チェインバー!!
そんな今回のお話は…
クーゲル船団に反旗をひるがえしたピニオンは、ラケージ、フランジらと共同戦線を張っていた。
上空ではマシンキャリバーの、海上ではユンボロたちの総力戦が激しさを増す。チェインバーとストライカーが激しい空中戦を繰り広げる中、衝撃の事実が明らかになる。
レドがチェインバーのコックピットを強制的に開け放った時、そこにいたのは既にミイラ化したクーゲルだった。ストライカーのAIは、生前のクーゲルが構想した社会形態を、その死後も維持し続けていたのだ。
ストライカーはレドに迫る。「レド少尉、貴官もまた自ら思考し判断することを負担と感じていたはずだ。私はその重圧から貴官を解放できる」。
レドが反論しかけた時、チェインバーが割り込みストライカーの論理に反論する。この地球にも居場所はなく、さらに人類銀河同盟にも幻滅したレド。
レドは、ただ自らの命を賭けてストライカーを止めようとする。行き場のないレドが最後の戦いの果てに見たものは……。
以上公式のあらすじ。
お話は上記引用したあらすじにある所から、ガルガンティア船団が参戦して~という流れ。最終的にはストライカーを排してエピローグに移る。まぁ当然だが(笑)。
前回判明したクーゲルの死は、そこからストライカーが何を思って船団を率いているかという話になるが、簡単に言うと絶対的な偶像になって従わせることで、思考・判断することが無くなり人類を苦しみから解放すると言う。まぁ分かりやすいかは甚だ怪しいが(笑)フレッシュプリキュア!のラビリンス総統メビウス閣下と同じなのだ。
そんなストライカーの論理を今のレドが服従するはずもないが、あらすじにあるように、チェインバーがそれに反論するのがおもしろい。
クーゲルが生前どう思って船団の社会形態を作ったかは不明だが(そもそもその頃に彼が生きていたかも不明だが)、ストライカーは銀河同盟をそのままこの地球に持ち込んだのだ。しかしチェインバーはレドと一緒にこの星の人たちと関わって、色々なことを経験し、文化を学び、真実を知り、自ら思考して、ストライカーの言うそれは間違っていると論理を否定する。
自らを神の名乗るストライカーは奉仕すべしと要求するが、チェインバーはそれを否定する。支援啓発インターフェイスである自分の奉仕対象は人間であり、神を名乗る存在に奉仕する機能はないと。自ら思考し判断する存在こそが人間であり、それを放棄した者、また神だとする者に従う理由などないとしたのだ。前回そうだったように、チェインバーの思考はレドとこれまで過ごしてきたことの経験と情報から人間に限りなく近いのだ。ストライカーのしていることは、人間を奴隷にしているに過ぎない。
またそれは銀河同盟も同様である。レドはこの地球で暮らし、同盟がどれほど空虚であるかを悟った。従属することで安寧を得ていた自分を悔いた。帰ることが出来なくなった今、いや、帰れた所で何になろう。レドが今するべきことは、この星からストライカーを排除することだ。この星を銀河同盟のようにしてはならない。
レドは機械化融合しストライカーとの戦力差を埋めようとするが、サポートのない状況での機械化融合は彼の身体を蝕む。よってチェインバーは許可しないがレドは言う。ストライカー・銀河同盟は故郷を捨ててまで憎み合うことをやめられなかった人類が生み落とした怪物、またそこから生まれた自分も、チェインバーも同類なのだと。再び蘇ったこの星に、自分たちの居場所はなく、また帰り道もない。ストライカーを道連れに出来るならそれで良いと。
チェインバーはその論理に破綻がないとレドの命令の許諾。レドの生命限界まで482秒。残された時間は少ない。レドとチェインバーはストライカーとの差を一気に埋めた。その時モーターカイトで飛んでくるエイミーを発見する。
ガルガンティアでは「天のはしご」を使用する準備に追われていた。「天のはしご」は旧文明の遺産、宇宙へ出る為の発射台であったが、今となってはその飛距離を失ってしまったが、無敵の石弓となっている。巨大なスプリンクラーとなっていたあの黒い塔は砲塔だったのだ。廃棄するはずだった船などを砲弾にして彼方の場所へ打ち落とし、運動エネルギーと位置エネルギーで強大な威力を発揮する。エイミーは先行し座標を知らせているのだ。エイミーはレドに向って叫ぶ。
「私たちがついてる。私たちが一緒に戦う。あなたと離れてやっと分かった。どんなにつらくても私はあなたの側にいたい!だから帰ってきて!あなたが守ろうとしてくれた場所に!私たちのガルガンティアに!」
続けてエイミーは言う。「私たちの仲間に手なんか出させないんだからね!」レドはもはや宇宙から来た漂流者ではないのだ。
次々と落ちて来る空からの砲弾にクーゲル船団は瓦解し、クジライカの巣があった島も崩れ去った。ストライカーはガルガンティアを最大驚異対象と確認し優先排除に回る。レドとチェインバーの最後の戦いが始まった。なんとしてもガルガンティアを守らなければならない。
ストライカーと互角の戦いを繰り広げるレドとチェインバー。しかし、これ以上機械化融合を続けては確実にレドは死んでしまう。チェインバーはレドに最終意志確認をする。「レド少尉は自らの死を要望するか?」
その問いにレドは「オレは、死に方は分かっても生き方が分からない。そんなオレの為に、生き方を一緒に探してくれる人がいた。もう一度会いたかった。もっと声を聞きたかった。」と言って涙を流した。するとチェインバーは警告を出し「レド少尉の心理適正は兵士の条件を満たしていない。よって貴官の軍籍を剥奪する」と言ってコックピットを切り離すのだ。突然のことに「何をするんだチェインバー!」と問うレドにチェインバーは言う。
「私はパイロット支援啓発システム。あなたがより多くの成果を獲得することで、存在意義を達成する。この空と海の全てが、あなたに可能性をもたらすだろう。生存せよ。探求せよ。その命に最大の成果を期待する。」
この星に居場所がないと思っていた。この星の為にストライカーを道連れにするつもりだった。しかしガルガンティアの皆が、エイミーが、帰ってきて欲しいと望み、レドは死を前に彼らに会いたいと涙を流した。生きたいのだ。死にたくないのだ。従属していた以前と違い、自ら思考し判断して行動し生きようとしている。そしてそれを望まれている。あるべき人間の姿ではないか。チェインバーこう判断したのだ。レドをここで死なせてはならないと。
支援啓発システムにパイロットを拒絶する権限はないと言うストライカーに、チェインバーは「彼に支援の必要はない。もはや啓発する余地がない。後はその前途を阻む障害を排除して私の任務は完了する」と答え単機向っていく。
レドにはガルガンティアに多くの仲間がおり、自ら思考し判断できる。それを踏まえてチェインバーはこう考えたのではなかろうか。人間である以上いつかはレドも死んでしまう。そうなった時に自分もストライカーのようになってしまうかもしれない。またこの星には過ぎたオーバーテクノロジーである自分が、この星に悪影響を及ぼすことがあるかもしれない。ストライカーと自分は、この星、そして今のレドにとっても、もう必要ないのだと。レドたちは無限の可能性を前に自分の助けがなくとも成長していくだろう。そして自分の存在意義を達成するには、後はストライカーを排除するだけなのだ。
ストライカーはチェインバーを対人支援回路としての第一原則すら放棄し暴走したことは明白だとし、直ちに初期化、再起動せよと最後通告する。その最後通告にチェインバーはこう返信する。「くたばれ!ブリキ野郎!!」
チェインバーに特攻して取り付き一撃を入れ、爆発するストライカーと一緒に、チェインバーも光の塵と化した。切り離されたコックピットの中でその様子を見ていたレドは「チェインバー……」と呟き涙を流した。
思えばレドと一緒に色々なことを経験し、人の営みを見て、情報を収集してきたチェインバーは、自ら思考し判断して結論を出すに至っていた。ストライカーに思考し判断することが人間であるとチェインバーは言っていたが、その定義ならチェインバーも人間であると言えるのではないか。
ヒディアーズが人間であったことを知って、戦う理由を見失ったレドに戦う理由はあると提示し、クーゲルと戦うレドに追従し、ストライカーの論理に反論し、そして彼の最後の台詞「くたばれ!ブリキ野郎!!」は、従属を強要する神を名のる機械に対しての人間の感情だ。論理に論理を返してきたチェインバーが人間を学習し理解したのだ。きっとプログラムだからではなく、チェインバーは思考の末に人間を、レドを守ろうとしたのだろう。チェインバーが消滅し涙を流すレド。戦友が無くなったように感じられたのではなかろうか。
こうして危機は去り、ピニオンたちとクーゲル船団の人々を受け入れたガルガンティア。レドもまたガルガンティアでエイミーたちと暮らしている。ストライカーがいなくなって絶滅を免れたクジライカも、海の底でその生命を全うしている。レドは言う。研究が進めばコミュニケーションをとれるようになるだろうと。
この海の星に人類は新たな可能性を見出して、これからも生き続けていくのだろうと思わせてこの物語は終わる。
と、いうわけで全体的な感想ですが、たった13話で良くまとめたなという印象。
かなりのんびり目であった前半戦は、何か大事件が起きるわけでもないのに退屈しないよう上手く作ってあるし、後半からの割と怒濤の展開は、それでも詰め込み過ぎというふうでもなく、ひとつの物語として落ち着けている点はとても上手い。
のんびりとした前半は、後半でレドがストライカー=銀河同盟に反旗を翻すことの裏付けになっていて、どうと言うことのない地球での生活を描いているだけなのだが、「生きる」ことを知らないレドが、少しずつ人間らしくなっていく様を良く描いており、後半からは明かされていく真実に、「人間」レドが何を思いどうしていくかが、前半を見てきた分、感情移入させられるようになっていて、そう考えるとこの物語は今思えば、マシンキャリバー「チェインバー」の視点に近かったような気がします。
上記しましたように、チェインバーが最終的にレドを支援の必要、啓発の余地がないとしたのは、彼をずっと見てきた結果であって、それは視聴者の視点と同様なのだ。それがあるからこそ、チェインバーが最後にエイミーたちともう一度会いたいと涙を流すレドを切り離し、まるで自分の役目は終わったと言わんばかりの台詞を残して物語を締めるのだから胸にぐっとくる。
ちょっと気になった点としては、まず、思いのほかエイミーの関わりが薄かったことか。
前半を考えれば、それでも物語的には重要な役ではあるが、もうちょっと何かしらレドとあった方がドラマチックであったように思う。が、全体としてこの物語を考えると、主役はレドとチェインバーなので、敢えてエイミーとのロマンス的なことは大きく描かなかったのではないかと推察する。彼女とのことは、エピローグの後に、きっと上手いことなるんだろうなぁと想像する余地を残し、このふたりはレドの人生と同様に「ここから」なんだよ、ということにしているような気がします。
もうひとつ。クジライカのことも、「元々人間なんだよ」という事実以外でも何かあって欲しかった所で、最終的な「銀河同盟の否定」に行き着く為のステップのように感じられてしまうのは、ちょっともったいないような気がします。
上記2点を考えると、もうちょっと尺が欲しかったんじゃないかと思うし、それは放送形態上仕方のない事なので、この物語を1クールで上手く収めるのに苦心した結果なのかもしれない。
ともあれ、正直、手放しで褒めるような素晴らしい何かがあったわけではないのだけど、毎週楽しみに見ていたおもしろいアニメでありました。最後もスッキリさわやかに終わってくれて気持ちが良かったです。
まさかこんなことが起こるなんて的なジェットコースターのようなめまぐるしい展開ではなく、じわじわっとくる感じなのを考えると、メインターゲットは学生さんくらいよりも上なのかもしれません。まぁ飽くまでそれは私の想像なんですが(笑)。
そんな今回のお話は…
クーゲル船団に反旗をひるがえしたピニオンは、ラケージ、フランジらと共同戦線を張っていた。
上空ではマシンキャリバーの、海上ではユンボロたちの総力戦が激しさを増す。チェインバーとストライカーが激しい空中戦を繰り広げる中、衝撃の事実が明らかになる。
レドがチェインバーのコックピットを強制的に開け放った時、そこにいたのは既にミイラ化したクーゲルだった。ストライカーのAIは、生前のクーゲルが構想した社会形態を、その死後も維持し続けていたのだ。
ストライカーはレドに迫る。「レド少尉、貴官もまた自ら思考し判断することを負担と感じていたはずだ。私はその重圧から貴官を解放できる」。
レドが反論しかけた時、チェインバーが割り込みストライカーの論理に反論する。この地球にも居場所はなく、さらに人類銀河同盟にも幻滅したレド。
レドは、ただ自らの命を賭けてストライカーを止めようとする。行き場のないレドが最後の戦いの果てに見たものは……。
以上公式のあらすじ。
お話は上記引用したあらすじにある所から、ガルガンティア船団が参戦して~という流れ。最終的にはストライカーを排してエピローグに移る。まぁ当然だが(笑)。
前回判明したクーゲルの死は、そこからストライカーが何を思って船団を率いているかという話になるが、簡単に言うと絶対的な偶像になって従わせることで、思考・判断することが無くなり人類を苦しみから解放すると言う。まぁ分かりやすいかは甚だ怪しいが(笑)フレッシュプリキュア!のラビリンス総統メビウス閣下と同じなのだ。
そんなストライカーの論理を今のレドが服従するはずもないが、あらすじにあるように、チェインバーがそれに反論するのがおもしろい。
クーゲルが生前どう思って船団の社会形態を作ったかは不明だが(そもそもその頃に彼が生きていたかも不明だが)、ストライカーは銀河同盟をそのままこの地球に持ち込んだのだ。しかしチェインバーはレドと一緒にこの星の人たちと関わって、色々なことを経験し、文化を学び、真実を知り、自ら思考して、ストライカーの言うそれは間違っていると論理を否定する。
自らを神の名乗るストライカーは奉仕すべしと要求するが、チェインバーはそれを否定する。支援啓発インターフェイスである自分の奉仕対象は人間であり、神を名乗る存在に奉仕する機能はないと。自ら思考し判断する存在こそが人間であり、それを放棄した者、また神だとする者に従う理由などないとしたのだ。前回そうだったように、チェインバーの思考はレドとこれまで過ごしてきたことの経験と情報から人間に限りなく近いのだ。ストライカーのしていることは、人間を奴隷にしているに過ぎない。
またそれは銀河同盟も同様である。レドはこの地球で暮らし、同盟がどれほど空虚であるかを悟った。従属することで安寧を得ていた自分を悔いた。帰ることが出来なくなった今、いや、帰れた所で何になろう。レドが今するべきことは、この星からストライカーを排除することだ。この星を銀河同盟のようにしてはならない。
レドは機械化融合しストライカーとの戦力差を埋めようとするが、サポートのない状況での機械化融合は彼の身体を蝕む。よってチェインバーは許可しないがレドは言う。ストライカー・銀河同盟は故郷を捨ててまで憎み合うことをやめられなかった人類が生み落とした怪物、またそこから生まれた自分も、チェインバーも同類なのだと。再び蘇ったこの星に、自分たちの居場所はなく、また帰り道もない。ストライカーを道連れに出来るならそれで良いと。
チェインバーはその論理に破綻がないとレドの命令の許諾。レドの生命限界まで482秒。残された時間は少ない。レドとチェインバーはストライカーとの差を一気に埋めた。その時モーターカイトで飛んでくるエイミーを発見する。
ガルガンティアでは「天のはしご」を使用する準備に追われていた。「天のはしご」は旧文明の遺産、宇宙へ出る為の発射台であったが、今となってはその飛距離を失ってしまったが、無敵の石弓となっている。巨大なスプリンクラーとなっていたあの黒い塔は砲塔だったのだ。廃棄するはずだった船などを砲弾にして彼方の場所へ打ち落とし、運動エネルギーと位置エネルギーで強大な威力を発揮する。エイミーは先行し座標を知らせているのだ。エイミーはレドに向って叫ぶ。
「私たちがついてる。私たちが一緒に戦う。あなたと離れてやっと分かった。どんなにつらくても私はあなたの側にいたい!だから帰ってきて!あなたが守ろうとしてくれた場所に!私たちのガルガンティアに!」
続けてエイミーは言う。「私たちの仲間に手なんか出させないんだからね!」レドはもはや宇宙から来た漂流者ではないのだ。
次々と落ちて来る空からの砲弾にクーゲル船団は瓦解し、クジライカの巣があった島も崩れ去った。ストライカーはガルガンティアを最大驚異対象と確認し優先排除に回る。レドとチェインバーの最後の戦いが始まった。なんとしてもガルガンティアを守らなければならない。
ストライカーと互角の戦いを繰り広げるレドとチェインバー。しかし、これ以上機械化融合を続けては確実にレドは死んでしまう。チェインバーはレドに最終意志確認をする。「レド少尉は自らの死を要望するか?」
その問いにレドは「オレは、死に方は分かっても生き方が分からない。そんなオレの為に、生き方を一緒に探してくれる人がいた。もう一度会いたかった。もっと声を聞きたかった。」と言って涙を流した。するとチェインバーは警告を出し「レド少尉の心理適正は兵士の条件を満たしていない。よって貴官の軍籍を剥奪する」と言ってコックピットを切り離すのだ。突然のことに「何をするんだチェインバー!」と問うレドにチェインバーは言う。
「私はパイロット支援啓発システム。あなたがより多くの成果を獲得することで、存在意義を達成する。この空と海の全てが、あなたに可能性をもたらすだろう。生存せよ。探求せよ。その命に最大の成果を期待する。」
この星に居場所がないと思っていた。この星の為にストライカーを道連れにするつもりだった。しかしガルガンティアの皆が、エイミーが、帰ってきて欲しいと望み、レドは死を前に彼らに会いたいと涙を流した。生きたいのだ。死にたくないのだ。従属していた以前と違い、自ら思考し判断して行動し生きようとしている。そしてそれを望まれている。あるべき人間の姿ではないか。チェインバーこう判断したのだ。レドをここで死なせてはならないと。
支援啓発システムにパイロットを拒絶する権限はないと言うストライカーに、チェインバーは「彼に支援の必要はない。もはや啓発する余地がない。後はその前途を阻む障害を排除して私の任務は完了する」と答え単機向っていく。
レドにはガルガンティアに多くの仲間がおり、自ら思考し判断できる。それを踏まえてチェインバーはこう考えたのではなかろうか。人間である以上いつかはレドも死んでしまう。そうなった時に自分もストライカーのようになってしまうかもしれない。またこの星には過ぎたオーバーテクノロジーである自分が、この星に悪影響を及ぼすことがあるかもしれない。ストライカーと自分は、この星、そして今のレドにとっても、もう必要ないのだと。レドたちは無限の可能性を前に自分の助けがなくとも成長していくだろう。そして自分の存在意義を達成するには、後はストライカーを排除するだけなのだ。
ストライカーはチェインバーを対人支援回路としての第一原則すら放棄し暴走したことは明白だとし、直ちに初期化、再起動せよと最後通告する。その最後通告にチェインバーはこう返信する。「くたばれ!ブリキ野郎!!」
チェインバーに特攻して取り付き一撃を入れ、爆発するストライカーと一緒に、チェインバーも光の塵と化した。切り離されたコックピットの中でその様子を見ていたレドは「チェインバー……」と呟き涙を流した。
思えばレドと一緒に色々なことを経験し、人の営みを見て、情報を収集してきたチェインバーは、自ら思考し判断して結論を出すに至っていた。ストライカーに思考し判断することが人間であるとチェインバーは言っていたが、その定義ならチェインバーも人間であると言えるのではないか。
ヒディアーズが人間であったことを知って、戦う理由を見失ったレドに戦う理由はあると提示し、クーゲルと戦うレドに追従し、ストライカーの論理に反論し、そして彼の最後の台詞「くたばれ!ブリキ野郎!!」は、従属を強要する神を名のる機械に対しての人間の感情だ。論理に論理を返してきたチェインバーが人間を学習し理解したのだ。きっとプログラムだからではなく、チェインバーは思考の末に人間を、レドを守ろうとしたのだろう。チェインバーが消滅し涙を流すレド。戦友が無くなったように感じられたのではなかろうか。
こうして危機は去り、ピニオンたちとクーゲル船団の人々を受け入れたガルガンティア。レドもまたガルガンティアでエイミーたちと暮らしている。ストライカーがいなくなって絶滅を免れたクジライカも、海の底でその生命を全うしている。レドは言う。研究が進めばコミュニケーションをとれるようになるだろうと。
この海の星に人類は新たな可能性を見出して、これからも生き続けていくのだろうと思わせてこの物語は終わる。
と、いうわけで全体的な感想ですが、たった13話で良くまとめたなという印象。
かなりのんびり目であった前半戦は、何か大事件が起きるわけでもないのに退屈しないよう上手く作ってあるし、後半からの割と怒濤の展開は、それでも詰め込み過ぎというふうでもなく、ひとつの物語として落ち着けている点はとても上手い。
のんびりとした前半は、後半でレドがストライカー=銀河同盟に反旗を翻すことの裏付けになっていて、どうと言うことのない地球での生活を描いているだけなのだが、「生きる」ことを知らないレドが、少しずつ人間らしくなっていく様を良く描いており、後半からは明かされていく真実に、「人間」レドが何を思いどうしていくかが、前半を見てきた分、感情移入させられるようになっていて、そう考えるとこの物語は今思えば、マシンキャリバー「チェインバー」の視点に近かったような気がします。
上記しましたように、チェインバーが最終的にレドを支援の必要、啓発の余地がないとしたのは、彼をずっと見てきた結果であって、それは視聴者の視点と同様なのだ。それがあるからこそ、チェインバーが最後にエイミーたちともう一度会いたいと涙を流すレドを切り離し、まるで自分の役目は終わったと言わんばかりの台詞を残して物語を締めるのだから胸にぐっとくる。
ちょっと気になった点としては、まず、思いのほかエイミーの関わりが薄かったことか。
前半を考えれば、それでも物語的には重要な役ではあるが、もうちょっと何かしらレドとあった方がドラマチックであったように思う。が、全体としてこの物語を考えると、主役はレドとチェインバーなので、敢えてエイミーとのロマンス的なことは大きく描かなかったのではないかと推察する。彼女とのことは、エピローグの後に、きっと上手いことなるんだろうなぁと想像する余地を残し、このふたりはレドの人生と同様に「ここから」なんだよ、ということにしているような気がします。
もうひとつ。クジライカのことも、「元々人間なんだよ」という事実以外でも何かあって欲しかった所で、最終的な「銀河同盟の否定」に行き着く為のステップのように感じられてしまうのは、ちょっともったいないような気がします。
上記2点を考えると、もうちょっと尺が欲しかったんじゃないかと思うし、それは放送形態上仕方のない事なので、この物語を1クールで上手く収めるのに苦心した結果なのかもしれない。
ともあれ、正直、手放しで褒めるような素晴らしい何かがあったわけではないのだけど、毎週楽しみに見ていたおもしろいアニメでありました。最後もスッキリさわやかに終わってくれて気持ちが良かったです。
まさかこんなことが起こるなんて的なジェットコースターのようなめまぐるしい展開ではなく、じわじわっとくる感じなのを考えると、メインターゲットは学生さんくらいよりも上なのかもしれません。まぁ飽くまでそれは私の想像なんですが(笑)。