闇に響くノクターン

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摂関家三兄弟のキャスティングに違和感

2012-08-20 23:57:37 | 『平清盛』
昨日はアルバイトが終わってから早めに帰宅し、『平清盛』~第32回「百日の太政大臣」を観た。
ドラマ(虚)としてはあれでよいとして、キャスティングへの違和感がどうしてもぬぐえなかったので記しておく。

まずは主要登場人物の生年比較。年齢と地位は、摂政・基実が死んだ永万二年(1166年)七月当時。

平 清盛 元永元年(1118年) 48歳 権大納言

後白河院 大治二年(1127年) 39歳 上皇
六条天皇 長寛二年(1164年)  2歳 天皇 

平 重盛 保延四年(1138年) 28歳 権中納言、右衛門督
平 宗盛 久安三年(1147年) 19歳 美作守、左馬頭

藤原基実 康治二年(1143年) 23歳 摂政<妻は清盛の娘>
藤原基房 久安元年(1145年) 21歳 左大臣<基実の異母弟>
藤原兼実 久安五年(1149年) 17歳 内大臣<基実の異母弟>
藤原基通 永暦元年(1160年)  6歳 <基実の嫡男>

源 頼朝 久安三年(1147年) 19歳

ここで私が何が言いたいかというと、摂関家三兄弟の役者が、三人ともあまりにも老けすぎているということ。これは演技とは別の問題だ。今回の話は、老獪な上流貴族(基房、兼実)が平氏の台頭に反感を抱くといったすすめ方だったが、実際には、この三兄弟は若すぎて、朝廷での地位だけは高くても、清盛に対しても、後白河院に対しても何も発言できなかったとおもう。ゆえにこの兄弟の平氏に対する反感は、名門意識過剰の若者の実力者一族に対する反感というジェネレーション・ギャップの問題がからんでくると私はおもうのだが、今回のキャスティングだと、その点が滅茶苦茶になってしまう。
私は、ドラマをとおしてこの時代に対する関心がより高まってくれればいいなとおもっているので、ドラマそのものに関してはわりと寛大に観ているのだが、結局、貴族社会をワンパターンでしかとらえていないために、こうしたキャスティングになってしまうのではないだろうか。これでは、時代のなかの平氏のあり方そのものも見えなくなってしまうとおもう。もっとも、このあたりをきちんと描くと、また視聴率が下がってしまいそうだが…。
(ちなみに、幼くして父・基実を失った基通は、後に後白河院の庇護を求めるようになり、兼実は、二人のあいだには男色関係(君臣合体)があると日記『玉葉』で断定している。)