(TxT)<戯れ言ですよ

とみーのにっき&おえかきちょう

凪のあすから 第二十一話 水底よりの使い

2014年03月27日 | 凪のあすから
意外と元気、かと思いきや。

 そんな今回のお話は…
 光と美海が言い争う中、突如目覚めたまなか。驚く光と美海をよそに、まなかはまるで何事もなかったかのような笑顔を見せる。
 エナが突然なくなってしまった原因は分からずじまいだったが、ほかに異常はなく、そのまま至の家に居候することになる。
 流氷、降り積もったぬくみ雪、5年前と変わった町並みに驚きつつも、再びみんなでいられることが嬉しそうでもあった。
 だがそんな彼女の笑顔に、光はどこか違和感を覚えるのだった。
 以上公式のあらすじ。

 これを書いている時点で、実は来週最終話だったりする。そんなわけなので実は25話まで視聴済みであったりするわけです。で、この感想を書くにあたって21話を見直した所、おおっそういう事だったのね、と思う所がいくつかありまして、この物語についてちょっと思うことがありました。
 今回のお話は、冒頭に書きましたように、まなかが目覚めて意外と以前と変わらない元気っぷり、「かと思いきや」を見せて興味を惹かせているお話で、それ以外はいつも通りの淡々と進んでいく話、と初見の時は思ったであろう。がしかし、これ、先を知って見るとその他の部分も随分おもしろい。

 今回のお話ポイントは、先述した通り「変わっていないように見えたまなかの異変」である。それが顕著に現れるのは、あかり宅にて鍋をしている所、息子のあきらが鍋汁をこぼしてしまい、あかりがすぐさま抱き上げて水につけ事無きを得るシーンで、まなかの瞳からテカリが失われ、まるで感情がないような表情を見せた時だ。
 その後、光がおふねひきの後に自分に何を言いたかったのかを聞くと、まなかは光が何のことを言っているのかが分からないと言う。明らかな記憶の欠如が判明するに伴って、今のまなかは「何かが欠落している」事が分かる。
 この時点で、何がまなかの中に無いのかは分からないのだが、先に述べましたように25話まで視聴して何が無いのか分かってから見ると、今回のお話のAパートの冒頭で、すでにそのヒントを見せているのだ。
 出かける光とまなかを見送ったあかりと息子のあきら。光はあきらが随分とまなかに懐いているなと言うと、まなかは何かを考えるような仕草をする。初見でわたしは、まなかは自分に懐かれる要素があったであろうかと考えていたのかな、と思っていたのですが、彼女が何を失ったかを知れば、この行動の意味が分かるのだ。ああ、なるほど、と思いましたよ。それと、港での光と要の会話もそうである。
 目覚めて見知った町なのに随分と変わってしまった事に、ふたりは「怖い」と思った。しかしまなかは変わってしまった町を見てはしゃいでいる。この違いは何か。そう、まなかは怖いと思う要素がこの時点で無いのである。彼女が失った部分のことを考えれば、この行動も得心がいくというものである。

 港の次は学校へと赴く一行は美海とさゆと鉢合わせ、ちさきは紡の祖父の所へ行かないといけないと、佐山から貰った5個入り塩シュークリームを渡して一人離脱する。
 シシオ四人衆が揃ったということで佐山から貰ったシュークリームは5個入りなので、ひとつ余っちゃうと言っていたちさきが、学校でひとり離脱する事によって全員に行き渡るようにしたわけだが、明らかにちさきはその場から離れようとしているのが垣間見え、それはひとり19歳の自分は居心地が悪かった、と初見の時に捉えていたのだけど、先を知ってその後の展開を見ると、それは間違った捉え方であったのだ。
 病院にて紡と会い、それからふたりの会話をけっこう長い尺で見せていて、コーヒーゼリーを食している時のちょっと会話が続かない雰囲気であったり、紡が今月末に大学に一度戻ると言い出してからのちさきであったり、帰り道の道すがらの会話は、ふたりの関係がはっきりしてから見ると実に微笑ましく(笑)、「ああ、なるほど。」と思わざるを得ない。要するに、ちさきは光たちと離れたかったわけではなく、紡と病院で落ち合いたかったのである。
 だがこれは初見でどーやったって気付く事が出来ない事で、19話であんなちさきを見せられたら、どうしたって読み違えるというものだ。それを考えると、むしろミスリードを誘っているのだろう。正直初見で、紡の方は前回ちさきをどう思っているかを知れたので分からんでもないが、ちさきの方がよく分からなくて、気を遣っているような印象を受けたような気がする。しかしふたりの関係が分かって見れば、ものすごく得心のいくようになっているのだから、これは完全にワザとだろうと思うのだ。

 さて、ここまでなんかお茶を濁したような書き方を続けてきたのは、この時点で分かってない事を、すでに咲を見たから書いちゃうのはどうなんだ、と思っての事でもあるんですが、そこで前述した「この物語について思う事」である。
 この物語は、むしろ全容を知ってからの方がよりおもしろく見れるのではないか、と思ったのだ。これまでなんでもないような事に尺を使っているように思える事が多々あって、何かのポイントに来るまで淡々と進んでいくような印象であったのだけど、今回ちさきと紡のなんでも無いと思っていた会話が、分かって見ると、ふたりの気持ちが解って全く違う印象になって実に興味深かったり、先のヒントを随所に出している事に気付いたりで、なんでもないことはなかったのだと気付かされた。むしろかなり緻密に計算されているようにコンア会を見て感じられました。
 一回一通り見て終わり、にならないようにしてある仕掛け。であるならば、この物語は非常に練られた物語であるのかもしれないなぁ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿