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テレビドラマで回顧する「平成」という時代/奈良新聞「明風清音」第100回

2024年03月05日 | 明風清音(奈良新聞)
奈良新聞「明風清音」欄に、毎月1~2回、寄稿している。前回(2024.2.29付)寄稿したのは、〈「平成」をドラマで回顧〉だった。私は自分でも驚くほど、テレビドラマをよく見る。世相がよく反映されているので、見ていて楽しいのだ。

今なら『不適切にもほどがある!』(TBS系)は、傑作だと感心しながら見ている。NHKの朝ドラ『ブギウギ』も、出色のできばえである。平成の時代は、どんなテレビドラマがあったのか、以下に紹介する。

「平成」をドラマで回顧
私はめったに映画館には足を運ばないが、テレビドラマはよく視聴する。多忙だった現役のサラリーマン時代にも、話題のドラマはビデオに録画して、欠かさず見ていた。

影山貴彦著『テレビドラマでわかる平成社会風俗史』(実業之日本社刊)の「はじめに」を読んで、膝を打った。そこには〈テレビドラマは時代を映す鏡だ。旬のキャスト、当時の世相、流行のファッションや流行の言葉、そして時には社会を揺るがせた事件なども盛り込まれている〉。

本書に登場するドラマ名を見ていて、これは平成の社会史であり自分史でもあるな、と思った。何しろ70年の人生の約半分は平成の時代だったのだ。本書への登場順に、印象に残ったドラマを紹介する。

▼トレンディドラマの盛衰
バブル経済は昭和61(1986)年に始まり、平成3(1991)年に終わった。平成は、その真っ最中にスタートした。トレンディドラマの元祖とされる『男女7人夏物語』(TBS系)は、昭和61年に始まった。〈バブル景気が花開き始めた頃のトレンドを散りばめ、群像劇の新たな可能性を提示した〉。

バブル終息の平成3年のドラマが『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)だ。〈毎週月曜の21時には、このドラマを観たいがために街から人が消える、ともいわれるほどの大ヒットとなった。(中略)しかし、派手なブランド品は出ないし、ハッピーエンドとは受け取れないエンディングだった。原作で描かれたストーリーに準じているとはいえ、バブル全盛期なら、ここまでウェットにならなかったと推測できる〉。

▼「昭和回顧」でヒット
昭和の価値観を持ち込んでヒットしたドラマがある。平成27(2015)年の『下町ロケット』(TBS系)だ。〈時代設定こそ平成だが、人とのかかわり、仕事の仕方、信じる者は報われるなど、その価値観は明らかに昭和。これこそ平成後期のヒットドラマのキーワードの一つだ〉。

▼『半沢直樹』は時代劇か
平成の民放連続ドラマで、42・2%という最高視聴率を記録したのが平成25(2013)年の『半沢直樹』(TBS系)だ。〈もちろん『半沢直樹』は現代劇だが、ストーリーの構成は『水戸黄門』と『必殺仕事人』を受け継いだ時代劇だと私は思っている。主人公が銀行でのし上がっていく姿を描いているが、その骨子は「仇討ち」〉。

本書には登場しないが、平成26(2014)年の『三匹のおっさん』(テレビ東京系)も、勧善懲悪をコンセプトにした時代劇だったと言える。

▼職業ドラマにスポット
一般的にあまりなじみのない職業や、一見地味に見える仕事にもスポットが当たった。平成13(2001)年の『HERO』(フジテレビ系)は〈容疑者が逮捕されたあと、検察官が起訴しないと裁判にまで至らないが、その検察官の職務が実際どのようなものなのかを、木村拓哉演じる久利生(くりう)公平の破天荒な個性を活かし、仕事の内容を見せることに成功している。

(中略)平成28年に放送された『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)では、大手出版社を舞台に、作家や編集者ではなく、本作りには欠かせない校閲部という裏方の仕事を表に引っ張り出し、興味深い内容で描写した〉。

▼老人ホームの印象変えた
平成29(2017)年の昼帯ドラマ『やすらぎの郷(さと)』(テレビ朝日系)は、「大人が観るドラマが少ない」と倉本聰が企画・脚本、主演は石坂浩二だった。〈多くのシニアに、老人ホームのネガティブなイメージを希望に変えた〉。

ドラマは世に連れ、世はドラマに連れ。これからも、テレビドラマを追っかけます!


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