(TxT)<戯れ言ですよ

とみーのにっき&おえかきちょう

凪のあすから 第二十一話 水底よりの使い

2014年03月27日 | 凪のあすから
意外と元気、かと思いきや。

 そんな今回のお話は…
 光と美海が言い争う中、突如目覚めたまなか。驚く光と美海をよそに、まなかはまるで何事もなかったかのような笑顔を見せる。
 エナが突然なくなってしまった原因は分からずじまいだったが、ほかに異常はなく、そのまま至の家に居候することになる。
 流氷、降り積もったぬくみ雪、5年前と変わった町並みに驚きつつも、再びみんなでいられることが嬉しそうでもあった。
 だがそんな彼女の笑顔に、光はどこか違和感を覚えるのだった。
 以上公式のあらすじ。

 これを書いている時点で、実は来週最終話だったりする。そんなわけなので実は25話まで視聴済みであったりするわけです。で、この感想を書くにあたって21話を見直した所、おおっそういう事だったのね、と思う所がいくつかありまして、この物語についてちょっと思うことがありました。
 今回のお話は、冒頭に書きましたように、まなかが目覚めて意外と以前と変わらない元気っぷり、「かと思いきや」を見せて興味を惹かせているお話で、それ以外はいつも通りの淡々と進んでいく話、と初見の時は思ったであろう。がしかし、これ、先を知って見るとその他の部分も随分おもしろい。

 今回のお話ポイントは、先述した通り「変わっていないように見えたまなかの異変」である。それが顕著に現れるのは、あかり宅にて鍋をしている所、息子のあきらが鍋汁をこぼしてしまい、あかりがすぐさま抱き上げて水につけ事無きを得るシーンで、まなかの瞳からテカリが失われ、まるで感情がないような表情を見せた時だ。
 その後、光がおふねひきの後に自分に何を言いたかったのかを聞くと、まなかは光が何のことを言っているのかが分からないと言う。明らかな記憶の欠如が判明するに伴って、今のまなかは「何かが欠落している」事が分かる。
 この時点で、何がまなかの中に無いのかは分からないのだが、先に述べましたように25話まで視聴して何が無いのか分かってから見ると、今回のお話のAパートの冒頭で、すでにそのヒントを見せているのだ。
 出かける光とまなかを見送ったあかりと息子のあきら。光はあきらが随分とまなかに懐いているなと言うと、まなかは何かを考えるような仕草をする。初見でわたしは、まなかは自分に懐かれる要素があったであろうかと考えていたのかな、と思っていたのですが、彼女が何を失ったかを知れば、この行動の意味が分かるのだ。ああ、なるほど、と思いましたよ。それと、港での光と要の会話もそうである。
 目覚めて見知った町なのに随分と変わってしまった事に、ふたりは「怖い」と思った。しかしまなかは変わってしまった町を見てはしゃいでいる。この違いは何か。そう、まなかは怖いと思う要素がこの時点で無いのである。彼女が失った部分のことを考えれば、この行動も得心がいくというものである。

 港の次は学校へと赴く一行は美海とさゆと鉢合わせ、ちさきは紡の祖父の所へ行かないといけないと、佐山から貰った5個入り塩シュークリームを渡して一人離脱する。
 シシオ四人衆が揃ったということで佐山から貰ったシュークリームは5個入りなので、ひとつ余っちゃうと言っていたちさきが、学校でひとり離脱する事によって全員に行き渡るようにしたわけだが、明らかにちさきはその場から離れようとしているのが垣間見え、それはひとり19歳の自分は居心地が悪かった、と初見の時に捉えていたのだけど、先を知ってその後の展開を見ると、それは間違った捉え方であったのだ。
 病院にて紡と会い、それからふたりの会話をけっこう長い尺で見せていて、コーヒーゼリーを食している時のちょっと会話が続かない雰囲気であったり、紡が今月末に大学に一度戻ると言い出してからのちさきであったり、帰り道の道すがらの会話は、ふたりの関係がはっきりしてから見ると実に微笑ましく(笑)、「ああ、なるほど。」と思わざるを得ない。要するに、ちさきは光たちと離れたかったわけではなく、紡と病院で落ち合いたかったのである。
 だがこれは初見でどーやったって気付く事が出来ない事で、19話であんなちさきを見せられたら、どうしたって読み違えるというものだ。それを考えると、むしろミスリードを誘っているのだろう。正直初見で、紡の方は前回ちさきをどう思っているかを知れたので分からんでもないが、ちさきの方がよく分からなくて、気を遣っているような印象を受けたような気がする。しかしふたりの関係が分かって見れば、ものすごく得心のいくようになっているのだから、これは完全にワザとだろうと思うのだ。

 さて、ここまでなんかお茶を濁したような書き方を続けてきたのは、この時点で分かってない事を、すでに咲を見たから書いちゃうのはどうなんだ、と思っての事でもあるんですが、そこで前述した「この物語について思う事」である。
 この物語は、むしろ全容を知ってからの方がよりおもしろく見れるのではないか、と思ったのだ。これまでなんでもないような事に尺を使っているように思える事が多々あって、何かのポイントに来るまで淡々と進んでいくような印象であったのだけど、今回ちさきと紡のなんでも無いと思っていた会話が、分かって見ると、ふたりの気持ちが解って全く違う印象になって実に興味深かったり、先のヒントを随所に出している事に気付いたりで、なんでもないことはなかったのだと気付かされた。むしろかなり緻密に計算されているようにコンア会を見て感じられました。
 一回一通り見て終わり、にならないようにしてある仕掛け。であるならば、この物語は非常に練られた物語であるのかもしれないなぁ。

凪のあすから 第二十話 ねむりひめ

2014年03月11日 | 凪のあすから
意外に早いお目覚めで。

 そんな今回のお話は…
 おじょしさまの墓場で眠るまなか見つけ地上に連れ出した光たち。自分たちと同じようにすぐに目覚めると思っていたが、一週間経ってもまなかは眠り続けたままだった。
 光、要、ちさきは、まなかを目覚めさせる手がかりを探すため連日汐鹿生に潜っていた。一方、美海とさゆも学校の図書室でさまざまな文献を調べることに。
 白雪姫からヒントを得たさゆの「光がまなかにキスしちゃえばいいと思うんだ」というひと言を強く否定する美海。そこで美海は本当の自分の気持ちに気付くのだった……。
 以上公式のあらすじ。

 お話は冒頭に書きましたように、ラストでまなかが目を覚ます、という話なんだけど、基本的にはそれまでの美海という所がメイン。のような気がする。
 いつものように、なんやかんやありつつまなかの目覚めまで持っていくんだけど、今回のお話のポイントは大きくふたつ。ひとつはあらすじにあるように、美海がもしかして自分はまなかが起きなければいいと思っている?と気付く事。
 恋する乙女の美海を思えば、それは分からんでもない話ではあって、まぁまなかを恋敵とすれば割と当然の感情ではある。しかし問題は、美海としてはまなかを嫌っているわけではないということだ。1クール目で、シシオ四人衆の輪の中に入りたいと思っていた彼女としては、同い年になった事もあって、光や要同様に起きてほしいと思う一方で、光が想いを寄せるまなかが目を覚ます事を恐れてもいるのだ。
 劇中あったように、光のまなかに対する想いは、揺るぎなく真っ直ぐで強い。滅だし寝込んでしまうくらい無理をしてまで、まなかを起こそうと必死な様を延々と見せている。ひとつ屋根の下に暮らし、間近でそれを見ている美海にとって。それは光らしく好ましい一方で驚異でもあるのだ。
 それ故、図書室でのさゆの「キスしちゃえばいいんじゃない」という提案を、「それはダメ!」と頑に否定したのだ。さゆの言う通り、何が目覚めのきっかけか分からないので、ただまなかに目覚めてほしいだけならば、それは試していい事なのだが(まぁ14歳という歳を考えれば、ホイホイ試していい事ではないような気もしますがそれはそれ)、恋する乙女としてみれば、好きな男が他の女にキスしてる所なんか見たくないのも当然である。しかしその提案があって初めて美海は自分が訪販する思いがある事に気付いた。要はその想いは無意識的だったのである。
 というのがひとつ目のポイントで、思わず自分の気持ちに気付いてしまった美海は自己嫌悪に陥ってしまったわけだが、まぁ上記しましたが、それはむしろ人間としては普通ではあって、見ていて「美海がそう思ってしまうのも仕方ない」と思わせることが狙いなのだろう。人を好きになった事がある人間ならば、美海の気持ちが分かろうというもので、それで美海がうあー自分はなんてヤツなんだーと落ち込んでいるのをどう持ち上げるのかを気にさせる。そこですかさずふたつ目のポイントである。

 紡が美海のエナの事で電話した所、彼女が泣き出してしまったので、ふたりで話をするという件。
 話の流れは自分に上記した思いがある事を嫌悪する美海に、紡はそれは自分も同じであると告白する。光と要が起きなければ良いと本気で思っていたとする紡は、ちさきが自分の前から居なくなる気がして怖かったと言う。
 美海はここで紡の気持ちを知るわけだが、物語的にも、彼が自分の想いをこうまではっきり言ったのは初めてである。自分はどうやら分かりにくいようだ、という前フリがあったからかもしれないが、なんにせよ、そんな彼がはっきりと言ったわけだから、それだけ真剣に美海の話に乗ったということでもある。
 紡は続けて「でも結局、目覚めた時は嬉しかった」と言う。美海は光もまなかも大切だから苦しいのだという紡。それは彼も同じだったのだ。かなり要約してしまえば、好きになるってことは「そーゆーもんである」という話なのである。どっちも大切なのだから、どっちの気持ちもある、この歳になれば正にそーゆーもんであることは重々承知なんですけど、14祭の美海にとって、それは初めて知る事であったのだ。
 とは言え実感の無い美海ですから、本当に自分はそう思えるのか分からない。もしかしたら本当に起きなければ良いのにと願っているのかもしれない。だから自分も紡のように思えるのだろうかと聞く。紡は美海もきっとそう思えると答える。それは美海にとっては随分な救いであったのだろうことは、今回のラストで分かる事となる。

 寝ているまなかに話しかける光の所にやって来た美海は、優しい笑顔でさゆの提案を口にするのだ。紡の話を聞いて美海は少し吹っ切れたのである。まなかが目覚めたとしても、きっと自分は嬉しいと思うだろうと。
 少々言葉足らずな美海は、ただ「キスしてほしい」と言ってしまい、光に自分にキスしてほしいと言っていると誤解され、ちゃんと説明するも、14歳男子にキス性と言われて出来るもんでもなしで、すったもんだしている所でまなかが目を覚ます。相変わらずとぼけたヤツである(笑)。
 とぼけているかどうかはともかく、まなかが目を覚ました所で引っぱったわけだが、自分としましては少々引っ掛かる部分がある。まなかが目覚めるきっかけはなんだったのであろうか。
 光が無理して熱出して寝込んでしまうほど思っても目覚めなかったのに、ひょんなことから突然目を覚ましたかのように見えますが、思うに美海の心境の変化がきっかけだったのではなかろうか。
 マナか救出の際にうろこ様は、何かを失って何かを得れば差し引き同じみたいな事言って、それはまなかと美海のエナの事でもあるんでしょうが、彼女たちが対であるともとれる言いようである。実際まなかのエナがなくなってみ海にエナが出来たわけだし。
 まなかに関して美海は何かしら深く係っているような気がしますが、はてさてどうなりますやら。まぁ、私の予想はアテにならない事の方が多いので、さもありなんな結果になりそうですが(苦笑)。

凪のあすから 第十九話 まいごの迷子の…

2014年03月02日 | 凪のあすから
ちさき、エロっ!(笑)

 そんな今回のお話は…
 “おじょし様の墓場”で厚いエナの膜の中で眠るまなかを見つけた光たち。
 エナを失いかけていた彼女をなんとか地上に運び潮留家まで連れて行くが、まなかはまだ眠ったままだった。
 その後、医師の診察を受け、エナは無くなったものの身体に異常がないと分かり、ホッとする一同。
 医師が帰ったあと、眠るまなかにひとり話しかける光の姿があった。それを見る美海は何を想うのか。
 一方で勇を見舞いに行ったちさきは、勇からおじょし様の話には続きがあると聞かされるのであった。
 以上公式のあらすじ。

 物語の進展としてはあんまりないのだけど、今回はちさきがメインで、彼女の揺れ動く心情と共に彼女の周囲を見事に描いている。
 シシオ四人衆の中では唯一冬眠することがなかったちさきは、当然5年分歳をとっているわけで、そりゃ中学生ともうすぐ二十歳は全然違うというものである。光たちは14のあの頃のままなのだが、自分はそうはいかない。14のままではないけれど、それでもちさきの中の気持ちには変わらないものもある、という微妙なちさきの立ち位置といいますか、19歳のちさきの14歳の心とでも言うような、ギリギリ大人でギリギリ子供みたいな不安定さがたまらない。

 まず最初の、眠っているまなかに光が話しかけているのを、美海がこっそり覗いているのを見てしまうちさき。
 そんな美海を見てのちさきは、モノローグで「可愛いなぁ」などと言っているのだが、それは分からない話ではないなぁ、この歳になると。その後のモノローグでもあったように、19歳にもなれば、それだけに一所懸命というわけではいかないもので、それが許される年齢の人たちを羨ましくも微笑ましい。9歳の頃から知っている美海の淡い恋心を知って、子供だと思っていたけれど、あの頃の私たちと同じ歳なのだと思い、ふと電源の入っていないテレビに写った自分を見る。
 今の自分の姿を見て、ああ自分はあの頃とは違うのだと気付かされることとなるわけだが、14祭の美海の恋を知って、可愛いなぁあの頃の自分もそうだったなぁ、などと思いにふけってしまう時点で、それだけ歳喰ったことが窺えるのに、見た目的にも違うのだと視聴者に印象付けて、ちさきだけ変わってしまった、ある意味で取り残された感を見せている点が上手い。ちさきひとり5年の時間を経ているわけだから、どーがんばってもあの頃と同じってわけにはいかないのも当然。ちさきはどうなってしまうのかなぁと思わざる得ないではないか。

 その後の紡の家でのシーン。紡と大学教授が、美海のエナのことや海村に入れたことを当分公表しないという件。
 要はそれを「情報の隠匿」と言い、あからさまな反感を持つのだが、大人としてみますと、どー考えても紡の言うことの方が正しい。ここではもちろん正しい正しくないの話ではなく、1クール目でけっこう大人っぽかった要が、ここで随分と子供っぽく見えるのがおもしろいではないか。
 紡の言うことはもっともで、急いて公表すれば美海に迷惑がかかるのは明白なのだし、助成金云々の話もこれから先のことを考えれば、ひとつずつ手順を追っていくことの方が何かと良いのだけど、要としては、早いとこ海村には戻ってほしいし、なにより金だの学会だの言われると、おいおいちょっと待てよとなってしまうのも無理はない話である。なんやかんやの手順など14歳には分からないことなのだし。
 まぁそれもさることながら、ここでは19歳に挟まれた14歳の要、という所がポイントで、大人っぽい要はここでは子供なのだ。紡の言うことはちさきにも分かって、要はちさきに「大人なんだね」と捨て台詞を吐き部屋を出て行って「くそっ!」と一人ごちる。
 5年一緒にいた紡とちさき、そして5年のリードを許してしまった要。5年という時間が彼らを大人と子供に分かってしまっているのだ。まぁそれは当然なのだけど、本来は同い年の彼らが、こんなことになってしまったモニョモニョ感と言ったらないのだが、それが逆に、彼らの関係が最終的にどう落ち着くのかを気にさせてくれる。

 さて、ここからが個人的には今回の一番の見所である。
 要に「大人」と言われたちさきは、自室にて中学の制服を引っぱり出し、あまりの懐かしさに袖を通そうとするのだが~という件。正にギリギリ大人でギリギリ子供の19歳のちさきを見ることが出来る。
 19になって良い意味で肉の付いたゴイスなバディのちさきなんですけど、14の頃に着ていた制服を「入る」と思って着ようとしてしまう辺り、彼女があんまり自分が変わっていることに自覚が無いことが窺える。それはともかく、脇のファスナーが最後まであがらなくて、「あれ?あれ?」とか言いつつ思いっきり無理矢理あげて着てはみたものの、当然制服はちんちくりんで、異様なエロさを発揮してしまう(笑)。そこで下から紡が風呂が冷めるぞと声をかけられ、脱ごうとするが今度はファスナーを下ろせない。また奮戦しているとスッ転んで大きな音を立ててしまい、心配した紡と要が部屋に入ってきてエロい制服姿を見られてしまう。という今回一番の笑いどころであり微笑ましいシーン。
 前述した通り、中学時の制服を迷いなく入ると思ってしまう自覚の無さ、姿見で思わずエロイ格好になってしまったこと大人の女であることを見せ、次に脱げなくてワタワタして転んでしまう子供っぽさを見せ、やって来た紡と要を追い出してまた鏡を見てあの頃の自分ではないのだと自覚する、子供のようでもあり大人でもある19歳のちさきがよく表れていると言って良いだろう。
 この後でも、子供でないことを自覚したちさきが、紡の祖父の梅酒を飲もうとして紡に見つかり、未成年だからと焼酎の入っていない梅ジュースを梅酒と思い込んで酔っぱらってしまったりする子供っぽさであったり、酔っぱらって眠ってしまった色っぽさであったりを見せ、ちさきが変わったようで変わってない、変わっていないようで変わった様子を今回は延々を見せ続けている。
 梅酒のシーンで、ちさきは大人になるって色んなものを無くすこと?と言う。光が眠っているまなかに話しかけていることはショックでなかったのに、光を覗き見る美海の目は、今の私にはきっと出来ないと、そっちの方がちさきにはショックであったのだ。もうあの頃の自分ではないのだと、気付いてしまったのだ。
 その後、海村へひとりで行くちさきは潮に流されてしまうも、光に助けられ海村へ着く。助けられた時に抱きしめられて、看護士の実習で触った男の人と全然違う光の身体に、またもちさきは自分がひとり大人になったと思い知らされるのだが、光はそんなちさきにお前は全っ然変わってねーなーなどと言う。
 その後、物語的な進行の話をし、光に手を引っぱられるちさきは、アバンであった子供の時のことを思い出し、自分は確かに変わったのであろうが、でもやっぱり光のことが好きなのだと改めて思う。
 確かに身体は成長し、それに伴って心も5年の月日と共に大人になった。だがそれでも変わらない部分は確かにあり、光は今のちさきからあの頃と同じちさきを見出しているし、ちさきとしても自分の中に変わらない部分を見つけたのだ。
 変わりゆく世界と自分、光たちが戻って来たことでちさきの揺れ動く心と身体は、五年もの間宙ぶらりんであったが、今ここで、それは小さいものであるのかもしれないが、確固たる道しるべを見出した。

 先にも述べましたが、今回は揺れ動くちさきの心情がよく表れていて、見ていてとてもおもしろかったし、なによりちさきが実に愛らしく思えた。それに伴って、彼女に思いを寄せる紡と要のひとつ屋根の下での三角関係の人間関係、そしてちさきが思いを寄せる光と目覚めないまなかと語られることの無かった伝承の続き、と物語の方もこれからどうなっていくのかと興味を惹かせる作りになっていて見事。ひとつのお話として見応えがありました。やるなぁ、吉野弘幸。
 また脚本だけでなく、それを表した演出も見事であったと言えるのではないでしょうか。特に何か事件が起こったというわけではないのですが、メインのちさきを中心に、揺れ動くキャラクターの心情を良く見せていたと思います。

 しかし、けっこう何回も言ったと思いますが、この物語はどうなったら終わりになるのかよく分からんなぁ。

凪のあすから 第十八話 シオシシオ

2014年02月21日 | 凪のあすから
まなかの登場は意外であった。

 そんな今回のお話は…
 三橋の予想を元に汐鹿生への道を探るべく海に潜った光、要、美海の3人。
 美海が聞こえたという砂の音を頼りに海流の中を進むと、そこには雪に覆われた汐鹿生があった。
 光たちにとっては懐かしく、美海にとっては初めて訪れる海村。静寂に包まれた村を歩く3人は、未だ冬眠から目覚めぬ村人たちを見つける。
 光と要はそれぞれの家に向かい、ひとり残された美海は光たちが通っていた波路中学に向かう。そこで美海の前に現れたのは……。
 以上公式のあらすじ。

 お話はシオシシオに辿り着いた光たちはまなかを発見するが~という話で、物語の核心ニスコ触れているような気がするんですが、全然よく分からないのが正直な所。
 流れとしては、シオシシオに着いておじょしさまの墓場を発見し、その中にまなかが眠っていて、見たら彼女のエナが剥がれていっているので連れて帰った、というだけではある。
 上記しましたように、基本的に何が起きているのかよく分からないので、正直わかんね、くらいしか書く事なかったりもするんだけど、興味深い点はいくつかあって、まずはなんと言ってもまなかを発見したことであろう。彼女の再登場はもっとクライマックスに入ってからなのではないかと思っていたので、ここでの登場は意外であった。
 それに伴っての「おじょしさまの墓場」。けっこうショッキングな絵面なのはさておき、1クール目でうろこ様はおふねひきには何の意味もないと言っていたが、歴代のおじょしさまがこうして一ヶ所に集まっているのを見ると、何かしらの意味は確実にあったと言えるのではなかろうか。とすると、うろこ様や海神様の真意は一体なんなのだろうか。
 そこでまなかである。おじょしさまの墓場の中心で膜のようなものに覆われ、少しずつエナが剥がれ、美海が聞いた音はまなかの剥がれたエナの音であったことが判明した。音に関しては前回の予想は当たらずとも遠からじと言った所か。
 それはそれとしても、おふねひきであかりの替わりにまなかが吸い込まれて今こうなっているわけで、本来ならばあかりがこうなっていたこととなる。それでエナがなくなったとして、どうなるというのだ。結局、生贄的なこと、なんですかねぇ。海神様がなに考えてるのかさっぱり分からん。

 もうひとつ気になる点としてはうろこ様だ。
 公式のキャラ紹介では、海村を冬眠させたあと行方不明、と書かれているのだが、陸の人はうろこ様のことは知っていても海村に行けないので元々見たことないし、光たちだってこれまでは海村に行けなかったわけだから、行方不明かどうかも分からねーじゃねーか、などと思ったことはさておき(笑)、そんなうろこ様が美海の前だけに現れて興味深いことを言っていた。
 まなかを発見した際に「何かが現れる時、何かが失われる。さすれば、差し引き同じになるというわけじゃな」などと言っており、それが何を表しているかを考えると、それは美海とまなかのことなのではなかろうかと思うわけです。
 まなかのエナが失われ、美海はエナを纏った。差し引き同じということなので、まぁエナがなくなったまなかが陸に行くのは仕方ないとしても、美海はエナを纏ったからと言っても海の人にならなくてはいけないということはないよなぁ。美海が陸で生活するもん!とかしちゃえば意味のない話になってしまう。
 こういうことから見ても、海神様は何考えているか分からない、というか、状況的にどうなっているのかが分からないと言った方が良いのかもしれない。これで「何が」「どうなる」かさっぱり見えてこないのだ。

 まぁ追々真相が分かってくることとは思いますが、ここへ来て余計にゴチャゴチャしてきた感はあって、この物語がどうなったら終わりになるのか想像もつかん。ま、それだけに気になるということはあるが。
 なんにせよ、どうなるのかなーと気にさせる作りにはなっていて、そういう点では良く出来ていると言って良いだろう。お話としては、おじょしさまの墓場の件で、ここはもしかして核心に触れているのかな?と思うものの、物語の進行度的には大きいけれど、ひとつのお話としては情報提示くらいのことしかなかったような気がするなぁ。

 最後にどーでもいー私の予想なんですが(笑)、まなかはなんか最後の方まで起きないような気がしてならないのだが、どうだろう。

凪のあすから 第十七話 ビョーキなふたり

2014年02月12日 | 凪のあすから
あれ砂の音ですかね?

 そんな今回のお話は…
 冬眠から目覚めた要。あかりから報告を受けた光と美海が漁協に急ぐと、そこには光と同じく5年前と変わらぬ要の姿があった。
 また知らせを聞いたちさきと紡も漁協に駆けつけるが、要は2人一緒に現れたことに少し動揺してしまう。だが久しぶりの再会に笑顔を見せるのだった。
 その後、三橋から幾つか質問を受けることに。要自身ほとんど記憶はなかったが、砂が流れるような音がした気がすると答える。
 それを聞いた美海は、自分も今日、海に入った時その音を聞いたと言うのだが……。
 以上公式のあらすじ。

 お話は要が戻ってきて、そのおかげで海村に行く潮流が分かったので行く。という話。端的に言えば。
 サブタイ的なことを言えば、要が戻ってきての、ちさきと紡やさゆ、そして光と美海と言った所を見せてはいるのだが、個人的にはそっちよりも物語的なことの方が気になった。
 前回海に落ちた美海がどうもエナを纏ったようで、それは落ちた時にエナの欠片が張り付いたような描写があったので、そんなこったろうとは思ったものの、美海にエナが付いたことの意味は何か、ということですよね。
 本来陸の人と海の人の間の子はエナを纏わないはずなのですが、前回の美海のように、海に流れている白い欠片みたいなのを浴びるとエナが付いちゃうのであれば、海だ陸だ云々はあんまり関係無くなってくるよなぁ。ついでに言えば、エナが付いた美海は塩水浴びないと干涸びちゃうんですかね?
 干涸びるはともかく、要が戻ってきたことで、海村へいくルートが選定することが出来て、起きた直後の要が海の中で聞いた砂の流れるような音を辿っていけば、きっと海村に着くだろうという話になって、美海がその音を海に落ちた時にはっきりと聞いたとして3人で海村を目指すこととなるわけだが、それで冒頭書いたことに繋がるのです。私にはあの音が砂の流れる音には聞こえないんですよね。どちらかと言えば、サラサラというよりかはパリパリという感じで、何か殻がはがれているような音のような気がするんですが。
 そこで私の妄想としてはだ。それがエナだとすれば、それが美海に張り付いてエナを纏った、とすればけっこうつじつまが合うではないか。んじゃ何でエナがそんな海を漂っているのかという話になるのだが、う~ん。海神様が海村の人口減ったので、エナを海にバラまいてエナもってるヤツを増やすぜー的なことなのかしら?
 そもそもを言えば、美海にエナが後天的に付いたってことは、エナは生物学的に海の人たちが先天的にもってるものでなく、伝承通り海神様が与えているって事になるのか?なんカッコの物語はファンタジーなのかそうでないのか、境界が今ひとつあやふやでどう捉えていいものか迷ってしまうんですよねぇ。まぁ海に村があるという時点で、けっこうなファンタジーな物語として見ていいのであろうけど。
 ともかく、そういう物語としての部分の方が興味深く、むしろ今回メインであったろう「ビョーキなふたり」の方は、正直印象薄かったというのが今回のお話の印象ではある。

 とは言え、メイン所で何もなかったわけではなく、上手いこと見せているという部分はある。まずは前回美海にイチャイチャっぷりを見せつけられた前フリがあってのさゆ、という所で、彼女はいい子だなぁと思わせてくれる。
 要が戻ってきて嬉しいのだが、今更どうすればいいのかよく分からず、不意に邂逅して要がすぐに名前を思い出せなかったこともあって、5年も経って随分姿格好も変わってしまい、そもそも要が自分を気にしていたわけでもないので、あぁそういえば自分は彼にとってそんな程度であったと思い知らされてしまう。子供の頃に好きだった人を5年も想い続けているなんてビョーキだと自暴自棄になってしまうも、また要と再会し昔のように頭を撫でられて君は変わらないねと言われ、強がっていた彼女が涙ぐむ様はとても愛らしい。さゆはなんだかんだ言ってちょっと大人びたようなフリをしていますが、自分の気持ちにある意味素直で可愛らしい。まぁちょっとめんどくさそうではあるが(笑)。
 まぁそんな彼女の愛らしさもさることながら、この物語のテーマであろう、変わる変わらないという所でも、5年経って14歳になったさゆではあるが、冬眠痔邸て変わっていない要を変わらず好きでいる、という変わっているけど変わってない微妙なバランスを見せているのは上手い。
 さゆ以外の所でも、要が紡の家にやっかいになることになったようで、紡の家にて自分の家のように事を成すちさきを見る要は実におもしろいシーンである。
 家に帰ってきてお茶を入れようと台所へ行くちさきと紡。5年も一緒に暮らしていることもあって、実に自然にふたりが砂糖やらカップやらを戸棚から出す様子が描かれ、砂糖が無く紡が「あれ?」と呟くと、それだけでちさきは砂糖のストックを即座に出して「はい」と紡に渡すのだ。
 要が戻ってきてすぐ、漁協で光を気にするちさきを見て、5年冬眠していたけど、変わっていないものもあるとしていた所でのこの仕打ちはあまりに残酷だ。これはさゆの時と違って変わっていないようで変わった部分であり、ちさきに想いを寄せている要としては、これほど見ていてつらいものはないだろう。
 変わらないものもあれば変わるものも当然あって、時が流れている以上、むしろ変わって当然であろう。変わらないでいることが良いというわけではないし、変わってしまうことも必ずしも悪いわけでもない。そういう変化というものに対しての戸惑いをこの物語は見事に表していると言えるのではないでしょうか。

 とまぁ、割と見せ所がどこなのか今ひとつぼんやりしたふうではあったものの、基本的にメインキャラクターの想いは相変わらず常に一方通行で、こいつらの関係性は最終的にどう落ち着くのかなーと、ずーっと気にさせてついでに物語的なことも興味を引っぱってここまで来ているんだから上手いことやっている。
 しかし相変わらず着地点が全然見えてこないので、綺麗に収まってくれればいいのだがとつい思ってしまうのは老婆心か(笑)。

 どーでもいーけど、海村にいく件でちさきを連れていかなかったのは何故なんですかね?14歳のトリオだけより19歳のちさきも入れた方が尚安心、とかオレなら思っちゃうんですが。
 まぁ物語的に、その場にちさきがいなかった、ってのが後々のポイントになるんだと思いますが。

凪のあすから 第十六話 遠い波のささやき

2014年02月03日 | 凪のあすから
前フリ?

 そんな今回のお話は…
 以前のように美濱中学校へと通うことになった光は、美海、さゆと同じクラスになる。
 「ダブりの先島です。どうぞ先輩と呼んで尊敬してください」と挨拶する光に、5年前と同じ担任の教師がツッコミを入れ生徒たちの笑いを誘う。だが美海、さゆはその状況を不思議に感じていた。
 次の日曜日“おふねひき”当日に制服を無くしてしまった光のため新調しに行くことになっていたが、晃が熱を出してしまい、光は美海と2人で出かけることに?
 以上公式のあらすじ。

 なんだろう。丸っと1話分前フリだったように感じたのだが。というのも、最後の方で美海が海に落ちてからの部分以外で、物語上重要な部分がなかったように見えたからだ。
 今回のお話はというと、基本的に美海メインで、光とイチャついてさゆに怒られる、というのが簡単な所で、まぁその辺の美海の浅はかさは年相応に14歳していておもしろくはあったのだが、物語的にこの話がいるのかどうかはちょっと疑問ではある。
 といっても、別につまらなかったわけではなく、光が戻ってきて、なんだかんだで嬉しい美海は舞い上がって周りが見えておらず、上記あらすじにあるように、町へ光の制服を作りにふたりで出かけることとなり、光がイヤがるのでさゆを読んでしまう辺りの美海の浅はかさ、という部分は正直けっこうおもしろい。
 3人で出かけることとなったわけだが、この状況でのさゆを考えるまでもなく、さゆの立場になってみれば「なんじゃこりゃ」以外は無く、そりゃさゆもキレるわというもので、ここでのおもしろさっていうのは、今回は美海がお話を回して入るのだけど、ここで見ていてさゆに同調してしまわざるを得ないことだろう。美海はちょっとさゆに気を遣えやと思わずにはおれん(笑)。
 ついにさゆが爆発し、あぁお前は好きな人が戻ってきてさぞ嬉しいだろうよと言われ(意訳)、未海賀自分の事しか頭になかったことを痛感するのだが、なんだろう。ここが痛快、というわけではないのだけど、ようやく気付いたか美海よと、同調していたさゆの気持ちを解ってもらえた気持ち良さがあるのだから不思議な感じである。絵面的にはけっこうショッキングなシーンにはなっているのだが。
 この一連の、デートに付き合わされたさゆや、その後を見るに、むしろ美海よりもさゆの方が個人的には可愛らしく、町で美海と別れてすぐ、わーっ泣き出してしまったり、美海が海に落ちた後に「無事で良かった」と泣く彼女は、なんか大人ぶってはいるものの、随分とピュアであることが感じられる。物語的にいうならば、劇中光が言ったように変わらないと言った方が正しいのかもしれないが。
 思えば幼少の頃に、いじめにあっていたさゆは美海によって救われ、1クール目を見ても彼女が美海をとても大切に思っていることが見て取れた。そんな彼女が目の前でイチャつかれてイラッときてケンカしてしまったものの、美海はさゆに取って大切な人であることは変わりないのだ。
 そこでだ。光が戻ってきての美海、という所にさゆを突っ込んで、要を想っているさゆのつらさを見せておいて、最後に要が戻ってくる所で引っぱるのだから、むしろ今回は、美海メインと想わせておいてもさゆメインで、要が戻ってくることの前フリとした、と見るのが正しいのかもしれない。とすれば良く出来た脚本である。

 さて、物語的にはひとつ重要なことが突然起こって(笑)、泳げない美海が海に落ちて、なんかパリパリ音が聞こえたと思ったら、どうも美海にエナが張り付いたようなのだ。まぁ張り付いたかどうかはよく分からないのだが、本来海村と陸の人のハーフである彼女は、エナを纏ってはいないのだが、後天的にエナを纏ったこととなる。
 私は最終的に海村がなくなる、エナが必要ではなくなるという物語の流れなのかなーと思っていたのだけど、こう展開してきたということは、むしろ逆、ということなんですかねー。
 というか、後天的にエナが纏えるのはハーフの子だけ?元々陸の人はやっぱり纏えないのか?つか、美海は今後、塩水に浸らないと干涸びちゃうのか?なんかここへ来て、いっそう謎が深まってきたのだが、ちゃんと綺麗にこの物語は収まりが付くのかしら?

 まぁ謎はどうあれ、着地点も見えてこないということもあり、最終的にどう落ち着くのか気になって仕方ない。

凪のあすから 第十五話 笑顔の守り人

2014年01月23日 | 凪のあすから
要はまだ戻ってきてないのか。

 そんな今回のお話は…
 巴日の日、5年前と変わらぬ姿で美海たちの前に流れ着いた光。
 “おふねひき”の当日からの記憶が一切なかったが、身体には異常なく次の日から潮留家で以前と変わらぬ生活を送ることができた。
 ちさき、紡、美海、あかりたちは喜びと共に光を迎えるも、突然のことにどう接していいのか分からずにいた。
 また光本人も、紡と一緒に海村の研究している教授の三橋から、世界は依然凍っていっていること、自分以外汐鹿生の人間は誰も目覚めていないことを知り愕然とする。
 以上公式のあらすじ。

 上記あらすじは今ひとつピンときませんが、要するに冬眠によって5年も時間が止まっていた光と、そうでない地上で生きる人々のギャップを上手く見せていて、おもしろい脚本だったと思います。お話としては、目が覚めたら5年の月日が経っていた光と、地上に残されたちさき、紡、美海をメインに、それぞれの変わってしまったもの変わらないものに対する思いを描いている。

 こんなアニメの感想を書いている身としては、この物語は実に書くのが難しい。何か明確な目標や道筋があって、そこに向って話が進んで行くわけではなく、この物語の世界の状況に、各キャラクターがそれぞれの思惑をもって複雑に絡み合って話を形成する正に群像劇となっていて、ひとつ取り出したくとも、絡んでくるあれこれも合わせて説明しなくてはならなくなって、しかもそのアレコレを説明するのにそれこれに触れなければならなかったりするので、正直どう書いていいか分からなくなる(笑)。
 まぁそんなわけで、今回のお話としては、戻ってきた主役光をメインに、海村出身でひとり地上に残されたちさき、彼女を家におく紡、光に想いを寄せている美海、が主に絡んでくるという内容。と言っても、何か大きな事件が起こるわけでもないのだ。
 光は5年経って変わってしまったアレコレを受け入れることが出来ない。冬眠すればこんなこともあるだろうと頭で分かっているつもりであったが、実際そうなってみてどうしていいか分からない。何せ目覚めたのは自分ひとりなのだ。この不安は計り知れない。
 そんな光を思っていたちさき。さぞ嬉しいのかと思いきや、紡から彼が5年前の姿のまま戻ってきたと聞かされ愕然とする。そしてちさきは光に会おうとはしない。それもそのはず、1クール目であったように、彼女は変わりたくはなかったのだ。しかし無情にも地上に取り残された格好になった彼女は時間と共に19歳の女性となっているからだ。
 光と会うのを避けるように看護学校へ行くバスへ乗る際、ドアに写った自分を見て変わってしまったを実感し、ショックでしゃがみ込んでしまう姿が印象的だ。そんな彼女はもうひとつ印象的なシーンがあって、紡がはさみを取りにちさきの部屋へ入ると、いつの間にか帰って来ていたちさきが上着を脱いで姿見に自分を映している所に出くわしてしまう。慌てて障子を閉める紡に彼女は「待って」と引き止め「どうだった?」と問うのだ。
 自分の身体がどうか、ではなく「あの頃と変わった?」と問い直すちさき。障子越しから紡は「あの頃は見たことないから分からない」と返すとちさきは涙してしまう。もちろん、変わった変わらないでいるかが分からないからではない。5年経っているのだ。変わっていないはずが無い。問うてはみたものの、そんなことはちさき自身がよく分かっている。
 そんなちさきに紡は「お前、あの頃いつも言ってたよな。変わるとか変わらないとか。あの頃いつも」と言う。それに対しちさきは、「みんなに、光に変わって欲しくなかった。それなのに、私が変わっちゃったんだよ」と大粒の涙をこぼす。
 なるほど、変化を恐れていた彼女である。ずっとあの頃のままでいたかったのだ。しかしそんなふうに思っていた自分が、意図せず取り残され変わってしまったのだ。それだけならまだしも、意中の光はあの頃のままなのだ。光の目の前に立てば、そうしたってその変化をまざまざと感じられてしまう。せっかく戻ってきたというのに彼女は喜ぶことが出来ない。もう同じ所にはどうしたって立てないのだ。
 嗚咽を漏らすちさきに、紡は「そうだな。変わったよお前。」と言う。その言葉に自分が変わってしまったことを認めざるを得なく自覚し曇った表情を見せるちさき。紡は「綺麗になった。ずっと、綺麗になった。あの頃よりも。それじゃだめなのか?」と続ける。ちさきは紡の言葉にハッとするも、また涙を流し嗚咽を漏らすのであった。
 紡はあの性格なので、その言葉は素直な感想である。彼がちさきを思い、変わってはしまったけれど、その分前よりずっと綺麗になったのだから、そんなに悲しむことはないと言いたいのだ。ちさきとしても、もう19歳である。彼のその優しさが分かるだけに、逆にその優しさがつらく、またどんなにあの頃よりも綺麗になろうとも、自分はそれよりも光とずっと一緒にいたかった、美しくならなくても変わりたくはなかったのだ。紡の言葉は、逆に自分の変化をまざまざと思い知る形となってしまったのである。
 紡として、変わっていないわけがないので、あの頃と変わらないなどというウソは絶対言ってはいけない選択肢だ。変わったけれど前よりずっと良くなったと、変化を良いように捉え、マイナスをプラスに転換しようとし、ちさきが傷つかないよう配慮した見事なチョイスな言葉であると思うが、いかんせん。ちさきののぞみは変わらないことなので、どうにも正解がないのがつらい。またちさきとしても、5年という歳月による変化はどうにもしようのないことで、彼女自身、仕方のない事だと分かってはいても、光があの頃のままの姿でいるだけに、容易に受け入れることは出来ないつらさがありありと感じられてつらい。
 このシーンの、どうしようもないことへの無力感というか、ただただ悲しく、このふたりを見ていてつらくなるように作ってあるのだから、上手いとしか言いようがない。

 ここからBパート。光は散歩と称して海に潜り海村を目指す。美海は光が戻ってきて2日経つのに、いまだに会いに来ないちさきに憤慨していた。
 美海はここで14歳らしいというか、あの時子供だったことを示すようなことを言っていて、光が元気がないのはちさきが会いに来ないからじゃないのか、と言うのだ。
 美海は光たち4人がどれだけ仲良しで、どれだけずっと一緒にいたかを知らないし、それを感じさせる4人を見ていない。これまでを見てきた我々としては、上記したようにちさきが会いたくとも会えない気持ちが解るし、光の元気がないのは、だたひとり目覚めて浦島太郎状態になって、この現実をどう受け止めていいのか分からず不安になっていることが察せられるが、美海は断片的でしか光を知らないので、彼が戻ってきて嬉しい、と言うだけなのである。しかしそれは責められることではなく、14歳なんだから、意中の人が戻ってきて嬉しいしか見えなくても仕方のない事。むしろその浅はかさが年相応の少女していて良い。14歳など分からないことだらけなのだし。
 さて、このBパートでの見所は2つ。ひとつは海村へ行けず、紡の船と遭遇した光。なんでちさきに会いに来ないんだ?との紡の問いに、なんでこっちから会いにいかなくちゃいけねーんだよと返した所、お前は変わらないなと返した紡に、光はカッとなって詰め寄り心中を叫び吐露する。
 まぁ要するに、浦島太郎状態になって、見るものすべてが変わってしまっていて、その上ずっと一緒だったちさきまでも変わってしまっていたらと思うと怖くてたまらないのだ。5年の時間をたった数日で埋められるはずはないのだが、それまで戸惑っているふうではあったものの、落ち着いていた彼が、ここで不安を爆発させるかのように紡に詰め寄って、心中を吐露し、どれほど不安であったかがわかるのは、あぁやっぱりと思いつつも、5年経ちはしたが光は14歳のままであることを示しているのと同時に、これまでおふねひきから時間が経ちました、と言う所を延々と見せていただけに、光の不安を感じさせる作りになっているのが上手い。
 またふたりのやりとりを端から見ていた美海が、光の心中を聞き、自分がどれだけ浮かれていたかを思い知るのも良い。そこからの旗の件はけっこう青臭いが、まぁ彼女は14歳なのでこんなものだろう(笑)。

 その後、海から上がった光はスピーカーから流れる5時の音楽、おふねひきの後に海村の人たちに届くようにと替えられたおふねひきの歌に誘われるかのように、歌の流れるスピーカーのある山を登っていくと、ちょうどそこでちさきと出会ってしまうこととなる。
 お互い会えないと思っていたのに、おふねひきの歌に誘われてかち合ってしまう所が、この二人の縁の深さであろう。5時の音楽がおふねひきの歌に変わった経緯を話した後、ちさきは「変わってしまって、ごめん」と言って俯く。その姿に光はハッとし、お前はこの間も変わるとかかわらないだとか言っていたと言う。
 続けて光はこんなことになって、確かに変わるということは恐ろしいことだとしながらも、ちさきが全然変わっていなくて安心したと言ってニカッと笑うのだ。
 その言葉にちさきは涙する。確かにちさき自身は変わってしまった。だが光はちさきの外見ではなく、中身の変わらなさ、ここにいるちさきは自分の知っているちさきだとしたのだ。彼にあの頃と同じ自分を見出してもらったことは、彼女にとって随分な救いであったろう。ちさきの中に変わらない部分はあったのだ。また、光としても、目覚めて全てが一変して自分だけが取り残されたかのように思っていたことだろうが、ちさきの中の変わらない部分を見つけ、確かにここは自分のいる世界であると確信し、安心を得たことであろう。
 状況は違えどちさきも光も取り残された格好になったは同じで、またお互いに変わったもの変わらないものをお互いの中に見て、地に足がついたような感じがあったのではなかろうか。光はこの再会を機に、変化した世界への恐れを振り払うことが出来たのだ。

 しかしこの再開のシーンの一番おもしろい所は、光と紡の違いだろう。ちさきの「変化」に対し、どちらもあの時々ことを言っていたとしながらも、出した答えは違うのである。
 いや、答え云々ではなく、紡が「変わっていない」と言ったならウソとなるが、光の「変わっていない」は本当なのだ。紡が美海との会話で、自分たちとは積み重ねた時間が違うので、ふたり西川からないことがあるのだと言っていたが、正にそれなのである。まぁ要するに、紡にちさきは救えなかったのだ。
 今回のラストで、やっかいになっている紡の家に帰って来たちさきが家に入るのに躊躇すると、中から紡が玄関を開け、おそらくはちさきのよう左右が違ったのを察し、「光にあったのか?」と問うと、彼女はひどくバツの悪そうな顔をして次回へと引っぱるわけだが、5年もひとつ屋根の下で暮らしていれば、お互い思う所はあるよなぁ。特に紡の方は。
 おそらくちさきとしたら、それなりに思うようなこともあったでしょうが、同じようなことになって結果がこれだけ違うのだから……どうなっちゃうんでしょうね(笑)?
 そこへ要も帰ってくるんでしょう?さらには美海にさゆも絡んでくることになって、人間関係はけっこうな複雑っぷりを呈してきて、これからどうなるのか気になって仕方がない。

 まなかは全然出てくる気配もないし、これから終わりに向けて、どう物語が転がっていくのか気にさせているんだから見事なシリーズ構成と脚本であった。
 そーいえば、まなかの耳の後ろにある羽根みたいなのって全く言及されませんけど、最終的になんか意味があるんですよね?

凪のあすから 第十四話 約束の日

2014年01月16日 | 凪のあすから
まただよ……。

 そんな今回のお話は…
 汐鹿生の“冬眠”当日に開かれた“おふねひき”から5年。光やまなかの行方が分からぬまま、19歳となったちさきは紡の祖父、勇を見舞いに病院を訪れていた。
 「看護学校を卒業したら、ここに来るといいわよ」と看護師に声を掛けられ、微笑むちさき。短いようで長い5年という年月は彼女の環境を大きく変えていた。
 紡は異常気象を解明するため都会の大学へ、14歳となった美海とさゆは美濱中学校に進学。そして至とあかりとの間には男の子(晃)が生まれていた……。
 以上公式のあらすじ。

 なんでか知らないが、また録画が被ったらしく14分くらいしか撮れていませんでした。って、ちっくしょーっ!時間被ってないかチェックしていたはずなんだけどなーっ!
 まぁそんなわけなので、お話的にはどーなったか分からん。が、公式の十五話のあらすじを見てみると、どうも光と要は当時の姿のままで戻ってきたみたい。今回はそこで引っぱったんじゃないでしょうか。
 ともかく、見れた分を見る限りでは、おふねひきから5年経って、どういう状況にあるかを説明するお話ではあったと思う(まぁ全部見れていないしね。)。それで光と要が戻ってきて~となって、次回から話が動くんじゃなかろうか。
 その状況としては、ひとり残されたちさきは紡の家にやっかいになっていて……人的には上記あらすじにある通り。世界的には異常気象で地上は雪が降り積もり、光たちのいた海は凍っている。特に影響ないんじゃないかと思われていた地上はたった5年でけっこうな変わり様で、なるほど、うろこ様が冬眠させたがっていたのも頷ける話である。と、世界観的にはそういうことが分かっていれば良い。
 個人的におもしろかったのは、まなかが出てこないこともあって、ヒロインが入れ替わったことだろう。まなかは物語的にはすごく重要なポジションにいて(というか、いるはずで)、おそらくはしばらく出てこないし、5年経ったということもあって、14歳になった美海が身体的に光と同じ立場に立って、見れた限りのところで言えば、彼女を通した世界を描いていたと思う。
 1クール目で、美海が光に惚れてしまっている様子を見せていたのはなんでなのかなーと思っていたのですが、今回からの2クール目があるからだったんですねぇ。美海はあかりのこと以外で話に絡まないと思っていたので、正直いらない情報だと思っていましたよ(笑)。公式のキャラ紹介のページにまなかが載っていないことを考えると、やはり今後は美海と光という所で話が進んで行くのだろうが、光としてはやっぱりまなかの存在は大きいだろうし、ちさきもいるがけど19歳になっちゃっているし、一緒に暮らしている紡はそう持ち先に思う所があるようだし、ちさきと言えば要も戻ってきたようだから、なんらかの動きはあるであろうし、要で言えば、さゆが彼を好いていることもあるので、1クール目以上に人間関係がごちゃごちゃしてきて今後が楽しみだ。
 ってゆーか、物語上の大きな転機の後だったので、絶対見逃したくなかったんだけど、この体たらく。ああっもうっ!悔しいったらありゃしない。

 せっかくなんで、以下個人的に気になった所。と言っても1点だけですが。
 あかりと至の息子。まぁ美海の腹違いの弟となる晃。カンチョがマイブームだそうで、サヤマートにてちさきが思いっきりカンチョされておりましたが……ちさきのリアクションを見ると、ケツじゃない方にいったんじゃないですかね(笑)。とすれば彼女のリアクションが腑に落ちる、ような気がしませんか?あれ?こんなこと考えたのって、もしかしてオレだけ?

凪のあすから 第十三話 届かぬゆびさき

2014年01月04日 | 凪のあすから
大きく転がったな。

 そんな今回のお話は…
 家でまなかのことを思い出していた光は、シオシシオに戻った彼女に改めて自分の気持ちを伝える。
 まなかも光に何かを伝えようとするが、「おふねひき…終わったら言うね」と微笑み答えるだけだった……。
 「おふねひき」当日、それは光たちが冬眠する日でもあった。地上の美濱中学校に初めて登校した時と同じように、幼馴染の4人はそろってうろこ様がいる鳴波神社へ挨拶に向かった。 そして、最後は自分たちに進む道を選ばせてくれた大人たちに見送られ、紡やあかりたちの待つ地上へとあがっていくのだった……。
 以上公式のあらすじ。

 お話は、おふねひきしてみたら、とんでもないことになった。という感じ。
 まぁ予告で不穏な空気をかもしていたので何かあるんだろうとは思いましたが、わたくしの予想は見事に外れ、なんにも起こらないと思っていたおふねひきは、うろこ様(と言うか海神様と言うか)の所為(と言うかなんと言うか)で海が荒れ、あかりを海に飲み込もうとした所、替わりにまなかが引き込まれ、あかりを助ける為に飛び込んだ光も上がって来ず、余波で海に落ちた紡と助けに行った要も飲み込み、燦々たる有様ながらも、あかりが浮かんできた所で引っぱった。要するに、まなかは海神様に持っていかれ、光と要は行方不明、唯一無事だったのはちさきだけで、冬眠ということでなく4人はバラバラになってしまった。
 この感想を書くにあたって公式HPを見てみたら、メインビジュアルが差し変わっており、まなかがおらず、光と要は変わってはいないが、美海とさゆ、紡にちさきは成長した姿をしており、どうもちさきはこの事件で海村に戻れなくなってしまった模様。まぁ村に結界(?)のようなものがはられる描写があるので、おそらくはその影響なんだろう。
 ま、先のことはともかく、何も起きないんだろうと思っていたおふねひきで、一気に物語を動かして、割と淡々と流れていた話の様相を一変させたのは上手く、どうしたってこれから先を気にせざるを得ない。また、おふねひきの最中で、みんなが好きな人・大切な人たちと一緒にいたいんだ、という気持ちを見せておいて、そうなればいいなと思わせつつ、それが全く海神様に通じないのが良いではないか。
 海神様なんてものが本当に存在しているのか全く定かではないんだけど、いるとして考えればだ。そんな大きな神的存在からすれば、人間のそんな想いなんざどーでもいーのだ。基本、神様ってのは無慈悲なもんである。みんな一緒だったら良いと強く思っていたメインキャストの4人であったが、結局、冬眠するよりもひどいかたちでバラバラになってしまうという、なんだかよく分からないデカイものへの抗えなさ、人間のちっぽけさや現実の残酷さが感じられ、悲壮感漂うBパートでありましたが見応えがありました。

 それでちょっと気になったのですが、うろこ様は「所詮私は海神様のうろこよ」とか言って、海に大渦を発生させて人ひとり取り込んじゃった格好になったのですが、とすると、端からそのつもりであったということなんですかね。でもあかりがおじょしさまの替わりとなって船に乗るのはけっこう後になって決まったことを考えると、ちょうど都合が良い、ということであったのだろうか。そもそもあかりがおじょしさまをやらなかったとすれば、今回のようなことは起こらなかったのか?
 まぁなんにせよ、なんだかよく分からない海神様は存在しているようで、予定通り事を進めた格好になるわけだが、私としてはどうも海神様の意図がピンとこないんだよなぁ。9話見逃したからか?
 もひとつ気になったのは橋脚である。特にここで描きはしませんでしたが、おそらくは高速道路か何かを作ろうとして途中で泊まっちゃっていたのだと思うけど、この橋脚はこれまでそこかしこで見えるようになっていて気になっていたんですよね。OPにも印象的に出てるし。
 それが今回の大渦で壊れて倒れてしまったということは、この海に突っ立っていた橋脚が問題のひとつだったのではないか、と思ったわけです。じゃなきゃ、こんな意味ありげにわざわざ橋脚見せませんからねー。とか言って、全然物語に絡んで来なかったら恥ずかしいが(笑)。

 その他気になった部分はと言うと要だろうか。
 ちさきと一緒に紡を助けた要であったが、助け出された紡を膝に乗せてぎゅっと抱きしめているちさきを見てハッとするんですよね。そして倒れてきた橋脚を避けようとした船から振り落とされてしまうのだが、その時の彼の表情が微笑していたのを考えると、彼はあきらめてしまったのかのように見える。たぶん、ひかりにも紡にも負けている自分、ちさき的に自分は眼中にない、と思ってしまったのではないか。
 Aパートで「告白したこと覚えてる?」みたいなこと聞いて、ちさきが言われて思い出して、それはあんまりにも悪いので「ちゃんと考えてる」等と誤摩化していたのがフリなのだろうが、でも個人的にあの状況、海に落ちた紡の意識がないわけだから、ちさきが抱きしめていた所で問題ないと思うんだよなぁ。
 だって死んじゃうかもしれないのだから、まぁそういうこともあるよねと自分なら思うし、なにより紡は溺れて意識ないんだから、まず人命第一なことを考えれば、気にするようなことではないだろう。後で思い返してショックを受けるのなら分かるのだが。まぁそれだけちさきのことが好きなのだということなんでしょうが、今ひとつピンとこないのであった。むしろ、要もいなくなってしまったことで、ちさきがひとりぼっちになってしまったことの方が、自分的にはショッキングであった。
 もひとつ。上記したように、当初の予定通り海神様としては海村を冬眠させたかったわけで、今回の出来事は宮司である灯も知らされていないことで、あっさりとうろこ様の謎の力で眠されてしまった。そこから考えると、海神様の祝福的な象徴であるエナがある限り、海の人たちは海神様の影響を受けてしまうと考えて良いのだろう。とすれば、冬眠もそういうことなのではなかろうか。
 エナを纏うものの生態的な何かでなくて、海神様的に海もなんかおかしいし人口の減る一方なので、おまいらちょっと冬眠でもしてろや、ということのような気がします。だとすると、海の人たちは随分と海神様に翻弄(?)されていることになりますなぁ。というか、エナって水中で自由に行動できる利点はあるものの、陸に上がって放っとけば干上がってしまうし、上記仮説が正しければ、なんだかよく分からない海神様に良いようにされてしまうしで、むしろデメリットの方が多い気がするなぁ。そもそもなんで海の人たちがいるんでしょうねぇ。伝承的には元々人は海にいて、陸に上がって行ったんだっけか?その辺の伝承の説明って見ていない9話であったのか?ああ、なんで録画重なったよ!(チェックしない自分が悪いのだが)

 ともあれ、一波乱あって物語としてはおもしろくなってきました。というか、ちさきがなんか可哀想なんですけど。
 上記しました公式のメインビジュアルからすると、美海とさゆが中学の制服着ているので、3、4年くらい時間が飛びそうですが、はてさて、どうなりますやら。

凪のあすから 第十二話 優しくなりたい

2013年12月31日 | 凪のあすから
能登さん発見。

 そんな今回のお話は…
 おじょしさまの代わりに自分が船に乗り、「おふねひき」が終わったら海神様に嫁いでいく気持ちで、至のもとへ嫁ぎたいと告げたあかり。
 それは最初の「おふねひき」を目指して、もう一度動き出した瞬間だった。
 そんなあかりにブーケを作るため空地で花を摘むことにした美海とさゆは、そこで地上に出てきた灯と出会う。
 初めて見る灯に驚く少女たちだったが、光やあかりの父であることを知った美海は、光たちが海で冬眠するよう伝えてほしいと願い出る。
 だが逆に灯から「地上で生きたほうが幸せなのかもしれない」と告げられるのだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話は、おふねひきまで後わずかという時期の各キャラクターを描いていて、大きなメイン所としては、おふねひき=冬眠まで後わずかという所で、実は切羽詰まってた要が呼び水となって、思わぬかたちでちさきと光が想いを伝えることとなったことだろう。
 まぁ、おふねひきの方は着々と準備が進んでいるのが分かれば良い程度なのは、前回おふねひきが大きく動き出すのをやったので、今回はそれに伴っての冬眠云々に関連する動きということなのであろう。

 正直、何を書いたらいいのかよく分からない(笑)ので、とりあえずメイン所としましては、閉校となった中学校で遊んでいる所で、不意に要が光にまなかのことをどう思っているのか?と聞くことで動き出す。
 海村に帰ってくる途中で、早くも冬眠に入ってしまった子供を見て、まるで死んでしまったかのように感じられた所為もあってか、眠ってしまうといつ起きるのか分からない、そもそも目覚めるのかどうかも分からない中で、想いを秘めているだけでいいのか?という思いがあって要は仕掛けたのだ。いつも微笑んでいる印象の彼だが、どうなるのか分からない冬眠というものに不安にかられているのだろう。自分としても、ちさき・光としても、このままよりかはと思いぶっ込んできたのだ。
 突然のことにビックリしつつも、誰しも冬眠に不安を覚えている、この先どうなるか分からない、このまま別れてしまうのかもしれない、そういう思いがあるので、光は意を決しまなかに自分の想いを伝えるが、まなかは「よく分からない」と言って外に飛び出して行ってしまう。
 う~ん。まなかを見るに、どうしても自分は彼女を子供のように見えてしまう。大人ならば、この状況で何かしらの返事はしなければならないなと思うもので、どうしたらいいか分からなくなって逃げてしまうなんて、少なくとも大人のすることではないよなぁ。
 彼女は光を随分と男として認識し初めてはていて、今回も買い出しから帰ってきて、大漁旗(?)を持つ光を見て「ひーくんはいつから男の人になったんだろう」と呟いたのを見ても、見方が変わったことを窺わせるのだが、いかんせんまなかは子供っぽくて、自分の好きがどういう好きか分からなくて戸惑っているのだ。幼い頃の好きと今の好きがどう違うのか、紡と光に対する好きは違うのか違わないのか、自分の想いに理解が全く追いついておらず、分からないことが怖いのだ。
 それと同時に冬眠のこともある。上記した後、家に帰ったまなかは母が眠りについているのを見てぎょっとする。呼びかけて起きはしたけれども、自分のすぐ近くにどうなるのか分からない冬眠がすぐそこまできていることを実感したのだ。学校に忘れ物をしたとウソをついて、また外へと飛び出していくまなか。分からない分からないと呟きながら駆けて行く彼女を見るに、やはり理解の範疇の及ばないものへの恐怖にどうしたらいいのか分からない、と言った所なのではないのだろうか。これまではみんなの後ろを考えなしに付いて行くだけで良かった。だが誰しも子供のままではいられない、今まなかを引っぱってくれる手はないのだ。自分の進む道は自分で決めねばならない、しかし彼女はそれを理解するには至っていないのだ。分からない事にただ怯えることしか出来ない。本当は、一番変わりたくないと思っているのはまなかなのかもしれない。

 さて、光たちの方はと言うと、まなかを追いかける光をちさきが追いかける。追いかけないでと叫びつつ、足がもつれて転んでしまったちさきに光は駆け寄る。正直、見ていてちさきに気付かずに行ってしまうのではないかと思っていたが、ここでちさきを気にする辺りが光のいい所である。
 前回、光に告白すると毛類した彼女であったが、こんな形で想いを伝えることとなってしまったわけだが、ちさきは想いを伝えられただけで良いからまなかを追いかけて、と言う。光はどうするのかなと思っていたら、というか、まなかを追いかけるんだろうなと思っていたのだが、彼が「オレも同じだ」と言ってその場に腰を下ろしたのが意外であった。
 光としては、まなかは紡が好きだと思っているので、ちさき同様、自分も想いを伝えられただけで良かったのだとする。そんな彼をちさきは「優しいね」と言い、自分も優しくなりたい、心を綺麗にしたいのだと言う。心が綺麗なままで大人になれるだろうか?子供が純粋なのは何も知らないからである。彼らは少しずつ子供から大人になろうとしているのだ。

 とまぁメイン所としては上記の通りなのですが、正直、色々な事柄が交錯していて何を取り出して書けないいのかよく分からないから困る(笑)。
 上記以外の所としては、紡の母が出てきたことだろうか。なんで紡がじいさんと二人で暮らしているのか気になっていて、両親とは死別したのかなーなどと思っていたのだが、父はともかく母はいたわけだ。しかし紡はその母を「あの人」と呼んだりしていて、せっかく会ったのにちさきとまなかをダシにして、随分と素っ気ない態度であったことを考えると、どうも母の方は気にかけているけれど、紡の方は良くは思っていないようだ。この辺が物語にどう関わってくるかさっぱり読めないんだけど、わざわざここで見せてきたってことは何かあると思って然るべしなのだろうとは思うが、はてさて。
 あとちょっと気になったのは、買い出しに街に出掛けた紡とまなかとちさき。古着屋にて紡と肩がぶつかったちさきが随分と意識していたのですが、ちさきはやっぱり年相応に女の子らしいですよね。それに対して帰りの電車で思いっきり寝てしまってよだれを垂らしちゃうまなかの子供っぽさよ(笑)。
 おそらくはまなかの子供っぽさを強調して、ちさきが年相応に女であることを印象付けていて、一応は恋敵であるのにちさきがまなかを好いているのは、まなかの子供っぽさからくる純真さなのだろうなぁ。それで思うのだけど、私には光がまなかを好きな理由がさっぱり分からないんですよね。
 ちさきが光を好きなのは分かる。リーダー気質で物事を動かし、ちょっと粗暴ではあるものの性根の優しいヤツだものな。要がちさきに惚れているのも分かる。ナイスバディだし、女の子っぽい愛らしさがあってなかなかの美人だし。ではまなかの魅力は?と聞かれると返答に困るのだ。
 まぁ確かに目がクリクリッとしていて背が小さくて華奢ではあるのだが、正直それくらいしか思い浮かばない。純真さというのもあるんだけど、それは上記したようにただ子供であるというだけなので、なんか恋愛対象になる要素が私には見つけられないんですよね。光は一体まなかのどこに惹かれているのか理解できん。まぁ惚れたはれたなんぞに理由などないのかもしれませんが。

 ともあれ、今回のお話は物語として、ちさきも光も想いを伝えて後はまなかがどうするかということと、一方通行な彼らの想いはどう折り合いがつくのかが気にさせてくれる。あとはおふねひきなんですけど……なんか予告を見る限り、不穏な空気を醸し出していて、この物語が2クールだということを考えると、ただおふねひきに意味は無い、というだけではないのかもしれませんねぇ。

 なんだか、何が言いたいのだかよく分からない感想になってしまったが、ま、いっか。