ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

GT15HZをテストする・・・パート5

2013-10-07 06:16:30 | ガソリンヘリ
シリーズでお伝えしている、T-REX700に搭載したGT15HZをテストする・・・
も、今回で5回目。

今回は、いよいよ初飛行時の状況についてお伝えしたいと思う。


それは・・・時間の都合で(毎度の事で、さして珍しくも無いのだが・・・)日没後の
僅かな時間を使って行われた。




場所は・・・弊社のテストフィールドである。


何故明るい内にテストを行わないのか?と思われても仕方ないが、
ワイヤーハーネス等の取回しに時間をとられてしまったのである。

兎に角・・・T-REX700のハーフキャビンは小さすぎる。

そのキャビンを装着すると、ワイヤーハーネスがキャビンに接触してしまう。

そんな訳で・・・受信機のレイアウトを変更したりと、無駄な時間が流れたのだ。

因って時間の制約から、止む無く初飛行はキャビンなしで行なう事になった訳だ。


従って、ワイヤーハーネスや受信機のレイアウトは、初飛行後に再度改修するハメになった。


問題のフライトフィーリングだが・・・T-REX700の標準のギヤ比では、
想像に違わず兎に角ハイギヤード過ぎる感がある。

3D専用機とも言えるこの機体では、結果ホバーリング時のローター回転が
1900rpm以上にもなってしまう。


グローエンジンではこんな場合に、しばしばニードルを甘めに調整する手法が常態化している
ところではあるが、実際には内燃機関には理論上の空燃比と言うモノが存在する。

勿論・・・グローエンジンのそれとガソリンエンジンのそれは同じではないが、
エンジンを快適に運転させようとすれば、混合気は理論上の空燃比に限りなく近づける必要が有る
事に間違いない。


もしも・・・GT15HZを甘めに調整しようとすれば、ぶつぶつといった感じで回転ムラが発生し、
スムーズにエンジンを運転させる事など到底出来ない。


この・・・ぶつぶつとエンジンが回転する場合は、程度の差こそあれ不完全燃焼であって
、全ての点で良くないのである。


このエンジンのキャブ調整は、普段弊社で使用している空撮機のエンジン調整(キャブ調整)とは
明らかに異質のもので、かなりシビアな感じがする。

通常、汎用のガソリンエンジンでは、かなりファジーに調整しても平気なのだが・・・GT15HZに
限って言えば、どうも様子が違う様だ。

言い換えれば・・・燃調が濃い状態と薄い状態の境界がシビアと言えば良いだろうか?

このキャブ調整・・・LoニードルとHiニードルを巧くコーディネートさせて調整する必要が有るので
、根気良く調整を繰り返すほかに道はない。


しかし調整が進んで、エンジンが快適に運転できる状況になると、増々メインローター回転が高くなる。


流石に・・・これだけメインローター回転が高い状態で、ホバーリングからフルスロットルにしようものなら、
跳ねるように機体が上昇して気持ちが良い。

この様に上空は良いのだが・・・しかし、ホバーリング回転は下げたいのである。

従って・・・ホバーリング時のスロットルカーブとピッチカーブを調整する事となるが、
それとて限界があり、特に回転が高いからと言って無暗にスロットルカーブを低く設定し過ぎると、
最悪焼き付きの原因にもなりかねないので注意が必要なのだ。


因って、イメージ通りの機体に仕上げる為には、メインギヤのギヤ比を変更する必要があるのかも知れない。

この懸案のギヤ比の検討については、もう少しエンジン調整を煮詰めた後で最終的に判断しようと思う。


後日、ワイヤーハーネスの取り回しや電装品のレイアウトを変更して、無事キャビンを取り付ける事が出来た。

これらの電装品やワイヤーハーネスは、決してキャビンの裏側に接触していてはいけない。

また、フライト中にワイヤーハーネスが振動する事もあるので、それらが当たらない様に
必要最小限のクリアランスは確保して欲しい。

かくして・・・無事にキャビンも装着出来たので、記念に1枚撮った。















GT15HZをテストする・・・パート3

2013-10-03 00:00:01 | ガソリンヘリ
今回からは、GT15HZを機体に搭載する時の注意点を機体毎に説明したいと思う。

勿論これから記す事柄は、弊社が実際にGT15HZを搭載した時に感じた事なので、
もっと良い方法や手法が有るかも知れないので予めお断りしておきたい。

JR製エアースキッパー90にGT15HZを搭載する場合には、
先ず、クーリングファンケーシングを1ヶ所だけ削る必要がある。

クーリングファンケーシングにキャブレターが干渉してしまう為、
その部分を現物合わせで予め削っておく。

機体側に加工を施さなければならない個所はそれだけで、後は至って簡単に
エンジンを換装する事が可能だ。

ガソリンエンジンでは、グローエンジンと比較して発熱量が大きいので、
クーリングファンの容量なども気に掛るが、エアースキッパー90の場合は、
純正で全く問題ないだろう。


減速比に於いてもほぼ適正だと思われるので、中級者が扱っても戸惑う事は少なそうだ。

エンジンの始動は簡単で、まさかと思ったが60クラスのスターターでも簡単に始動する。


但し、エンジンが簡単に始動するのとは裏腹に、このGT15HZ・・・中速までの燃調が
薄い傾向が有る様で、実際にはかなり濃い状態にも拘わらず、アイドルからの吹け上がりが
少し薄いのでは?と言う感じで超スムーズに吹け上がってしまうのだが・・・ホバーリング付近で
急激に燃調が濃くなってしまう。

勿論・・・調整が進むにつれ、この様な状況は影を潜めて行くので心配ない。


因ってこの状況から、初心者~中級者・・・もしかしたら上級者でも、
キャブ調整で戸惑ってしまう事もあるかもしれない。

たとえグローでそれなりのスキルを有した上級者でも、実際にガソリンエンジンのキャブ調整を
行なった事がある人は少ないと思われるので、そう言った意味では、殆どの方が初心者と言っても
過言ではないだろうと思われる。

従ってエンジンの取り扱いや、燃料の混合比には特に注意を払い、説明書を熟読してから
事に当たって頂きたいと思う。


エンジンが上手に調整出来た機体は、実に気持ち良くフライトするし、燃費の良さは
グローエンジンとは異次元のもの・・・500ccで1時間近くフライトしてしまう。

それから、受信機のバッテリーは、容量の大きなモノを選んだ方が良いだろう。
燃料タンクが空になるまで連続してフライトさせたい場合には、ニッカドの6000mAh程度では
心許ないので注意する必要があるだろう。



パワーもそこそこあるので、リポ等の容量に余裕があるバッテリーを使用すれば、
スタント練習にも打って付けだと思うが・・・但し、長時間のフライトで集中力を切らして
墜落などさせない様、注意して練習に励んで頂きたい。


次回はT-REX700に、GT15HZを搭載する時の注意点をお伝えしようと思う。



GT15HZをテストする・・・パート2

2013-10-02 06:39:49 | ガソリンヘリ
誰が言い出したのかは定かではないが・・・巷では、ガソリンエンジンは振動が大きい
との、実しやかな噂?都市伝説?がまかり通っている様だ。

そこで・・・以前のブログ(2013.6.6~16)でもお伝えした様に、ガソリンエンジンの
振動に付いて考察を行った。

考察すると言っても・・・唯、机上で考えていても何も始まらない。

そこで、模型ベースのガソリンエンジンであるOS GT15HZと、
同社の91グローエンジンを実際に使用して、双方の振動比較を行う事にしたのである。

これらの検証・・・要は行動力なのであって、感覚でモノを言っても始まらないので、
実際にやって見る事が大事だと私は考える。



これらのエンジンは同じメーカー製なので、同じ精度・基準で生産されていると考えて良いだろう。
また幸いな事に、この両者のエンジンは同じ排気量(ボア・ストロークも同じ)であった。

このことは、ガソリン及びグローエンジン双方の比較検討に於いて、純粋に振動の違いについて
比較検討が行えものと考えられるので、まさに好都合であった。

更に欲張って、GT15HZの実力も同時に検証してしまうと言う、一石二鳥の作戦でもある。



前回はその実力を探るべく、第1段階としてガソリンエンジン(GT15HZ)を
JR製エアースキッパーに搭載した。

結果は・・・エンジンの取り付けから調整まで、全てが実にスムースに進捗した。

勿論、結果も上々であったので、ユーザーにも喜んで頂いた事は言うまでも無い。


その事から・・・ガソリンエンジンは、本当に振動が大きいのか?・・・のかと言う疑念に対し、
今回の検証で一つの結論を導き出す事が出来た。

それは・・・少なくとも今回の検証結果からは、その様な状況は全く見受けられない・・・
と、言う事である。

そもそも理論的に考えても、グローエンジンとガソリンエンジンとで、
振動係数にそんなに大きな違いなどある訳がないのである。


それでも・・・皆さんがお使いの機体に振動があるならば・・・機体の組み立て方法を
もう一度見直してみる事も必要ではないだろうか?

ガソリン機に限らず、たとえグローエンジン搭載機でも、不用意に組み立てられた機体では、
立派に振動が発生するのだから。


それからエンジンの調整(燃調)は、甘くても辛くても振動が発生しやすいので、
適正に調整する必要があるので注意する事も付け加える。

燃料タンク内の燃料が、泡立って白濁している様な機体など・・・論外と言えよう。

それらがトータル的に高い次元で達成された暁には、たとえガソリン機と言えども
振動のない機体が手に入るのではなかろうか?



ガソリンエンジンの振動に付いては、グローエンジンと同等・・・との結論が得られたので、
今回は、そのGT15HZエンジンをT-REX700に搭載する事として、
エンジン装着時の注意点や、その実力やフィーリングについて探ろうと思う。



今回の実装テストでの一番の関心事は、そのギヤ比の影響についてである。

因みに・・・JR製エアースキッパーのギヤ比は9.78であるのに対し、
T-REX700のギヤ比は8.2である。

この事から、T-REX700のギヤ比はエアースキッパーと比較して
かなりハイギヤードだと言う事がわかる。

仮に、エンジンがホバーリング時に15000rpmで運転している場合、
JR製エアースキッパーではメインローターは1534rpmで回転する事になる。

方やT-REX700では、同条件で1829rpmにもなってしまう計算だ。

これをホバーリング時に、メインローターを1450~1500rpm程度で
回したいと考えている。

この要因が、吉と出るか?はたまた凶と出るか?はやって見てのお楽しみと言う事で、
先ずは機体(T-REX700)に、GT15HZエンジンを搭載してみる事にする。



その実力は如何に?と言う事で・・・その様子は、次回でご報告したいと思う。

業務にも使用可能なガソリンヘリ用マフラーに付いて・・・パート3のつもりが・・・急患が入る。

2012-04-18 08:32:14 | ガソリンヘリ
前回に引き続き・・・今回も、業務にも使用可能なガソリンヘリ用マフラーに付いて・・・パート3と題して、
お話しするつもりであったが・・・ある空撮業者から・・・SOSの連絡があった。

電話でその症状を確認したのだが・・・擬音交じりの説明で・・・サッパリ・・・要を得ない。

そこで・・・時系列で有った事を、そのまま話して欲しいと言っては見たモノの・・・無駄な努力であった。

根拠のない・・・自分の主観を織り交ぜて話されるモノだから・・・何が真実なのか?見当も付かないのである。


仕方がないので・・・例に因って、持参して欲しい・・・と、言う事になった。


実際に持ち込まれた機体を診ながら・・・オペレーターに、その時の状況を・・・根掘り葉掘り・・・聞いた。

その中から・・・原因の糸口を・・・必死に探すのである。

もうチョット・・・話を整理して頂けたら・・・こんな苦労はしなくても済むのだが・・・。


その結果・・・どうも、作業中に低電圧エラーが発生した・・・と、言う事は間違いないらしい。


オペレーターも・・・AceOneのLED表示に付いて・・・購入先が発行しているAceOneの
日本語版の取り扱い説明書を・・・一応、確認したらしい。


その為・・・オペレーターは、頻繁に起動エラー~起動エラーと繰り返すのである。

私が・・・訳した中には・・・その様な表記は無かったハズなのだが・・・?


実際に・・・その、AceOneの日本語版の取り扱い説明書を見せて頂いた処・・・???


そこには、本来記載されていなければならない・・・低電圧エラーではなく・・・起動エラーと
誤表示されていたのである。


これでは・・・そのオペレーターも、頻繁に起動エラー~起動エラーと繰り返すのも無理が無いのである。



その事が・・・問題解決を更に難しくさせていた・・・要因であった。



因みに・・その取扱い説明書は・・・弊社で訳したモノではないので・・・念の為、お断りしておく。



それらの聞き取り調査から、ある仮説を立て・・・それを確認する為に、実際に機体の電源を入れて見る事にした。



その時点では・・・一見・・・異常なく制御系が立ち上がった様にも・・・見えた。


そこで・・・その状態で・・・各部(特に、電源の)の接触不良が無いかを・・・探した。



その結果・・・直ぐに・・・その原因は、見つかった。


それは・・・BECの断線である。

4.8v仕様のサーボ等を使用した機体に、AceOneを搭載してリポから電源を供給する場合には・・・
必ず、電圧を調整する必要がある。


因って・・・BECを使用して、電圧を降圧するのだが・・・そのBECに関しては・・・色々なトラブルが
絶えないのである。


弊社でも・・・今回トラブったBECと同じ製品を使用しているのだが・・・自己責任で、配線を太くして
使用していた。


今回・・・断線したBECは・・・オリジナルのまま使用していたのである。

下の写真が・・・実際に断線したBECである。





このBEC・・・基本的な性能は・・・満たしているのだが・・・その配線だけが、ガソリン機に使用する事を
前提とした場合には・・・些か不安の残る・・・細い線を使用しているのである。


早速・・・その対策や、各部の調整を行った上で・・・修理完了となった。

しかし・・・今回の不具合は・・・かなり危険な状況であった。

従って・・・該当BECを使用しているユーザーは、直ぐにでも対策を執った方が良いだろうと思う。


そんな訳で・・・今回は、緊急提言として・・・予定を変更してBECの話をした。


全て、修理・調整が終了した時点で、依頼先のオペレーターに確認フライトを行ってもらった。



結果は・・・OK。

今回は・・・幸い、何もなくて良かったが・・・機体整備やフライト前のプリフライトチェックの重要さを
改めて痛感させられた事案であった。








260Z用AceOne専用フレームが・・・遂にロールアウト

2012-04-10 17:32:26 | ガソリンヘリ
予てから試作していた、ガソリンヘリ(260Z)用AceOne専用フレームが・・・バーレス仕様で
遂に初飛行に成功した。



実は・・・数十年前に・・・バーレスの研究に没頭した事が有る。

その当時は・・・販売されていたグラスローターなどもまだ少なかった事から・・・
専らテストに使用したローターは、市販の木製ローターであった。

その市販の木製ローターのバイアス方向の強度を上げる為に、追い加工を施し、そこにグラスを巻いて
良く加工したモノである。


別に空撮用として実験していた訳では無い・・・と言うより、昨今の様な制御装置の無い時代の事なので、
その安定性は趣味レベルであった事は・・・言うまでもない。

実際には・・・コード方向のファジーな重心や風圧中心との解離・スパン方向の可撓性のアンバランスなど
・・・今考えると・・・全てに於いてアンバランスで、かなり稚拙なローターであった。


それでも、自分なりに確立した設定方法で、30~60クラスの機体を使用して、ロールやループを始め・・・
オートローテーション迄、難なく行う事が出来た。




現在、国内外のメーカーから、スポーツ用として様々なバーレス用の制御装置が販売されている。

それらはどれも・・・素晴らしい飛びを見せている様に見えるのだが・・・。


AceOneを使用して、空撮用にその設定を行った場合は・・・余り良い評価が得られていない様であった。


事実・・・何人もの知人から・・・その様な話を聞いていたので、内心ビクビクしながらの
初飛行であったのだが・・・。


しかし、それとは裏腹に・・・あまりにも、あっけない程簡単にロールアウトしてしまったので・・・
些か拍子抜けしている処である。


初飛行の割に・・・それ程違和感も・・・無いのである。



この専用フレームの開発(試作)の様子は、以前のブログでも紹介している。



又・・・何を目的に、その様なフレームを製作したのかも、数回に渡って述べているので、
良かったら参考にしてほしい。



肝心の・・・AceOneのIMUの取り付け位置や、その防振効果だが・・・テストの結果、
狙い通りの性能を発揮して・・・その効果は絶大であった。

このIMUマウントは、熟考を重ねて搭載位置を決定をしただけ有って・・・十分にその性能を発揮している様だ。


これならAceOneも、長期間安定した性能を発揮出来ると、確信しているし・・・その防振効果に満足している。


実はこのIMUマウント・・・念の為、滑り止めにバックアップで、テスト結果が思わしくない場合には、
他の位置にもIMUを取り付けられるように、準備していたのではあるが・・・どうやら、別に用意した
IMU搭載位置に変更する必要も無さそうだ。



またフレームも軽量化の為に、肉抜きを結構行っているのだが、その材質を純正よりも高強度なモノに
変更している為か?・・・その形状や剛性・耐久性にも・・・問題は無さそうなので、内心ホットしている。


まあ、その辺も・・・これから実施される耐久テストを重ねれば・・・いずれハッキリとするだろう。



テストの様子を・・・YouTubeにUPしたので、興味のある方はご覧頂きたい。



それから・・・もう一つの・・・と言うか・・・最大の関心事であるバーレス専用ローターに付いてだが・・・。


今回のFRP製のメインローター・・・他社のメインローターには無い・・・大きな特徴がある。

その実機ばりの開発コンセプトや、フライトフィーリングに付いては・・・また次の機会にでも述べたいと思う。


良かったら・・・また見てね~