“詩人で画家の星野富弘さんが亡くなりました。私が星野さんを知ったのは39年前、初めての子どもである長女の出産直後。体調不良で入院してわが子に母乳をやれない悲しさ、その世話を母に頼んだ申し訳なさから病室で泣いてばかりいました。そんな折、隣のベッドの中年女性が差し出してくれたのが星野さんの詩画集「四季抄 風の旅」でした。奇麗な字や絵が並んでいました。星野さんは中学校教諭だった24歳のときの部活動指導中、事故に遭って手足が不自由になりました。筆を口にくわえて書いたのがこの詩画集で、その中の「一度だけ腕が動くなら母の肩をたたきたい」というフレーズを読み涙がこぼれ落ちました。
10日ほどで退院し、この本を早速買い求めました。その後も落ち込んだときには必ず開き、何度も励まされてきました。合掌。”(5月28日付け中日新聞)
愛知県愛西市の主婦・日比野さん(66)の投稿文です。わが家にも星野富弘さんの本が数冊あった。妻が買ってきたのである。ある講演でこの本を薦められたという。そして最初に求めたのがこの詩画集「四季抄 風の旅」でした。その後求めた本は妻が人にくれてやったようである。そして今も残っているのはこの本1冊である。さっそく引っ張り出してきて読んだ。絵も字も素朴で、心地よい。筆を口に加えて書いたとは、とても思えない。人間は命さえあれば、何ができるか計り知れない、その見本の気がする。命とはそうものであるのだろう。ボクはこの歳まで、順調すぎるほどに過ぎてきた、と思っている。癌の手術はしたが、手足をもぎ取られることはなかった。そして多くの人は、多少の不運はあったろうがこのように過ごしてきた。人間、生きとし生きる人はない。ボクは今年傘寿である。これからがいよいよ本番である。何が起ころうと受け入れ、人生を全うしたいものである。
10日ほどで退院し、この本を早速買い求めました。その後も落ち込んだときには必ず開き、何度も励まされてきました。合掌。”(5月28日付け中日新聞)
愛知県愛西市の主婦・日比野さん(66)の投稿文です。わが家にも星野富弘さんの本が数冊あった。妻が買ってきたのである。ある講演でこの本を薦められたという。そして最初に求めたのがこの詩画集「四季抄 風の旅」でした。その後求めた本は妻が人にくれてやったようである。そして今も残っているのはこの本1冊である。さっそく引っ張り出してきて読んだ。絵も字も素朴で、心地よい。筆を口に加えて書いたとは、とても思えない。人間は命さえあれば、何ができるか計り知れない、その見本の気がする。命とはそうものであるのだろう。ボクはこの歳まで、順調すぎるほどに過ぎてきた、と思っている。癌の手術はしたが、手足をもぎ取られることはなかった。そして多くの人は、多少の不運はあったろうがこのように過ごしてきた。人間、生きとし生きる人はない。ボクは今年傘寿である。これからがいよいよ本番である。何が起ころうと受け入れ、人生を全うしたいものである。