(TxT)<戯れ言ですよ

とみーのにっき&おえかきちょう

凪のあすから 第十九話 まいごの迷子の…

2014年03月02日 | 凪のあすから
ちさき、エロっ!(笑)

 そんな今回のお話は…
 “おじょし様の墓場”で厚いエナの膜の中で眠るまなかを見つけた光たち。
 エナを失いかけていた彼女をなんとか地上に運び潮留家まで連れて行くが、まなかはまだ眠ったままだった。
 その後、医師の診察を受け、エナは無くなったものの身体に異常がないと分かり、ホッとする一同。
 医師が帰ったあと、眠るまなかにひとり話しかける光の姿があった。それを見る美海は何を想うのか。
 一方で勇を見舞いに行ったちさきは、勇からおじょし様の話には続きがあると聞かされるのであった。
 以上公式のあらすじ。

 物語の進展としてはあんまりないのだけど、今回はちさきがメインで、彼女の揺れ動く心情と共に彼女の周囲を見事に描いている。
 シシオ四人衆の中では唯一冬眠することがなかったちさきは、当然5年分歳をとっているわけで、そりゃ中学生ともうすぐ二十歳は全然違うというものである。光たちは14のあの頃のままなのだが、自分はそうはいかない。14のままではないけれど、それでもちさきの中の気持ちには変わらないものもある、という微妙なちさきの立ち位置といいますか、19歳のちさきの14歳の心とでも言うような、ギリギリ大人でギリギリ子供みたいな不安定さがたまらない。

 まず最初の、眠っているまなかに光が話しかけているのを、美海がこっそり覗いているのを見てしまうちさき。
 そんな美海を見てのちさきは、モノローグで「可愛いなぁ」などと言っているのだが、それは分からない話ではないなぁ、この歳になると。その後のモノローグでもあったように、19歳にもなれば、それだけに一所懸命というわけではいかないもので、それが許される年齢の人たちを羨ましくも微笑ましい。9歳の頃から知っている美海の淡い恋心を知って、子供だと思っていたけれど、あの頃の私たちと同じ歳なのだと思い、ふと電源の入っていないテレビに写った自分を見る。
 今の自分の姿を見て、ああ自分はあの頃とは違うのだと気付かされることとなるわけだが、14祭の美海の恋を知って、可愛いなぁあの頃の自分もそうだったなぁ、などと思いにふけってしまう時点で、それだけ歳喰ったことが窺えるのに、見た目的にも違うのだと視聴者に印象付けて、ちさきだけ変わってしまった、ある意味で取り残された感を見せている点が上手い。ちさきひとり5年の時間を経ているわけだから、どーがんばってもあの頃と同じってわけにはいかないのも当然。ちさきはどうなってしまうのかなぁと思わざる得ないではないか。

 その後の紡の家でのシーン。紡と大学教授が、美海のエナのことや海村に入れたことを当分公表しないという件。
 要はそれを「情報の隠匿」と言い、あからさまな反感を持つのだが、大人としてみますと、どー考えても紡の言うことの方が正しい。ここではもちろん正しい正しくないの話ではなく、1クール目でけっこう大人っぽかった要が、ここで随分と子供っぽく見えるのがおもしろいではないか。
 紡の言うことはもっともで、急いて公表すれば美海に迷惑がかかるのは明白なのだし、助成金云々の話もこれから先のことを考えれば、ひとつずつ手順を追っていくことの方が何かと良いのだけど、要としては、早いとこ海村には戻ってほしいし、なにより金だの学会だの言われると、おいおいちょっと待てよとなってしまうのも無理はない話である。なんやかんやの手順など14歳には分からないことなのだし。
 まぁそれもさることながら、ここでは19歳に挟まれた14歳の要、という所がポイントで、大人っぽい要はここでは子供なのだ。紡の言うことはちさきにも分かって、要はちさきに「大人なんだね」と捨て台詞を吐き部屋を出て行って「くそっ!」と一人ごちる。
 5年一緒にいた紡とちさき、そして5年のリードを許してしまった要。5年という時間が彼らを大人と子供に分かってしまっているのだ。まぁそれは当然なのだけど、本来は同い年の彼らが、こんなことになってしまったモニョモニョ感と言ったらないのだが、それが逆に、彼らの関係が最終的にどう落ち着くのかを気にさせてくれる。

 さて、ここからが個人的には今回の一番の見所である。
 要に「大人」と言われたちさきは、自室にて中学の制服を引っぱり出し、あまりの懐かしさに袖を通そうとするのだが~という件。正にギリギリ大人でギリギリ子供の19歳のちさきを見ることが出来る。
 19になって良い意味で肉の付いたゴイスなバディのちさきなんですけど、14の頃に着ていた制服を「入る」と思って着ようとしてしまう辺り、彼女があんまり自分が変わっていることに自覚が無いことが窺える。それはともかく、脇のファスナーが最後まであがらなくて、「あれ?あれ?」とか言いつつ思いっきり無理矢理あげて着てはみたものの、当然制服はちんちくりんで、異様なエロさを発揮してしまう(笑)。そこで下から紡が風呂が冷めるぞと声をかけられ、脱ごうとするが今度はファスナーを下ろせない。また奮戦しているとスッ転んで大きな音を立ててしまい、心配した紡と要が部屋に入ってきてエロい制服姿を見られてしまう。という今回一番の笑いどころであり微笑ましいシーン。
 前述した通り、中学時の制服を迷いなく入ると思ってしまう自覚の無さ、姿見で思わずエロイ格好になってしまったこと大人の女であることを見せ、次に脱げなくてワタワタして転んでしまう子供っぽさを見せ、やって来た紡と要を追い出してまた鏡を見てあの頃の自分ではないのだと自覚する、子供のようでもあり大人でもある19歳のちさきがよく表れていると言って良いだろう。
 この後でも、子供でないことを自覚したちさきが、紡の祖父の梅酒を飲もうとして紡に見つかり、未成年だからと焼酎の入っていない梅ジュースを梅酒と思い込んで酔っぱらってしまったりする子供っぽさであったり、酔っぱらって眠ってしまった色っぽさであったりを見せ、ちさきが変わったようで変わってない、変わっていないようで変わった様子を今回は延々を見せ続けている。
 梅酒のシーンで、ちさきは大人になるって色んなものを無くすこと?と言う。光が眠っているまなかに話しかけていることはショックでなかったのに、光を覗き見る美海の目は、今の私にはきっと出来ないと、そっちの方がちさきにはショックであったのだ。もうあの頃の自分ではないのだと、気付いてしまったのだ。
 その後、海村へひとりで行くちさきは潮に流されてしまうも、光に助けられ海村へ着く。助けられた時に抱きしめられて、看護士の実習で触った男の人と全然違う光の身体に、またもちさきは自分がひとり大人になったと思い知らされるのだが、光はそんなちさきにお前は全っ然変わってねーなーなどと言う。
 その後、物語的な進行の話をし、光に手を引っぱられるちさきは、アバンであった子供の時のことを思い出し、自分は確かに変わったのであろうが、でもやっぱり光のことが好きなのだと改めて思う。
 確かに身体は成長し、それに伴って心も5年の月日と共に大人になった。だがそれでも変わらない部分は確かにあり、光は今のちさきからあの頃と同じちさきを見出しているし、ちさきとしても自分の中に変わらない部分を見つけたのだ。
 変わりゆく世界と自分、光たちが戻って来たことでちさきの揺れ動く心と身体は、五年もの間宙ぶらりんであったが、今ここで、それは小さいものであるのかもしれないが、確固たる道しるべを見出した。

 先にも述べましたが、今回は揺れ動くちさきの心情がよく表れていて、見ていてとてもおもしろかったし、なによりちさきが実に愛らしく思えた。それに伴って、彼女に思いを寄せる紡と要のひとつ屋根の下での三角関係の人間関係、そしてちさきが思いを寄せる光と目覚めないまなかと語られることの無かった伝承の続き、と物語の方もこれからどうなっていくのかと興味を惹かせる作りになっていて見事。ひとつのお話として見応えがありました。やるなぁ、吉野弘幸。
 また脚本だけでなく、それを表した演出も見事であったと言えるのではないでしょうか。特に何か事件が起こったというわけではないのですが、メインのちさきを中心に、揺れ動くキャラクターの心情を良く見せていたと思います。

 しかし、けっこう何回も言ったと思いますが、この物語はどうなったら終わりになるのかよく分からんなぁ。


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