“主に戦時中と戦後が舞台のNHK連続テレビ小説「虎に翼」を見るたび、子どものときのことを思い出す。小学生だった1950年代半ば、私と2歳下の弟が学校から帰宅すると台所の戸棚を開けた。たいていふかし芋が一つ置いてあり、にぎり飯のときもあった。これらは農業をしていた今は亡き母が用意してくれたもの。農作業を終えた母が家に戻って、準備した夕食を皆で囲む際、私たちに「食ったか?」と尋ね、仲良く分け合って食べたかを確認するのが常だった。
時は流れた。やがて、ふかし芋やにぎり飯をあえて二つにしなかったところに母の願いと知恵が込められていることを悟った。生きるか死ぬかの戦争をくぐり抜けた母の「分け合う心を大切にしなさい」というメッセージ。私は隣接市に住む弟とは仲が良く、それを天国の母が見ていてくれたらうれしい。”(7月23日付け中日新聞)
愛知県豊田市の富田さん(男・77)の投稿文です。2人の子供に一つのふかし芋や握り飯を与える母親。そこには願いが込められていた。豊かになっても2つにはならなかった。兄弟仲良く分け合って食べなさい、というものである。その母の愛も素晴らしいが、その教訓、願いを理解した富田さん兄弟も素晴らしいと思う。十分に食べたい子供の気持ちも分かるが、そこは母の愛である。気持ちを殺して、子供ために良かろうと思うことをする。
豊かになった。子供の要求を満たしてやろうとするればどれだけでもできる。そして、そうしてやることが子供への愛と思っている親も多かろう。今の子供は耐えることを知らないと、よく聞く。いつまでも今のような豊かな時代が続くわけではなかろう。子供にとって何がいいのか、よく考えねばならない。爺婆も孫に甘いだけではいけない。
時は流れた。やがて、ふかし芋やにぎり飯をあえて二つにしなかったところに母の願いと知恵が込められていることを悟った。生きるか死ぬかの戦争をくぐり抜けた母の「分け合う心を大切にしなさい」というメッセージ。私は隣接市に住む弟とは仲が良く、それを天国の母が見ていてくれたらうれしい。”(7月23日付け中日新聞)
愛知県豊田市の富田さん(男・77)の投稿文です。2人の子供に一つのふかし芋や握り飯を与える母親。そこには願いが込められていた。豊かになっても2つにはならなかった。兄弟仲良く分け合って食べなさい、というものである。その母の愛も素晴らしいが、その教訓、願いを理解した富田さん兄弟も素晴らしいと思う。十分に食べたい子供の気持ちも分かるが、そこは母の愛である。気持ちを殺して、子供ために良かろうと思うことをする。
豊かになった。子供の要求を満たしてやろうとするればどれだけでもできる。そして、そうしてやることが子供への愛と思っている親も多かろう。今の子供は耐えることを知らないと、よく聞く。いつまでも今のような豊かな時代が続くわけではなかろう。子供にとって何がいいのか、よく考えねばならない。爺婆も孫に甘いだけではいけない。