ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

業務用の機体強度に付いて・・・パート6

2012-02-10 17:01:57 | マテリアル
今日も現場は・・・強風が吹き荒れていた。

メインローターを固定しておかないと・・・風車状態になりそう。

早く穏やかな気候になれば・・・良いな~と思う・・・今日この頃です。


さて、この処・・・本ブログでは、減速比の話題が続いているが・・・ギヤの歯形を
ヘリカルギヤに変更する事で、ギヤの強度を上げる事になった。

しかし・・・それは同時に、新たな問題も引き起こす可能性がある。

通常・・・ヘリカルギヤを採用した時は、回転時にスラスト方向の力が発生する。

従って・・・通常は、その力を相殺する様な設計を行なう。


処が・・・例題機ではオリジナルが平歯車を使用していたので・・・
当然、その様な構造にはなっていない。

オリジナルの構造は、ピニオンギヤをベアリングにロックタイトで接着して組み立てているのだが、

それをそのまま、ガソリンエンジン機に使用した場合には、スラスト方向の力に加えて
エンジンの発熱量が多い為に、ピニオン軸が緩む可能性が高い。

このトラブルは、オリジナルの平歯車でも発生してはいたのだが・・・
更に高い確率で発生する可能性がある。


空撮等に使用する産業機の場合・・・発生しそうなトラブルの芽は早く摘み取っておいた方が良い。

その理由とは・・・常に使用している機体を、頻繁にメンテナンスを行なう事は困難な為だ。

念の為、断っておくが・・・メンテナンスを怠ける為に行なっている訳では無い。


そこで・・・その対策品を作った。


このピニオンギヤ・・・設計段階で、ある特殊な方法を採用して芯振れが発生しない構造にしている。

普通・・・雄ネジと雌ネジの間には、必ずクリアランスが存在する。

そのクリアランスが原因で、ネジを締め付ければ・・・必ずどちらかに偏りが生じる。
これが・・・芯振れの原因となるのだが・・・その対策を行なっている。


しかしこの方法・・・ベアリングを上下からピニオンギヤで挟み込んでいる。

ベアリングもダブルで使用している関係で、その軸には一切のアソビが無い。

因って、ピニオンギヤが芯振れした状態で組み付けられた時には・・・最悪、フレーム破断等の
トラブルに発展する可能性がある。

又その他の要因として・・・エンジンが正確に組み付けられていない場合も、また然りである。


いずれにしても、高い組み付け精度が必要になる。

しかし、全てが正常且つ的確に組み付ける事が出来れば・・・ピニオンの緩みなど皆無になる。

産業機には・・・模型よりも遥かに高い耐久性と、組み付け精度が求められている。

業務用の機体強度に付いて・・・パート5

2012-02-10 04:45:04 | マテリアル
また~・・・前回の続きである。

途中、気まぐれから・・・・違う話題で投稿したので・・・あの記事はもう終了したの?
と、思われた方もいるのでは無いかと思う。

前回の話では・・・大脱線して修復不能になってしまったので途中で止めざるを得なかった・・・反省。

因って、これからは、あまり脱線しない様に・・・減速比の話に戻したいと思う。

前回は確か・・・29ccに排気量を上げた事でエンジンのパワーが上がった・・・。

パワーが上がった分、ギヤ比を変更してバランスを取る必要があると言う様な話だったかと思う。


ヘリカルギヤを使用した場合、既に製作してしまった強化フレームに新たな加工を施す事無く、
使用する事の出来るギヤの歯数は、84枚である事は既に説明した。

その場合の減速比は、7.64:1になる。

メインローターを、1350rpm程度で回したいので・・・丁度都合がいい。

純正は、8:1なのだが・・・これでは、明らかにローギヤードである。

有り合せのギヤを流用して、実際にテストを行なってみると・・・
84Tのギヤは、非常にマッチングが良い。

実に・・・しっとりと飛ぶのだ。

その上・・・この回転域では、些かノイジーなゼノアエンジンの排気音も静かなのだ。

このギヤ比・・・個人的には気に入っているのだが、どうも他の業者に言わせると、
パワーが無いと言う。

別にスポーツフライトを行なおうと言う訳では・・・ない筈なのだが・・・?

自動車でも・・・・貨物車はそんなにパワフルに走らないと思うし、
又その必要も無いのである。

29ccに排気量を上げた事で、パワーもトルクも飛躍的に向上している。

折角エンジンのトルクが向上したのに、それを巧く活用しない手は無いのだが、
他の人達は、フレームを削ってでも・・・メインギヤが88枚の方が良いと言う。


まあ・・・色々な考えがあっても良いのだが・・・

もしかしたら・・・その人達は、今までの経験側から先入観を持っていて・・・
ガソリンヘリのエンジンは、高回転で回らなければならないと、
考えているのかもしれない節がある。

確かに、高回転でエンジンを回してしまった方が、多少キャブ調整が狂っていたとしても、
誤魔化せる側面も有るにはあるのだが・・・。

それでは・・・エンジントラブルの元。

キャブ調整は、極力適正な空燃比に調整する必要があるのだ。

そうでない場合は・・・長期間、安定したエンジン性能を保つ事は出来ない。

その他の理由として、もしかしたら・・・790mmのメインローターを使用している為に、
ピッチを高く設定する必要があるのかも?

ピッチを高く設定すれば・・・揚力も増加するが、同時に抗力も増えてしまう。


ここに弊社が・・・リフター800と言う、高揚力タイプのメインローターを
開発した理由がある。

揚抗比の高い特殊な翼型を採用する事で・・・ピッチを立てる事なく、浮き改善させているのだ。


但し、84枚のギヤを使用して、強風下(風速10m/s以上)で飛行させた場合には・・・
多少問題もある、

強風下で唯一問題になるのは、風に叩かれたりすると多少エンジンが
苦しくなる場合がある・・・と言う事である。


すると・・・総合的に減速比を判断した時、どうも最終的に86枚のメインギヤが良さそうだ。

このギヤ比で・・・メインローターを1350rpm付近で回転させようとすると、
現在のエンジン回転より、多少上げて10500rpmで回す事が出来る。

これは実際に作って・・・ヤッテみるしかない。

もしかしたらこのギヤ比・・・29ccエンジンを使う上で、新たなトレンドになるかも・・・。