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ギリシャ前首相 : ユーロ離脱は破局、緊縮策以外選択肢ない。 

2012-05-23 11:10:30 | 日記
<パパモデス前ギリシャ首相の談話から>
ギリシャのパパデモス前首相は22日、ギリシャは痛みを伴う緊縮策を実行する以外に選択肢はないと述べ、さもなければユーロ圏からの脱退に直面し、経済荒廃やインフレ高進といった新たな社会的緊張に見舞われるだろうと警告した。

パパデモス氏は、先週の首相辞任以来初めてとなるインタビューに対し、ユーロを放棄すれば、ギリシャは経済の ”破局的な” 結末を迎え、ユーロ圏の他の参加国に深刻で広範な悪影響が及ぶだろうとの考えを示しています。 一部の欧州諸国や機関が、最終局面に備えて緊急対応計画を検討しているのはこのためだとしたが、詳細は明らかにしなかった。

パパデモス氏は ”こうしたシナリオの実現可能性は低く、ギリシャにとっても他国にとっても望ましくはないが、ギリシャがユーロを離脱した場合に起こりうる影響を封じ込めるため準備が進められていることを考慮しないわけにはいかない” と語った。

欧州中央銀行(ECB)の副総裁を務めたこともあるパパデモス氏は、首相辞任後も選挙管理内閣に助言を続けている。 今月6日の総選挙では緊縮策への反対が多く、どの党も過半数を取れない状況に陥った。 これを受けて同氏は首相を辞任、選挙管理内閣が先週発足した。

再選挙は6月17日の予定だが、これが事実上ユーロ圏残留についての国民投票になる。 再選挙の直後、新政権は政府支出の追加削減計画を打ち出す最終期限に直面する。 これは、国際通貨基金(IMF)などによる第2次救済計画に基づく救済支援の条件とされているものだ。

パパデモス氏は、多くのギリシャ国民が状況の深刻さを完全には理解していないことを懸念していると述べ、 ”欧州の政治指導者たちは2つの部分からなる明確なメッセージを出している。 ギリシャはユーロ圏に残留すべきだということ、そして、約束を守るべきだということだ。 ギリシャのユーロ離脱リスクは現実的なものであり、実質的にはギリシャ国民が経済プログラムの履行継続を支持するかどうかに左右される” と語った。

同氏によると、ギリシャがユーロ離脱した場合の総コスト推定学は5000億ユーロ(約50兆5000億円)~1兆ユーロ(101兆円)だという。 これは市場評価に対する影響、国境を越えた危機のコンテージョン(伝染)、実体経済への打撃に関する想定を反映しているという。

同氏は、時間的猶予はなくなりつつあると述べ、一層の支援がなければギリシャは程なく年金や公共部門の賃金を支払えなくなると警告した。 財務省の10日前の算定では、支出と収入の見通しからみて、政府が経費をカバーするのに十分な財源があるのは6月20日までとなっている。

しかし算定後、徴税が思うように進まず歳入が目標を下回ったため、資金繰りは6月20日でなく6月最初の2週間で苦しくなりそうだとのこと。 必要なら、政府は銀行再編のために使われる ”ヘレニック金融安定基金(HFSF)」から資金を拠出することもできる。 HFSFは週内にギリシャの銀行に対し、流動性資金として180億ユーロの新規救済資金を配分する見通しだ。

パパデモス前ギリシャ首相は、ギリシャのユーロ離脱にメリットは全くないと述べた。 新通貨の急激な減価の波及効果により、海外貿易における競争力の向上が相殺されてしまうだろうという。 ユーロ圏離脱の場合、ギリシャはインフレ高進、実質所得の減少、銀行システムへの極度の緊張に直面し、資本市場への参入はさらに遠ざかるだろうと述べた。 また、ギリシャの公的債務は増加が見込まれるという。 債務は新通貨建てとなるが、為替レート安定とインフレ制御の必要上、実質金利の引き上げが避けられないためだ。

同氏は、”一部の推定では、こうした動きのインフレ期待(予想)への影響や物価上昇が賃金に及ぼす二次的効果の程度によっては、インフレ率が30%あるいは50%にも加速しかねないとされている” と語っています。  同氏は、こうしたインフレスパイラルは、ユーロに代わる新国民通貨の切り下げによる価格競争力への短期的プラス効果を実質的に相殺してしまうだろうと付け加えた。 また全体として、経済的な結末は破局的だ。 さらに、ユーロ離脱に伴う政治的、社会的な悪影響は深刻で、長い間続くだろうと述べ、若年層の失業率が50%を超えていることに対する不満がこのところ急激に高まっていることを指摘した。

パパデモス氏は、各政党の指導者らがギリシャに求められている厳しい救済条件について、回避もしくは再交渉の余地があると公約しているのは誤りだと強調した。

さらに、先の総選挙で第2党に躍進した急進左派連合(SYRIZA)が、たとえギリシャが緊縮措置を先送りしてデフォルト(債務不履行)に陥ったとしても、ユーロ圏の他の加盟国はこれに目をつぶり、ギリシャにユーロ離脱を強いることはないと予想しているが、これも同様に誤った見方だと指摘しています。

同氏は、”これらユーロ圏諸国は既に、第2次救済計画の承認を自国の議会に説得するのに大きな困難に直面しているうえ、スペインやイタリアなど深刻な財政上の難題を抱える他の加盟国もギリシャの資金支援に一層貢献するよう要請されることになる” と述べた。

同氏は、”救済計画に基づいて支援される国(ギリシャなど)は調整疲労に直面しているが、同時に債権国は救済疲労に直面している” とし、”われわれはこれを決して忘れるべきではない” と強調しています。

この内容は非常に興味を持って何度も読み返してみました。 数カ月前には債務不履行回避に向け、直接ECB/IMFとの折衝を行った総責任者であり、ユーロ各国の思惑と直接向き合っただけに非常に正しい内容ではないかと思います。

現在のギリシャのポジションはユーロのお荷物になっていますが、仮にユーロ離脱が現実的になると今度は世界のお荷物になることは明白ではないでしょうか。 

市場の動向も、前回の債務不履行寸前で要人発言により上下に振れましたが、今回も同じように思われます。 当面、弱い相場展開が続きそうです。 

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