tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

春日大社権宮司 岡本彰夫さん、惜しまれつつ 平成27年6月末でご勇退!

2015年06月23日 | 奈良にこだわる
今朝の奈良新聞社会面トップに「春日大社の岡本権宮司(ごんぐうじ)、今月末退職 神に仕え40年 抱き続けた志」という記事が載った。「近々退職される」という噂はお聞きしていたが、今月末だったとは! ここは記事全文を紹介せねばなるまい。
※トップ写真は「第3回観光力創造塾」(1/22)で。ウチの社内報担当Mくん、渾身の1枚

「人の役に立ちたい」古儀の復活に尽力 今後は青少年育成
春日大社(奈良市春日野町)の岡本彰夫権宮司が今月末で退職する。40年近く奉職し、明治以降に失われた古い儀式の再興などに尽力。現在、進められている「式年造替(ぞうたい)」では前半の最重要儀式「仮殿遷座祭」も無事に終わり、定年まで4年余り残して勇退を決めた。




▽古文書を調べ
岡本さんは曽爾村出身で、昭和52年に国学院大学卒業後、春日大社に奉職。「人の役に立ちたい」と思い、神様に人々の幸せを祈る神職の道を選んだ。最も印象に残る仕事として、20年に1度、社殿の修理などを行う式年造替での古儀(旧儀)の再興を挙げる。奈良時代から続く式年造替だが、明治維新の影響で一部の儀式が失われた。同大社に残る古文書などから古儀を調べ、20年前の前回と今回の式年造替で、ほぼ幕末の姿を取り戻した。

このほかにも、「春日若宮おん祭」の古儀や、室町時代以後に途絶えた御神楽などの再興にも尽力した。「『神様に少しでも粗相がないように』との思いで取り組んだ。『春日さん』を誇りに思い、協力してくれた神社職員たちのおかげ」と振り返る。


これら3枚の写真は、奈良まほろばソムリエの会の春日大社ツアーの様子。撮影は私(26.6.29)

▽大和古物の資料館
また、郷土に伝わる「大和古物」の収集家としても有名。コレクションは美術工芸品や古文書類など、細かなものを含めると数千点に及ぶ。その中には瓦の技法を生かした工芸品を残した安井出雲や、稀な細密文字を彫り込む技術を持つ岡橋三山をはじめ、埋もれた大和の名工たちの作品も多い。「正当な業績を残した人には正当な評価をしないと。本物を残すという意味では古儀再興と同じ」


現在、曽爾村の実家を改修したコレクションの資料館を構想中。奈良の近世近代の美術工芸は専門家も少なく、「このままだと千数百年の文化歴史で欠落した部分が出てくる」との危機感を持つ。ただ、常時開館は財政的にも難しいので、「年に数回、限られた人だけの『めったに見せない資料館』も面白いかも」と笑う。



▽必要とされる人生
退職後は、健全な青少年の人材育成を目指した取り組みも計画。「これからは『死ぬまで必要とされる人生』が最大の課題。神様に仕えて得た経験を生かし、人にの役に立ちたい」と、40年前の初志貫徹を誓う。

退職後は、曽爾村のご実家にお帰りになるのだろう。冬場は冷え込むので、もしかすると一時的に奈良にお戻りいただけるのかも知れないが。「曽爾村の実家を改修したコレクションの資料館」完成の折には、ぜひ拝観させていただきたい。バスツアーを組んでも良いかも知れない。

幸い権宮司の思いは、『日本人だけが知っている 神様にほめられる生き方 』(幻冬舎刊 1,000円)というご著書で知ることができる。

 日本人だけが知っている 神様にほめられる生き方
 岡本彰夫
 幻冬舎

私の心残りは、権宮司が中心になって編纂された『かみのみあと―大和の聖地』1,000円(奈良県神社庁刊)をちゃんと紹介できなかったこと。代わりに「第3回観光力創造塾」に参加されたTさんのブログを引用しておく。

岡本権宮司のお話は、奈良の観光を集客人数や経済効果といった視点で捉えるものではなく、深く深く精神性の奥深くに豊かに広がる奈良を感じていただくことが大事という観点で、「奈良は日本人が誇りを取り戻す所」「心の文化の重視」「俗化させてはだめ」「博物館美術館の活用~よい物を見る・よい物を学ぶ必要」「奈良にこそ本物指向を」といったキーワードに思わず「そうそう!」と相槌を打っておりました。

この時にお話下さったことですが 大和の神話には、古事記や日本書紀に載っていない神話があって、そのようなあまり知られていない大和の伝承を一冊に記録した「かみのみあとー大和の聖地ー」という冊子を紹介して下さいました。早速、1冊わけていただきました。



それにしても、大和という所は、何とたくさんの神話が伝承されてきたところなのでしょう! そして、権宮司もおっしゃっている「観光地奈良の中でも中南和が弱い、ここが栄えないと北和も栄えない」という”大和の国中(くんなか)”の、神様の御跡(みあと)の多いこと!大変興味深く拝読いたしました。

※『かみのみあと』は、奈良県神社庁(橿原市久米町934 Tel:0744-22-4731 平日8:30~16:30のみ開館)で販売していただけます。(一冊1000円)興味のある方はぜひどうぞ!


岡本権宮司のお話はまさに名人芸で、私の関係だけでもこれまで3回、講師にお招きした。膨大な資料をお配りただくが、いつも途中で終わってしまうので、「もう1回」「もう1回」と思っているうちに3回になったのだ。しかし退職されてもご講話をお聞きする機会はあると思うので、ぜひまたお招きしたいものだ。

岡本権宮司、長年にわたるご奉職、そしてご退職、おめでとうございます。これからは、ぜひ「大和の人づくり」に邁進していただきたく、よろしくお願いいたします!

(6/23追記)権宮司がご自身のFacebookに、このようにお書きです。
お騒がせします。2年前から心に決めておりました。
何かオモロイ事を致しますので、今後ともよろしくお願いいたします。


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2 コメント

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長い間お疲れ様でした (エヌ)
2015-06-24 09:10:47
貴ブログで岡本権宮司のご退任を知り驚きました。飾らないお人柄でまさに「春日大社のお顔」本当にさみしく思います。博学、勉強熱心なお方で、古文書を自ら紐解かれ、私たちに判り易くまた楽しく教えて下さった数々の思い出がございます。まだまだ60歳とお若いので地元にお帰りになって第2の人生もご活躍と信じております。時々はまた、楽しくためになるお話をお聞かせ下さい。
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曽爾ツアー (tetsuda)
2015-06-24 21:10:26
N先輩、コメント有難うございました。

> 博学、勉強熱心なお方で、古文書を自ら紐解かれ、私たちに
> 判り易くまた楽しく教えて下さった数々の思い出がございます。

私にとっては、1月にお呼びした「観光力創造塾」が、現役最後のご講演となりました。寂しいです。

> 60歳とお若いので地元にお帰りになって第2の人生もご活躍と信じて
> おります。時々はまた、楽しくためになるお話をお聞かせ下さい。

よくよく考えますと、私より1つお若いのです。Facebookに「何かオモロイ事を致しますので、今後ともよろしくお願いいたします」とお書きです。N先輩、ぜひ曽爾ツアーを組んでお訪ねしましょう!
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