ラジヘリ空撮

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JR260Z空撮仕様機・・・やっと・・・完成

2011-12-12 13:09:58 | ガソリンヘリ
某空撮会社からの依頼で、JR製の260Zを空撮仕様で完成させた。

処が・・である。種々の問題点が、次から次へと浮上。


取り敢えず、機材は弊社から納品したのだが・・・諸般の事情から、機体は基本的な組立てを客先が行い、
DJIを含む設定及び、調整を弊社で行い、最終的に仕上げる事となった・・・・のだが・・・・
この時・・・既にやな予感が・・・・。

取り敢えず、客先から260Zの完成機体が届いた。

その時は、弊社の都合で、直ぐに手を付けられる状態ではなかったので、特段検査する事無く、
ただ・・・受け取ってしまったのである。

一見、良く出来ていた様に見えた・・その機体は・・・実はトンでもないモノであった。

その機体は、通称・・・地獄作り・・・と呼ばれる手法で作られていた。


地獄作り・・・とは、あらゆるネジ類が、ネジロックで固められており、ネジを外す事もままならない
状態を指す。

これでは、後から部品を組み替えたり、調整をする事が、ほぼ不可能に近いのである。

従って、機体のメンテナンスを行う事は出来ない・・・と、言う事を意味する。

メンテナンスを行う事は出来ないモノを無理やり行なえば、大変な労力と、最悪部品の破損も有り得るのである。


参考までに、熱を加えて必死で外した状態の、キャップスクリューの写真をUPしたので見て欲しい。



ネジ山に、ネジロックが張り付いて残っているのが、見て取れる。

全て、この様な状態で組み付けられていた、この260Z・・・・バラしたりする必要が無ければ
良かったのだが・・・。

これが又、次から次へと問題が浮上して・・・・結局、全ての部位を分解する事に・・・・。

流石に、これには・・・・泣けた。

その上・・・・前述した様に、膨大な時間を要する事に・・・。

その上、雲台も新規でカメラに合わせて製作しなければならない・・・・それも水平を自動で制御出来る
自在雲台の製作なのだ・・・前途多難・・・ん~・・思わず・・・・唸ってしまった。

まず最初に気が付いたのは、リコイルを引いた時、どうもエンジンが何かに引っかって、
スムースに回転しないのである。

大体・・・察しは付いていたのだが・・・何に引っかかっているのか?・・・エンジンが組み付けられている、
この状態からは正確に判らないし、その状態では改善も出来ない。

結局・・・エンジンを降ろす事に・・・。

処が・・・である・・・その時点で・・・つまずいてしまった・・・ネジを外そうにも・・・外れないのである。

ヒ~ヒ~言いながら、ヤット・・・エンジンを外した・・・。


機体側にも問題があった・・・エンジンをフレームから外す為には、クーリングファンを外さないとならない。

この巨大な・・・クーリングファン・・・何の為に、こんなに大きくしてしまったのか・・・・?

普通のエンジンを希薄燃焼(ニードルの絞り過ぎ)させれば・・・どんなエンジンでも・・
当然オーバーヒートや、最悪焼きつきが発生するのは・・・至極当たり前で・・・当然な事である。

多分、エンジン調整が巧く出来ないユーザーの為に、エンジンの焼き付き等が多発したのだろう。

そう言えば・・・少し前にも、東海地区で空撮を生業でしているのか?趣味でしているのか?判らないが・・・
エンジンの調整について教えて欲しいと・・・泣き付かれた事がある。

その人は、エンジンに対して全く知識を持ち合わせていない様で、ゴールドパラジュームのプラグに交換しても、焼き付いた・・・などと・・・支離滅裂な事を言われて・・・困った覚えがある。

もし、プラグを交換して焼き付かないエンジンが有れば・・・私も直ぐに手に入れる・・・のだが・・・。

しかし、ソンナモノは・・・この世には・・・無い。

JRにもキャブレターの調整方法を聞いたが・・・何回もエンジンが焼き付いた・・・と、言っていたが・・・?

勿論、弊社の指導でチャンと飛ぶ様になった事は・・・言うまでもない。


この様に、間違った取り扱いをして壊れないモノなど・・・この世には無いのである。

使い方の問題を改善する為に、メンテナンスを犠牲にして、このような巨大なクーリングファンに、
なってしまったのだとしたら・・・悲しいし・・・本来そんな対策など本末転倒である。

しかし、メーカーとすれば、模型である以上、未熟なユーザーに対処出来なければ・・・売れないのだろう。

メーカーは、何時でもこの様な無理難題に直面しているのであろう・・・と思うと、気の毒でもある。

メーカーの技術陣の心中を察して・・・余り無い。

しかし、模型ユーザーは兎も角、空撮でも何でも共通している事だが・・・それを生業にする以上・・・
そのやろうとしている事に対して、最低限の知識を有している事が必要である事は間違いないし、増してや、
知識を有せず業務で空撮を行なう事は、危険なので御遠慮いただきたい・・・と、私は思うのである。


随分と・・・脱線してしまった・・・悪い癖である。

さて・・・本題に戻ろう。

エンジンがスムースに回転しない原因は・・・予想通り・・・クラッチライニングの波打ちであった。

ライニングが、真円ではないのだ。

写真の指差している先のライニングの部分を見て欲しい。ライニング内面に、黒く変色している部分がある。

これは・・・ライニングを貼り付ける際に合わせ目になっている所であるが・・・膨らんでいたのである。



この状態では、たとえクラッチがミートしている時でも、点当たりしていて、完全にクラッチは繋がっていない。

これでは、設計上の面圧を確保出来ない事に・・・他ならない。

HGクラッチでは、クラッチ容積が大き過ぎるので、通常滑る事は無いので、殆どのユーザーは、気付かずに使用しているのだろう。

そんな馬鹿な・・・と、思われる方は、クラッチベルを外した時にでも、内面を確認すると良いだろう。

内面の擦れ方に、バラツキがある筈だ。

それを解消する為に・・・まず・・・これを旋盤で面研した・・・しかし、これも例の製作方法に因り・・・
バラせないのである。

因みに、上記の加工を施す事で、ノーマルのクラッチ&クラッチベルでも機体の他に、7kgのペイロードを
掛けても滑らないのである。

弊社にも、ボイジャーベースの空撮機が有るが、その殆どが・・・ノーマルクラッチシステムである。

しかも、エンジンは、29ccである。この状態で、フルペイロードからフルパワーを掛けても滑る事は皆無であるので、弊社では・・・HGクラッチの必要性を全く感じていない。

次の問題は、テールパイプである。

通常・・・・この様なアルミ等のパイプを組み付ける時は、内面のエッジ部のバリ取りをして組み付けるのが常識である・・・一般的にはどうか判らないが・・・少なくても弊社ではそうしている。

処が、その処理が全く施されていない。

この状態で、そのまま使用を続けると・・・ベルトの背が削れ・・・最悪破断する事も・・・。



写真は、面取りを済ませた状態のテールパイプであるが・・・その前に少し飛行させただけでベルトに異変を
感じたのである。

早速分解した・・・ベルトの背が削れて、パイプ内にベルトの削れた粉が付着している様子が、
写真でも見て取れる。

もし、皆さんの中にも、その様な処理を施す事無く、テールパイプを組み付けていたら・・・
ベルトが破断する前にバリを落として欲しい。

その他・・・不備を上げればきりがない状態のヘリであったが・・・紆余曲折を経て・・・やっとまともなヘリに生まれ変わった。

あまりにも快調に飛行するこの機体・・・巧く仕上がり過ぎて・・納品するのが・・・
少しもったいなくなってしまったが・・・さて何時納めましようか?




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