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田中利典師の「蔵王権現さま愛」

2023年08月18日 | 田中利典師曰く
今日の「田中利典師曰く」は、「権現さまが好き!」(師のブログ 2013.5.11 付)。師が『金峯山時報』に連載されていた「蔵王清風」の文章である。この時期、金峯山寺蔵王堂の秘仏ご本尊「金剛蔵王大権現」像の特別ご開帳や夜間拝観が始まり、改めて師は「ご本尊愛」を吐露された。以下に全文を貼っておく。
※トップ写真は、金峯山寺蔵王堂(3/28撮影)

権現さまが好き!
◎今月の「蔵王清風」(『金峯山時報』連載中の山人コラム)

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「権現さまが好き!」
「東大寺の大仏さまはとても大きくて、とても素晴らしい。でも大仏さまはお側に近寄っても、その眼の先はいつも遠いところを見ておられる。それは大仏さまが国家安穏、風雨順時という大きな願いで、この国全体を見守っておられるから」っていう法話をよくする。続きがある。

「それに比べて、蔵王権現さまはその前に座ると、その座った人の心の中を見透かすように、カッと見開いた眼で、まるでのぞき込むように前屈みになって、私達に近づいておいでになる。大仏様も権現様もどちらも有り難いが、私は自分のことをじっーと見つめていただく権現さまが大好きだ」とお話しする。

この3月末から6月9日まで、仁王門修理勧進の蔵王堂秘仏ご本尊の第3期ご開帳が始まっている。ご本尊の前に、額づくたびに、いつも、自分の心の中が見透かされているようで、有り難いし、怖いし、嬉しくなる。蔵王堂内陣には期間中、発露の間が設けられているが、まさに参拝者ひとりひとりが権現さまに自分の心を発露する空間である。きっと座った誰もが、有り難くて、怖くて、嬉しくなっておられると確信している。

4月末からは、週末ごとの夜間拝観も始まっている。夜の権現様はまたまた昼間とは違うお顔をお見せになり、大迫力となる。ご宝前の導師席に佇み、闇夜に響く梵唄声明(ぼんばいしょうみょう)の流れる中で、権現さまのお顔を見上げると、時には涙が止まらなくなるときがある。あるいはすでに亡なった父や母に見守られているような温かい気持ちになる。前の猊下に教えられた「ご本尊に嫌われるなよ!」っいう言葉を権現様から直接頂戴したような気持ちになる時もある。

蔵王一仏信仰というが、あまり難しく考えることはいらない。権現さまをいかに自分が好きであるか、権現さまからいかに好かれているか、そこを問えばよいのだと思う。ご開帳はじかにそういうことを感じさせていただく有り難い機会なのである。本宗宗徒のみなさまこそ、ともにそうあっていただきたいと念ずる次第…。 

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