後輩のFくんから「とても美味しいお店です、きっとtetsudaさんに気に入っていただけます!」とずいぶん以前から推薦してもらっていた「蕎麦・菜食 一如庵(いちにょあん)」(宇陀市榛原自明1362)を訪ねた。他に用があったので、それにあわせて電話予約を入れ、訪ねたのだ。この地の風土を料理に凝縮してまるごと味わうような趣向で、まさに「FOODは風土」が実感できる、素晴らしいお料理の数々であった。
※トップ写真はザルも見事な手挽き「挽きぐるみ」。単品だと1,200円(税別)。写真はすべて7月24日撮影
築150年以上の民家(ご主人の生家)がお店。国道に面している
窓際の席を取っていただいた。お庭が見渡せる
このお店は、ミシュランガイドに奈良県の店が載るようになった2011年から毎年、1つ星を獲得し続けている(ミシュランガイド2016の主な掲載店は、こちら)。初回の『ミシュランガイド 京都・大阪・神戸・奈良 2012』の記事によると、
お菓子のように見えるのは、蕎麦の端っこを揚げたもの
この日注文したのは4,500円(税別)のコース(二の膳)。8月からは予約方法などが変更された
トウモロコシのヒゲまで揚げたもの。パリッとしていて美味しい
のどかな風景の中に立つ、築150年以上の古民家。店主が育った家だという。細打ちの蕎麦は喉越しが良く、ほのかな甘みを持つ。穏やかな風味で、つゆとの調和も取れている。単品も良いが、コースをおすすめしたい。昆布だけでだしを引く椀の吸い地は、深く優しい味わいだ。旬の野菜を使った丁寧な料理と蕎麦、最後は玄米ご飯で締める。一日に打てる量は限られているので、予約が望ましい。
これは豪華な前菜!自家製の豆腐や湯葉がふんだんに使われている
このお店は奈良県のグルメガイド本としては最も信頼性が高い『あまから手帖 奈良うまい店100選』にも登場する。タイトルは「山里の旧家ででゆるり食す、清々(すがすが)しく洗練されたそば」。
もりそば。単品だと1,000円(税別)。これに鰹だしのツユがよく合う
この日いただいたのは、主(あるじ)が手ずから石臼で挽いた徳島産の挽きぐるみ。噛み締めればればぷちっと音のしそうな黒い斑点がぽつぽつ。野趣に富む田舎そばをイメージしていたのだが、見た目は細くたおやか。喉ごしはさらに繊細で清々しい。ちなみにこの日のもりそばは数種類の石臼で挽き分けた北海道、広島、福井産の粉をブレンドしたもの。手挽きに遜色の無い香りと噛み心地、喉ごしだ。
挽きぐるみ、単品だと1,200円(税別)。塩や辛み大根がついてくる。ダシは鯖節から取る
コクと特有の香りを持つ和三盆と2種類の醤油を合わせた本がえしを、昆布とカツオ節でとっただしで割ったつゆは、深い琥珀に澄みわたり、ワサビと合わせて手繰(たぐ)れば、爽やかで洗練された滋味が広がる。かつてはミュージシャンを目指していたという主・桶谷一成さんの独創性は料理にも現れる。
クリーミーなそば湯がたっぷりとついてきた
例えば先付に供された、桃を軽く焙(あぶ)ってクルミ味噌を添えたものは、ほの甘く柔らかな果肉に香しいクルミの香りが相まって、珍しい味わいだ。築150年の古民家に、静かに流れるのは「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」。不似合いなはずの組み合わせが実に似つかわしく感じられる。新しいスタイルのそば屋である。
デザートは、抹茶のシャーベット・小倉あん添え
ここは単なるお蕎麦屋さんではない。「蕎麦・菜食」とあるように、地元の旬の野菜を使ったお料理がお蕎麦と絶妙のハーモニーを奏でるのである。ミシュランが「コースをおすすめしたい」と書いているのは、全く正しい。ぜひ、コースを予約され、美味しい野菜のづくしも味わっていただきたい。
食後、もう1つのサプライズがあった。帰り際に店員さんが「お車でしたら『高井の千本杉』に足を伸ばされてはいかがですか?」と、地図入りのプリントをくださった。複数の杉の根っこがつながった木で、県指定天然記念物だという
これは珍しいと車で向かったのがこれらの写真である。宇陀市観光協会のHPによると《伊勢本街道沿いにある十数本の杉が融合した巨大な木です。もともとは井戸杉として井戸の周囲に杉を植えて水を集める役割で植えられました。弘法大師・空海がこの場所で弁当を食べ、その箸が成長したという伝説があります》とある。
最後にお知らせである。このお店、今月(2016年8月)からメニューや予約などのシステムが変わっている。同店のFacebookによると、
28年 8月 1日より変更させていただきました。
お昼
①お蕎麦単品のお時間 11時〜13時前(12時最終入店)
◯予約可(制限あり)
②昼の膳 ¥5000(税抜き) 13時〜
◯予約制 ○1名様より
夜
③夜の膳 ¥7000(税抜き)コース 17時〜
○前日までの予約制 ○2名様より
サービス料10%
*ビーガンの方へ
蕎麦つゆをビーガンの蕎麦つゆ(魚介類を使わないつゆ)に変更できます。(数日前の予約)電話にてご確認くださいませ。
*蕎麦は売り切れ次第終了です。
*料金は税抜価格です。
*小学生未満のお子様のご入店はご遠慮又はご相談お願い致します。
定休日 月曜、火曜
*平成28年より月曜火曜になります。ご来店を心よりお待ち致しております。
※食べログは、こちら(システム変更前)
※トップ写真はザルも見事な手挽き「挽きぐるみ」。単品だと1,200円(税別)。写真はすべて7月24日撮影
築150年以上の民家(ご主人の生家)がお店。国道に面している
窓際の席を取っていただいた。お庭が見渡せる
このお店は、ミシュランガイドに奈良県の店が載るようになった2011年から毎年、1つ星を獲得し続けている(ミシュランガイド2016の主な掲載店は、こちら)。初回の『ミシュランガイド 京都・大阪・神戸・奈良 2012』の記事によると、
お菓子のように見えるのは、蕎麦の端っこを揚げたもの
この日注文したのは4,500円(税別)のコース(二の膳)。8月からは予約方法などが変更された
トウモロコシのヒゲまで揚げたもの。パリッとしていて美味しい
のどかな風景の中に立つ、築150年以上の古民家。店主が育った家だという。細打ちの蕎麦は喉越しが良く、ほのかな甘みを持つ。穏やかな風味で、つゆとの調和も取れている。単品も良いが、コースをおすすめしたい。昆布だけでだしを引く椀の吸い地は、深く優しい味わいだ。旬の野菜を使った丁寧な料理と蕎麦、最後は玄米ご飯で締める。一日に打てる量は限られているので、予約が望ましい。
これは豪華な前菜!自家製の豆腐や湯葉がふんだんに使われている
このお店は奈良県のグルメガイド本としては最も信頼性が高い『あまから手帖 奈良うまい店100選』にも登場する。タイトルは「山里の旧家ででゆるり食す、清々(すがすが)しく洗練されたそば」。
もりそば。単品だと1,000円(税別)。これに鰹だしのツユがよく合う
この日いただいたのは、主(あるじ)が手ずから石臼で挽いた徳島産の挽きぐるみ。噛み締めればればぷちっと音のしそうな黒い斑点がぽつぽつ。野趣に富む田舎そばをイメージしていたのだが、見た目は細くたおやか。喉ごしはさらに繊細で清々しい。ちなみにこの日のもりそばは数種類の石臼で挽き分けた北海道、広島、福井産の粉をブレンドしたもの。手挽きに遜色の無い香りと噛み心地、喉ごしだ。
挽きぐるみ、単品だと1,200円(税別)。塩や辛み大根がついてくる。ダシは鯖節から取る
コクと特有の香りを持つ和三盆と2種類の醤油を合わせた本がえしを、昆布とカツオ節でとっただしで割ったつゆは、深い琥珀に澄みわたり、ワサビと合わせて手繰(たぐ)れば、爽やかで洗練された滋味が広がる。かつてはミュージシャンを目指していたという主・桶谷一成さんの独創性は料理にも現れる。
クリーミーなそば湯がたっぷりとついてきた
例えば先付に供された、桃を軽く焙(あぶ)ってクルミ味噌を添えたものは、ほの甘く柔らかな果肉に香しいクルミの香りが相まって、珍しい味わいだ。築150年の古民家に、静かに流れるのは「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」。不似合いなはずの組み合わせが実に似つかわしく感じられる。新しいスタイルのそば屋である。
デザートは、抹茶のシャーベット・小倉あん添え
ここは単なるお蕎麦屋さんではない。「蕎麦・菜食」とあるように、地元の旬の野菜を使ったお料理がお蕎麦と絶妙のハーモニーを奏でるのである。ミシュランが「コースをおすすめしたい」と書いているのは、全く正しい。ぜひ、コースを予約され、美味しい野菜のづくしも味わっていただきたい。
食後、もう1つのサプライズがあった。帰り際に店員さんが「お車でしたら『高井の千本杉』に足を伸ばされてはいかがですか?」と、地図入りのプリントをくださった。複数の杉の根っこがつながった木で、県指定天然記念物だという
これは珍しいと車で向かったのがこれらの写真である。宇陀市観光協会のHPによると《伊勢本街道沿いにある十数本の杉が融合した巨大な木です。もともとは井戸杉として井戸の周囲に杉を植えて水を集める役割で植えられました。弘法大師・空海がこの場所で弁当を食べ、その箸が成長したという伝説があります》とある。
最後にお知らせである。このお店、今月(2016年8月)からメニューや予約などのシステムが変わっている。同店のFacebookによると、
28年 8月 1日より変更させていただきました。
お昼
①お蕎麦単品のお時間 11時〜13時前(12時最終入店)
◯予約可(制限あり)
②昼の膳 ¥5000(税抜き) 13時〜
◯予約制 ○1名様より
夜
③夜の膳 ¥7000(税抜き)コース 17時〜
○前日までの予約制 ○2名様より
サービス料10%
*ビーガンの方へ
蕎麦つゆをビーガンの蕎麦つゆ(魚介類を使わないつゆ)に変更できます。(数日前の予約)電話にてご確認くださいませ。
*蕎麦は売り切れ次第終了です。
*料金は税抜価格です。
*小学生未満のお子様のご入店はご遠慮又はご相談お願い致します。
定休日 月曜、火曜
*平成28年より月曜火曜になります。ご来店を心よりお待ち致しております。
※食べログは、こちら(システム変更前)