12-11-04投稿
ダイヤモンドオンライン
拡大する管理なき被曝労働(1)
焼却炉から飛散する放射能
「焼却炉にはバグフィルター(工業用集じん装置)があるから、外に焼却灰が出ていかない? そんなはずありませんよ」
9月中旬、匿名を条件に取材に応じてくれたある会社の社長は言い切った。
「これを見てください」
そう言って出した数枚の写真には、円筒状の外装にロケット状の吸音体を格納した、飛行機のジェットエンジンにも似た金属設備が写っている。
「これはサイレンサ。消音器です。焼却施設の騒音が煙突から出ていかないようにするもので、それなりの規模の焼却炉には必ずついています。消音器は電気集じん機やバグフィルターといった集じん設備の後ろ、煙突のすぐ手前に取り付けます。ですから、消音器を通る排ガスはきれいになった状態で通過するはずです。でも見てください。これがうちで修理した消音器なのですが、修理前はこれです」
「すごいでしょう。これ、みんな焼却灰です。バグフィルターで焼却灰の99.99%が除去されていると言いますが、実際にはこういうものが外に出て行っているんです」
・・・2011年3月の福島第一原発事故で降り注いだ放射性物質により、日本の相当な地域が汚染された。身の回りのさまざまな場所に降り積もった放射性物質は、雨水や汚水に入り込み、下水処理場に流れ込む。一方、生活の中から出るゴミにも放射性物質は紛れ込み、それらはゴミ処理施設に持ち込まれる。
そうして下水処理の残渣(ざんさ)である下水汚泥やゴミを燃やす焼却炉、さらに高温で溶かしてしまう溶融炉は放射性物質の集積地点となった。こうした社会インフラに放射性物質が移動することは、普段の生活の場から放射性物質が排除されるため、住民にとってありがたい話だ。
ところが、前出の社長の証言からも分かるように、焼却処理や溶融処理で出た焼却灰は、バグフィルターをすり抜け、私たちの生活空間へ再び舞い戻ってくる。それは、焼却灰に含まれている放射性物質の一部が、その地域に拡散するということだ。
・・・
昨年6月以降、環境省は「バグフィルターで99.9%の放射性セシウムを除去できる」と説明してきた。8月以降はバグフィルターでの除去後の排ガスの放射性物質や他の有害物質の測定結果がほとんど「不検出」だったことから、「周辺環境への影響はない」と断言した。
同11月にはこれが「99.99%」とさらに高性能との説明になった。広域処理や汚染地域での焼却処理の安全性をめぐる議論がいまも続いているわけだが、放射性セシウムを含む焼却灰が外に出ているのか、それがどの程度かという、集じん設備の有効性が焦点の一つとなっている。
すでに述べたように消音器は、バグフィルターや電気集じん機といった焼却炉の排ガス処理設備よりもさらに後、煙突の直近に取り付けられる。つまりバグフィルターなどできれいになったはずの排ガスだけがそこを通る建前だ。消音器の修理を手がけるこの会社社長は、冒頭で示したように、そんな議論を現場の感覚で一蹴した。そしてこうも話すのである。・・・」
既報でも記載しましたが、妄想?杞憂かもしれませんことを
予め断っておきます。
⇒昨年6月以降、環境省は「バグフィルターで99.9%の放射性セシウムを除去できる」と説明されていますので、修理前の赤茶けた付着物の中に放射能が含まれているか否かの定量分析とか、もし万一含まれていた場合には法定基準内といえども、どのような正体(組成、粒子径、電荷)など、および影響がどのようになるかの定量的なデータで説明していただくことと、万一放射能が含まれているようなら安全マスク仕様と局所排気など作業基準が必要不可欠と想われます。
参考関連投稿:
環境(水)中の放射性物質の影響と浄化に係る記載(その12:汚泥など廃棄物をどうする?)2011-08-18
「・・・2011年8月13日、厚生労働省、国土交通省の把握しているデーターによると、放射性汚染された浄水場汚泥9万2000トン、下水汚泥、焼却スラグ2万7000トンの処分先が決定してないことが、報道により明らかとなった。
6月に国土交通省が下水汚泥などの処理基準を決定したが、その基準を満たす処理施設が自治体に存在しないことや、埋め立てを引き受ける先が無いことにより、東北、首都圏を中心に、放射線汚染された汚泥、焼却スラグが滞留している。・・・
法律では、1kg当たり100ベクレルを超えると、放射性物質として扱う必要があり、このような汚泥、焼却スラグはセメントなどの再利用はできない。・・・
⇒国主導で各地域で発生した汚泥を分析して、単なるベクレル表示のみでなく、元素分析(水に不溶性の放射性化合物、およびセシウム、ヨウ素など)の結果に基づいて、衆知を結集して効率的に除染すべきと想われます。・・・」
環境(水)中の放射性物質の影響と浄化に係る記載(その14:排泄物などを含む下水汚泥の放射能の影響)2012-01-17
「・・・超微量でも超微細な粒子の影響については、放射性物質のエネルギーはE(エネルギー)=m(質量)C(光速)の2乗ということですから、油断大敵です。
ナノレベルで、腎臓などで浄化されない(尿、汗として排出されない)程度の粒子(粒子径不祥)、細かい水不溶性の物質の方が実証データがないだけにむしろ怖いかもしれません。詳しく見る>>
・・・日本における平均放射線量が世界各地と比較して低く映りますが、内部被曝への影響が全くないということではなく、ガンマ線(≒X線)、紫外線などの電磁波からの放射線による外部被爆と放射性物質の微粒子(主に、原発の漏洩放射性塵)の吸引・摂取による内部被曝とは異なり、微量なりとも、末永い注意が必要と思われます。
(自然放射能の風化飛散した塵の吸引も影響するのか?個人的には不詳。)」
放射能拡散に係る記載を調べました。(その2:拡散範囲の予測情報) 2012-10-27
「・・・2.放射能の正体不詳につき関連文献
原子炉の核分裂によって、現状、環境中に漏洩・拡散しているセシウム134、ヨウ素131など放射能物質の粒子径はどのくらいか?およびその組成についての情報はまだ個人的には不詳ですが、防護マスクの仕様にも関係するのか? ただ、本件は今まで地下マグマ、宇宙、核実験、原発からの法定内排出などから環境中に放出されている放射能を少なからず呼吸もしくは農林水産物を摂取していることから、原発事故によって放出・拡散している増加分が問題なのか?
(放射性物質の微粒子径)
・・・原子炉の核分裂によって環境中に漏洩・拡散しているセシウム134、ヨウ素131など放射能物質の粒子径はどのくらいか? ・・・
続きを読む>>
エアロゾルの一覧表に記載されている核燃焼物質は0.01~0.1μ(10~100nm)となっているが、・・・。 ・・・」
⇒電気的な電気集じん機でも取れない粉塵があるようです。本件の付着物の組成など不詳とのことですが、たとえ放射能が除去されていたとしても、今後、工事などに着用する従来の重金属粉塵に対する防塵・防護マスクの仕様(組成、メッシュ径、有害物吸着性)によっては、さまざまな要因によって拡散したものを集結したもの(燃焼残渣;主灰、飛灰)を吸引して呼吸器官などの疾患に影響しないかと心配です。本件の赤茶色付着物の中に放射能が微量なりとも含まれていないことをいのります。関連投稿:・内部被曝に係る投稿(’11-06-27~'12-05-12)
冷却は水洗工程がもっとも信頼できますが、その洗浄水をどうするかという問題が放射能汚染の場合にはでてきてしまいます。炉に戻すと燃焼効率が悪くなりますし。