売するだろう。
その販売姿勢には、多少問題もあるが・・・非難する事は出来ないのである。


因って、それらの機器のマウントを含め・・・それらを安全に取扱えるのかは?・・・ユーザー自身の問題である。

その場合の殆どが・・・練度が低いユーザーであり・・・機体が安定するからと言う理由だけで、
それらの制御機器を導入する事が多いのだと言うが、十分な知識を持ち合わせる事無く、
それらを扱う事は、非常に危険な事だと・・・私は考えている。


何故なら・・・そもそも制御系におんぶにだっこで飛行せているので、僅かな機体の変調や不調に
気が付かない可能性があるからである。

仮に気が付いたとしても・・・安全に、その対処が出来ないので危険だと言うのが、
その理由だと考えるのだが・・・如何だろうか?

実際には、例え熟練者でも・・・トラブルに遭遇した時、不具合の内容如何に因っては、対処が難しい場合もあるのだ。

だから・・・機体に異変が生じた時は、出来るだけ早く・・・その芽を摘み取る事が必要と考える。


トラブルは・・・得てして、突然現れる事も少なくない様だが・・・実際には、その兆候は、必ず事前にあると思うのだが・・・
大体は・・・気が付かないか・・・まあ・・・この位大丈夫だろうと言って・・・トラブルに遇うのである。


前回お話したユーザーの事例でも、その症状は突然現れたと・・・言っていた。


従って、それらの不調を事前に防ぐ為に・・・どうすれば良いかを、皆さんと一緒に考えたいのである。


要は・・・産業用で使用されているヘリの事故を・・・未然に防ぎたいのである。


不具合の実例を挙げ・・・同じ不具合が発生しない様に、その対策を講じたい・・・と言う事なのだ。

このブログをご覧頂いている皆さんの中には、色々なご意見をお持ちになられている方もお見えになると
思うので、もし宜しければ、そのご意見も頂戴したいと考えている。

因って・・・弊社のブログに、遠慮なく忌憚の無い書き込みをお願いしたいと思うのである。

次回からは、実際の不具合と・・・その対策に付いてお話したいと思うので、お楽しみに。

DJI製・・・制御機器の不調

2012-02-24 09:07:20 | マテリアル
ある空撮屋さんから・・・数日前から機体の制御系に変調が表れたとの連絡が度々入る様になった。

最初は・・・GPSモードでエンジンの回転が高くなったとか・・・降下時にエンジンの回転が高くなるとかの
話の様だったのだが・・・それが、時間の経過とともに姿勢制御までおかしくなった・・・との事だった。

電話で出来る限りの助言を与えてはいたのだが・・・症状は一向に改善しない様だった。

どうも電話での話だけでは、肝心な話が伝わって来ないので、こちらも今一ピンと来ていない事も
事実だったので無理もない。

要は・・・何を言っているのか?理解が出来なかったので、適切な助言を与える事が出来なかった・・・と言う事だ。

こちらの理解力の問題もあるとは思うのだが・・・電話を頂く時には予め症状の要点をまとめて頂いた上で、
ご連絡を頂きたいものである。

例えば・・・エンジンの回転が急に上昇する場合は・・・何をどうした時に上がるのか?・・・
ピッチを変えた時に、回転が落ち込む事は有るのか?無いのか?ホバーリング時に何回転で回っているのか?
(正確に)・・・最低でも、その位の情報は必要なのである。

感覚的に、何回転位とか・・・キイ~ンとかボ~と回るとか言われても・・・なかなか理解出来ないのである。

従って・・・機体を持ち込んで欲しいと、話してはいたのだが・・・多忙にて持ち込めないとの返事だったのである。


しかし、撮影を翌日に控え切羽詰まっていた、そのユーザーから、その日の朝・・・突然電話が入った。

その内容とは・・・症状が全く改善しない事から、電話ではラチがあかないので、
そちらに機体を持って行くから・・・良く診て欲しい・・・それはSOSの連絡であった。

たまたま前日出張から帰っていた私も、その方が良いとの判断から快諾した。


3時間ほどした昼過ぎ・・・そのユーザーがお見えになった。


早速、実際に機体を点検する・・・2~3の小さな不備は有ったものの、
それらは10分程度で解決した。

その作業で・・・エンジンの回転変動は恐らく改善したと思う・・・その程度の自信はあった。


しかし、制御系の不具合に付いては・・・依然として原因が掴めない・・・謎???


そこで飛ばして見る事に・・・。

フライトの結果・・・やはりエンジンの不具合は改善されていた・・・先ほどの対策が功を奏した様である。

一つ目のトラブルは・・・難なくクリアー出来た。


しかし・・・いざGPSモードでフライトさせると、位置精度が全く無いどころか、あらぬ方向へ・・・
ヘリが移動し始めた。


これは・・・流石にオカシイ。


フライトモードを、GPSから他に切り替えれば正常に飛行出来ている様なので、
暫くそのまま飛行させて様子を見た。

その症状から・・・IMUに原因があるとは思えなかった。

因って、どうも原因は・・・GPSのアンテナではないかとの結論に達した。


そこで・・・新しいGPSアンテナに交換してテストを行った処・・・先ほどの症状は見事に無くなっていた。


私はユーザーの顔を覗き見た・・・どんな表情をしているのか?・・・ひそかに観察したのである。

そのユーザーは・・・症状が改善した事で、安堵の表情を浮かべていて、さすがに嬉しそうだった。

そんなユーザーの表情を見れて・・・私も嬉しかった。


今回は超・・・稀なケースだとは思うが・・・ほぼ同時に別々の不具合が重なっていた。

その為に、どうもそのユーザー・・・一つの原因から、それらの不具合が・・全て発生したものだと思っていた節がある。

要は・・・勘違いをしていたのである。

自分なりに症状を改善するべく、色々やってみたのだが・・・駄目だった様だ。


その結果・・・そのユーザーは、そのトラブルの事で頭が一杯になり、
数日間熟睡する事も出来無かったよ・・と言う。

そんな訳で、弊社にお見えになった時は、かなり憔悴している様子で・・・今朝も3時に目が覚めてしまって・・・
と言っていた。


普通は、そんなトラブルの原因を、短時間で探し当てる事は・・・容易ではないのである。


そんな時は・・・悩んでいないで、早く機体を持ち込んで欲しい。

餅は餅屋である・・・少なからず、何とかする自信はあるので・・・任せて欲しい。

しかし・・・今回は、たまたま私も会社にいて、交換部品も在庫が有った。

だが・・・難解な制御系を搭載した機体が不調になった時・・・この様に、短時間で全てが良い方向に向かう事は、
極・・・稀なケースだと考える。

部品一つ無くても・・・アウトなのだ。

従って・・・もう少し時間に余裕を持って機体を持ち込んで欲しいものだと思う。


今回のの様に、実際にトラブルを改善する時はに、その症状をよく観察した上で・・・
その症状から幾つかの推論を立て・・・それに優先順位を付けて対策を実践する事が基本である。


それがダメなら・・・又、次の対策を実践すると言う様に・・・カットアンドトライ・消去法で行うのである。

しかし、これは闇雲にやっても意味がない・・・正確な現状把握が重要なのである。


因って、今回の様に症状の見立てを誤ってしまった場合には・・・見当はずれな整備を繰り返す事となる。

その様な場合には、間違った方法で、例え・・・一生、見当はずれの修理をやってみても、症状が改善する事は無いのである。


では・・・何故にGPSアンテナの調子が悪くなったのだろう?・・・その原因は、一体なんなんだろう?


IMUやメインコントローラー等の、制御機器を不具合に陥らせ無い為には、何が重要なのか?

次回は、その辺の考察を行いたいと思うので・・・お楽しみに。




モニター付きプロポ

2012-02-21 20:44:42 | マテリアル
ある取引先より、モニターテレビをプロポに取り付けて欲しい・・・との依頼があった。

その会社には、既に自動格納式のヘッドマウントディスプレイを納品している。

そのヘッドマウントディスプレイ・・・必要が無い時には、ボタン一つで収納出来るスグレモノなのだが・・・。

そんな訳で・・・最初は、そのオーダーの意図が理解できなかった。

又、液晶テレビを屋外で使用する場合には、外光が明る過ぎて液晶画面が見難いと言う、
現実的な問題もあるのでお勧め出来ないのである。



処が・・・どうしても作って欲しいと言って聞かないのである。


そこで、その手の使用に耐えられる液晶テレビモニターを方々探した・・・勿論、高輝度で・・・。

探し回った甲斐が有り・・・テレビ局でも使用されている液晶テレビモニターが見つかった。

その液晶テレビモニター・・・どうにかプロポに、巧く取り付ける事が出来た。


早速、モニターテレビのテストを屋外で行った。

流石・・・テレビ局でも使用されていると言うだけあって・・・そのモニターテレビは、明るい屋外でも
シッカリと被写体を映し出したのである。

その上・・・色合いまで正確に表現した。これには・・・流石にビックリ。


数種類の液晶テレビモニターと比較して見たが・・・違いは歴然。

群を抜いていて・・・極めて秀悦であった。

言い分け(良い訳)・・・

2012-02-21 07:23:17 | マテリアル
昨日は、DJI専用フレームの製作の様子をお伝えした。

今回は・・・OneOffでの製作である。

何故フレームだけしか作らないのか?

その他の部品はどうするのか?・・・と言う事だが。

今回の最大の目的は、AceOneのEMSやメインコントローラーの取り付け位置の
見極めを行なう為である。

このEMSやメインコントローラーには、マウント上の制約がある。

この制約がある為に、これらの機器を市販(模型機)の機体に搭載する時には、
多々妥協をしながらマウントする事になる。

結果・・・それらの機器が整然と搭載出来る事はないし、またマウント上の制約を
クリヤーする事も難しいのである。

弊社では・・・今までも、それらの機器用の専用マウントを作って、数々の機体に搭載してきた。




上記の写真はほんの一例だが・・・これらの様に、EMSには振動が伝わらない様にしなければ・・・
その動作に弊害が出る。

姿勢制御用のセンサーが、振動に因ってエラーを発生させる事もあるし、
水平の位置精度を鈍らせるのである。

水平の位置精度が鈍るとどうなるのか?と言うと・・・センサーの振動が大きい場合は、
機体が小刻みに震える様に振動する場合もあるし、揺ら揺ら大きく振動する事もある。

そんな訳で・・・これらのセンサーをフローティングして機体の振動が伝わらない様にする事は、
当然の事だし、農薬散布等で使用される産業用無人ヘリでも通常使用されている手法で・・・
センサー関連の知識が多少でもあればその様にするのが当然の事であるし・・・常識でもある。


しかし、市販の機体に写真の様に搭載してしまうと・・・機体重心から乖離してしまうのである。


勿論・・・重心位置は設定ソフト上で補正出来るので、然程問題になる事は無いのだが・・・。


しかし・・・EMSを重心付近にマウントした時の、ソフトなフライトフィーリングと
設定のし易さが忘れられないのである。


そこで・・・取り敢えず既存の機体のパーツを流用して、制御機器が出来る限り理想の位置に
搭載出来る様にフレームだけを設計して試して見たい・・・と言う訳だ。

因って今後、テストの結果如何では、フレーム形状や制御機器のマウント位置が、
今後テストの結果如何で、変わる可能性も多々残されているのある。

全ての部品を最初から作り込んでしまうと、その後変更が生じた時の対応に差が出てしまう。

要は・・・変更が厄介なのである。


その様な場合は・・・最悪、希望する変更を加える事が出来ずに・・・没になる事も。

因って・・・今回は、たまたま手持ちが有ったパーツを流用した・・・と言う事なのだ。

次回に・・・続く。